博麗覡のバイト茶飯   作:八月一日

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皆様お待たせいたしました。
今回は弾幕勝負のシーンを練習がてら書くのを目標にしました。
…まさか4回も書き直すことになるとは思いませんでしたがね。
試し、と言うことでかなり酷い点があるかと思います。
なのでお見かけ次第ご連絡頂ければありがたいです。

次回からは元と同じ様に毎週更新して行きたいと思っておりますのでよろしくお願いします。


第三幻

温まった昼空の下、四色二人が正対している。

「さて、はじめましょうか」

紅白が言う。

手には玉串と札が数枚、それと背後に陰陽玉が二つ浮かんでいる。

「先手はくれてやるぜ」

白黒が応える。

無手だがスカートの中には沢山の道具がしまわれている。

「じゃあ、お言葉に甘えてっ!」

 

 

****

 

 

先ず、霊夢が放って来たのは様子見と牽制を両立させる博麗アミュレット。

「っと…!」

大量の札が3WAYに飛んで来るのを対すこちらは避ける。

…危険だぜ。

通常弾幕程度だったら魔理沙なら紙一重でかわし、反撃の隙を狙う事など造作もない。

でも、

「どうしたのかしら?避けてるだけじゃ勝てないわよ?」

「わかってる…!」

今日の霊夢はヤバイぜ…!

弾幕がこちらをしっかりと捉えている。

下手に動いた瞬間、お陀仏になりかねないな。

そうこう考えているうちにも鋭く札が飛んでくる。

懐に手を入れ、指先に触れたものを撫でながら考える。

…一瞬の隙さえあれば…!

しかしその一瞬刹那が勝負の分かれ目であることは重々承知している。

そして霊夢がそんなに甘くないこともしかり、だ。

しかし、

「…え?」

弾幕が変わった。

軽くホーミングする札は止み、代わりに針の雨が直線を描く。

「幻夢には色々な弾幕を見せないとね」

霊夢、お前…。

なんとも言えぬ葛藤が魔理沙の中に込み上げて来る。

が、しかしそれは目の前の針嵐へ意識が持って行かれ、思考する暇も無かった。

…少し変な気持ちだが、これは美味いぜ!

弾幕と弾幕の間には必ずしも一呼吸入る。

どんなバトルジャンキーや戦闘狂、異常なセンスの持ち主でもだ。

…そこを狙う…!

懐で頃がしていたモノを魔理沙は取り出した。

多角の形をした黒いそれは魔理沙の宝物であり、最強の武器でもある。

「魔力供給ーー完了!ミニ八卦路、展開!狙うは紅白!」

魔法の射出口が広げられ、鮮やかな光を貯めている八卦路を右手で構え、照準がぶれぬように左手で支える。

…いくぜ!

「これが弾幕だぜ!恋符『マスタースパーク』!」

ビリビリと空気をも振動させる波動を残して虹色の光線が針を飲み込み、一直線に霊夢へ伸びる。

足元、幻夢がおぉ、と声を漏らしたのが聞こえる。

それはこの美しくも力強い七色のレーザーに対する感嘆か。

もしくは姉の身を安じた事による吐息か。

…どっちかわからないが、取り敢えず後者は

無駄だな。

魔理沙は苦笑して前方を見る。

霊夢が居た辺りは煙に包まれ、状態は確認出来ない。

しかし、それでも魔理沙は寧ろ警戒した。

…霊夢がこの程度、被弾するはずがない…どこだ?どこからくる?

先ずあり得るのが煙の中だ。

こちらの不可視の場所から素早い弾幕を広範囲にばら撒かれたら回避はキツイだろう。

次点を思考しようとした瞬間、魔理沙は殺気に近い気配を感じた。

「……くっ!」

ワンステップで後ろに飛び退く。

それと同時に札が帽子のつばを掠めて、上から飛ぶ。

二回三回とステップを入れ、回避の方向も途中で右に切り返したがそれでも札は自分を掠めてくる。

そしてその時気付いた。

……やっべ…!

スカートから小瓶を一つ取り出し、弾く。

不透明なガラスは上空から降り注ぐ札に割砕かれ、中身の魔法が爆発する。

爆風は魔理沙にも届き、彼女を大きく吹き飛ばす。

「ったく、危ねえな」

やや煤けた服の前面を払いながら言う。

それに応えるのは同じく煤けた霊夢だ。

「良く気付いたわね」

「まあな。ってかワープして物理攻撃は卑怯だぜ」

あら、そう?と霊夢は大袈裟におどけて見せる。

「一応今のもちゃんとしたスペルカードよ。亜空穴って言うの」

「その割りには爪先をしっかり立てて蹴りに来てたよな」

言い返して見たものの心中は冷や汗マッハで服が濡れる程だ。

……くそ、どうする…?

霊夢は直ぐに攻撃に移るだろう。

そうしたら今度こそ避けきれず、被弾する。

しかしだからと言ってこちらから仕掛ける訳にもいかない。

下手に攻撃をすれば交わされて反撃をもらう事になるだろう。

……勝ち筋はある、が少し、いやかなりキツいぜ…。

「さて、再開するけど勝ち筋は見えたのかしら?」

さとりかよ、とツッコミたくなったが抑える。

あくまで堂々と、だ。

何故なら、

…なんだろう、な。幻夢の前だと格好つけたくなるぜ…。

不思議な感覚だ。

今までこんなことを感じたことは無かったぜ。

「勝ち筋なんて難しいことじゃない。簡単さ」

「へえ、言って見なさいよ」

「お前の攻撃を避けながら同時に攻撃する。な?単純だろ?」

言った瞬間、大量の札が襲って来た。

 

 

****

 

 

霊夢は風を切り、空を疾空していた。

ただ、単に飛ぶのではなく、弾幕を張りながら追いかける。

その相手は、

「避けながら攻撃するんじゃなかったの魔理沙」

うっせぇ!と帰ってくる。

速度はあちらの方がやや早く少しずつ距離が離されていく。

……不味いわね。

何が不味いかと言うと移動することが不味い。

このままじゃ幻夢が見えなくなるじゃない!

一刻も早くこの賽銭泥棒を倒さなくては。

そう思った瞬間、白黒の魔女は急に角度を変えた。

箒の先端を無理やり胸に引き寄せ、縦のU字ターンをする。

もちろんこちらも追いかける。

…ありがたいターンね、これで幻夢の視界に戻れるわ。……それにしても。

時々、牽制だろうか、箒の軌跡に星が置かれている。

避けるのは容易いが、なにか違和感を感じる。

そしてその違和感は直ぐに襲いかかって来た。

…危ない…!?

自らの直感を信じ、速度を落としにかかる。

そして不意に叫びが聞こえた。

「仕返しだぜ!」

「やばっ…!」突如上から大量の星が降ってくる。

その光景を首だけ捻って見た魔理沙がやりきった顔で言う。

「紅妹『魔理沙流・スターボウブレイク』、どうだ!」

「とうとう人の弾幕をも盗みに走ったのね…!」

避ける、ひたすら避ける。

無数に降り注ぐ様に思えるが、何と言おうとパクリスペカ、必ず底はあるはず。

魔理沙が使ったのは魔法を詰めた小瓶、さっき爆風で回避したのと同じものだろう。

それを星の弾幕でこちらの視界を隠した一瞬で投げて割った。

なら、と一呼吸吐いてから、札を取り出す。

「夢符『封悪陣』」

光の陣が悪魔の星を吹き飛ばす。

無論、長くは持たない。

けど、魔理沙とて手はもうない筈…!

一気に仕留める、そして、

…幻夢に褒めて貰う

「格好良かったですよ、姉さんってね!」

あ、つい声に出しちゃった…。

「何いってんだよ…!」

黒い三角帽の向こうからため息混じりの声が聞こえてきた。

魔理沙の呆れた顔が目に浮かぶ。

そう思うと一気に熱が込み上げてくる。

胸、頬、顔、耳、全てが熱い。

…多分、顔まで真っ赤よね…私としたことが…。

「う、うるさいわね!」

震える喉で声を吐き出し、せめてもの虚栄をする。

声も上ずってるし、おそらく魔理沙にはバレているだろうがもう諦める

頭を振り今の出来事を忘れようと目の前の戦いに集中する。

「あら?」

魔理沙がいつの間にか目の前に消えている。

いや、さっき頭を振ったとき、目を瞑った。

その瞬間だろう。

魔理沙の性格からして上か下だろう。

そこから一撃を放って来るに違いない、と確信した。

さらに、この戦いを考えると、

「上ね…!」

「お返しだ!」

遥か上空、魔理沙が光を放って、居た。

いや、光を発しているのは魔理沙ではなく、その手に握りこちらに構えたもの。

ミニ八卦路だった。

「魔力最大供給ーーーー完了!砲門最大展開!補助魔法も同時展開だ!」

自信が砲台の一部になる様に姿勢すら固定した魔理沙の表情は本気そのものだった。

…ダメ…!

刹那的にそう思った。

不味い、でも危ない、でもなくダメ、だ。

魔理沙は上昇し過ぎて、あるいは集中し過ぎて見えてないだろうが、このまま発射されれば神社に直撃する。

別に神社はどうでもいい。

祀ってる神すら知らないのだから。

でも今、そこには幻夢が居る。

魔理沙の全力など浴びたらそれこそ塵も残らないだろう。

「魔理沙…!」

反応は帰ってこなかった。

魔力をチャージする音で聞こえないのだろう。

こうなるともはや本人には止めらない。

そして、発射されれば受け切れる自信もあまりない。

だったら…。

「撃つ前に止めれば…!」

全速力で上昇して距離を詰める。

高い空気は冷たく、肌を切り裂く様だが我慢する。

後で幻夢に薬を塗って貰えると考えれば寧ろプラス事項だ。

「…ん?わ、霊夢!?」

ようやくこちらに気付いたのか、魔理沙が驚いて魔砲の発射が遅れた。

そして、狙いを定める。

…弾幕は魔理沙を穿つ危険性があるからなるべく、狙いを絞らなくちゃ…。

そう思い、身体を起こし体術に移行しやすい体勢を作る。

「動かないでよ…!」

「え?お、おう」

全く状況を把握出来てないのか、魔理沙は戸惑いながらも姿勢はキープしてくれていた。

…今…!

「昇天脚ーッ!」

「うわっと!?」

回転の遠心力を含めたサマーは綺麗に八卦路だけを蹴り飛ばす。

星の残光が辺りを飛び、神社壊滅と弟喪失の危機は散っていった。

「ふーう…危なかったわ…」

「危なかったじゃないぜ!?今のは完全にルール違反だろ!?」

「あ、の、ね?」

わざと母音ごとに区切って、その都度魔理沙に人差し指を振るう。

それで察したのか、魔理沙も立てた眉を戻し、代わりに汗を流し始めた。

す、と息を入れ直し、

「あんたが今のぶっ放したら幻夢とついでに神社が消え去るところだったじゃない!」

「神社はついでかよ!?」

「うるさいわね!幻夢が第一優先に決まってるじゃない!」

は、と余った息を吐いてもう一度吸う。

不思議な感覚ね、と霊夢は思った。

…今まで誰かの身を案じてこんなに怒ったことはあったかしら?

自然と口から言葉が繋がり、胸の奥が熱くなるのがわかる。

いい?と枕詞をつけてから、

「あんたねぇ、もう少し周りに気を配りなさい」

「う、ぜ、善処しますぜ……」

「まったく…」

 

 

****

 

うう…怒られてしまったぜ…。

確かに私は時々周りが見えなくなるかもしれないけど、あんなに怒らなくてもいいじゃないか…。

あんなに怒る霊夢は始めて見たぜ…。

「なにブツブツ言ってるのよ、早くミニ八卦路回収してきなさいよ」

「は、はいぜ!」

いかん、あまりの恐怖に余計なものが語尾についてるぜ…。

こりゃ少しの間はこのまま治りそうもないぜ…。

しかし、

「霊夢、八卦路どこに蹴っ飛ばしたんだぜ?あっちかぜ?」

「魔理沙、口調が変よ」

ほっといて欲しいぜ…。

「んー、多分あっちの方ね」

「お、確かに光ってるぜ」

ん?光ってる?

霊夢も不審に思ったのか若干の苦笑いを浮かべながら聞いてくる。

「ねえ魔理沙?魔力を限界までチャージした八卦路って危ない?」

「勿論だぜ。多分さっきの量だと山一つは消し飛ぶんじゃないかぜ?」

「じゃあ魔理沙?その状態の八卦路に強い衝撃を加えたらどうなるのかしら?」

「それも勿論だぜ。きっと暴走して消し飛ばせる山が一つ増えると思うぜ」

……………

…………

………

……

「あ、そうだ霊夢、さっきチャージするとき香林がかけた出力抑える装置外したから威力は倍くらいだと思うぜ」

「なんでここでマイナス要素を重ねがけするのよー!」

霊夢の叫びと同時に光は訪れた。

ほぼ真下からまるで柱が突き出るように迫ってくる。

…これ、ヤバくないかぜ?

私のスペカには大層な防御を出来るのなんてないし、そもそも霊夢が受け切れるか怪しいレベルだぜ…。

「ちょ、これ流石に冗談じゃないわよ…!」

流石の霊夢も焦る、いや怯えている。

弾幕勝負はあくまで勝敗を決する手段、ダメージはあれどいずれは回復する。

でも今向かってきてるのは死、だ。

直撃したら不死出ない限り塵となる圧倒的な恐怖そのものなのだ。

…考えろ、考えるんだぜ私…!

回避はどうだ?

いや、無理だぜ。

速いし、なによりデカ過ぎる。今からじゃ身体の半分は持って行かれるぜ。

…なら受け取るのは…ってバカか私は…!

さっき自分で防御はないって言ったじゃないかぜ。

あとは…あとは…!

「…あは…あははは」

「魔理沙!?ちょっと、どうしちゃったのよ!?」

私の方が聞きたいぜ。

怖くて泣きたいのに何故か笑いが止まらないんだぜ。

……そうか、きっと本能が笑って最期を遂げろと言ってるんだぜ。

「あははははは!」

「くっ…死んだら幻夢を悲しませるじゃない…!そんなの…嫌よ…!」

…流石霊夢だぜ。最期の最後まで妹の事を思うなんて。

と言うか、なんか時が進むのが遅く感じるぜ。

これがあれか、走馬灯ってヤツかぜ。

面白いなぁ。

 

****

 

白黒の少女が笑い、紅白の少女が涙を浮かべ、対の感情を露わにする二人は放たれた虹色の光に呑まれ、つつまれた。

 

 

 

 




ご指摘ご感想お待ちしております。

また、これは軽い質問なのですがこの「バイト茶飯」オリジナルキャラを原作に干渉しない程度に登場させようと考えているのですがどうでしょうか?

ーーでは
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