好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ 作:グレン×グレン
イッセーSide
ヴァーリが来たと思ったら
俺はもうなんていうか、目まぐるしく変わる変化についていけてない。
でもこれ、本当にシャレにならないガチバトルが起きそうなんだけど。
とりあえず俺も籠手を出して構えながら、様子を窺ってみる。
「ノア? 外周にいる師団の指揮を任せていたはずだが」
「いつでも最低限の指揮がとれるようにはしてるさ。ただ、この女の話を聞くと仲介をした方がいい気がするんでな」
フロンズさんにそう答えながら、ノアさんは肩をすくめた。
そして幸香は幸香で不敵な笑みを浮かべながら、指を鳴らすと戦闘で使ったとかいう魔獣が、でかい樽を抱えて降りてきた。
「今回は戦をしに来たわけではないのでな。手土産にワインを樽で持ってきておいたぞ。外にあと五つほどおいておるので、好きに飲むがよい」
俺達未成年なんだけど。アザゼル先生ぐらいしか楽しめないって。
っていうかお土産持ってきてくれたのか、妙なところで律儀だなぁ。
俺がちょっと感心していると、それに気づいた幸香はヴァーリ達に半目を向ける。
なんていうか呆れてる感じだ。お前らそれでいいのかよって目で言ってる。
「敵対している者達と対話をするのなら、手土産ぐらい持ってこぬか。おぬしらは本当に他者の神経を苛立たせる天才じゃのぉ」
「……うっせぇよ! さっきからなんで俺っち達ばっかりぼろっかすなんだ!」
美猴が切れて怒鳴るけど、フロンズと幸香は顔を見合わせると苦笑してた。
なんか分かりあっちゃってる。すっごく分かりあっちゃってる。
「そちらも苦労しているようだね。敵といえど同情してしまうよ」
フロンズさんがそう言うと、幸香も肩をすくめた。
「一応敵なそちらはまだましじゃろう。なまじ味方故に殺しに行くのもあれでのぉ」
……ヴァーリへの愚痴で意気投合しやがった。
「はっきり言っておくが自業自得だろうて。自分達の行動を思い返して罵倒される要素を見つけられんのなら、病気じゃから医者にかかれ」
幸香がはっきり言うと、フロンズさんもうんうんと頷いていた。
「具体的に何がダメか、土産として箇条書きしても構わないが? まあまとめるなら「交渉と礼儀作法を馬鹿にしきっている」といったところだがね」
「あんたら恋人か何か!?」
黒歌がそう突っ込むけど、二人同時に冷めた目で返してきたよ。
なんていうか、すっごく馬が合ってないか? いや、ヴァーリに対する不満で会うのもあれだけど。
俺がちょっと引いていると、ノアさんが何時の間にか俺の隣に来て、ぽんと慰めるように肩に手を置いた。
「あんたも大変だねぇ。対をなす存在がこんな能力だけの阿呆で、自分の問題点を治す為に引きつけまで起こしてる身としちゃ一緒にされたくないんじゃねぇの?」
いや、そこまで思ってませんけど。
「……俺達と違って敵と仲良くできるようで何よりだ。……英雄派と俺達は相互不干渉のはずだが?」
ヴァーリがオーラを垂れ流しながら、そう幸香を問い詰める。
そういえば、さっきそんなこと言ってたっけ。
不干渉ってことになってるのに干渉してきたら、そりゃヴァーリ達も文句ぐらいは言いたくなるよな。こればっかりはヴァーリも正しい。
下手すると駒王町で禍の団同士の戦いが起きそうで怖いんだけど。
そして睨み付けられている幸香も、うんうんと頷いていた。
「英雄派単体ならそうなのだが、今の妾は禍の団全体の意向……オーフィスの許可も取った全体活動にのっとって動いておるのでな」
その答えに、ヴァーリチームは目を見開いていた。
っていうかオーフィスって、あの可愛い女の子の姿をしたドラゴンだよな?
確かサーゼクス様ですら、一人だと敵わないっていう実力者らしい。ちょっと信じられないけど、そんな奴がいるからこそ禍の団はでかいテロ組織になってるんだよな。
で、そんな禍の団全体がどういう―
「……禍の団は連合部隊で、此度のロキの造反行為に介入することを決定した」
―は?
ちょっと待て。この戦いに禍の団がまじに介入するってのか!?
ヴァーリを見ると、あっちもあっちで面食らっていた。
どうやら本気で知らなかったらしい。
そしてそんな様子を見ながら、幸香は軽くため息をついた。
「ちなみに最優先目標はロキ及びリアス・グレモリー眷属。英雄派としては彼女達にはもっと成長してもらいたいのじゃが、全体の意向として主導勢力だった旧魔王派に深手を負わせた要因は、そのままといかないというわけでのぉ」
そんなこと言いながら俺達に軽く笑顔を見せるけど、マジでやめてください!
くそったれ! シャルバとかクルゼレイとかカテレアとかをぶちのめしたのが理由か!?
……理由だよね! あいつらトップだったんだし! トップ倒したやつとか普通は恨むよね!?
俺たちが警戒していると、幸香はヴァーリに対して、笑顔ではなく鋭い目を向けた。
返答次第ではここで殺すといわんばかりに殺意までセットだ。
「……この状況下で貴様らがリアス・グレモリーと共闘することなど許されぬよ。仮にも禍の団という組織に自ら入ったのならば、最低限の足並みを揃えるがよい」
幸香とヴァーリの視線がぶつかり合い、そして一瞬だけど火花が散った。
「もし断れば?」
「ここで殺す」
短い言葉が交わされて、空気が冷たくなっていく。
あれ? なんか禍の団同士の戦いが起きかかってないか、これ?
俺が思わず息をのむと、だけど幸香はくくっと笑った。
「まあ、交渉は切って捨てられたわけじゃろ? ならさっさと帰るぞ、作戦に参加できるよう取り計らってやるから、癇癪はそこまでにするがよい」
そんな言葉に、ヴァーリもため息をつきながらうなづいた。
「まあ、断られた以上はそうするほかないか。……それでいいか?」
そう聞かれると、ヴァーリチームの連中は苦笑しながらうなづいた。
「ええ。こんな好機を切って捨てられるとは思いませんでしたが、無理強いはできませんね」
アーサーがそう言いながら眼鏡をくいっとすると、黒歌と美猴は体を伸ばしながらため息をついた。
「残念だぜぃ。この地下のプールを楽しみたかったのによぉ」
「久しぶりに白音と話せるかと思ったんだけど、まあしかたないにゃん」
……の、ノリが軽い。
「あなた達ねぇ! ここが敵地だっていう自覚がないの?」
部長も目元を引くつかせながらそう言うけど、フロンズさんが手を出してそれを制した。
お、意外な人が止めに―
「あきらめたまえ。どうも彼らには
―盛大にヴァーリチームを挑発したぁ!?
「……ここで殺してから帰ってもいいんだけどね?」
「見逃してやるのはこちらの方なのだが? 来るなら是非殺されに来てくれとしか言えぬよ」
ヴァーリの殺意まじりの言葉を切って捨てながら、フロンズさんは肩をすくめた。
「禍の団に対する寝返り工作はしているが、君達にする価値はないな。BC兵器と同じで、持った時点で唾棄されるような連中を寝返らせるメリットがない」
……キレッキレの罵倒だ。
あと禍の団の構成員を寝返らせようとしてたんだ。大王派もいろんなことしてるな。
思わず頬を引きつらせるヴァーリを無視して、フロンズさんは幸香に微笑みすら向ける。
「最も、貴殿は意外と礼節があるし、やり方次第で共生関係は気づけそうだ。早いうちに投降してくれるのなら、賠償金と保釈金を立て替えてやっても構わないが?」
しかもこんなところでやってきたし!
この人以外と豪胆だな!
「ふむ。
「まあ相応の手土産は要求するがね。それぐらいないと言い訳が立たないから、そこは頑張ってくれた前」
「これは手厳しい。まあ、その時は度肝を抜くような財宝でも持ち込むとするかのぅ」
……これ、俺達が聞いていいことなのか?
「その辺にしとけよフロンズ。ってか、連れてきた俺が言うことじゃねえがこのまま逃がすってのはいいのか?」
あ、ノアさんの言うとおりだ。
一応こいつらテロリストだし、このまま逃がすってのもまずいんじゃないか?
「いや、倒すのも立派な選択肢だが、そうなれば駒王町にも多少の被害は出る。それだけの価値があるとはいえ、相手が退く気なら話は別になるだろう」
フロンズさんがそう言うと、幸香も苦笑しながら一枚の紙を取り出した。
「ならば、迷惑料ぐらいは払っておこうではないか? ……今の英雄派が仕向けている連中に使われている、致死に至る蛇の仕組みを置いておこう」
え、何それ!?
「……それだけじゃ足りねえな。後でロキ対策の情報収集に白龍皇がいると助かる。情報はヴァーリにも伝えるから、帰るならその後にしてくれ」
先生もなにそれ!?
そんな声がポツリと聞こえた。
っていうかそれ、フロンズさん達は了承するのか? 悪魔政府全体の意向から考えても、色々面倒なことになりそうだけど……?
俺が不安になりながらフロンズさんを見ると、眉間に手を当てて少し考え込んでいた感じだった。
「……総督殿が対ロキ戦に必要だとおっしゃるのなら、上役もある程度は了承するでしょう。ですが保険として、
「……だそうだがいいか?」
即答で部長に振ったよこの人。
部長もなんていうか複雑そうだったけど、額に手を当てながらため息をついた。
「背に腹は代えられないわね。後でお兄様や上役の方々に謝って頂戴」
「分かった分かった。……で、それでいいな?」
先生が周りを見渡すと、フロンズさんもヴァーリも幸香も頷いた。
「では、他の連中は余計なことをせぬよう妾が外で見張っておこう。……ほれ、ヴァーリ以外は退出するのが筋であろう?」
幸香はそう言いながら目でヴァーリ以外を促すと、ヴァーリチームの連中は肩をすくめたりしながら外に行く。
「残念にゃん。じゃ、白音はまた会いましょう?」
「うっへ~。地下のプールで泳ぎたかったぜぃ」
「我慢しましょう。また次の機会を待てばいいのです」
……また来る気かよこいつら。
俺がちょっとげんなりしていると、歯を食いしばる音が聞こえてきた。
「……ふざけやがって……っ」
見れば、アニルがアーサーの後姿を睨み付けながら、歯を食いしばるどころか拳を握り締めている。
爪が皮膚を突き破ったのか、血が少しにじんでいる手を握り、アニルはとても悔しそうだった。
「一族のパーティで顔だって見てるはずだってのに。本当に野郎はペンドラゴン家のことなんて、どうでもいいってか……っ」
……アニル………。
九成Side
「ほっほっほ。ひと段落ついたので様子を見に来たが、どうやら色々あったようじゃのぉ」
「すいません。もうちょっと当事者意識をもってくれません?」
何時の間にか現れたオーディン様に、俺は半目を向けるほかなかった。
いや、護衛任務を言いつけられている以上は何かあること前提で動くべきだ。何よりテロリストが大規模活動しているなら、敵対勢力のトップである主神は何かしらで狙われて当然。だから恨む気はない。
ただ、せめてもうちょっと緊張感を持ってほしい。できればもうちょっとねぎらってほしい。
そんな感情を込めて軽く睨むと、ほっほっほといつもの調子で笑ってきやがった。
「まあ、正直ロキがあそこまでするとは思っておらんかったわ。奴が何かするとは思っておったから予定を早めたが、ここまでの規模であれだけのものを用意するとはのぉ」
どうやら、オーディン様にとってもロキの本気っぷりは想定外だったようだ。
「……一つ伺ってもよろしいでしょうか?」
と、そこでカズヒ姉さんが一歩前に出る。
なんだ?
「……あの神具アスガルドライバー。ロキが開発していたと言っていたようですが、本当ですか?」
そういえば、そんなことも言ってたな。
色々とド級の事態とかで、ちょっと考えてなかったな。
リヴァ先生とロキがそれぞれ持っている、完璧に材後は独自開発な変身装備。
ロキとの戦いを踏まえるのなら、当然警戒してしかるべきなんだけど、どうなんだろうか?
オーディン様は少しだけ沈黙したけど、隠すつもりもないらしい。
「あれはロキが研究用として開発したものじゃ。最も望んだ能力を得られないということで開発を中止したものじゃが、どうやら儂の行動を悟って伏札にしておいたようじゃのう」
「となると。おそらく
カズヒ姉さんはそう呟きながらため息をついた。
「鬼に金棒とまで言う気はないけれど、こちらのアドバンテージが埋められているのはきついわね。リーネス、あれの開発は進められる?」
「そうねぇ。ギリギリ……かしらぁ」
ん?
カズヒ姉さんはリーネスと一緒になんか切り札があるってのか?
「……あら? カズヒ達にはロキをどうにかする切り札がありますの?」
「……もしかして、禁手に至れる自信があるとか? それも対神の……?」
ヒマリやヒツギが首を傾げるけど、二人は苦笑で答えている。
と、そこで鶴羽が遠い目をしていた。
「確実に勝算があるとは言わないもの。タイミング的にぶっつけ本番になるし……下手したらカズヒ死ぬんじゃないの?」
なんて物騒なことを言うんだ鶴羽!
え、カズヒ姉さんは何をする気なんだ?
「流石に大丈夫よ。
カズヒ姉さんはそう返すけど、なんというか嫌な予感を覚えてきたぞ。
「まあ、最悪の場合は奥の手を切るだけね。勝算も数パーセントは上がるでしょう」
「……悪いわね、私はこういう時、お手伝い程度しか……」
カズヒ姉さんにすまなそうな表情を浮かべる鶴羽の肩に、リーネスがポンと手を置いた。
「十分すぎるわよぉ。何より、その気持ちが本心なのが一番よぉ」
……な、なんだ。
初めて会った時からカズヒ姉さんとリーネスがツーカーの関係になってしまっていた。
その関係に、今度は鶴羽まで組み込まれている。
これは追いつけない。というか隔絶している。
俺は思わず崩れ落ちた。
「……これが、ジェラシー……っ」
絶望すら感じるレベルでへこむぞ、これ。
「ま、まあ落ち着こうか」
「頑張るといいですのよー」
ヒツギとヒマリがなでてくれるけど、正直ダメージがでかい。
……と、とりあえず、他のことを考えよう。
そう、今考えるべきことは―
「そういえばリヴァ先生は―」
「あ~、その前に一ついいか?」
と、そのタイミングで先生がイッセー達を連れて戻ってきた。
「爺さん。今ほんとやばいんだから、ミョルニルのレプリカとかについては教えてくれよ。ミドガルズオルムが言ってくれなきゃどうなってたか」
そう言いながら先生は来るけど、オーディン様はほっほっほと笑って流した。
「ミドガルズオルムがそこまで話すとはのぉ。おっぱいドラゴンは中々愉快じゃのぉ」
オーディン様がそんなのんきなことを言った瞬間、イッセーの左腕から嘆きの感情がこれでもかと。
ドライグは思わぬ形でダメージが入ったらしい。
ヴァーリはヴァーリでなんか興味深そうというか、ちょっと戦慄的な表情になっている。
「……よもやここまで赤龍帝ドライグの精神が傷ついているとは。アルビオンもおっぱいドラゴンが始まって以来落ち込んでいたが、大丈夫か?」
『……うぅ、なんでこんなことになった? 間違いなくこれまでで最高の宿主に恵まれたと思ったら、赤いのがこのざまなどと……ぐすっ』
『俺が言いたいぞそんなことは……なんで、誇り高き二天龍の片割れたる俺が……えぐっ』
マジ泣きしてる………。
俺達が何とも言えない空気になっている中、イッセーはあえて何も言えない状態だった。仕方がない。
そんな中、オーディン様は髭を撫でつけていた。
「ふむ。かといって
何言ってるのかなこの人!?
ヴァーリもなんというかむっとしているし、流石にちょっと気持ちは分かるぞ。
「失礼な。俺は乳龍帝などではない」
「悪かった畜生!」
思わずイッセーが反論するけど、ヴァーリもオーディン様も聞いちゃいない。
「何を言うか、いい年の男なら女子に興味を持って当然。何かこぅ……あるじゃろう?」
そりゃ俺も男だから、それはそうだと思うけど……。
「まあそうね。思春期の男なら下半身は理性で制御しきれないのが普通だもの。同性愛者であってもよ?」
カズヒ姉さんも妙なところに理解がありすぎるな。
ヴァーリはヴァーリで真剣に考えこんでいる節があるんだが、無視していいと思うんだが。……というか帰らなくていいのか?
「そうだな。しいて言うなら臀部のラインは女性的魅力があると思うが」
「……ケツ龍皇か」
オーディンさま、語呂がよければいいってもんじゃない。
同情のあまり、俺はそっと視線を逸らした。
『『うえぇ~ん』』
マジな気する二天龍にはちょっと同情する。
「……流石に哀れすぎるから余計なことはしないが、私が言うことでもないがそろそろ帰ってはどうかね?」
フロンズさんもご迷惑おかけしますです、はい。
ごめんなアルビオン。ここでお前が精神的に追い詰められてくれないと、終盤のイッセーが弱体化するんだ。
まあそれはそれとして、この作品ではロキ編はこんな感じで乱戦となります。
ミザリ側の戦力を設定した都合上、間違いなく禍の団を動かす形で神々をまじに殺しに行くことになるでしょうから、その場合勝手に共闘を取り付けられると困るので、面白がって参加することになった幸香が迎えに行くことになりました。
後継私掠船団は後継私掠船団で、英雄派の主流派とは考え方が違うので、ガチにロキを殺しに行く気満々です。