機械生命体「俺ハ人間サ」   作:鈴木颯手

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書き始め「よーし!書くぞー!」
書き終わり「ど う し て こ う な っ た 」


第五話「赤髪の双子」

 私はデボル。かつて人類を救うための計画『ゲシュタルト計画』を円滑に遂行する為に作られたアンドロイドだ。でも、ゲシュタルト計画は失敗し私達はその原因の一端という事でアンドロイドから邪険に扱われた。そしてエイリアンが地球を占領し、機械生命体を生み出し続けている現在になってもそれらは変わる事はない。でも、それでも仕方ないと思っていた。同型機の事とは言え私達が人類を滅亡させたことに変わりはないのだから。

 

 そんな時だった。私達は不思議な機械生命体にであった。機械生命体の大軍によって風前の灯火だった私達をそいつは助けてくれた。私は最初こそなんで助けてくれたのかもわからず警戒したけど今なら分かる。そいつはアンドロイドと敵対するつもりがない機械生命体だった。ただ、それはあくまで今の状態が続いている限りだ。彼がもしアンドロイドに攻撃されれば容赦なく破壊するだろう。彼にとってアンドロイドとは「敵対するつもりはないけど攻撃されれば殺す程度」の存在なのだろう。

 

 彼の住む施設で治療を受けた私はポポルと一緒に各地を転々とした。何処に行っても邪険に扱われ罪悪感で心が張り裂けそうになる日々の中、ふとあの機械生命体の事を思いだした。あの機械生命体は今何をしているのか気になった私はポポルと一緒に再び訪れる事にした。一応機械生命体だし何か仕出かしていないか気になるのは当然だ。

 

 そして、私達があの施設に行き再会した時には驚いた。手足は何処かシュッとしていたけど丸い頭部にずんぐりとした胴を持っていたその機械生命体はまるでアンドロイドの様に人間に近い体になっていた。あの時は機械生命体を殺してこのアンドロイドが代わりに住み着いているのかと思ったけど違っていた。

 

 この時は本気で危険だと思ったよ。機械生命体がアンドロイドと見分けがつかなくなれば普通のアンドロイドでは区別できないだろう。そうなれば機械生命体との戦いはより混沌を極めると。でも、あの機械生命体は「こんな事を出来るのは機械生命体の中では俺くらいだ。そもそもコストをケチって機械生命体は作られている。その分雑魚だがな」と言っていた。同胞に対して雑魚とか酷い言い草だと思っていたけど此奴は同胞を仲間とすら思っていないんだろうな。ちょくちょく機械生命体を狩っているみたいだし。そのせいでここら辺の機械生命体は大分少なくなってアンドロイドが偶に調査に訪れる位には安全になりつつある。

 

 それでこいつが何もしていないことを確認したわけだけど、今回は偶々そう言う事をしていなかっただけでやってないとは言い切れなかった。だから私はポポルを説得して近くに来た時や必要な物を揃える時に出向く事にした。こいつは使わない物でもため込む習性がある。だから倉庫として使っている部屋には色んな素材が沢山ある。その中から貴重な物や足りない物資を貰っては各レジスタンス組織に取引として使っている。も、勿論倉庫に少ない素材やこいつが手に入り辛いだろう各地の情報を渡したりしてきちんと対価を払っているさ。

 

 最近だと超々大型機械生命体が此奴の近くまで襲来していた。姿を消してから暫くした後に訪れた際に無事な様子を見てホッとしたよ。……い、いやこれは取引相手がいなくなるのは困るし……!ん、んん!なんやかんやでこいつとは数百年の付き合いになっている。今ではアンドロイドと変わらない義体で最近は遺伝子分野に手を出している。なんでも鹿と猪の子供を作ろうとしてるんだと。……何でそんな事を始めたのかは知らないし聞く気もないけど個人的には成功してほしいなとは思ってるよ。べ、別にアイツの喜ぶ顔が見たい訳じゃないし……!

 

 そう言えばアイツいっつも「俺」しか言わないけど名前とかないのかな?アイツとか此奴とかばっかりじゃさびs……ふ、不便だからな!今度立ち寄った時に聞いてみるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 最近、デボルの様子が可笑しい。その理由は勿論知っている。けど、私はどうすればいいのか分からない。

 

 最初はデボルの言った言葉からだった。

 

「な、なぁ。あの機械生命体の所に行かないか?」

 

 「あの機械生命体」が何を差しているのかはすぐに分かったわ。何せ機械生命体はある一体を除いて出会ったら破壊してきたから。でもデボルがなんでそんな事を言ってきたのかはわからなかったわ。だから聞いてみたの。そしたら、

 

「一応アイツも機械生命体じゃないか?もしかしたらアンドロイドを襲っている可能性もあるし破壊しないなら定期的に監視する必要があると思うんだけど……」

 

 確かにデボルの言うとおり私達はあの機械生命体を壊さない事にした。恩があるのは勿論だけど私達では到底勝てない、若しくはこちらもそれ相応の被害を受ける可能性があったから。それにアンドロイドを襲わない機械生命体は珍しいという事もあったけどそれは別に重要ではない。最近ではそう言う個体が増えてきているから。

 

 だから私はデボルの監視という言葉で受け入れた。そしてあの施設に向かって私達は驚いたわ。そこには機械生命体じゃなくてアンドロイドがいたのだから。だけどすぐにあれが機械生命体だと気づいたわ。私とデボルはこの機械生命体を危険と判断した。でも、デボルはあの機械生命体が言った言葉を信じて破壊はしないって言ったわ。そこで疑惑が生まれたわ。もしかしたらデボルは気づかないうちにこの機械生命体にハッキングされてコントロールされているんじゃないかって。でも、そんなことはなくてデボルはそれ以外ではいつものデボルだった。

 

 そして、私達のおかしな活動が始まった。基本的にレジスタンス組織のキャンプを移動する際に立ち寄り怪しい行動はしていないかを確認するのと素材を分けてもらった。あの機械生命体は素材集めが趣味みたいで倉庫にはそれなりの規模のレジスタンス組織の装備をアップグレード出来るくらいには溜まっている。同じ仲間の機械生命体も狩っては素材を集めているみたい。そのせいか施設周辺から機械生命体はほとんど消えているわ。最近ではそれを怪しんだアンドロイドが調査に出向いているみたいだから私達が移動中に破壊していると言っておいたわ。何でこんなことを、と思っているけどデボルは彼の下に行くたびに元気になっている。勿論人類への罪の意識が消えたわけではないけど正面から毅然と受け止められるようになってきている。多分、デボルは気づいていないけど彼の事を……。

 

 だけど彼は機械生命体。どれだけ外側をアンドロイドに近づけようとその事実は変わらないわ。だからデボルには諦めて欲しいけど自覚がないのと曲がりなりにも心の支えとなっているせいで言いだし辛かった。今の私にはデボルが彼に依存しないように注意しつつ彼との時間を作ってあげる事しか出来ないわ。

 

 ……もし、アンドロイドと機械生命体が手を取り合う日が……いえ、そんな日は来ないわ。でも、その時が来たら……。私達は救われるのかしら?

 




そう言えば丁度二週間でレプリカントver1.22…が発売されますね。買う予定だけどお金が残っているか……
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