好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ   作:グレン×グレン

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 新年あけましておめでとうございます。感想と高評価が大好きな男、グレン×グレンです

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神威動乱編 第九話 再開の女教師

和地Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 幸香と別れたそのタイミングで、とんでもない連絡が入ってきた。

 

 それに慌てて俺達が兵藤邸に戻ってみると、実際にその通り過ぎてどうしたもんかと思ってしまう感じだった。

 

「ほっほっほ。遊びに来たぞい」

 

 そうおっしゃるのは、長い髭と片眼鏡を付けたお爺さん。

 

 聞いて驚くがいい。この方こそ北欧の主神であらせられる、アーズガルズのオーディン様だ。

 

「いやぁ、いいおっぱいが揃っておるのぅ。眼福じゃ」

 

 ……セクハラ爺にしか見えないのが、凄く残念だ。

 

 そんなオーディン様についてきているのは四人ほどいた。

 

 内二人は、俺も結構知っている人物だったりする。

 

「ゴメンね、お父様が。……いやホント、セクハラも大概にしてよね」

 

 苦笑いしながらオーディン様をたしなめるのは、その娘というトンデモ事実をつい最近知った、かつて俺が通っていた外国語塾の女講師でもある、リヴァ先生ことリヴァ・ヒルドールヴ。

 

「………」

 

「………」

 

 と、朱乃さんと沈黙し合っているのは、神の子を見張る者(グリゴリ)幹部のバラキエルさん。

 

 ちなみに朱乃さんの親父だそうだ。正直じみにビビった。

 

 とまあ、この時点で色々と緊張感があるんだけど……。

 

「まったく。オーディン様は自分が北欧の主神だということを自覚してください! 各勢力に対して面目が立ちませんよ!」

 

 と、説教モードに入っているのはスーツを着た女性に、隣で神父服を着こんだ男性がうんうんと頷いていた。

 

「全くです。我々部外者だけでなく、側近の方をあまり困らせるものではありませんよ?」

 

 割と全方位から非難されて、オーディン様も流石にダメージが入ったらしい。分かり易く憮然としている。

 

「……そんなだからお主らには伴侶がおらんのじゃ」

 

 三流の捨て台詞ですぜ、主神殿。

 

 俺が思った瞬間、スーツを着た銀髪の女性が崩れ落ちた。

 

「誰が行き遅れの独身女よぉおおおお! 私だって好きで処女じゃないってのにぃいいいいいっ!」

 

「落ち着いてください。そこまで誰も言ってません」

 

 神父服の人が慰めるけど、女性は全く聞いてなかった。

 

 めっちゃ落ち込んでえぐえぐ泣いてるけど、もうどういう状況だよ。

 

 カズヒ姉さんはちょっと違う感想なのか、男性の方に同情的な視線を送っていた。

 

「……確か、ゴルフ部隊のゲイル・レーだったわね。まさか主神の護衛になるなんて……出世というよりは厄ネタを押し付けられた感じかしら?」

 

「相変わらず切れ味の鋭い言い分だな。カズヒ・シチャースチエ」

 

 ………ちょっと待った。

 

「え、知り合い?」

 

「そうだったの。ということは、プルガトリオ機関なの、彼?」

 

 俺と部長に聞かれて、カズヒ姉さんはさらりと頷いた。

 

「プルガトリオ機関の護衛部隊であるゴルフ部隊のメンバーよ。以前要人だけど汚職の嫌疑がかかっていて色々と恨まれているやつの護衛兼内定の任務があって、その時バディを組んでいたの」

 

「あの時は実にややこしかった。嫌疑は半分がガセで半分が事実だったことで、庇う側と狙う側がそれぞれ別々の案件で動いていたからややこしいことこの上なかった」

 

 大変だな、プルガトリオ機関。

 

「改めて、プルガトリオ機関ゴルフ部隊所属のゲイル・レーだ。母親がヴァルキリーだった縁で、オーディン様の護衛として派遣されている」

 

 ほほう。そんな来歴なのか……。

 

 そんなある意味適当な理由で、こんなセクハラぶちかましてくる神様の護衛か。そっか……。

 

 俺達は一様に同情の視線を送ってしまった。

 

 そんな空気を、アザゼル先生の咳払いが吹き飛ばす。

 

「……でだ、予定より早く来るとかやめてくれねえか、爺さん。こっちだって段取りとか下準備とかがあるんだからよぉ」

 

「ほっほっほ。ちょっとこっちにも事情があってのぉ。そこはすまんかったわぃ」

 

 そう返すオーディン様は、なんか面白そうな表情を浮かべていた。

 

「なんでもそこかしこで禁手(バランス・ブレイカー)に至っている人間が出ておるそうでな。あれは珍しい現象のはずなんじゃがのぉ」

 

 ……っ

 

 ったく、これは本当に厄介な状態だな。

 

 禁手は神器使いの究極で、文字通り至っているといないのとでは同じ神器でも格が違う。

 

 木場の聖魔剣は特例に近いが、あれを思い出すのが一番だろう。普通の魔剣創造では七分の一状態のエクスカリバーに手も足も出なかったのに、禁手に至ったら何本も合一させたのを相手に一対一でも渡り合えたんだ。あのレベルだって禁手全てを探せば多少は見つかるだろう。

 

 そんな禁手に至る連中が頻発とか、どういうことだ?

 

「……今までの事例から考えても、偶然多発しているとは考えづらいですよね?」

 

 ルーシアがそう言うと、先生も頷いた。

 

「ああ、おそらくはリアス達が依然推測していた、英雄派の活動の真の狙いがそれってことだろうな」

 

 そういうと、先生はうんざりした表情でため息をついた。

 

「俺達みたいな立場じゃ絶対できない、乱暴だが手っ取り早い方法だ。とにかく神器使いを集めて洗脳してでも死地に送り込み、数多くの到達者を強引に作り出す」

 

「そしてそこからデータを取って、点と点をラインで繋ぐことで大まかな法則や傾向を知ることで、逆算する形で始点と終点のラインを結ぶことで―」

 

「―禁手への到達ルートを割り出すというわけねぇ。本当に乱暴で犠牲者も沢山いるけれどぉ、やれば必ず最後には辿り着ける方法ねぇ」

 

 カズヒ姉さんとリーネスも、げんなりした表情でそう言った。

 

 いや、本当に乱暴すぎる方法だろう。

 

 死者が多数出ても構わないとか、まともな連中なら絶対しないし、やれば絶対他の勢力から袋叩きだ。

 

 テロリストに身をやつした連中だからこそできる方法か。全くホントに厄介というか。

 

「世の中、悪党の方がリスクはでかいけど、悪党の方が制限は少ないってわけか」

 

 俺が盛大にため息をつくと、イッセーは歯を食いしばりながら拳を握り締めた。

 

「その為に何も知らない連中を洗脳して、俺達と殺し合わせるってか……っ」

 

「悪趣味を通り越して下劣ですのよ。一発かましてやりたいですわね」

 

 ヒマリも珍しく不快を隠そうともしてないけど、実際そう言いたくなるぐらいの悪辣なやり方だ。

 

「……十字軍然り宣教師から続く植民地化然りコンキスタドール然り、一方から英雄的活動に見える行動って、される側から見ると悪逆非道な真似って扱いになることはあるけどさぁ。これはちょっとやりすぎじゃない?」

 

「そして、そんな連中と手を組んでるのがうちのアーサー・ペンドラゴン。元々英雄派にいたって話も聞くし、いろんな意味でペンドラゴン家の名に泥塗りやがって……っ」

 

 ヒツギがそう皮肉気に言うと、アニルも歯を苦縛っている。

 

 どこもかしこも大迷惑だ、やってくれるじゃねえか。

 

 空気が微妙に沈む中、木場が疑問顔で手を上げる。

 

「……とは言いますが、そんな簡単に禁手に成れる方法が本当にあるんですか?」

 

 俺たちに注目されながら木場がそういうと、イッセーも同意見なのかハッとした表情だった。

 

「あ、俺も同感。こっちがあれだけ苦労して準備ができて、そして部長のおっぱいがあってこそなれたのが、そんな簡単になれるって……ありですか?」

 

イッセー(お前)はいろんな意味で参考にならねえよ」

 

 先生はとりあえずそこを断言した。

 

 気持ちはとてもよく分かるので、誰もそこについては何も言わない。

 

 いや、そりゃ最後の一押しが必要とか言う段階まで来てからな。宇宙の始まりを感じるような精神的なカンフル剤があれば、至れるだろう。そこは否定しない。

 

 だけどそれが人生初乳首押しって……。

 

 本当に残念なものを、俺は今見ている。

 

「なあ、俺怒っていいか? 怒っていいよな?」

 

「むしろ怒られるのはイッセーの方です」

 

 憮然とするイッセーにシャルロットがぴしゃりと言い切った。

 

 まあシャルロットはシャルロットで禁手に至っているからなぁ。そのきっかけともいえるカッコいいことをしたイッセーが、乳首で禁手とか嫌な気分にしかならないだろ。

 

 なんというか、すっごい複雑な表情だし。

 

 そんなシャルロットは咳ばらいをすると、アザゼル先生に向き直る。

 

「とはいえイッセーの言いたいことも分かります。如何に非人道的な手段を使ったとはいえ、これまで偉業とされてきた禁手の到達が誰にでもできるようにとは―」

 

「……じゃあ逆に聞くが、お前は生前に半日で地球の裏側に行けることになるなんて思ったことがあるか?」

 

 アザゼル先生がそう切り返すと、シャルロットは押し黙った。

 

 それを見て、先生は深くため息をついた。

 

「技術の発展ってのはそういうもんだ。特にここ最近の人間の発展は、俺ら長く生きてる連中からすれば音速突破とか十段飛ばしとかそんな感じだ。そんな人間の傑物を中心とする英雄派が、文字通り手段を択ばずやった結果それが見つかったとしても、俺は納得だな」

 

 ……まあ確かに。

 

 文明の発展って、進めば進むほど加速するところあるよなぁ。

 

 研究の為の技術も発展しているからとか、そんなことなんだろうけど。

 

 俺達がふと沈黙していると、今度はルーシアが一歩前に出る。

 

「その英雄派ですが、仮にも英雄の名を名乗って起きながら悪質な手段ばかり使っていませんか? かつての英雄にあやかっているにして悪質すぎて、裏に何かあるような気がするのですが」

 

 あ~。それはそうかも。

 

 確かにやってることが誘拐洗脳使い捨て実験台のオンパレードだからな。

 

 もっとこぅ、何て言うか……ねぇ?

 

 そんな感じで俺達が視線を交わし合うけど、アザゼル先生やオーディン様、バラキエルさんは平然としていた。

 

「ほっほっほ。ワシらがヤンチャしとった時期の英雄なら、これ以上にヤバいことも色々しておるぞ?」

 

「全くだ。英雄がもたらした偉業なんて、敵対者からすれば殺戮や略奪も同じ。よく言うだろ、歴史は勝者が作るって。大抵の英雄伝記何て美化されてんだよ」

 

 オーディン様とアザゼル先生がそういうこと言うと、説得力が違いすぎる。

 

 文字通り現場で見たりしたこともあるだろうからな。反論しづらい。

 

「ヒツギもさっき言ってたろ? 教会ですら十字軍遠征やら宣教師関連は美化してるが、実態は異教徒の弾圧やら略奪、もしくは植民地政策の前座になったりしてるからな。勝者側に都合が悪いからあんまり指摘されないようになってるだけなんだよ」

 

 そう先生は言い切った後、その上でにやりと笑った。

 

「だが、こっちが何の改善もしないで繰り返してやる必要はねえ。向こうが古臭いやり方のままで行くってんなら、新しいからこそできるやり方でぎゃふんと言わせてやりな」

 

「先生、いいこと言うじゃないですか!」

 

 イッセーが表情を明るくすると、何となく周りの皆も明るくなった。

 

 こういうのって本当に才能だな。ちょっと羨ましい。

 

 俺が少し羨ましがっていると、ぽんと肩に手が置かれた。

 

 ふと見ると、リヴァ先生が苦笑してた。

 

「あんまりない物ねだりしてもだめだよ? まずある物でどうにかしようとしてからじゃないと、成長しないからね?」

 

「……うっす」

 

 ま、確かにその通りだな。

 

 人間、ない物を何とかしようと努力することも必要だけど、何よりまずはある物を使ってどうすればいいかだ。出ないと救える命も救えない。

 

 誰かの涙の意味を変える男が、ない物ねだりで何もできないなんて論外だ。その辺はしっかり考えとかないとな。

 

 そう気合を入れなおしていると、イッセーがふとこっちをジト目で見てきていた。

 

「そういえば、前から先生とか言ってたけど知り合いなのか?」

 

「ん、ああ」

 

 そういえば紹介してなかったな。

 

 いい機会だ。ちょっと紹介しておくか。

 

「紹介するよ。俺がザイアに拾われる前に通っていた外国語教室で講師をしていた、リヴァ・ヒルドールヴ先生だ。……子供にガチの法律知識の運用方法を教えてくる、微妙に変な先生だ」

 

「こらこら。法律ってのは知っておいた方がいい知識よ? 知っていればしなくて済む犯罪や、身を守れる方法なんていくらでもあるんだから」

 

 いやまあ、確かに法律知識はすごく助かりました。とっても助かりましたし、おかげで春っちとか助けられたこともあるけど。

 

 訂正を求めるのはそっちかい。

 

 俺がツッコミを入れようと思った時、イッセーが崩れ落ちた。

 

「お、女教師……! そんな属性を、お前はカバーするってのかよ!?」

 

「オイコラどういう意味だ」

 

 なんでいきなりそうなる。何がどうしてそうなる。

 

 思わず蹴り飛ばそうとかとも思ったけど、ぐっと堪える。

 

 張り倒すよ? 張り倒そう。いや張り倒せ!

 

 真剣に本気で怒ってるんだが、イッセーはむしろ泣きそうだった。

 

「クソッタレ! インガさんも実年齢は年上だし、お前年上で攻める気か! モテない俺に対してなんて奴だ、くたばれ!」

 

「くたばるのはお前だいろんな意味で」

 

 お前も年上二人も墜としているだろうが。年下も二人も確保してるだろうが。同年代も二人いるし、更に増える雰囲気を見せているだろうが。

 

 お前本当に後ろから刺されるぞ。

 

 モテている自覚がかけらもない男って、男の視点から見ても害悪だな。一つ余計な知識がついたぞ。

 

 俺達がため息をついていると、リヴァ先生が崩れ落ちているイッセーに屈み込んだ。

 

「いや、モテたいならまず、自分を見直さないと駄目だよ? 自分のしたい行動じゃなくて、モテる行動をまめにしないと」

 

「リヴァ先生。イッセーの場合その必要は無いから」

 

 既にこいつはモテてるんだ。自覚が何故か全くないだけで。

 




 しかしイッセーもすぐに女教師を獲得することになるのであった。

 あとこの章、予定段階ですが思わぬキャラクターがパワーアップすると思うので、こうご期待!

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