松山隊作戦室。隊員達の趣味が多く部屋にあり、ランク戦と防衛任務以外の時は基本遊ぶためにしか使われていない部屋である。そんな部屋で1人、とてもぐったりしている明道がいた。
「うえぇ~疲れた~」
明道は大量の参考書の中にダイブした。他にも速水と武半の2人もぐったりしていた。
明道の補修が明後日に控えていてその対策のために3時間みっちり防衛任務開けの疲れきっているなか行われていた。学習は確かに進んだが元々の頭があれなのでページ数にして2~3ページしか進まなかったのであるが明道にしては上出来だった。
「でも芽生ちゃんにしてはよく頑張ったよ~。あとは明日また少し勉強してなんとかするしかないわね」
「は~い~」
気の抜けた返事が返ってきたがいつも勉強しない彼女なので大目に見るとしよう。
「煌さん!終わったのなら早速○AOについて話し合いましょう!すぐしましょう!」
松山がキラキラした目で話してきた。勿論武半はそんな元気がないので断ろうとしたが約束をしてあったので少し付き合うことにした。
「やっぱりあそこでのラスボス戦は燃えましたよね。システムすら超越した瞬間は驚きました」
「まあそもそも第一巻でラスボスが出た方が驚いたけどね。あと始まってすぐ2年近く時がたって混乱したんだが」
「え?そんなにたってませんよ?せいぜい数ヶ月のはずですけど……」
お互いの話がかみ合っていないようだった。同じ作品でこんなに差が出るのは不思議だったがその時武半はあることに気がついた。
「なあ松っち、最初に倒した大型のモンスターは?見た目でいいから教えてくれ」
「え?コボルトの見た目をした剣を2種類使う奴ですけど…なにか?」
「ああ~なるほど…」
武半は納得したが松山は分かっていないようだった。焦れた松山が答えを求めてきたので答えることにした。
「あの作品はアニメと小説で最初が若干違うんだよ。アニメはゲーム開始の後に多分少しストーリがあるんだ。で、小説はそのままそのシーンがカットされて2年近く時がたっているんだ。そのまま一気に二刀流が読めるぞ。お前、小説読んだことないから分からなかっただろ。ちなみにアニメの最初は外伝とか別の巻に載ってるけどな」
松山は開いた口が塞がらず呆然としていた。
「……ま、まじですか?」
「おう、大まじだ」
「俺んち父親があれだったんで本とかの残る媒体は持つことが出来なかったのでアニメしか見れなかったので盲点でした。あの、煌さん、小説読ませてもらってもいいですか?」
「いいぞ。何ならそこにあるから好きなだけ読んでいいぞ」
「ありがとうございます!」
それだけ言うと松山は本に飛びつき読みあさるのであった。
「じゃあ俺は帰るとするか…速水さんと明道は?帰るなら送るけどどうします?」
「私は開発室に行って寺島君の面倒見ないと行けないからあとでいいわ」
「私も太刀川さんのところに行って餅パするんで大丈夫で~す」
2人からそんな答えが返ってきたから仕方なく一人で帰ることにした。
「あ、煌さん。代わりに報告書の提出お願いします」
……訂正、仕事が増えた。
松山にいらぬ仕事を押しつけられた武半は忍田本部長の所に向かって行った。なぜパソコンなどでの提出にしないのかは謎だがボーダーでは基本手書きの提出だ。
「んお?武半じゃないか!どうだ試作のトリガーは?!戦闘力は数倍に跳ね上がっただろう?」
「げぇ!鈴村さん?!」
通路から来たのはボーダー唯一のマッドサイエンティストの鈴村創司だ。
「どうだ?素晴らしいできだろう?!」
「あんな危ないもの使えるか!てかそもそもB級の俺にはオリジナルトリガーは扱えないだろ!」
「ぬぅ…し、しかしあれを使えば銃トリガーの火力はもっと上がり多くの隊員が遠距離主体になり安全に戦えるようになるであろう!こんなにも滾る効果があるのに…なぜそれが上は分かってくれない!」
「銃トリガーはトリオン能力高くないと安定しないからって却下されたの忘れたのかよ!こっちの世界だと剣は銃より強いんだよ!」
「だ、だがこれが実用に至ればもっと被害が減る…」
「だったら撃つごとに反動がアホみたいになることの改良をしてください。火力用のオプショントリガーは魅力的なんで期待してます。それと新しいスナイパートリガーは威力もそこそこあり軽くて速射もしやすいから扱いやすいけど射程がアイビス以下は使いにくいって東さんが言っていたんで改良をお願いします」
なんだかんだ言って武半はちゃんと試験はしていたのでコメントをしっかり残すのであった。
「ほう…銃トリガーは分かったがスナイパーの方はそれではもはやガトリングガンを一般化した方がいいのかね?…取りあえず礼を言っておくよ」
ありがとうと言ってくるがどうせまた奇抜な改造をして怒られるのであるが今は気にしないでおこう。
途中で自分が報告書を出しに行く途中なのを思い出して離れようとしたらまた鈴村が話しかけてきた。
「そういえばそろそろ彼がボーダーに入るのではなかったか?」
「あ…そういえばそろそろか……まあ詳しい時期は覚えてないけどもうすぐのはずだな」
「よいな?俺たちは彼らの未来がよりよくなるために動かなければならない。俺は戦闘員じゃないからこんな事しか出来ないが、戦闘員のお前なら出来ると思っておる。頼んだぞ?」
「ああ。出来る範囲でやってやるよ。だから俺はここにいる」
覚悟を持った目で武半は答える。それに安心したのか鈴村は少し穏やかな目で去って行った。
周りの何も知らない人がこの会話を聞けば知り合いがボーダーに入ることの話をしているか、可能性としては低いがこのどちらかはたまた両方があの実力派エリートのようなサイドエフェクトを持っているのではないかと思うだろう。だが実際には全く違う内容だった。二人の知り合いが入隊するわけでもないしサイドエフェクトももちろん二人は持っていない。ではなぜか。それは、二人は…いや、彼らは元々この世界の人間ではないからだ。そう、彼らは俗に言う異世界転生をした者達なのであった。
転生前、武半は普通の大学生だった。大学で短期留学をするために飛行機に乗っていたのだが事故が起きた。バードストライクが起きて飛行機が墜落し、乗員乗客が全員死亡という大事故だった。だが、何の因果か彼の魂だけ冥界へ行かずに神の所へ登っていった。そこで彼は神に出会った。
「やっと来たのぉ」
目の前にひげがふっさふさのじじいがいた。
「じじいとはなんだじじいとは」
心を読んできやがった。
「そりゃあ神様じゃからのぉ」
「テンプレ過ぎて突っ込みませんけどそれでその神様が何の用です?異世界に行って世界救え的なノリですか?」
正直異世界転生とか憧れてはいたが前世が悪いわけでなく、むしろいい方向に傾いていたので全く魅力を感じていなかったからどうでもいいが取りあえず聞いてみた。
「いや、そんな気は全くないぞ。むしろガチャの外れ枠での転生だからむしろ早く済ませたい」
「………え?…ガチャ?」
今なんて言いやがったこの神は?
「ガチャの外れ枠じゃ」
聞き間違いじゃなかった。
「ガチャで転生ってどういうことですか?」
「神様の仕事は基本ガチャで決めるんじゃよ。天気とか地震などの自然災害とかは神様の仕事ガチャのあたり枠じゃのぉ」
とんでもないこと言いおったこのじじい。あれ全部こいつのガチャかよ。
「じゃあ事故とかもそうなのか?」
「いや、あれは人間のやったことじゃからわしは関与しとらん」
「ってことは転生がガチャってどういうことですか?」
いまいち転生とこいつの仕事の関わりが気になったので聞いてみた。
「簡単じゃ、よく輪廻転生ってあるじゃろ?それはほとんど確実に記憶なしで行われておる。だが多くは記憶をなくして転生する。そして外れ枠での転生は記憶を残したままなのじゃ」
「それって当たりじゃないんですか?」
よく見るものだとだいたい神様のミスで転生とか当たりで転生というものだったのだが違うのか?
「外れに決まっておる。だいたい記憶があって転生しても何になるか分からんどころか魂の摩耗で早死にする方がずっと確率は高いんじゃ。だから記憶ありの転生は外れとなっておる」
想定外だった。確かに仏教の輪廻転生は六道のどれかになると言われているから納得だが今聞くと恐ろしい。ん?ほとんど?
「なあ神様、さっきほとんど行われると言ったな?例外はあるのか?」
「ほぉ、それに気がつくとはたいしたもんじゃ。多くの奴はこれに気がつかずに魂のリセットがされずわしが超絶適当に引いた結果で早死にする。だが気がついてわしに聞いた者は魂のリセットをした上でさらに特典がある。あとはその結果次第じゃ」
「どうするんだ?」
「ガチャを引いてもらう」
「またガチャかよ」
ガチャ多いな。
「神事はだいたいガチャじゃ。ほれよく神頼みの時はガチャが多かろう。…さて内容じゃが、お主に三回ガチャを引いてもらう。項目は1、何になるか。2、どこに行くか。3、特典の有無。4、記憶の有無じゃな。4の結果はわしが引いたものだからありになっておるがの」
「ちなみに確率は?」
「人間になる確率はだいたい70%というところだな。特典の有無はだいたい1%じゃ。場所は全く分からん。これまで何千億人と転生させたが規則性がわからんのでのぉ」
「人間率以外に高いな。でもこれがなんでほとんどになるんだ?」
「簡単じゃ。ごくまれに神になるからじゃ。ヘラクレスとかがそれになるかのぉ」
「なるほどな」
「さて、では早速引いとくれ。あとが詰まっとる」
神に言われるがまま引いてみた。
転生:人間 転生先:ワールドトリガー 特典:なし 記憶の有無 あり
なんだこれ?
「ほぉ、良かったのぉ人間で」
「まあ、良かったけどさぁ…ワールドトリガー以外普通すぎない?」
「そんなもんじゃ。転生先が元いた世界ってのもざらにあるなかアニメに行けるならよいじゃろ」
神様はそう言うが転生するのに特典がないのはさみしい。
「じゃあ転生させるかのぉ」
「え?ちょ、早い!」
「じゃあ、ほいほいのほい!」
「おい!きk…」
こうして武半はワールドトリガーの世界に転生したのだった。
転生して19年。変えられたことは小さく少ないがこれはまだ物語の序盤に過ぎない。そもそも自分が変えた未来なんて数少なく、他の奴の影響の方が大きい。転生者が多かったのには驚いたがそれもまた良い未来のためにいいことなのかもしれない。そんな思いを胸に抱きつつ今日もグダグダなこの世界を生きる。少しでも良い未来にするために。
「忍田本部長、失礼します。B級松山隊の武半です。報告書の提出に来ました」
さあ、今日も頑張ろう。
「ああ、夜遅くに悪いな。今印鑑を用意するから机に置いておいてくれ」
……今日は後3時間で終わるのだった。……明日も頑張ろう。
いかがでしたでしょうか?
一応この時は原作開始から約1ヶ月前の時系列です。いくつか転生者達の日常を書いた後原作に入ろうと思っています。その時の時系列はバラバラなのであしからず。
何か気になったことがあったら報告などよろしくお願いします。
それでは次回、「武半煌」にトリガー・オン!