好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ 作:グレン×グレン
和地Side
「で、何してたんですか?」
場所を変えて俺が聞くと、リヴァ先生は一枚の地図を示した。
「大王派が提供してくれた、対ロキ専用の決戦場にできる島の仕込みをしてたの。本当なら採石場後を神の子を見張る者が手配してくれる予定だったけれど、こっちは地図にも載ってないから消滅しても後始末が楽だからね」
なるほど。そんなことをしていたのか。
「で、そこの準備をしてたってわけか。……大丈夫なのか?」
ちょっとその辺が心配なんで、俺は真剣に踏み込んだ。
ロキが提供した神具アスガルドライバー。その使用者になんでリヴァ先生が選ばれたのかはよく分からないけど、そのドライバーそのものも仕込みは入れられていたことだろう。
そういう意味でも、リヴァ先生が色々と思うところがありそうで懸念があった。
リヴァ先生もそこは既に気づいてるらしい。苦笑して、方もすくめた。
「アスガルドライバーは神の子を見張る者で検査中。バックドアや何かしらのウイルス的なものが入ってるかもしれないからね」
「……身体検査とかは? 変な呪いとかが仕込まれてる可能性とかあるし」
そっちも気になるし不安だから聞くと、リヴァ先生はちょっと自信ありげな笑みを浮かべた。
「そっちは大丈夫。もう受けてるし問題なしだからね」
それは安心。
まあ、アザゼル先生ならその辺は抜け目ないか。変な仕込みとかがないように可能な限りの検査は受けさせるだろう。北欧の主神の子供ということなら、どさくさに紛れて変なことをしたりすることもないはずだ。はずだろう。はずだと思いたい。
……いや、しかしまぁ、なんだろうな。
「再会した恩ある人と、こんな大事に巻き込まれるとか……運命ってのがあるのなら俺にどんな恨みがあるんだよ」
再会するなら再会するで、もうちょっとなんかないのかよ。
とりあえず心配事が消えてくれたこともあってか、なんかそんな気分になってしまった。
いや、本当に運命に文句を言いたい。ディオドラの糞の所為で大事になったインガ姉ちゃんの件や、現在進行形で悩みの種ともいえるヴィールの眷属になってる春っちの件もそうだ。カズヒ姉さんに対する思いもそうだけど、俺って縁ある女の人関連でめちゃくちゃ苦労してないか?
……運命を司る存在が俺に介入してるなら、本気でぶん殴りたい。もしそうでないなら、俺のこの天運に絶望しそうだ。
「あはは……。まあ、運命を司る神様もいるけれど、そうでなくても天運ってあるからねぇ」
ちょっと苦笑いしないでくれよ、リヴァ先生。
「まあ、先生も割と運命に愛されてるというか目をつけられてはいるよなぁ」
「まあ、それはそうかな」
即答したよ。
俺がちょっと面食らっていると、リヴァ先生は少し遠くを見つめていた。
「ちょうどいいかな。……うん、聞いて欲しいことがあったんだ」
な、なんだ?
「……というと?」
「私の身の上話。あまり人に広めたいわけじゃないけどさ、君には聞いていてほしかったから……ね」
俺は少しだけ深呼吸すると、意識を切り開ける。
これはアレだ。真面目に向き合うべき問題の類だろう。
よく分からないが、よく分からないからこそ真剣に聞くべきだ。
俺のその切り替えを感じ取ったのか、リヴァ先生は表情を柔らかくした。
「と言っても、まあロキ様のこととはあまり関係ないんだよね。……私が君に会った時、私は半世紀以上続けてた家出の真っ最中だったんだ」
……また、スケールの大きな家出だな。
だけどまあ、そこは茶化さない。
静かに無言で、頷きで促した。
それに頷いて、リヴァ先生は話を続け出す。
「薄々気づいてると思うけどさ、お爺様って女癖が悪いところがあって、私は第一次世界大戦前に、北欧人女性との間にできた子供。でもそんな時期だったから、お爺様と母さんがそういう関係になってから妊娠が発覚する前に離れ離れになっててさ? 私も母さんもそんな事情は知らなかった」
第二次世界大戦……か。
「授業で学んだことぐらいだけど、やっぱり……悲惨だったのか」
下手に分かるとは言わない方がいいと思い、俺はそんな風に聞くしかなかった。
先生もそこは分かってくれているのか、深く反応せず、少し下に視線を向けただけだった。
「私って物心ついた時からドイツ育ちだから結構大変だったよ。半分神様だから若いままで、お母さんは色々あって早死にしたけど、それを差し引いても私は若いままだったし。第二次世界大戦後辺りに拾われたんだけど……それがよくなかったのかなぁ」
そう言うと、リヴァ先生は苦笑した。
「お爺様達は良くしてくれた。少なくとも泥棒猫の娘扱いはされてないし、ヴィーザル兄さん達も気が良い人が多いし。……ただ、私はその頃やっぱり未熟だったんだ」
あ~……。
人間やっぱり、若い時は未熟だよな。そして俺はリヴァ先生より若いから、ここは突っつけない。
「流れ着いた上に親を失ったくせして、なんだかんだで要領がよかったのか、
「……いろんな意味で難儀で大変な話だけど、それを俺に話した理由がよく分からないな」
本当に分からないな。
俺に話す理由があったのか? 昔あったことがあるから愚痴を言っただけだったりするのか?
それならまあ、別にいいというかなんというか。でもそういうことだけじゃないと思う。
だから視線で促していると、リヴァ先生は目を伏せた。
「……覚えてないよね。いや、覚えてる方が凄いってのは分かるけどね」
その言葉に、俺は少し思い出してみる。
何かしら、この流れの話に関与できそうな会話をした経験がないかを思い返す。
なんだかんだで記憶力はある方だし、実は人間は思い出せないだけで強大な記憶力を持っているともいう。なら思い出せるのかも。
思い出せ思い出せ思い出せ………うん。
「割と刺激的な会話をよくしてたから、別の意味で思い出せない」
「酷いなぁ」
いやだって、普通外国人に日本の法律を教えてもらうとかないだろ。
いろんな意味でインパクトが強いから、逆に心当たりを探すのもあれなんだよ。
本当に役立ったことも多いけど、今思い返しても小学生以下の子供に教える内容じゃない。外国語の講座をしっかりしたうえでアレだからなぁ。
なんでちょっと空気がグダったけど、リヴァ先生は記憶を眺めるような表情を浮かべて、俺を見た。
「ちょっと前の話したと思うけど、覚えてる? カズ君の何気ない一言があったって辺り」
……ああ。
俺を巻き込んでインガ姉ちゃんや鶴羽と女子会した流れだったな。
インガ姉ちゃんはもちろんのこと、鶴羽に恋愛感情を向けられるのは嬉しい。リヴァ先生だって綺麗だし恩師だしで、嫌なわけがない。
ただまあ、鶴羽が撃墜されてそのままになってたな。
「アースガルズに戻る気になったって話だよな? あれ、どういうことなんだ?」
小学生になってもいないような子供の言葉で、そんな半世紀以上に亘る家出を止める気になったって、そうそうないことだと思うんだけど。
それが理由で俺を男として見ることになったのなら、まあ知る権利ぐらいはあると思う。
まして相応に命がけになる以上、俺やリヴァ先生が死ぬ可能性は十分あるんだ。その辺りも尚更になるだろうしな。
リヴァ先生もそれは分かってるのか、苦笑しながらも俺を見つめてくれる。
「覚えてるかな。小さい頃たまたま見たドラマの話で、親子喧嘩について話題になったの」
「……ああ、そういえばそんなこともあったなぁ」
確かにあった。たまたま両親がドラマを見ている時に、やけに記憶に残ってたから、つい出てきたんだ。
俺はまあ、そこまでの親子喧嘩や喧嘩の果てに家出までしたことが結局なかったし、子供の頃だったからそういったことを察したりするのもまだまだできてなかったしな。
今にして思えば、知らぬとはいえそれをリヴァ先生に聞くとか中々にえげつないな。
「……なんかごめん」
「ふふっ。いいっていいって」
そんな風に笑ってすましてくれるのはちょっとありがたい。
と言っても、なんでその時の会話がリヴァ先生の家で終了に繋がったのかが分からない……あ。
そうだ、思い出した。
リヴァ先生は今にして思えば当然だが、常時苦笑い気味で色々と教えてくれたりしたものだ。むしろ俺の方が少数派で、子供は未熟で親も親として未熟だから、そういうことが意外とあるのだと教えてくれた。
そういったことを聞いて、俺は最後にこんな感じでまとめたんだ。
「……つまり子供って、未熟で怒られるのも権利なんだな。そう言ったっけな」
俺は一字一句間違わずに、かつて言った言葉をなぞった。
それを聞いて、リヴァ先生は満足そうな表情だった。
「思えばあの言葉で、漸く私は自分だって未熟だったって、納得できたんだよなぁ」
上を見上げながらそう感慨深げに言うと、リヴァ先生は更に続ける。
「その後、気合を入れて何とかアースガルズに戻ってから、いろんなところに頭を下げてから、漸く私は自分の人生を始められた気がするんだ。……そしてもちろん、自分が半世紀以上もいろんなところを放浪していたことだって、空回りだったけど無意味になったわけじゃないとも思えた」
そう懐かしみながら告げ、リヴァ先生は俺の方をはにかみながら振り返った。
「それに気づかせてくれた君が、もし再会した時そんな君のままだったら」
そっと俺の方に手を触れて、ほんのり頬を染めながら、リヴァ先生は俺に顔を近づける。
え、これはアレか、キスですか!?
ど、どどどどうする!? カズヒ姉さんの前提条件とインガ姉ちゃんを引っ張り上げた手前、俺の方から引きはがすのはあれだよな!?
俺がめちゃくちゃどぎまぎしてると、リヴァ先生はかなり顔を近づけて―
「……その時は、君を私の
―そんな、八割告白と言っても良い事を言い切った。
俺が同返答したらいいか戸惑っていると、リヴァ先生は微笑みを苦笑に変えながら顔を話す。
か、からかわれた……わけじゃなさそうだ。
急展開の連発に戸惑ってしまい、俺はどうしたらいいのかちょっと分かってない。
「……まぁ、今は大好きな人もいるみたいだし、同時に背負う覚悟の女の子もいるみたいだからね。ちょっとそれは無理かなぁとは思ってるよ?」
そう茶化すように言ってから、リヴァ先生は立ち上がる。
話は終わりといった感じで少し歩いてから、リヴァ先生は顔だけこっちに振り替える。
「でもまぁ、だったら私が嫁入りするっていうのは……意外といける?」
……俺はどう受け取ったらいいんだ。
冗談なのか本気なのか判別がつかないけど、とりあえず言うことは決まっている。
「もしリヴァ先生が
ああ、そこに関しては断言してもいい。
リヴァ先生は目を丸くしていたけど、さっきの言葉が本気だろうと冗談だろうとこの返答は問題ない。
断るにしても受け入れるにしても、そこから生まれる揉め事にも向き合う覚悟で応えよう。
本気に対しては本気で応える。春っちを助ける力になり、文字通り俺や仲間の命を命がけで助けようとしてくれたリヴァ先生に、そんないい加減な態度はとらない。
だから、これだけは言っておこう。
「もしリヴァ先生が嘆きの涙を流す時、俺がいるなら呼んでくれ」
俺の決意は、貴女と出会う前からあって、そして今も変わっていない。
「その涙の意味を変えて見せる。少なくともその為に尽力する」
瞼の裏の笑顔に対して、恥じる真似だけは死んでもしない。
「一緒に笑えるようにする為に、俺は全力で向き合うさ」
だから、これは間違いなく本音だ。
できることなら、本音で返してほしいんだけど―
「うん。私の眼は曇ってなかった」
―そう、振り返りながらリヴァ先生は呟いた。
そして今度こそ歩き出しながら―
「その時は、期待してるよ、カズくん」
―その言葉を、俺は了承と受け取った。
リヴァが惚れた理由:一世紀近い自分の問題を何気ない一言で切り開いてくれた、そんな男のままだから。
何気ない一言が人を救うこともある。そんな話ではありますが、ここで終わらせるつもりもありません。
ラブい関係はしっかりフラグを構築してから。和地が有言を実行してこそ意味があると思いますので。