『精霊の後継者』はダンジョンで運命に出会う   作:仁611

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NO.2

—翌朝—

 

普段通り朝日より前に起き、一般的な冒険者達が鍛錬と呼ぶ地獄の様な強化練を行う。他の冒険者達が気付かないのが不思議だが、素振りや体術練は本気で動かなければ器用値以外上がらない。

 

全力で筋肉を瞬発的に動かし可動域の難しい動きを繰り返す、器<俊<力が伸びる訓練法として編み出した。次は外壁を動かす気で全力で押し続ける事で筋肉に負荷を掛けると力<耐が伸びる。

 

次に行うのが立体機動と言う俊<器が伸びる全力障害物競争だ…最後に行うのが体力1割以下でのスローモーション形稽古、模範とも呼べる動作を1時間以上掛けて行う事で器<耐<見えない体力が伸びる。

 

 

全てを終えたら瞑想を実行する事で精神と集中力を鍛えるのだ…

 

 

普段ならその後ダンジョンへと向かう支度をするが、今日はロキファミリアに行かなくてはならない。朝練をここまで厳しくする事でダンジョンでは常に限界を更新し続ける事になる、今日だけは夕練をかなりハードにしないといけないだろう。

 

 

 

 

 

「それじゃあ行くわよルーメン」

 

「何でそんなに気合が入ってるんだ?」

 

「天界のセクハラ魔神と呼ばれたロキに会うのよ!危険地帯にわざわざ踏み込むのだから仕方ないわよ」

 

「俺もアテナを守るから安心してくれ」

 

「頼もしいわね!」

 

 

【黄昏の館】へ着いた俺達は、【超凡夫】(ハイノービス)事ラウル・ノールドに案内され敵地へと踏み込んで行った。案内されたのは昨日とは違いかなり広々とした応接室だった。

 

促される様に扉を進むと、挨拶もしない内から神ロキぽい女性がアテナ目掛けて飛び込んで来た。俺は闘牛士の如くアテナを左側から右側に回転する要領で位置を変えたのだが、結果として神ロキはターゲットを失い地面に顔面を強打する事となった。

 

挨拶は謝罪から始まると言う締まりのない幕開けとなった…

 

 

「本当に申し訳ない。神アテナ、それに連日申し訳ないね|【聖騎士】《ルシフェル】君。改めて名乗らせて貰うよ、ロキファミリア団長を務めるフィン・ディムナだ」

 

「良いのよ…ロキはその辺りは天界の頃からだもの、一応私も自己紹介しようかしら?戦略と知恵、それに芸術などを司る三大処女神と言われてるアテナよ」

 

「俺はお気遣いなく。アテナから事前に神ロキに関しては伺っていましたから、俺も一応自己紹介させて貰います。アテナファミリア唯一の眷属ルーメン・リフレインです」

 

「では私も名乗らせて貰おう。ロキファミリア副団長を務めるリヴェリア・リヨス・アールヴだ…アイズの件も含めて申し訳ない」

 

「それじゃあ儂の番かの?2人と同じロキファミリア最古参の眷属でもあるガレス・ガンドロックじゃ」

 

「順番的に私かしら?私はそこにいるティオナの双子の姉で、ティオネ・フリュテよ…」

 

「じゃあ私だね〜ルーメン君!昨日振りだね〜ティオナ・フリュテだよ〜宜しくね〜」

 

「えっと…アイズ・ヴァレンシュタイン、です」

 

「あら?貴女がアイズちゃんね、本当に可愛らしい子ね」

 

「うちのこと忘れてるやん!」

 

「それで今回はアイズちゃんがルーメンと一緒にダンジョンに潜る事に対してだったかしら?」

 

「うっうちは〜」

 

「うるさいわねロキ」

 

「グスン…アイズた〜んアテナがうちを虐めて来る〜」

 

「自業自得」

 

「グヘッ!?」

 

 

話し合いは神ロキをガン無視して進む中、表面上はさほど重大では無いような問題だが、アイズ・ヴァレンシュタインと俺は他派閥な上に同盟派閥では無い、ダンジョンに潜ると言う事は個人のアビリティが多少なり露見する事もある。

 

ファミリア間の暗黙のルールとも言えるステイタスの内容や、異性間の交流は意外と繊細な話題なのだ。ロキファミリア側がルーメンの半精霊と言う内容を知ってるかは分からないが、アイズちゃんとの共通点が多い事から特別感が好意に変わる事もあり得る…

 

 


 

《二派閥同盟規約》

これらは、署名された瞬間から神の名の下に盟約は結ばれるものとする。下記に記載された内容を違反した場合、下界で持ち得る全ての財産(人材・財産・知識)を無条件に相手派閥に譲渡する。

 

1つ、互いの不利益になる行為の禁止

※陰謀や敵対、神威を使用しての命令など

 

1つ、互いを家族(ファミリア)の様に扱う事

 

1つ、情報の共有と秘密保持

※個人ステイタスのみ互いの神同士で閲覧を審議する

 

1つ、恋愛や交友の自由

※子供を出産した場合、その子の自由意志で所属を決める

 

1つ、財産は互いに不干渉とし、融通する範囲は派閥の団長権限とす

 

1つ、喧嘩や痴情のもつれなどの場合、派閥ルールに則り裁く

※喧嘩は過失と経緯・痴情の場合も同じく2神によって裁く

 

 

上記の内容に派閥同士で不足や変更があった場合、両団長・2神での内容の改定会議を行い実行出来るものとする。魅了や薬などで相手の判断能力を誘導して盟約を変更、又は侵害した場合は厳罰に処する

 

 


 

 

盟約が結ばれる話までかなりの問答があった、神ロキの眷属達は本神の趣向によって美女・美少女が多く在籍するから当然とも言える。アテナによるとある一言で神ロキは署名する事を決めた…

 

 

()眷属(子供)人生(幸せ)を決めてはならない』

 

 

正にその通りだと俺は思ったし、天界時代の神ロキと違い今のロキは眷属(子供)想いな神だとこの時敬う気持ちが湧いた。恐らくロキファミリアの面々も普段の神ロキと違い威厳や敬いの気持ちを抱いている事がうかがえる顔をしていた。

 

そして、アテナの提案によって俺の素性とステイタスを幹部とロキだけに開示することを決めた。結果として、アイズ・ヴァレンシュタインの件が絡んで来るのでティオナとティオネが席を外す事になった。

 

 

「それにしてもや、アテナの子のルーメンが半精霊言うんは正直驚いたけど…異世界転生者言うんはマジモンの爆弾やで」

 

「そうね…でも、その問題は普通に誰も気付かないと思うわよ?」

 

「確かに神アテナの言う様に予想すらしないと僕も思うよ」

 

「フィンの言う通りだな。だが、今後もこの情報は限られた者のみで共有する方が良いだろう」

 

「まあ儂からしたらアイズに関わる内容以外はどうでも良いからの」

 

 

大方の話し合いが済むと、ファミリアとして今後どの様な変化が起きるか予測出来ない部分が多いので、定期的にアテナファミリアとロキファミリアで盟約会議を行って行く事を決めた。

 

終始アイズが精霊と言う単語や、精霊関連の情報に敏感に反応している事から、リヴェリアの提案によってアイズのダンジョン同行の件はロキの愚痴を無視して可決された。

 

 

これが、アテナファミリアの未来に訪れる『光星の英雄譚』と呼ばれる物語の始まりだったと言える。ルーメン・リフレイン創世記から始めて『神』と言う二つ名を授かった冒険者の話しだ。

 

 

 

その日の夕食時、ロキファミリアではアテナファミリアとの盟約を発表したが、どこぞやの【凶狼】ベート・ローガの「雑魚と盟約何て意味ねえだろうが」と言う言葉から、神ロキからとある提案が翌朝提示されたのだった。

 

向かい合う【聖騎士】ルーメン・リフレインと【凶狼】ベート・ローガの模擬戦、この模擬戦のせいでアイズは不満げな顔をしている。アイズ自身がルーメンと闘いたかったが、ロキは結果を予想しているからなのかベートを名指しして模擬戦を提案した。

 

「おい!雑魚の分際で調子に乗るんじゃねえぞ」

 

「やる前から随分な事を言うんだな?」

 

「当たり前だろうが!強え奴が勝つのが当たり前だろうが」

 

「それなら結果は自ずと見えて来るな」

 

「二人共、準備は良いかい?当然相手が死ぬような攻撃は禁止だ」

 

「「ああ(良いですよ)」」

 

「では、始め!」

 

 

俺は速攻で光速移動を行い、接近しようと向かうベート・ローガの顎を真横に出現して全力で殴る。彼等冒険者達は人体の構造などに詳しくない為、殆ど知らないだろうが故の油断と慢心。

 

レベル5が相手だからこその全力打撃によって脳が揺れるが、反対側に再度出現して追い討ちの様に更に脳を揺らす。ベート・ローガは精神力だけでどうにか立っているが、片手を膝につき頭を抱えフラフラ状態で耐えている。

 

神ロキもロキファミリアの団員達に慢心をする眷属(子供)が居る事を分かっていたのだろう。何も読み取れない表情をして目を細めて居るのが視界に入った。

 

神の意志ならと、俺は全力首トンを実行してこの模擬戦を早々に終わらせる事にした。多分だが、ベート・ローガもこの模擬戦の意味を知っている節があったが、敢えて自分の信念に従って俺との模擬戦を実行したのだろう…

 

 

気絶する間際に「クソ野郎」と言う悪態を最後に意識を失う…

 

 

先程までロキファミリアの団員達には、ベート・ローガが負けるなど微塵も思っていなかったのだろう、幹部達と数名以外は驚愕と畏怖の念を俺に向けて来た。

 

俺は、ベート・ローガに敬意を持って気絶する本人を抱えフィンとロキの側へと連れて行った。神ロキは表情こそ変えないが、拳を強く握る姿が一瞬目に留まったが、敢えてそこには触れずベート・ローガへの伝言を頼んだ。

 

 

「是非また、模擬戦をしたい。そう彼に伝えて下さい」

 

「ああ。僕が必ず伝えるよ」

 

「ホンマ、おおきにな」

 

「いえ、彼の献身は尊敬に値します」

 

 

俺の発言を理解してない団員達は騒然とし、幹部達は敢えて説明をしない事を決めたのだろう。この言葉の意味を考えるようにフィンが命じて解散とした。

 

 

 

その後、昼からはフィン・リヴェリア・アイズ・ティオナ・ティオネ・レフィーヤと共にダンジョンへと向かう事となり、一旦解散してバベル前の広場集合となった。

 

 

 

 

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