西暦約11800年。遂にニーアオートマタまで後150年程となった。ここまでの間に森の国が建国され、後に2B達に協力してくれるレジスタンス組織のリーダーであるアネモネが誕生した。確かこの時に人類軍による第八次降下作戦が行われている。因みに11944年までに215次まで行われている。さらに言えばその一年後の原作開始時点で243次となっている。僅か一年足らずで人類軍(おそらくその大半がヨルハ部隊)によって28回も行われた事になる。大体二週間に一度のペースだ。
原作に近づきつつあるとは言え俺のやる事は変わらない。……というよりは最近暇になってきた。遺伝子方面は全くと言っていい程進展はない、という訳ではないが変な生物が生まれる程度で進んだ気がしない。この施設だって地下に拡張したから地下5階まで広がった。更に義体は百近くまでつくっているし素材に関してはこれ持ってゲームやれば最初から最後まで素材集めなくていいくらいには存在する。体の方もデボルとポポルの様に酒を飲めるようになったり食べ物を食べて味覚を感じるようにはした。最近じゃデボルとかと一緒に酒を飲むようになったが……、もう二度とポポルには飲ませねぇ。マジで酒癖が酷すぎる。ストレスでも溜まっているのかもしれないが部屋一つを破壊するなんて思わなかったよ……。その一方でデボルは俺に抱き着いて甘えてくるし……。人間だった頃なら性欲が爆発していただろうが生憎この体は性欲はないし搭載予定もない。というかそこまで行けばもはや人間と変わりはないだろう。……あれ?一から人間作るよりもしかしてこっちの方が簡単だったりしないか?でも子供が具体的にどうやって作られるのかなんてわからないし……。やはり何百万年もかけて研究するしかないか。
「なぁ、お前に名前ってないのか?」
「名前か?特にないな。製造番号もあったと思うがとっくに忘れた。いきなりどうした?」
「いや、何時までもお前とか言うのってなんか、変じゃんか?だから名前で呼んだ方がいいなって思ってさ」
「成程な。……そうだな、レインとでも呼んでくれ」
「レイン?雨か?」
「まぁ、そんなところだ」
ある日、上記の通りの会話をデボルとした。確かに彼女の言うとおり俺は名前なんてなかった。というより話し相手が基本的にデボルとポポルしかいないから今まで気にしていなかった。という訳で俺の名前はレインに決定した。……今後、名乗る機会があるかどうかはわからないがな。
「そう言えば二人は歌を歌えるのか?」
「?いきなりどうしたんだ?」
「いや、ただ気になっただけだ」
珍しく二人で俺の下を訪れた彼女たちに俺は聞いてみた。レプリカントでは彼女たちの歌が印象的だったからな。デボルがいる近くに行くとBGMに合わせて彼女の歌声が聞こえてきて時間があるときは聞いていたりしたなぁ、というのを前世の記録を見ていて思い出した。もう、前世の記憶は残っていない。記録を見なければ俺がどんなことをして過ごしていたのか、自分が誰だったのかさえ分からなくなっている。とは言え何千年も生きていれば過去の記憶なんて忘れていくだろう。その為に前世で覚えている事は記録しているし何か感じた事も全て記録している。おかげでその容量だけで大分圧迫しつつあるけどな。
「歌、か……。確かに歌えるけど最近は歌っていないな……」
「そうね。歌うほどの余裕なんて今は無いし……」
確かに機械生命体との戦争中の今は歌いづらいだろうし彼女たちなら余計そう思うだろう。とは言えここには俺たち以外には誰もいないんだ。彼女たちの歌声を生で聞いてみたいという思いはある。
「ならここで何か歌ってくれないか?ぜひとも聞いてみたい」
「そりゃ、構わないけど……」
デボルは特に抵抗とかはなさそうだがちらりとポポルの方を見ている。そのポポルは多少いいのかな?といった感じではあるが別に嫌とか抵抗があるわけではなさそうだ。少し考えた彼女はデボルに頷く。そして二人はゆっくりと歌いだした。歌ってくれたのはレプリカントの「イニシエノウタ」。オートマタでも使用され彼女たちを代表する曲の一つだ。まさか生で聞ける機会が来るとは思わなかったな。……もし、俺が人間のままだったのなら感動のあまり涙を流して喜んだのかもしれない。
3分ほどの曲ではあるがその時間はここ数百年の中で最も充実した時間だった。歌い終わるとデボルは恥ずかし気にうつむきつつ笑みを浮かべた。
「へへ、久しぶりに歌なんて歌ったよ。でも、やっぱり歌うのは良いな。なぁ、ポポル?」
「ええ、そうね。心がとても穏やかになれたわ」
ポポルの方も満足げにしている。やはりインプットされた罪悪感は彼女たちの心を擦り減らしているのだろう。……どうにか出来ないか。確かに彼女達の暴走が原因の一つかもしれない。だが、元をただせば魔王と呼ばれたゲシュタルト・ニーアの要望を叶えられなかったのが原因であるし崩壊体の理由だって人為的なミスが原因とも言われているのだ。彼女達が悪いのではなく巡り巡っていきついた結果でしかないと思う。そもそも暴走したとは言えレプリカント・ニーアがゲシュタルト・ニーアを殺さなければこうはならなかったのだから。
……だが、他のアンドロイドからすれば守るべき人類が滅亡してしまったのだ。八つ当たりだってしたいはずだ。やはり、彼女達を根本的に救うには人類の復活が大前提だろうな。果たしてそれが出来るのかは分からないし作り出した人類を人類と呼べるのかさえ分からないがな。とにかく俺は俺に出来る事をしないとな。
主人公の名前は大分安直です。分かる人には簡単に分かるかも
イニシエノウタっていいですよね。カラオケでは歌うの難しいですけど。
それと次話より原作に突入します。この調子なら15話前後で終わりそう……