混沌たる世界に王女を招くため   作:レジスタ_001

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第002話

 

 

早速東へと歩み始めていけば、見えてくるのは数体の緑色のスライムだった。いわゆる「Green Slime」という奴らだろう。

 

ついさっきは、装備等なにも無いものだと思っていたが、実際は何かしらあるかもしれないと改めて思い、まだ気づかれてない内に、インベントリアプリを開く。

 

予想はありがたいことに当たり、いくつかの道具と「Starter Bag」なるものがあった。

とりあえず「Starter Bag」については、後回しにして、「Copper Axe」を取り出すことにした。

 

いざ取り出そうと、画面上の「Copper Axe」に指を重ねれば、何の事前動作も無しに虚空に置いていた左手の中に「Copper Axe」が現れた。

 

この斧は「直ぐに取り出せるもの」欄に置いてあった故に、このような出現方法だったのか、それともインベントリにあるものは選択すれば全てこのように現れるのか、不思議なものである。

 

まぁそんなことはさておき、名称の通り、これは銅製の斧で、片手でも振り回せるタイプのようだ。自分の腕力が高いだけかもしれないが。

 

Touchをポケットに入れて、いざ参るとしよう。

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 

自分の知識上、スライムという生物はあらゆる物語や遊戯において雑魚扱いされている生物である。そんな存在に対して慢心せずに、武器となるものを装備して良かった。そう言えるほど、この世界のスライムの地力は凄まじいものだった。

 

なんとか、粉々に潰し「Gel」なるものと、いくつかの銅製の「Coin」を獲得したが、戦うにあたり盾も必要だと感じざるを得なかった。

 

俊敏性や跳躍力、はてにはフェイントを掛けてくるなどの動作もしてきた。しかも、その攻撃の一つ一つがやけに恐ろしく感じたのだ。おそらく、まだこの地に来たばかりで環境に順応していない故だろう。

段階を踏んで、戦闘や冒険などを繰り広げていけば、この恐ろしさも解消するだろう、と思っている。

 

とりあえず、生きていくに当たり課題となるものについて1つは発生したが、案内人の話を聞けばその課題も2つ3つと増えていく事だろう。

 

この「Coin」の扱いについても、尋ねる必要がある。交易や売買に扱うものだろうと思うが、それ以外の事も教えてくれるかもしれない。

 

そう様々なことを考えながら辺りを警戒しつつ、まだいた「Green Slime」やこれより少し体長が大きい「Blue Slime」を粉砕しつつ、東の森へと足を運んだ。

 

そうするうちに、森林に近づいていけば、明るい茶髪にラフな作業着を着ている男の後ろ姿が見えた。

 

「ん、おー! 君がハルトかい?」

 

その問いに頷きながら、彼は先程通話をしていたマーティであることが、声の感じから分かった。

 

「これで先ず一つ目のミッションがクリアだ。Touchの画面を見てみて」

 

 

✔〖★ ガイドに会いに行こう!〗

 

 

彼に言われたとおりに画面を見てみれば、クエストが完了した通知が発生していた。

そのアプリを開き確認してみれば「進行中」から「完了済」に移動されていることが分かった。

 

「銅の斧も早速使っているようだね。その感じからインベントリアプリについても把握はしているかな?」

 

遠回し気にに「説明不要かな?」と問うてくるが、ここは是非に聞いてみることにしよう。その際に「Coin」についても尋ねてみようか。

 

「うん、ならインベントリアプリを先ず開いてみて」

 

さっきはじっくり見る余裕などなかった故に、把握していなかったが、「直ぐに取り出せるもの」は「ホットバー」と言われるものらしい。それは10の「スロット」で構成されているもので、先程使っていた「Cooper Axe」は、「スロット1」に設定されている。他には「Copper Pickaxe」や「Copper Broadsword」がスロットに設定されていた。

 

基本的に落ちている物や道具などに近づいたり触れれば、このアプリが導入されているTouchの所有者のもとに、自動的に回収するシステムが組み込まれている。そのため、先程狩猟したスライム共からドロップした戦利品などが、インベントリに入るのは道理らしい。

細かな仕組みに関しては、くどくなるのとそんなにうまく説明ができないとのことで、その辺りは省かれてしまった。

 

「まぁ、よく使う道具とか武器とかは、スロットに設定しておくといいよ」

 

確かにその方が良いだろう。現時点ではよく使うものはそこまで多くない。だからホットバーに全て埋めることが出来ているが、これからはその厳選も必要になるのは、なんとなく予想できる。

 

「あっ、あとその「Startar Bag」は開けた方がいいよ。最初に進める上で便利なものが入っているからね」

 

彼の勧めに従い、早速中身を取り出してみればいくつかの武器装備とポーション入りの瓶、「Mana Crystal」「Chest」などが入っていたみたいだ。

 

武器装備としては、「Wooden Bow」「Wooden Arrow ×100」「Amethyst Staf」「Mining Helmet」の5種類だ。

説明を聞いて各種武具について理解したが、この世界には「魔法」の概念があるらしい。先程、Touchの話をしていた時に少し触れられていたから、なんとなく予想はできていたけれども。このインベントリアプリについても魔法の力が使われているようだ。魔力量としては非常に微々たるものらしく、使用者に何も影響がないため、魔力が使われているという実感は使用者にとっては無いらしい。

 

「そこで、その魔力量の最大値を増やしてくれるのが、この「Mana Crystal」なんだ」

 

青い星の形をしたクリスタルである「Mana Crystal」の説明を受け、「早速魔力を増やしてみよう」ということで、「Mana Crystal」を手に持って空へと掲げた。

 

そうすると身体の内から何かが漲るような感覚がした。

そして、掲げていた「Mana Crystal」はサラサラと光の粒子になって消えていった。

 

「今の一連の流れが「マナを増やす」というものだよ。マナクリスタルの他にマナを増やすことが出来るものはあるかもしれないけれどね」

 

最大魔力量の増やし方を彼の説明から理解できた。早速増やした魔力を用いるように「Amethyst Staf」を振るう。

振るったことで発生した紫色の魔法は、真っ直ぐに飛んでいき、木へと当たって砕け散った。

 

「そうそう、そんな感じ。これから遠距離の戦法も使う必要が出てくる時もあるから、どんどん慣れていってくれ」

 

これらの他に「Starter Bag」に入っていた各種ポーションのことや、インベントリの説明の掘り下げ、この地で生きていくための簡単な術を受けた。なお、やはり「Coin」は通貨となるらしい。

 

「じゃあ、早速だけど木を切って、生活出来る位の家を作ろう」

 

彼は「Copper Axe」を取り出して、周りにある木に向けながら、次なるミッションを課した。

 

勿論、このミッションも進めていくつもりだ。木材は色々な素材に使うと聞いたし、家屋の材料としても申し分ないだろう。

 

自分も伐採作業に入るためにTouchをしまって、「Copper Axe」を構えた。

 

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 

 

マーティと共に伐採をし続け、部屋を建て終えるまでかかった時間は、6,7時間だろうか。

 

出来上がった家としては、とりあえず作った小屋のような形だが、サバイバル生活の始めとしては申し分ないと思う。

 

また、内装に関してはマーティに教えてもらいながら「Workbench」を作り、椅子や机・ドアといった木材だけで作れる家具を一緒に製作した。

 

「外も暗くなってきたし、今日の残りはここで過ごそう」

 

少しだけドアを開けて外の様子を見たマーティが、そう提案する。

数は少ないが松明という灯りはあるため、出かけること自体はできる。だが、夜は昼の時より強いモンスターが現れるという説明を先程受けたし、自分も小屋に籠ることにする。

 

「さて、色々君に説明したり案内したりしてる訳だけど……」

 

マーティは呟きながら、自分と対面するように座った。

 

「協力して欲しいことがあるんだ」

 

そして彼はこちらに目を向けながら、協力を依頼してきた。今のところ、彼には助けてもらってばかりなので、勿論承諾した。

 

「ありがとう。まぁ、今すぐ達成できるほどじゃなけど、立派な街を作って人を集めたいんだ」

 

この掘っ建て小屋から立派な屋敷に改築し、更には家を複数建て、住民を増やす。そういった目標を持つマーティへの協力という内容らしい。

時間はとてもかかるが、のんびり活動していけば人も集まるだろうとのこと。ついでに、我々がいる土地は特別危険生物が多く棲息しているようで、もしそれらに捕らわれた人間がいるようなら、見つけて救出し、この地で快適に暮らしてもらおう……という魂胆もあるとのこと。

 

「と言っても、これらも布石でね。僕は自分の恋人を招くためには、それぐらいの立派なモノを作り上げる必要があるんだ」

 

どうやら彼の恋人は、とても簡単には住居を移すことができない立ち位置にある様子。他人の恋路に首を突っ込むという程ではないけれど、少しくらいの手伝いなら喜んで手を貸そう。

 

「あぁ、本当に助かるよ。これからもよろしくね。さぁ、今日は―――」

 

マーティが寝ることを提案しようとしたタイミングで、この小屋のドアを強く叩いた音が響いた。

 

「あぁ、そうだった。この小屋程度では安息など、まだまだ遠いものだったね」

 

マーティは己を納得させるように、そう口にしながら弓と矢を構えだした。

自分もいくつかの武器を構え、メキメキと音を立てて今にも敗れそうなドアへと対峙する。

 

「さぁ来るよ! 「Zombie」達が……!」

 

そして、とうとうドアは蹴破られ、爛れた身体に破れた服を着ている「Zombie」達が我々の前に現れた……。

 

 

 

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