機械生命体「俺ハ人間サ」   作:鈴木颯手

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大分ぐだってしまったけど許して


第二話「質疑応答」

 さて、デボルとポポルがいた事でA2の体は完治する事が出来た。恐らく俺がやってもここまで完璧に治すことは出来なかっただろう。治療とメンテナンス型のアンドロイドというだけの事はあるか。そう言う訳で体を完全に治したA2と俺は寝室代わりにしている部屋で向かい合って座っている。因みにデボルとポポルは治療が終わった後は直ぐに出発した。元々俺が戻る少し前には出ているはずだったのだがデボルが「帰ってくるかもしれない」といいだして待っていたらしい。デボルにそんな未来予知みたいな機能でもついていたのだろうか?デボルは多少ごねていたけどポポルに引きずられるようにして出ていった。あれじゃ抵抗する大型犬と飼い主みたいだなと思ったのは秘密だ。本人に言えば拳が飛んできそうだからな。

 

「それで、何故私の事を知っていた?」

「……」

「答えろ!」

 

 詰め寄るA2に俺は思案する。実は協力者になってもらおうと考えたが説得をどうするかを決めていなかった。というか連れてくれば何とかなるかもと安易に考えたせいだな。そう言う訳でA2に切れるカードはあれどどうやって切るかを決めかねていたのだ。

 

 ……仕方ない。ここは彼女に選んでもらうか。

 

「必要最低限の情報か、全ての情報か。どちらがいい?」

「はぁっ?」

「前者はそのまんまだ。後者は……、多少荒唐無稽で信じられない事ばかりだが全て真実だ。どちらがいい?因みにどちらを選んでもいくつかの要求を呑んでもらうがな」

「……連れてきておいて随分と要求が多いな」

「それだけ重要な事という事だ」

「……後者はどれくらい荒唐無稽なんだ?」

「揶揄っていると言って激昂しかねないくらい、かな」

「……」

 

 俺の言葉を聞いて今度はA2が黙り込む。どちらにするかを悩んでいるのだろう。まぁ、俺はどちらでも構わない。どちらを選んでも共闘関係に持ち込むつもりだからな。

 

「……全てを教えろ。怒らないとは言えないが全否定はしないと約束する」

「その言葉が嘘ではないと信じているよ。そうだな……、先ずは何から話すか……」

「なら私が質問する。お前はそれに正直に答えろ」

 

 何から話すか悩んでいるとA2が提案してきた。こちらとしてもそうしてくれるなら助かるな。そして、A2の質問次第ではいろいろと話すことになるだろうな。デボルとポポルにすら言っていない重要な情報を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まずは何故私を知っていたのかだ」

「それは最初から知っていた。としか言いようがないな」

 

 目の前のアンドロイド、レインの言葉に私はいら立つ。それでは答えになっていない。はぐらかしているとも取れる言動に私の表情が険しくなっていくのが分かる。それは対面するレインも分かったようで肩を竦めて弁明する。

 

「これは仕方ないが真実だ。本当は俺の中身をスキャンするなりしてもらえればいいのかもしれないがな。お前は出来ないだろう?」

「……」

 

 確かに私はアタッカータイプで相手へのハッキングは専門外だ。

 

「……ならその情報はどうやって手に入れた?」

「ふむ、これは最初から持っていたと言った方がいいか」

「はぐらかすな。きちんと言え」

「……しょうがない。俺にはこの体になる前の記憶がある」

「?」

 

 突然言い始めた事に私は首をかしげる。彼が何を言いたのかは分からない。だが、少なくとも嘘をついていないのは分かった。私は黙って続きを待つ。

 

「俺が誕生したのは8000年前後だ。そして、俺の記憶にはそれより6000年前。人類が地球で繁栄していた頃の記憶がある」

「っ!?」

 

 突然の事に私は思わず立ち上がった。2000年。それはエイリアンが地球にやって来るよりだいぶ前だ。そしてそれは、こいつがアンドロイドではないと言っているに等しかった。そんな物は信じられなかった。何せ人類は月に避難している(・・・・・・・・)のだから。

 

「記憶は西暦2020年代のとある男の記憶だ」

「……」

「信じられないか?だから言っただろう?荒唐無稽ともとれる真実だと」

「つまりお前は……、人間なのか?」

「元、と言いたいが違うだろうな。体は弄ったが最初から機械の体だ。魂だけが人間といえるかもしれないがな」

「……」

 

 あまりの事実に私の頭は混乱する。それと同時に嘘だと叫びたい気持ちになるが嘘は言っていないのだろう。それが分かるからこそ私は混乱しているのだ。

 

「どうする?今からでもやめるか?」

「……いや、いい。続きを話してくれ」

「分かった。その男はあるゲームにはまっていた。……ゲームは分かるか?」

「知識ならある。問題ない」

「よし。そのゲームは『NieR:Automata』。機械生命体と戦うあるアンドロイドを描いたゲームだ」

「……」

 

 それはつまりこの世界はゲームだとでも言いたいのか?それこそ信じられない。だが、同時に私は納得もしていた。ゲームというからには私が参加した真珠湾降下作戦の詳細も知っていたのだろう。そして、私が……。

 

「つまり、お前は助けられたという事か?四号も、十六号も、二十一号も?」

「そうだな。もしかしたら助けられたかもな」

「っ!貴様ぁ!」

 

 私はレインに飛びかかるがレインはよどみない動作で私を受け流し地面にたたきつけた。そしてそのまま私の体を機械で拘束した。拘束から逃れようともがくがびくともしなかった。レインは私を地面に転がしたまま私の眼前に移動した。手が出せない私はレインを睨みつける事しか出来なかった。

 

「落ち着け。お前以外を助けなかったのは理由がある」

「どんな理由だろうと!」

「下手にあの場で動いていれば全滅していた可能性もある」

「っ!」

 

 私はその言葉に歯噛みした。確かに彼がいたところであの場では多勢に無勢だった。それに考えてみればあの場で真実を話されて逃げたとしても良い結果にはならなかったかもしれない。真実を知ったために粛清をされた可能性だってある。いや、確実にそうしただろう。

 それが分かった私は力を抜いた。レインは拘束を解くことはしなかったが多少緩めてくれた。私が落ち着いたと判断したレインが続きを話し始めた。

 

「俺はまだ機械生命体にもバンカーにも存在を知られる訳にはいかない。だからすべてが終わった時にお前を助けたんだ。お前の仲間には悪いがこれが今の俺に出来る最大限の事だ」

「……分かった。もういい。続きを言ってくれ」

「そうか……。なら言うぞ。このゲームを知っていたから俺はこの後何が起きるのかを知っている。そして、この物語にはA2。君が関わって来る」

「私が?」

「というより主役の一体だな。俺も前は何度もゲームの君を操作したもんさ」

「……」

 

 私を操作するという言葉になんとも言えなくなる。あまりいい感じの思いはしないが私とは違うと言い聞かせてその感情を振り払った。

 

「これで俺が君の情報を知っていた理由だ。分かってもらえたか?」

「……ああ、嫌というほどにな」

 

 彼の言った通り荒唐無稽な話だったな。とは言え理屈は通るし彼が真実しか言わないと言った事を信じるならこれも全て事実なのだろう。

 

「さて、他に何か聞きたい事はあるか?」

「沢山ある。全て話せ」

「ああ、勿論さ。君が知りたくないと耳を塞いでも全て答えるつもりさ」

 

 彼はそう言って不敵に笑うのだった。

 

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