『精霊の後継者』はダンジョンで運命に出会う   作:仁611

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NO.6

俺とアイズが対峙するのは巨大な女体型芋虫モンスター、攻撃手段が不明な敵だからこそ多少は慎重に攻める。俺自身は一応レベル3だから、敵モンスターを中心に渦を巻く様に光速移動を続けながら斬撃を繰り返し4本生える平たい腕の様なものを切り刻んで行く。アイズは俺の意図を理解したのか、半周遅れで同じ回転方向を周りながら攻撃を繰り返す。

 

俺達が回り続けたことで周囲の大気も回転し始め、徐々に竜巻状の風の壁ができて行く。暴風によって腐食液を吐き出すと自爆になる為敵は初撃以外は行って来ない。

 

既に相手は4本の腕を失い、戦闘能力が激減してる上に風使いのアイズと言う相性がこちらに有利な展開だ…。アイズにアイコンタクトで仕上げに入る様、互いに回転中心部へと突貫した。

 

その時だった、女体型芋虫から粒子状のきらめく何かが放出されて周囲に撒き散らし出した。俺とアイズは危機感から竜巻の中より緊急脱出した瞬間、撒き散らされた粒子が爆発した…。

 

 

「怪我は無いか?」

 

「うん」

 

「あれは、芋虫モンスターの成体だったのだろうか」

 

「分からない、けど…良くない何か」

 

「ああ、分からないが俺もそう感じた」

 

 

 

 

50階層での戦闘が終わると、残りのロキファミリアと合流後地上への帰還を目指してハイペースで登って行った。

 

途中で小規模安全地帯内で休憩を挟みながら、18階層にある安全階層(セーフティーポイント)と呼ばれる【迷宮の楽園】(アンダーリゾート)で一泊する予定だったが、失った野営装備の不足を鑑みて少し長めの休憩のみを取り帰還する事になった。

 

15階層へと差し掛かった一行は、既に中層という事もありロキファミリアの二軍が戦闘を受け持っていた。そんな集団の前には、中層では上位に位置するミノタウルスが大量に待ち構えており、フィンの許可でベート・ティオネ・ティオナ・レフィーヤ・アイズも参加して殲滅へとあたった…。

 

 

「「「『はぁ(え)(あ)(えぇ)(ぁ)!?』」」」

 

「不味い、追え!上層に逃がすな」

 

「上層に逃げたら死人が出るぞ!すまないがルーメンも頼めるか?」

 

「ああ。流石に傍観はしない」

 

「悪いな」

 

 

ミノタウルスの集団は、半数以上減ると脅威を感じモンスターとは思えない行動に出た。冒険者を前に逃げ出すなど普段では考えられずロキファミリアも面を食らった状態だが、流石に探索ファミリア随一だけあり早急な対応がされた。

 

もしかしたら、あっただろう未来が変わったのはこの時だったのかも知れない。順序良く狩って行くメンバー達、俺は最後の2体をアイズと探していた。

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁ」

 

「行くぞアイズ」

 

 

叫び声が聞こえる最中、2体の内1体が目の前の曲がり角を曲がって逃げていた。そちらを指差しアイズに行ってもらう様に言うと、頷き風魔法を行使して爆風と共に追い掛けた。

 

俺の方は叫び声へ向かい、光精霊化して光速移動を行なった…。

 

目の前には逃げ惑う白髪の小柄な少年の背中が目に入り、俺はそれがヘスティアに紹介したベルだと直ぐに気付いた。

 

 

「ベル!右に全力で避けろ!?」

 

「ふぇえ!」

 

 

ベルは反射的に俺の言葉に従い、兎も尻尾を巻く素早さでジャンプするのが見えた。全力抜刀…

 

光精霊化した状態での全力抜刀は、真空を生み血が巻き散ることもその場で音が聞こえる事も無く、タイムラグが生まれて切られた側の認識と音がやって来る。

 

ベルは俺を限界まで瞳孔が開いた目で見つめ、状況をいまいち理解する事無くとある台詞を呟いた。

 

 

「…英雄」

 

 

光精霊化は直ぐに解き、ベルがよく知る俺の姿へと変わった事で現実へと強制的に引き戻された。そんなベルへと差し伸べた手が、直ぐに掴まれたと思ったら、おもちゃ屋にいる子供の様に目を輝かせて興奮気味に俺に感謝を述べた。

 

 

「ルーメンさん!?凄いです!精霊に愛された英雄見たいでした」

 

「あーベル。それはむず痒が、一先ず無事で何よりだ」

 

「あれって魔法ですか!」

 

「おい、まだダンジョン内なんだからまた聞かせてやる。一先ず今日はヘスティアの元へ帰って良く寝ろ」

 

「えっはい!?本当にありがとうございました!」

 

「気を付けて帰ろよ」

 

「はい!」

 

 

 

 

「アイズ。終わったか?」

 

「うん…さっきの兎みたいな子は?…知り合い?」

 

「ああ。純粋で真っ直ぐ『英雄』を目指す…弟の様な奴かな」

 

「そっか…良い、お兄ちゃんだね」

 

「そう在れたら良いな」

 

 

その後遠征隊は無事地上へと辿り着き、俺個人の報酬は後日受け取る事になり、明日はアテナと一緒にロキファミリアの宴会への参加予定となった。

 

それにしても、芋虫モンスターと女体型芋虫モンスターの情報何てギルドに無かった筈だ、かなりの数がいる事からあれで全てだと思わない方が良いだろうな。

 

これ以上、今の情報で思考を巡らすのは余り意味がないだろうから一先ず保留だな。今後も情報収集を出来る手立てを確立しておくべきだろう。

 

 

 

 

 

 

 

アテナファミリアのホームへ帰ってからは、遠征に持って行った服の洗濯や武器の手入れの他に、ギルドへの納税用に使用した消耗品の数を帳簿に記入などをしてからお風呂に入った。

 

遠征中の程よい緊張感からの解放からか、その日は割と直ぐに眠りにつくのだった。

 

 

翌日の朝は、久し振りに新鮮な野菜を食べたくてシャキシャキサラダと魚の塩焼きを食べてから軽い鍛錬をこなした。普段より軽くしたのも恩恵によるブースト効果は有れど、人間の肉体は常に再生と破壊を繰り返して変化して行く、休養がそこまで必要でない上級冒険者ではあるが、遠征というストレス下で普段より肉体を酷使しているだろうと言う事から今日は軽くした。

 

今日の鍛錬中に科学的進歩がかなり進んだ世界出身故なのか、武器への光を俺の力で操れないかを思いついてしまった。光の屈折に干渉して敵対者に認識をさせない攻撃が出来るのではないかと思った。

 

その結果、ロキファミリアとの集合時間が13時だったのだが12時45分まで試行錯誤していた。武器の位置関係を誤魔化す事には成功したが、不可視の状態にするのはかなり難しい様なのだ。

 

ロキファミリアのメンバーと合流して、俺は自身の取り分に含まれる単独撃破されたモンスターの魔石やドロップ、採取品や討伐補助したモンスターの人数分の1を受け取る予定だ。

 

因みに遠征参加と言う、別枠で300万ヴァリスは既に神ロキからアテナに手渡されている。それに深層域で俺は採取品に含まれる『カドモスの皮膜』があるので、今後はもっとアテナに好きな事をさせられるという期待があった…。

 

 

 

 

 

 

 

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