好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ 作:グレン×グレン
五分ぐらい空気が台無しになって、そこから落ち着くまで更に五分ぐらいかかったよ。
そして会長は仕事に戻っていったよ。あとで連絡役を寄越すって言ってたけど……誰だろ?
で、俺達はどうしたものかと思ったけど―
「ごめんなさいねぇ。この子、空気を読まない時は徹底的に読まないところがあるから」
そう苦笑する銀髪の女の子が、そう前置きしてから一礼した。
「初めまして。私は
「だ、堕天使!?」
俺は思わずうげってなったよ。
いや、今堕天使がこの町で何かしようとしてるって話をしてたんだけど!?
ああもう、リアス部長もゼノヴィア達も、なんかもうすぐにでも仕掛けそうな雰囲気だし。
そうしないのは空気がグダグダになったのと、リーネス達の数が結構いるから仕掛けにくいってところだった。
っていうか、何人かの耳の部分にあるヘッドセット。青く光ってる部分があるけど、あれって―
「……後ろにいる人達、何人かヒューマギアね?」
「ええ。彼らは私の部下だから、あまり危害を加えないでねぇ」
リアス部長にあっさりと返すけど、まさかヒューマギアを見れるとは思わなかった。
ヒューマギアは、何年か前に本社がぶっ壊れたザイアコーポレーションが発売した人型アンドロイドだ。
「ロボットではあるけど人格を持っている」ってことで、ある程度の権利を要求しているのが特徴で、その所為で企業城下町ならぬ企業国なサウザー諸島連合以外だとあまり見ない。ザイアコーポレーションがサウザー諸島連合と言ってもいいから、色々な国の政府とか会社とかは警戒してるって話をどっかのニュースで見た気がする。スパイとか盗聴器とかかな?
だから、生でヒューマギアを見たのは初めてだ。
ちょ、ちょっと興味があるなぁ。あと女性型は可愛かったり綺麗なのが多いし。
男はどうでもいいです。イケメンなのが逆にむかつくから!
「この子達のことは置いといて、まずは本題から行きましょう?」
「……そうね。今はそこが重要だわ」
と、リーネスに頷いて、カズヒがまっすぐその目を見る。
なんだろう、なんか様子がおかしいというか、困惑してるのか?
「別に悪魔や堕天使が全員まとめて醜悪な外道だけだなんていうつもりはない。はっきり言えば人の魂を腐らせず、悪行をしないのならば積極的に殺す気もない。けど堕天使側が既にエクスカリバーを強奪している以上、教会としては喧嘩を売られたも同然だし、勝手に領地に大義名分もなく侵入された悪魔側も警戒必須よ? それについて、まず釈明を求めるわね」
「誠に遺憾ながら、コカビエルの独断行動でご迷惑をおかけして申し訳ありません……としか言えないわねぇ」
……え、マジで勝手に動いたの?
俺達の視線を受け止めながら、リーネスは軽くため息をついた。
「正直に言うと、
というと、コカビエルは何をしたいんだ?
俺が首を傾げていると、部長とカズヒが苦虫をかみつぶした感じの顔になってる。
「……まさか、独断で戦争を再開させようと?」
「エクスカリバーを盗んで教会を挑発し、追撃部隊を巻き込んで魔王の妹達を殺す。確かに、そんなことになったら嫌でも睨み合いが本格的な激突になりかねないわね」
部長とカズヒがすっごくげんなりしてる。
っていうかそんなレベルでやばいのかよ、マジで!?
勘弁してくれよ。俺は平和に悪魔の仕事とレーティングゲームで上級悪魔に出世したいんだ。二年生になってから堕天使に殺されて、少し前に上級悪魔とガチバトルしたと思ったらこれだよ。トップクラスの堕天使が、伝説の聖剣片手に部長を殺しにやってきたって嘘だろおい。
内心泣きたくなってると、リーネスがこっちに顔を向けて軽く頭を下げる。
「ごめんなさいねぇ。正直に言うと、堕天使側も性根が腐っている手合いとかはできればクビにしたいけど、現状では戦力低下が確実だからできないって感じなのよ」
「あらあら。自分達の無能をあえてひけらかすとは、地力での打開もできないということかしら」
朱乃さん、一応謝ってるんだから落ち着いてください。
っていうか、色々あってむかつくのは分かるけど、それにしても朱乃さんがなんか刺々しいな。
もしかして、堕天使のことがかなり嫌いとか?
「そうなのよねぇ。四年ほど前にサタナエル様が、神器研究にのめりこみすぎて五大宗家のはぐれ者を巻き込んで大騒ぎを起こしてしまったから、その辺りもあって五大宗家とは敵意を向けられたり共闘したりと困った関係で動きづらいのよ」
「……っ」
ため息をつきながらリーネスがそう言うと、何故か朱乃さんが言葉を詰まらせた。
なんかよく分からないんで、俺は隣にいた小猫ちゃんにこっそり耳打ちする。
「……五大宗家って何?」
「……この国の異能者の集まりです。日本政府とも繋がりがある日本異能者の最大手で、歴代当主は天龍に次ぐ力を持つ霊獣の名を冠し、その力を借りることができますね」
なるほど。陰陽師とかそんな感じかな。
天使や悪魔がいるなら、日本の伝説の存在とかもいるってことか。カズヒが日本の信仰について色々言ってたし、教会は敵対したりとかしてるんだろうか?
「総督からは「この事態解決において本命を送るまでの繋ぎ」とは言われてるけど、可能な限り協力させてもらうわ。あと別件で「同様の事態を避ける為に、可能なら三大勢力で会談を行いたい」という要望も伝えられているわね」
「「会談……ね」」
部長とカズヒが、めっちゃくちゃ警戒の目でリーネスを見てる。
いやまあ、俺も堕天使にはいい思い出がないから気持ちは分かる。
「……発言が真実だという証拠は?」
ゼノヴィアがそういうと、リーネスは苦笑しながら一枚の紙を取り出した。
「私の一存で今回の事情を説明する封書を、バチカンや現魔王政権に送っているわぁ。だから、共闘が可能なら上層部から通達も来るはずよ?」
「……じゃあ、バチカンから連絡が来るまで返答は保留かしら? 共闘が支持されたのなら私は構わないけど」
イリナがそう言うけど、逆にリアス部長は慌ててる。
「そんな! 魔王様にはつい先日迷惑をかけたばかりなのに……っ!」
あ~。そういえば、部長のお兄様で今ルシファーをやってるサーゼクス様には、ライザーとのレーティングゲームで迷惑をかけたんだよなぁ。
レーティングゲームそのものには負けたけど、余興の名目で俺が部長の結婚を帳消しにするチャンスをくれたし。もしかして、あの後フェニックス家や部長の両親から何か言われてるかもしれないのか。
それなのに今度は堕天使のトップクラスとか、確かにあまり言いたくないよなぁ。
だけど、リーネスは苦笑しながら静かに首を振る。
「……リアスさんだったかしら。それは考え違いよぉ」
そういうと、リーネスは部長の手を取ってゆっくり微笑んだ。
「むしろコカビエルクラスの大物がことを起こしてから連絡しても対応できないわ。無事に事が終わったとしても、それこそ心臓に悪いもの。これだけの一上級悪魔にとって荷が重いことは、素直に連絡して助力をこうのが一番よ?」
「そ、そうかしら……?」
戸惑う部長に、こっちも戸惑いながらカズヒが頬をポリポリとかいた。
「まあ、こういう自分の能力を超えた事態って、素直に助けを求めるのが一番よね。無理に自分で何とかしようとしてもできないでしょうし、抱え込んでも周囲を巻き込んで……破滅するだけだわ」
な、なんかすっごい説得力があるな。
実感籠ってるって雰囲気だし、もしかして経験論なのか?
まあ、大変な経験とか多そうだしなぁ。なんていうか頑張りすぎるタイプっぽいし、自分で無理にやろうとして失敗したとかありそう。
「大丈夫っすか? あの……なんか愚痴があるなら少しぐらい聞きますぜ」
「……とりあえず、初対面の子に言うことじゃないから」
「あら、和地ってばぐいぐい行きますわね。まるでラブコメのドラマですわー!」
「……和地もヒマリもとりあえず抑えてくれないかしらぁ?」
なんかグダグダになってきたぞ?
っていうか、あの髪が黒い俺と同じぐらいの男って和地っていうのか。あと茶髪でポニーテールの可愛い子はヒマリちゃんかぁ。
というか、隙あらばぐいぐい行く感じだなオイ。一目惚れって奴か。
俺がなんか感心していると、今度は木場が手を上げる。
ついでに言うと、殺気が全然収まってない。
「いくつか聞きたいことがある」
「何かしらぁ?」
リーネスが促すと、木場は指を一つ立てた。
「まず一つ。そちらの戦力はどれぐらいかな? そもそも足を引っ張らないレベルでなければ、共闘する価値もないだろう?」
……エクスカリバーの所為でイライラしてるみたいだけど、ここまで喧嘩腰にならなくてもいいだろ。
俺はちょっと不安だけど、リーネスは笑顔を崩さなかった。
お、大人の余裕って感じだ。堕天使って悪魔と同じで永遠に近い寿命を持つっていうし、もしかして外見より年上か?
「私が中級堕天使クラスで、ヒューマギアのメンバーは戦闘用の調整が不完全だから後方支援。ただし―」
そういうと、リーネスはその大きな胸を張った。
おっぱいおっぱいおっぱいぱブフォ!?
「あら? いきなり肘打ちしてどうしたの?」
「おバカな先輩が煩悩にまみれていたので。お構いなく」
し、視線を向けたリーネスでも気づいてないのに……。流石です、小猫さま。
「……まあとりあえず、オフェンス担当の
星辰奏者とレイダーだって!?
戦車や攻撃ヘリを一対一でどうにかできることもある、滅茶苦茶強い奴じゃんか!
俺、倍加を溜めないとあっさり倒されそうな気がする。特に星辰奏者は強い奴だと歩兵一個中隊とも戦えるっていうし、レイナーレと一対一でやり合えるんじゃないか?
リアス部長やゼノヴィア達も、思ってた以上なのか目を見開いてる。
だけど、木場はゼノヴィア達に敵意を向けながらもう一本指を立てた。
「それともう一つ。ある意味堕天使の内輪揉めともいえるこの事件、まさかただで協力しろなんて言うわけないだろうね」
そう言いながら、木場は殺気すら出しながら、真っ直ぐリーネスを見据えた。
これ、もしかして俺達が取り押さえる必要があるレベルか?
「ただでさえ忌々しいエクスカリバーが、成功作と一緒にいるんだ。失敗作として殺された身としては、黙ってこのまま見過ごせるわけが―」
「―八つ当たりは大人げないわよ?」
リーネスがめっちゃくちゃ言っちゃいけないことを言ったぁああああ!?
ああもう! 木場の奴殺気を本気で出してるし!
「……すいませーん。会長から連絡役を頼まれまし……って木場!? イケメンが台無しだぞ!?」
しかも匙が入ってきていきなりビビってきた。
ソーナ会長の眷属悪魔(兵士四駒)だから、そういう指示が出たんだろうなぁ。ちょっとタイミングが悪くて同情するぜ。
そして木場は一切気にせず殺気を向けてるし。
そしてリーネスは全然気にしてない余裕の態度。お、大物なのか!?
「エクスカリバーはただの聖剣で、悪意を持って貴方に危害を加えたわけじゃない。まして成功作だからといって、それを理由に敵意を向けるなら八つ当たりよ」
そう前置きしたうえで、リーネスは指を一本立てた。
「だから、対価として出すべきものは一つね。聖剣計画に泥を塗った、その下手人の首……とかどうかしら?」
え?
な、なんで堕天使がそんなもの出せるんだ?
俺達が困惑していると、むしろカズヒ達が面食らってる。
「……まさか、バルパー・ガリレイがコカビエルについているというのか!?」
ば、ばる……ぱー?
ゼノヴィアの言った名前に心当たりがない俺達だったけど、リーネスはそれに頷いた。
「ええ。こちらも色々あって問題のある者も迎える必要があってね。その為不本意ながら能力を見込んで迎え入れたのだけれど……コカビエルについて行っちゃったみたいなのよ」
そうため息をつきながら、リーネスは頬に手をあていうけど何が何だか。
「……バルパー・ガリレイ? 誰?」
匙がついていけなく疑問符だらけだよ!
どう説明したらいいのかとも思ったけど、カズヒは頭をがりがりかきながら口を開いた。
「「皆殺しの大司教」バルパー・ガリレイ。聖剣計画の初期の責任者で、独断で被験者の大量殺戮を行い追放された男よ」
!?
ってことは、そいつが木場の仲間達の仇かよ!
「罪も犯していない幼子を、毒ガスで殺しまくった下衆野郎。教会の正義に泥を塗ったあの男が、今回の事件に関わってるとは納得できるし許せないわね……っ」
歯を食いしばって殺気を漏らすところが、怖い。
「……なるほど。確かに、そいつに比べたらそこの成功作なんて八つ当たりだ。いいじゃないか……」
木場は木場で怖い笑顔になってるし! だ、大丈夫なのか!?
「え、毒ガス? 子供を大量殺戮? あの、どういうことなんですか?」
匙が完全に置いてけぼりだし、誰か説明してあげてぇえええええ!
「……それなら僕からも情報を出そう。先日、エクスカリバーを持つはぐれ悪魔祓いにちょっかいをかけられたよ。名前はフリード・セルゼンというけど、聞き覚えは?」
「フリードだと!? 十四歳で悪魔祓いに正式に認められた神童だが、味方にすら手をかける狂気から追放された奴じゃないか」
「そんな! そんな男がエクスカリバーの使い手になるだなんて! 正気の沙汰じゃないわ!?」
木場もゼノヴィアもイリナも! 匙を置いていかないでぇええええ!?
「祐斗! なんでそんな大事なことを黙っていたのよ!」
「すいません部長。ですが、エクスカリバーは僕一人で打倒したかったんです」
部長! そして木場!
匙が、匙が完全に置いて行かれてるから!!!!
「……あの~。とりあえず、おたくの事情について俺達とそこの匙ってのに教えてくれない? 特に彼、ついていけてないっぽいけど」
おお! 九成とか言った奴、でかした!!
そして五分後、俺は同志を得ることになる。
匙、お前は、俺と同じ夢を持っていたんだな!!
と、いうわけでオリキャラたちの設定がようやく出ました。ただし異能とかある程度まとめて明かすべきなので、設定資料集はエクスカリバー編が終わった後になりますね。
オリ主である九成和地の名前を出すまでは、彼の視点で物語を勧めなかったのでイッセーを主軸にさせていただきました。いくつかのキャラの視点で物事が進むのがD×Dですが、メインで一人称視点を担当するのはあくまで和地です。今後もイッセーの視点になることもありますが、次からは和地の視点が中心になりますね。