好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ   作:グレン×グレン

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 そんな感じで第十九話となります。





 ようやくある人物の詳細設定を明かすことが可能となりました!


神威動乱編 第十九話 フェイカー クロード・デュ・リス

 

イッセーSide

 

 

 

 

 

 

 ヴァーリが帰ってから、俺達は作戦会議をすることになった。

 

「……とりあえず、話を戻しましょう」

 

 微妙な空気を切り替えるように、クロードさんがそう言った。

 

 なんていうか、その表情は暗い。

 

 そういえば、ロキのサーヴァントの顔を見てから、なんか調子がおかしくなってるような……?

 

「長官、いったいどうなされたんですか?」

 

「そうですな。あのサーヴァントの顔を見てから、どうも様子がおかしいですぞ?」

 

 カズヒも気になってたのか、あとクロード長官と一緒に来た神父服の人も不安げだ。

 

 その言葉にクロード長官は目を閉じると、意を決して顔を上げた。

 

「ロキ側の戦力ですが、サーヴァントについては私が心当たりを持っています」

 

 その言葉に、俺達は真剣みが少し増した。

 

「……嘗ての聖杯戦争で会ったサーヴァントではなさそうですね」

 

「確かに。相手も顔を覚えているようですし、おそらく生前からでしょうか?」

 

 お姉さんの部下とゲイルさんもそう言っているけど、本当に一体誰なんだろう。

 

 俺達が息をのんでいると、クロードさんは一呼吸を置いてから話し始めた。

 

「……まず前提条件から説明します。私は受肉したサーヴァントですが、ある特殊なエクストラクラスで召喚されたサーヴァントです」

 

 エクストラクラスっていう……と?

 

 俺が首を傾げていると、リーネスが一歩前に出る。

 

「知っている人もいるでしょうけど、知らない人もいるでしょうから説明するわねぇ」

 

 俺は知らないからありがたいです!

 

「聖杯戦争においてクラスというのは色々あるけれど、大抵の聖杯戦争では剣士(セイバー)弓兵(アーチャー)槍兵(ランサー)騎兵(ライダー)魔術師(キャスター)狂戦士(バーサーカー)暗殺者(アサシン)の基本七クラスから一つずつが選ばれて召喚される。エクストラクラスはその基本形とは異なる少数例よぉ」

 

「……具体的には聖杯戦争が極めて特殊か、世界にとっての危機に直結する場合に、聖杯から直接召喚される監視役、裁定者(ルーラー)のサーヴァントですね。聖杯戦争そのものの確認数も多くない為、現状では理論上存在するレベルです……が」

 

 リーネスの補足をしてから、クロードさんは俺達を見回した。

 

 な、なんだ……?

 

「……私はそんなエクストラクラス。偽物(フェイカー)のサーヴァント、クロード・デュ・リスと申します」

 

 ………ん?

 

「ごめんなさい。いろんな意味で聞いたことがないです!」

 

「……まあ、日本の方々では授業でもやらない部類ですから、仕方ないですね」

 

 シャルロットがそうフォローしてくれるけど、知ってるの?

 

「……クロード・デュ・リス。またの名をクロード・ザルモワーズ、もしくはジャンヌ・ド・ザルモワーズと申します」

 

「ジャンヌ・ダルクは聞いたことがありますよね? 彼女はその死後何人も出現したいわゆる偽ジャンヌの中でも特に有名な人物です」

 

 クロードさんとシャルロットがそう言うけど、ちょっと意味が分からないよ?

 

「いろんな意味で突っ込み入れていいですか!?」

 

「……まあ、言いたいことは分かるわ」

 

 カズヒが俺にそう言ってくれたのがちょっとほっとする。

 

 ぶった切られるんじゃないかって気になったからな。

 

「ジャンヌ・ダルクの偽物がなんで教会の暗部にとか、そもそも何人も偽物が出てくるのかとか、なんで偽物が英霊にとかでしょう? 一つずつ説明してあげるわ」

 

 そ、そうです。全部言ってくれてありがとう!

 

 で、なんで?

 

「まず一つ。ジャンヌ・ダルクは今でこそ聖女と認定されているけど、それは彼女の死後何年も経った後。生きて活躍していた時期はともかく、処刑されてからある程度の間は魔女として扱われていたわ」

 

 そうなんだ。

 

「これは彼女の活躍が百年戦争―キリスト教国家であるイギリスとフランスの戦争―で活躍したからね。更にフランス王国側が彼女を切り捨てたこともあり、復権活動の末に撤回されるまでは彼女は魔女として扱われていた。今有名なのもナポレオンのプロパガンダ活動とかいろんな要素が絡んでいるからよ?」

 

 そうなのか。ありがとうなカズヒ。

 

 でも、それって答えになってない気が―

 

「それでね、それでも当時のフランスにとって大きな栄光を与えたのがジャンヌ・ダルク。それにあやかる形で「すわ神の子みたいに復活か!?」といった形で」

 

 あ、そうなのかイリナ。

 

「……ちなみにジャンヌ・ド・ザルモワーズはその中でも筆頭格でね。かのジャンヌ・ダルクの実の兄からも認められ、崇拝する者達と謁見したとも言われているのさ」

 

 まじなのゼノヴィア。

 

 俺がそんな偽ジャンヌなクロードさんを見ると、クロードさんは苦笑していた。

 

「まあ、相応に裏はあります。というより……」

 

 いうより?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そもそも偽ジャンヌの半分以上は、天界の全面的サポートのもと、教会暗部が総力を挙げて行った作戦活動ですから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『『『『『『『『『『えぇええええええええ!?』』』』』』』』』』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 五分ぐらい騒ぎになったけど、落ち着いたから俺はちょっと手を挙げる。

 

「どういうことでしょうか!? 説明お願いします!」

 

「はい。正直に全部告白すると、そもそも偽ジャンヌを大量に用意してから、我々教会暗部はジャンヌ捕縛に乗り出しました」

 

 俺の質問に頷きながら、なんていうか凄いことを言ってきたよ。

 

 クロードさんの言うことって、もしかして聖書の神の死ほどじゃないけど、三大勢力にとって機密事項なんじゃないか?

 

 俺達がそれを知っていいのか……って、聖書の神様の死ほどじゃないなら、ありなのかな?

 

「そして偽ジャンヌの筆頭格として選ばれたのが、私です。理由は私が元々暗部所属であり、万が一の口封じを許容できることが一つ。また当時の聖槍保有者であったことから、教会内部はもとより外部勢力に対しても、偽証の罪で死をもたらす言い訳にしやすいことが一つ。あと当時の整形技術では天使の奇跡を用いても現代のそれに劣る為、骨格・髪質・声色が近いだけでなく、顔が酷似していた私を偽ジャンヌ筆頭格にするのが最適解だったからです」

 

 整形してたのかクロードさん。

 

 全然そんな風に見えないけど、すっげえな天の奇跡。

 

 でもなんでそんなことを?

 

「……そしてここからが本題です。……そもそもこれだけの大規模作戦、それも仮にも天界と教会が大規模な欺瞞工作をすることを選んだのには訳があります」

 

 ……どんな理由があるんだろう。

 

 特にイリナ達が息をのんでいる。

 

 まあ、教会や天界の側なら、俺達よりもっと気になるよな。

 

「ことの発端は、百年戦争で埒外の事態が起きないよう動いていた、私が所属していた暗部部隊の隊長がある事実を突き止めたことです」

 

 クロードさんは目を伏せながら、そう続ける。

 

「隊長の名はピエール・コーション。聖十字架神滅具である紫炎祭主の磔台(インシネレート・アンセム)と出会い、近接戦限定なら現代でも歴代聖十字架の担い手で随一と称される傑物であり、槍の形で具現化していたことから、聖槍の持ち主であった私の師でもありました」

 

「「「「「「「「「え!?」」」」」」」」」

 

 教会関係者が軒並み声を上げているけど、そんなレベルなのか?

 

 クロードさんは寂しげだけど、笑みでそれを受け止めてる。

 

「驚くのも無理はないでしょう。当時の暗部に詳しくない方で知っているのはごく一部ですから。……実際、ダーティジョブを行う都合上、切り捨てられる時が来てもいいようにわざと表向きには問題のある人物といて振舞ってましたから」

 

 その言葉に、俺達は一斉にカズヒの方を振り返った。

 

 その反応に、カズヒはなんというか困惑してる。めっちゃくちゃその反応が理解できない感じだった。

 

 いや、でもさぁ。

 

「カズヒ姉さんと気が合いそうだな、その人」

 

「そうそう」

 

「いえ、むしろスタンスが真逆な気がするけど?」

 

 俺が九成に頷くと、カズヒは思いっきり困惑していた。

 

 いやでも、なぁ?

 

 絶対会ったら気が合うって。たぶん、オカルト研究部の皆がそう思っている。

 

 方向性は違うけど、暗部所属って意識が強いところがあるっていうかなんていうか。たぶん意気投合するし、違うにしてもお互いに認め合えると思う。

 

 言った方がいいかなぁと思ったけど、そこでフロンズさんが咳払いをした。

 

 ちなみにノアさんは戦術担当だからってことで、本格的な禍の団やロキと戦う為の戦術を練っている真っ最中だ。

 

「とりあえず話を進めていただきたい。……貴殿がジャンヌ・ダルクの偽物として知名度がある為フェイカーのサーヴァントとなったことは分かった。そして貴殿が暗部出身であったこともだ。……そこからが本題なのだろう?」

 

 フロンズさんにクロードさんは頷いた。

 

「はい。そして師匠であるピエールが気づいたのは、ジャンヌ・ダルクが神滅具(ロンギヌス)保有者であることと、それが幽世の聖杯(セフィロト・グラール)であるということです」

 

「なるほどな。そういうことか」

 

 アザゼル先生がそう言うけど、俺はさっぱり分かりません。

 

「先生! 具体的にどういうことなんでしょうか!?」

 

「ああ、幽世の聖杯ってのは神滅具の一つで、使いこなせば死者蘇生すら可能とする、魂と生命を司る神器。だが使い続けると精神が汚染される」

 

 聖遺物なのに物騒だな!

 

 俺がちょっと引いてると、アザゼル先生は痛まし気に目を伏せた。

 

「ある程度汚染すると聞こえてはいけない声が聞こえてくる。ジャンヌ・ダルクの逸話には聖書の神の声を聴いたという伝承がある……が」

 

 そう言って先生がクロードさんに視線を向けると、クロードさんは静かに頷いた。

 

「はい。師匠が察した段階で既に汚染は深刻な域に到達。更に幽世の聖杯の影響で、彼女のシンパは多大な強化を受けていました。加え彼女達はフランス王家の制御が聞かないほど暴走し、騎士や貴族階級もその手法から敵意を抱く者が多くなっていました。当然イギリス王家も警戒し、当時のペンドラゴン家と接触を図ろうとしていたとか」

 

 え、え、どういうこと?

 

「……アニルは知ってたか?」

 

「流石に内密な話までは分家にゃぁ。で、裏事情も微妙に分かってないんですが、和地先輩は分かってるんすか?」

 

 後ろで九成とアニルが話し合ってるけど、どういうことだ?

 

 俺が首を傾げてると、先生は息を吐いてから話し始める。

 

「……ジャンヌ・ダルクの快挙の多くは、夜襲の積極的多用など当時の戦争では忌避されていた手段の強行も大きな一因だ。それは確かに成果が出るからある程度は黙らせられるが、同時にそれで押さえつけられる形で不平不満も大きかった。まして英国も仏国も折り合いをつけようって時に強引な手段を選ぼうとすれば―」

 

「―既にジャンヌ・ダルクはどちらの国にとっても迷惑な存在になっていました。しかし声を主のものと混同する彼女は、フランスを制してイギリスの征服すら主眼に入れ始めており、このままでは多勢力の介入すらあり得るほどの危機。当時の教会も天界も、世界の秩序から見ても多くの民の人生から見ても見過ごせません」

 

 引き継いだクロードさんはそう言うと、痛まし気に目を伏せる。

 

「……それを食い止める為、両国と示し合わせて師匠はジャンヌ・ダルクを私と共に捕縛しました。聖遺物の神滅具といえど同格が二つもあればなんとかなりましたし、万が一の復活再生で更なる加速が起きないよう、聖十字架の紫炎で焼き尽くしつつ、私も聖槍でそれを支援しました」

 

 ……れ、歴史の裏に隠された驚愕の真実だな。

 

 聖書の神様の死もそうなだけど、俺達って上級悪魔でも若いと教えられないようなトンデモ事実を教えられすぎじゃないか?

 

 っていうか、サーヴァントについての話からこうなるってことは―

 

「……そのサーヴァントが、ジャンヌ・ダルクだってことね」

 

 ―南空さんがそう言うと、クロードさんは頷いた。

 

 それを聞いて、何故か南空さんは目を伏せた。

 

「そう、別に私は信徒じゃないけど、それでも思うところがある話よね」

 

「ええ。偽ジャンヌ騒動の半分以上は、聖杯に振り回された彼女に対するせめてものわびと言ってもいいものです。その後の復権運動の流れも含めて、彼女の親族とも連携をとって行動しました。……師匠も自ら動き、あえて問題のある方法で火刑に処すといった手法をとったほどです」

 

「……高潔な人ね。まるでカズヒみたい」

 

 南空さんはどこか辛そうだけど、なんか思い入れがある感じだな。

 

 ジャンヌ・ダルクの伝記とかを楽しんでいるとかそんな感じか?

 

 だけどまあ、これで答えは出てきたようなものだ。

 

 クロード長官を強く敵視する、彼女とそっくりな顔をした女性。

 

 それはつまり―

 

「―紫の炎を纏っているということは、おそらくクラスは復讐者(アヴェンジャー)でしょう。彼女はまず間違いなくジャンヌ・ダルク。私が聖槍で補佐をしたうえで、師匠が紫炎で焼き尽くした……被害者です」

 

 ―敵は正真正銘のジャンヌ・ダルク。

 

 これは、もしかしてめちゃくちゃ大変なんじゃないか?

 




 FGOでフェイカーは多分出ないだろうなぁと、プリテンダーが出てきた時点で察していたグレン×グレンです。ヘファ子プリテンダーは予想通りといえます。

 ただこの作品は神様転生による上乗せなので、思い切って出しました。フェイカーのサーヴァントであるクロード・デュ・リス。サーヴァント的にはジャンヌ・ダルク扱いです。








 ちなみにグレン×グレン作品の共有設定として、ジャンヌ・ダルクは幽世の聖杯を持っていることから聞いてはいけない類の声を主の掲示と勘違いしているという設定。ジャンヌ・ダルクに火刑を宣告したピエール・コーションは教会の暗部出身で、聖杯で復活されないように所持していた紫炎祭主の磔台を使って死なせるために火刑にした……といった感じ。
 そこから派生する形で聖槍保有者の弟子が、ジャンヌの名誉を残すための一環として偽ジャンヌの一人になった……という感じにしました。

 なんでこんな設定になったのかはハイスクール/Apocryphaを見てくださいとマーケティングしておきます。

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