好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ   作:グレン×グレン

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 と、いうわけで第一章ともいえる三勢合一編。とりあえずエクスカリバー編とヴァンパイア編は組み込むつもりですが、いっそのことホーリー編まで巻き込もうかとも考え中。



 しかしなかなか感想がたくさん来ないのがちょっと残念。以前神様転生をぶちかました時はかなり来たんで、ちょっと期待してましたもので。

 ……そういえば九尾さんが来てない。前回なぜか感想が連続で消されまくったし、邪推してしまう………。


第一章 三勢合一編
三勢合一編 一話  邂逅するDの因子


 

 おっす、俺イッセー!

 

 駒王学園高校二年、オカルト研究部所属!

 

 スケベなことなら誰にも負けない、ちょっと人より根性があるのが取り柄の男の子だ。

 

 ハーレムを作りたいという夢の為、ちょっと前まで女子高だったから女性比率が多い駒王学園に、偏差値の差を煩悩で補って入学してから一年ちょっと。悪友の松田や元浜と共に、結局全然モテないことに不満を抱きながら二年生。そこから一気にハーレムの夢が叶いそうになってるんだ。

 

 何故かって? 日本じゃハーレムは無理だろうって? ふっふっふ、違うんだなぁ。

 

 実は俺、悪魔になりました。

 

 なんでもこの世界には悪魔に天使に堕天使に、他にも色々な神話の神様や妖怪、吸血鬼までいるらしい。

 

 そして悪魔は神や堕天使と三つ巴の戦争をしてて、今でも睨み合いや小競り合いをしてるらしい。なんでもどの勢力も大打撃を受けて、その所為で本格的な総力戦は控えてるとか。

 

 そして悪魔は絶滅寸前にまで減ったんだってさ。悪魔を率いる四大魔王様も全員死んで、今は襲名制になってるそうだ。

 

 そして数が思いっきり減った悪魔は、悪魔の駒(イーヴィル・ピース)っていうのを作って、他の種族から悪魔にスカウトしてるんだ。そして眷属を持てる上級悪魔は、眷属を率いて戦うレーティングゲームって競技をやっている。そこで大活躍したり悪魔間としての仕事で成果を上げると出世できて、上級悪魔になれると自分の駒が持てるんだ。

 

 そして、自分の眷属を全員女の子にしてハーレムを作ることも可能らしい。っていうか、一人マジでハーレム眷属を作ってる奴と会ったことがある。ロマンは叶えられるんだ!

 

 ちなみに人間の転生悪魔が一番多いらしい。人間や人間との混血は、聖書の神様が人間に与える神器(セイクリッド・ギア)って力を持って生まれることもあるから、そういう人とかを中心にスカウトされてるとか。

 

 ただ逆に制御できない時とかは、神器の研究をしている堕天使が危険だと判断すると殺しに来るんだ。迷惑な話だけど、強力な神器ってほんとに凄いから仕方ないこともあるんだとさ。

 

 そして俺は、現魔王ルシファーを兄に持つグレモリー本家の次期当主、リアス・グレモリー様の眷属悪魔になってます。

 

 しかも神器の中でも超強力、神や魔王様だって殺せるらしい神滅具(ロンギヌス)の一つ。昔三大勢力が協力して封印した、二天龍の一角赤龍帝ドライグが封印された、赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)って神器なんだ。

 

 すっげえんだぜ? ちょっとドライグと交渉して疑似的に神滅具になった時は、リアス部長より強い上級悪魔のライザーを何とか倒せたんだから。

 

 まあ、それが理由で堕天使に警戒されて殺されたんだけど。

 

 だけどその時、俺は悪魔が契約相手を見つける為に配っていたチラシを持っていた。そして俺は死ぬ直前、リアス部長のおっぱいを見たかったと思っていた。そしてそれはめっちゃくちゃ強い想いだったそうだ。

 

 結果として、リアス部長が駒を持った状態で転送されて、赤龍帝の籠手のおかげで駒価値八っていう凄い素質を見込まれて、俺は転生することができた。

 

 そっからも結構大変だったぜ。悪魔になっても魔力は子供より低いとか言われて、仕事の際は転送じゃなくて自転車で行くことになった。しかも仕事も癖の強い人ばかり引き当ててしまう所為で、「楽しかった」とか高評価はもらえるけど仕事そのものは中々成功しなかった。

 

 あと、その後悪魔を癒して教会を追放されたシスター、アーシア・アルジェントと仲良くなったこともあったな。悪魔になったおかげで普通に会話できたんだけど、俺を殺した堕天使のレイナーレって奴が、アーシアを殺して神器を奪って、自分が堕天使の幹部になろうとかして大変だった。独断行動だったおかげで部長達の力を借りれたけど、そうでなかったらどうなってたことか。

 

 そしてその後に、リアス部長が婚約を断る為にライザーとレーティングゲームとかをやって、まあ何とか婚約は解消できた。

 

 その時、リアス部長から感謝のしるしにチューされたんだ! いやぁ~、部長にとっても初めてのキス、頑張ったご褒美としては最高だぜ!

 

 そのあとリアス部長が内にホームステイを望んできたのもマジ最高。その前にアーシアも俺んちにホームステイしたいと言ってきてくれて、俺は今ベッドで二人に挟まれて眠ってます!

 

 ああ、でも花嫁修業とかそんなことを言ってたし、いつか終わるんだと思うと泣けてくるぜ。父さんも母さんも逆にほっとしたりとか、ちょっと酷いよなぁ。……一緒にお風呂に入れるのは、あと何年ぐらいなんだろ。

 

 ただ、ちょっと前に終わった球技大会のちょっと前から、リアス部長の眷属仲間の木場がおかしくなった。

 

 その更に前に俺の家でみんなが集まった時、母さんが持ってきたアルバムがきっかけだ。そこに俺が小学校に上がる前に引っ越した幼馴染との写真があったんだけど、そこに聖剣が移ってたのが原因なんだ。リアス部長曰く、部長の前任の悪魔は殺されたらしくて、聖剣使いがいたのなら納得とか言ってた。

 

 聖剣は悪魔にとって天敵の一つ。教会の悪魔祓い(エクソシスト)が使う武器としては最強の一角だ。ただ使い手を選ぶらしく、特に強力なエクスカリバーは使い手が一人のいない年代があったとか。

 

 そして、木場はそのエクスカリバー使いを人工的に生み出す実験の被験者だったそうだ。

 

 だけど、木場達被験者は誰一人として聖剣使いになれなかった。それどころか、教会の連中は木場達を役立たずとか言って殺そうとしたそうだ。一人逃げた木場は、それでも死ぬ直前だった時に通りがかった部長のおかげで生き残った。

 

 ……アーシアの時も思ったけど、教会って酷くねえか? 俺、悪魔でよかったと本気で思うんだけど。

 

 ま、悪魔の中にも嫌な奴はいるみたいだけどさ。ライザーも俺がハーレムに涙を流してる時に、目の前で眷属とキスしやがったし。部長のことを心配したり俺を強敵と見たりしてたり、妹が本気で庇ったりするぐらいだから、まだ悪い奴ではない方みたいだけどさ。

 

 で、質の悪いことに教会から聖剣使いっぽいなんか寒気がするものを持った奴らが何人か、この駒王町を管轄している部長に話があるとか言ってきた。

 

 しかもそのうちの一人は、さっき言った俺の幼馴染。しかも男だと思ってたら、実は女の子だった紫藤イリナ。

 

 なんでも部長に話があるとかで、こうして俺達は話をすることになったんだけど―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もてなしはいいわ。悪いけど、悪魔の縄張りで出されたもてなしに何か盛られてないか気になっちゃうから。どうせ捨てるんだしもったいないでしょ?」

 

「……ずいぶんな言い草ね。私がグレモリーの名に泥を塗ると思ってるのかしら?」

 

 ソファーに座って真っ先にそんなことを言ってきた女に、リアス部長がこめかみをぴくぴくさせてる。

 

 もう敵意満々だよ。話に来たんなら、もうちょっと友好的になってくれない?

 

 いや、俺と同じで部長の後ろに立ってる木場も、殺意満々で相手を睨んでるから仕方ないけど。ただ、木場が睨んでるのはその女の人じゃなくて、イリナともう一人の方だ。

 

「逆に聞くけど、貴方は教会に乗り込んで出された飲み物に、何も仕込まれてないと思えるのかしら? そういうわけでお互い様だし、平気で飲めるなら警戒心を磨くべきよ? ……あとそこの子」

 

 リアス部長にそう返しながら、その女の人が俺の方を見る。

 

「……海外に行ったことでもあるの? 日本には何度も仕事できたことあるけど、関東地方は初めてのはずよ?」

 

「あ、いや、見覚えがあるわけじゃなくて、逆になかったから」

 

 ああ。俺は見覚えがなかったから、ちょっとじろじろ見ちゃったんだ。

 

 栗毛をツインテールにしてるイリナと、緑のメッシュが入った短めの青い髪の女の子は、昨日イリナが俺の家に来た時に顔を合わせてる。

 

 向こうとしても、まさか俺が転生悪魔になってて、リアス部長まで住んでるなんて思ってなかったみたいだ。場合によってはあの場で殺し合いになってたかもしれない。

 

 だけど、その時はこんな人いなかったよなぁ。

 

 小猫ちゃんもびっくりなぐらい薄い胸。これまた小猫ちゃん並みに真っ白な、だけど長い髪。そして少し切れ長の目。

 

 少なくとも、レイナーレやライザーが俺を見た時のような、見下している印象がない。どっちかというと禁手になって戦った時のライザーのように、こっちを脅威に見てる感じだ。

 

 敵意を向けてたり見下してたり嫌ってたりというより、俺がどういう奴なのか見定めてるって感じなのか?

 

「……あぁ。イリナが言ってた悪魔になってた幼馴染って君のこと。私はあの時、当座のねぐらを確保してたからいなかったわね」

 

 そういうと、その白髪の人は肩をすくめた。

 

「私は任務で何度か一緒だったから選ばれただけで、イリナやゼノヴィアとは基本別チームだったから。それに日本のサラリーマンが持っている一軒家だと、何人も来ると狭いでしょ? だから遠慮したのよ」

 

 お、お気遣いできる人だ!

 

 あと青い髪のはゼノヴィアっていうのか。

 

 俺がそう思ってると、部長が軽く咳ばらいをした。

 

「……もういいかしらイッセー? そろそろ話を勧めたいのだけれど」

 

「あ、すいません」

 

 それで俺はいったん下がると、白髪の人が座ったまま軽く頭を下げる。

 

「一応軽く自己紹介を。私は正教会から派遣されたカズヒ・シチャースチエ。隣にいるのはコンビで活動しているエクスカリバー使いの、紫藤イリナとゼノヴィアよ」

 

 ……エクスカリバーかぁ。

 

 それを見た瞬間に、木場の殺気がかなり増してる。

 

 あの、今は戦闘とかしたらいけないからな? わかってるよな?

 

 俺はそう思って……ちょっと待って?

 

「エクスカリバー使いが……二人?」

 

 あれ? エクスカリバーって、一本だよな?

 

 俺が首をかしげてると、カズヒって名乗った白髪の人が怪訝な顔をして、すぐにポンと手を打った。

 

「もしかして新米なの? なら、そこも含めて説明した方がいいかしら?」

 

「そうね。お気遣い感謝するわ」

 

 部長がカズヒと一緒にうなづくと、俺の方に顔を向ける。

 

「三大勢力が戦争をしていたころは少し語ったわね。その時、聖剣エクスカリバーは七つに粉砕されたのよ」

 

 な、七つに粉砕!?

 

 マジか。聖剣って砕けるんだ。

 

 俺が驚いてると、カズヒが話を引き継いだ。

 

「まあ、アーサー王伝説では湖の精霊に返還されたとか言ってるけど、そこは気にしないでいいわ。伝承に残された内容と実態は違うし、同じと考えると悪魔と堕天使は同一の存在になるから三つ巴にならないもの」

 

 え? 悪魔と堕天使って同じモノ扱いなの?

 

 俺がちょっと驚いてると、カズヒが話をさらに進めてきた。

 

「で、エクスカリバーは破片の数だけ打ち直されて七本存在するのよ。うち一本は行方不明だけど、残りの六本はカトリック・プロテスタント・正教会が二本ずつ持ってるわ。……で、イリナはプロテスタントでゼノヴィアはカトリックね」

 

「まあ、こんな姿になっているわけだがね」

 

 カズヒに続く形で、ゼノヴィアが堤に包まれたでかいのを見せる。

 

 さっきからヤバいオーラを感じっぱなしだけど、聖剣は聖剣でもエクスカリバーなら納得だよ。

 

 むしろ、こんなレベルの聖剣がたくさんあるわけじゃなくてよかったっていうか。七分の一でもこれなのかよっていうか……。

 

「ちなみに、私のエクスカリバーは擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)! 普段は紐にしてるけど、こんな風に姿を自由に変えられるの♪」

 

 と、イリナが肩のひもを引っ張ったと思ったら、日本刀の形になった!

 

 おいおい、持ってないと思ったらそんなところに持ってたのかよ!?

 

 と、ゼノヴィアはイリナに呆れた目を向けてた。

 

「イリナ。悪魔相手にこちらの手札を見せてどうする?」

 

「あら? 少しぐらい手札を見せなきゃ逆に警戒されちゃうわ。それに、手札が知られたぐらいで私たちが敗けるわけないでしょ?」

 

「……それ、挑発にしかなってないからやめて頂戴」

 

 イリナにカズヒがそういうと、ため息をつきながら頭を下げた。

 

「ごめんなさい。どうもこの子達、若いからか正義をはき違えてるところがあるのよ」

 

 ……いや、正義ってはっきり言っちゃうそっちもたいがいなきがする。

 

 俺が呆れた顔で見てると、逆にカズヒが呆れた顔になった。

 

「言っておくけど、諸外国じゃ無神論者なんて「自分の正義を示せない」といってるようなものよ? 日本の常識は世界の非常識で逆もまた然り。島国の常識が世界共通の観念だと思わないことね」

 

 え、まじで?

 

 正義って神様じゃなくて自分で決める物じゃないのかよ。

 

 俺がちょっと驚いてると、カズヒはため息をつきながらはっきりといった。

 

「いい機会だからゼノヴィアとイリナにも言っておくわ。正義っていうのは自分がそうだからと振りかざすものじゃなく、己はそうあらんと引き締めるもの。同時に「こうあるべき」社会通念でもある以上、正義を語るなら人にも自分にも厳しく向けるべきね」

 

 そう言ってから、カズヒは一息入れて。

 

「……で、その教会が保有してるエクスカリバーの内、半分の三本が堕天使に強奪されたのよ」

 

 え、マジで!?

 

 いや、見る限りエクスカリバーって俺の赤龍帝の籠手みたいにやばい感じなんだけど?

 

 これを三本も奪うとか、どういうことだよ!?

 

 リアス部長も驚いてたけど、少し息を吐くとカズヒをまっすぐに見る。

 

「下手人は誰なのかしら? そして、それが何で私たちに関与しているの?」

 

「下手人は堕天使統括組織「神の子を見張る者(グリゴリ)」最高幹部のコカビエル。そして何を考えてるのか、この駒王町に逃げ込んだみたいなの」

 

「……私の領地は出来事が豊富ね」

 

 部長が目頭を押さえてため息をついた。

 

 嘘だろ。レイナーレの奴がこの町に潜伏してた時から、数か月しかたってないんだぞ。

 

 確かレイナーレは中級堕天使。それから数か月で堕天使の最高幹部とか、なんでそうなるんだよ。あれは小競り合いだったんだから、どこも積極的にかかわらないんじゃないのかよ!?

 

「……まあ、堕天使最高幹部となれば潜伏にも相応の力量はあるでしょう。神器を制御できない者の処分は教会(こちら)も容認しているし、悪魔(そちら)もそのあたりはノータッチが基本でしょうから、気づいてなかったことは恥じなくてもいいでしょうね」

 

 そうカズヒは言ってから、更にため息をつく。

 

「しかもコカビエルは、カトリック、プロテスタント、正教会から一本ずつ強奪したの。魔王の妹の領地に逃げ込んだことと言い、堕天使は三大勢力での三つ巴を激化させたいのかしらね」

 

「迷惑な話ね。魔王様が聞いたら眉間にしわが寄るでしょう」

 

 部長がそう答えると、カズヒはその顔をまっすぐに見据える。

 

 な、なんだ?

 

 俺たちが戸惑ったり警戒してると、カズヒさんは少しだけ肩の力を抜いた。

 

「……上は悪魔と堕天使の共闘を疑ってたけれど、その様子だと最低でもあなた方は知らされてないようね。魔王の妹に何も伝えずにことに動くとは思えないし、悪魔はシロね」

 

 ……あ、部長たちが割と怒ってる気がする。

 

 っていうか、俺達がコカビエルとつながってるって思ってたのか。

 

 んなわけないだろ。俺なんてあったこともねえよ!

 

「……ずいぶんな言いようね」

 

「気分を悪くさせたのはすまないけれど、同じ冥界に本拠地を構え、教会(私たち)と敵対している勢力なら、つながりを持つ可能性を警戒するのは当然のことよ。あなた達だって、四大魔王をコカビエルが襲撃してバチカンに逃げ込んだら、共闘の可能性を考える者が少しぐらいいるでしょう?」

 

 怒りを見せる部長にそう返しながら、カズヒはまっすぐにその目を見据えて言い切った。

 

「神経を逆なですることをさらに伝えるわ。そういうわけだから上層部は、エクスカリバー奪還作戦にあなた方悪魔が不干渉することを要求してる。……手出ししてくるなら切ってもいいとは承っているけどね」

 

 おいおい。本気で言ってるのかよ。

 

 ここは魔王様から与えられた部長の領地だ。そこで堕天使がとんでもないことをたくらんでるってのに、何もするなって?

 

 部長も本気で怒っているけど、三人とも平然としてる。

 

 ……ただ、イリナやゼノヴィアとカズヒはなんかが違う。

 

 さっき言ってた正義がどうとかってことが理由か? イリナとゼノヴィアは「自分達は正しいんだから言うことを聞け」って感じで、カズヒは「相手が怒って仕掛けてくることも覚悟しなくては正義じゃない」とか言った感じな気がする。

 

「……一つ聞くわ。そちらの戦力はどれぐらいなのかしら?」

 

「見ての通りの三人よ。正教会はエクスカリバーがこれ以上奪われないことを選択して、縁があった私を代理として派遣したの」

 

 カズヒがそう答えるけど、たった三人でかよ!?

 

 しかもカズヒはエクスカリバーの使い手でもない。あ、でも代理ってことはそれ抜きでも同じぐらい強いってことか?

 

「一応バックアップメンバーはいたんだけど、全員堕天使側に討たれてしまったの。ああ、主よ、どうか殉教した彼らの魂を迎え入れてください!」

 

「まあこちらにも切り札はある。それを使えば勝率は五分五分で、それだけあれば命を懸けるには十分だろう?」

 

 イリナとゼノヴィアはそういうけど、ちょっと信仰って怖いな。

 

 で、どうしますか、部長?

 

「……不愉快ではあるけどまあいいわ。この町と私たちに被害が出ない限りは容認するわ」

 

「それならいいわ。個人的にはブチ切れでまずそちらと殺し合うかとも思ってたけど、冷静に対応してくれたのには感心するわね」

 

 そういうと、カズヒはそのまま立ち上がった。

 

「じゃあ行くわよ。あまり時間をかけてもめごとになったら、上層部がうるさいでしょうしね」

 

「OK♪ じゃ、戦わないことを祈ってるわよ、イッセーくん」

 

 そう言いながらイリナも続いた。

 

 ……正直、木場の殺気がどんどん濃くなってるからこのまま帰ってほしい。

 

 エクスカリバーの使い手が相手だからかなりイラついてるしな。我慢できずに暴れられたら、部長の顔に泥が塗られそうだし……。

 

「……待て」

 

 と、そこでゼノヴィアが足を止めると、アーシアの方をじっと見た。

 

「まさかと思っていたが、君はあのアーシア・アルジェントか?」

 

「っ!」

 

 アーシアが肩を震わせる。

 

 アーシアは元聖女だけど、悪魔を治したってことが理由で追放されてる。

 

 正直教会のその行動にはムカついてるってのに、また南下する気なのかよ。

 

「え!? あの噂になってた元聖女様!? 追放されてたのは聞いてたけれど、悪魔になってしまったのね」

 

「イリナにゼノヴィア。さっさと帰るわよ」

 

 イリナ達にカズヒがそうたしなめるけど、あっちもいい顔はしていない。

 

「追放されるだけの罰を悔やまず、悪魔になっていたのは逆恨みにも思えるけれど、こっちは追放された後のことは知らないもの。グレモリーたちが敵対するなら遠慮する必要もないけれど、当面の不干渉を約束してくれた以上、手出しするのは厳禁よ」

 

 ……ああ、そういう考え方かよ。

 

 そっちが勝手に聖女にして、それが違ったからって追放して、そんでもって悪魔になったら逆恨みかもしれないって?

 

 怒って当然のことだろ。ちょっと本気でいらってきたぜ……っ

 

 しかも、ゼノヴィアの奴はカズヒに対して真っ向から目を向けてきた。

 

 素直に帰るのは嫌だってか? どういうつもりだよ。

 

「そういうわけにもいかないさ。たまにいるけど、どうも悪魔になってなお主を信じているらしい」

 

 そうゼノヴィアが言うと、イリナが面食らった感じでアーシアを見た。

 

 それとカズヒはリアス部長に、警戒してる感じの視線を向けてきた。

 

「え、うそでしょ? 悪魔になっちゃったのに?」

 

「リアス・グレモリー? いかに追放された者とは言え、強引な手法で転生させたというのなら、さすがに黙って見逃すわけにはいかないわよ?」

 

 イリナはイリナでなんかむかつくけど、たぶん悪気はない。

 

 っていうかカズヒがやばい。なんか殺気が漏れてるし、変な勘違いをしてる感じなんだけど!?

 

 そんなひどいことはしてません! 少なくとも部長はそんな人じゃないからね!?

 

「失礼ね。堕天使の手にかかったところを蘇生しただけよ」

 

「はい、部長さんは悪くありません。信仰は……捨てきれないだけです」

 

 部長とアーシアがそういうけど、ゼノヴィアはそれどころか聖剣まで抜いてきやがった。

 

「なら我が聖剣で切られるといい。その信仰が本物ならば、主は君を許してくださるだろう」

 

 ……あ、だめだ。

 

「アーシアに触れんじゃねえ」

 

 俺がもう我慢できなくなって、アーシアとゼノヴィアの間に割って入った。

 

 ああ全く。木場がブチギレそうだし部長たちが我慢してるから抑える気だったけど、さすがにこれは無理だ。

 

「何が主が許すだよ。勝手に聖女に祭り上げて勝手に追放したくせに、とどめに魔女とかふざけんな!」

 

 もう我慢できねえ。アーシアの事情を知ってから、ずっと教会の連中に言ってやりたかったしな。

 

「聖女として認められながら悪魔を癒し、果ては悪魔に成り下がってそれを恨みもしないのならば、それはもはや魔女というしかないだろう」

 

 こいつ、さらりと何を言ってやがる……っ

 

「ふざけんな! ずっと信仰してたアーシアを一人ぼっちにして、神器を抜かれて死ぬその時に何もしなかったくせに、何が神だ!」

 

「聖女は主からの愛のみで生きていけるし、主の愛は人のそれをはるかに超える普遍的なものだ。愛情や友情を求める時点で聖女として失格だし、何も起こってないのならば信仰が足りないか偽りかだろう?」

 

 冷静に言ってくれやがる。

 

 俺にはこいつらが理解できない。いや、したくもねえ!!

 

「笑わせんな! アーシアの優しさを理解できない連中なんか、神様だろうが何だろうがみんなただの馬鹿野郎だ!」

 

「……そういう君はいったいなんだ?」

 

「家族で友達でそして仲間だ! お前らがアーシアに手を出すのなら、俺はお前どころか神様だって敵に回してやる!!」

 

 はっきり言ってやったよ。

 

 ああ、俺は悪魔になってよかったし、アーシアも悪魔になってよかったよ。信仰に生きるなんてまっぴらごめんだ。

 

 神すら殺すっていう神滅具がある以上、逃げる気なんてかけらもねえ。

 

 神様が来たって、一発本気でぶん殴ってやる!

 

「不遜な物言いだ。リアス・グレモリーは眷属の教育が足りてないんじゃないか?」

 

「……好き勝手言ってくれてよく言うわ。でもイッセー、そのあたりで抑えて頂戴」

 

 ゼノヴィアに文句をつけられても、部長はゼノヴィアの方をにらんでいる。

 

 それはそれとして止められたけど、言いたいことは逝ったし別にそれで―

 

「―ちょうどいい。なら僕が相手になろう」

 

 ―あ、しまった。

 

 俺がふと気づいた時にはもう遅かった。

 

「……こっちも限界だったんだよ。失敗作扱いされてきた身として、成功作を見て我慢ができなくなっていてね……っ!」

 

 木場が、部屋中に魔剣を創造してゼノヴィア達をまっすぐににらみつける。

 

 や、やっちまった~。

 

 木場が暴走しないか気にしてたのに、俺が火種になってどうすんだよ。

 

 ゼノヴィアとイリナもちょっと本腰入れ始めてるし、これはまずい―

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――どいつもこいつも、馬鹿しかいないようね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―その瞬間、木場が創造した魔剣が砕け散った。

 

 気づけば、カズヒの両手にトンファーが握られてる。

 

 って、あれで木場の魔剣を全部ぶっ壊したのかよ。あいつ何もんだ!?

 

「……なるほど、祝福の聖剣(エクスカリバー・ブレッシング)の変わりによこすわけだ。頼りになるというほか―」

 

 ゼノヴィアがそう言いながら包みを開こうとしたその瞬間、その喉元にトンファーの先端が突き付けられた。

 

「何勘違いしてるの? 私はあなたも含めて馬鹿といってるのよ?」

 

 マジ切れとしか言いようがない目でゼノヴィアをにらみつけて、その上でカズヒは周りを見渡した。

 

「死にそうなのに助けないからクソだの、助けがないのは信仰が偽物だからだの、挙句の果てに優しさを理解できないクソだのと……。どいつもこいつも敵も味方も、聖書の教えと信仰というものをはき違えているようね」

 

 ぜ、全方位で殺気向けてきた!?

 

 あの、どっちの味方!? 俺達!? ゼノヴィア達!?

 

 なんかいきなりの展開に俺たちが混乱してると、カズヒは器用に頭をかきながら、俺達を見渡して声を張り上げる。

 

「祈りとは、世界に正義と善を示してくださった主に対する感謝! 信仰とは、正義と善を体現できるよう精進し、死後天の国に行く資格持てるよう己を戒める修行の人生! そして正義とは振り回して偉ぶるための権利でも、加護や恩恵をもらうための対価でもない!」

 

 そうはっきり言って、まずゼノヴィアに向き直る。

 

「その正義の体現者として、信仰の敵対者を倒すことで信仰を成す身でありながら、相手が筋を通しているのに筋を曲げるなんて笑止千万! こちらが出した要望に応えた相手に対して縁者を害するような真似、信徒として恥ずべき卑劣と知りなさい!」

 

「なっ!?」

 

 ゼノヴィアは愕然とするけど、カズヒは取り合わない。

 

 今度はアーシアに顔を向けると、大声を上げる。

 

「信仰が捨てられないとかふざけないで。信仰とは正義であり、正義とは常に強く持たなければすぐ汚れ、だからこそ強い意志で保たなければならないもの。そんな腑抜けた態度の時点で、貴方の信仰は汚れはてたただの塵屑でしかない。信仰なんて言葉を使わないで頂戴!」

 

「ひぃ!?」

 

 アーシアちゃんが涙目に!?

 

 俺が食って掛かろうとしたら、今度はカズヒが俺の胸ぐらをつかんできた。

 

「最後にそこ! 私はちょっと前に言ったわよね? 島国の常識を世界共通の常識と思わないでって」

 

 ……めっちゃくちゃ怒ってる!? さっきの俺ぐらいに怒ってる!?

 

「いい、やっすい小銭で「彼女ください」だの「名門校受からせて」だの「好きな人が夢中になってる間男ならぬ間女に悲劇あれ」だのとでかい見返りを要求する、この国の緩み切ったふざけた信仰と、一神教のそれを一緒にしないで。私たちは見返りを求めて信仰してるんじゃない、主のもたらした教えを実践することが信仰なの」

 

 ……何だろう、なんかマジで怖い。

 

 怒ってるから怖いっていうより、理解できなくて怖いっていうより、その信仰って言葉に対する強い意志が……怖い。

 

「信徒たちは人間として、まっすぐに生きて胸を張る存在として生き抜くことで信仰を果たすの。見返りというエサで飼いならされる、家畜の契約じみた物と一緒にしないで」

 

 なんだ?

 

 言ってることは納得できないけど、それでもまっすぐに言ってることだけはわかる。

 

 だけど、なんか違和感があるっていうか……。

 

「現世利益がないから信仰しないなんて言う、俗物根性の染みついた発言をもう一度信徒の前で言ってみなさい」

 

 さっきから、カズヒは信徒って言ってるだけで―

 

「―私が地獄に落ちる代わりに、あんたを魂ごとミンチにしてやるわ」

 

 ―自分のことを、なんか投げ捨ててないか?

 

 

 

 

 

 

「……お取込み中悪いですが、少しよろしいでしょうか?」

 

 その時、声が聞こえた。

 

「ソーナ? 悪いけど、今ちょっと立て込んでるのだけど?」

 

「そうでしょうね。ですが、どうもそれに関与する形で来客が来たものだから、案内したのよ」

 

 リアス部長にそう答えるのは、生徒会長支取蒼奈こと、上級悪魔のソーナ・シトリー先輩。

 

 リアス部長の幼馴染でもある会長の後ろには、なんかこっちを警戒しながら見てる何人かの男女がいた。

 

 特に先頭いるのは、赤いメッシュの入った髪をツインテールにした、おっぱいも出てる可愛い女の子。

 

「……「堕天使コカビエルが暴走し、聖剣エクスカリバーを強奪してこの町に侵入した件について」と言ってましたね? 話してもらえますか?」

 

 そう会長に促されたその女の子は―

 

「………ひ、みこ」

 

 ―そう、ぽつりと呟いた。

 

 火、巫女?

 

 え、なに? どういうこと?

 

 俺達はもちろん、ソーナ会長や後ろの人達も怪訝な表情を浮かべてたけど、一人だけ反応が違う人がいた。

 

「………うそ、でしょ?」

 

 カズヒが、さっきまでの剣幕が嘘のように目を見開いている。

 

 なんだろう、その目が、どこか泣いているようで―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの、ちょっといいすか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんだ?

 

 会長が連れてきた人の内、黒髪で俺ぐらいの男が、なんか急に手を上げた。

 

 っていうか、なんかカズヒのことを見てるんだけど―

 

「一目ぼれしました。メル友から始めていいっすかね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『『『『『『『『『はぁああああああああ!?』』』』』』』』』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 空気読んでぇええええええええ!!!

 




 と、いうわけで序盤から濃いキャラクターがたくさん出てきます。

 カズヒは「聖書の教えという正義に仕えている」及び、もう一つの思考の主軸があることから、タカ派よりの思考を持つ堅物系のキャラとなっております。
 同時に自分がそうであることを理解しているので、抑えるところは抑えますし、和平が結ばれるとして反旗を翻すことはありません。ただしツッコミに暴力を持ち込むことも割と躊躇しませんし「最悪、自分が捕縛されて死刑になって収めよう」と常に考える癖がある危険思想の持ち主でもあります。

 そして登場する堕天使勢。いきなり告白というぶっ飛び具合ですが、まあ今回は彼のが特にぶっ飛んだ一例になるので、普段はおとなしいですよ?
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