好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ 作:グレン×グレン
和地Side
その数日後、俺達は兵藤邸の地下で会議を行うことになった。
流石にヴァーリチームはもういないが、逆に大王派からフロンズ氏やノア氏の指揮かで動く部隊の小隊長などが来ている為、ちょっと手狭になっている。
まあそれはそれとして、だ。
俺達が作戦の概要を説明するアザゼル先生に注目すると、先生はめんどくさそうに頭を掻きながら一つの豪華なトンカチを見せた。お
「ミドガルズオルムの情報提供で、素直にオーディンの爺さんがこいつを貸し出してくれた。……おそらくこの戦いの切り札になるだろう、ミョルニルのレプリカだ」
「なんと……」
「レプリカであるとはいえ、ミョルニルを貸与するとは……」
「……壮絶な戦いになるということか」
大王派からの隊長格が面食らっているが、まあ気持ちは分かる。
……なにせ北欧が誇る戦神、雷神トールの得物だからな。
レプリカとはいえ性能は想像を絶するだろう。たぶんだけど、下手な神滅具の禁手並みには強力なはずだ。
「一つ伺いたいのですが、使用者は誰になるのでしょうか? 順当にいけば、オーディン様のご息女たるリヴァ殿に扱わせたいというのがアースガルズの本音と思いますが」
「いや、ここは素直に最強戦力かつ更なる威力向上が図れる奴に任せる。……つまりイッセーだな」
フロンズ氏の質問に先生は即答。
まあ、赤龍帝の籠手を禁手に至らせたうえ、その補佐に特化した亜種禁手の神滅具保有者をサーヴァントに持ってるわけだしな。そもそも神滅具の特性上、更なる強化を行えるともなれば文句のつけようがない。
俺達は素直に納得しているが、イッセーだけがちょっと戸惑っていた。
「え、お、俺が!? でも先生、このトンカチっぽいのはどう考えても戦闘向きの装備に見えないんだけど?」
うんまあ、確かに一見するとその通りなんだけどな?
「その心配はないわぁ。それがミョルニルのレプリカなら、大きくすることもできるでしょうからぁ」
リーネスが言う通りだろうな。
ミョルニルってどこかの如意棒みたく、小さい状態から大きくできるらしいし。
「大丈夫だよ、ほれ、手に持ってオーラを流し込んでみろ」
「は、はい……うおっと!?」
ほら、先生の指示通りにしたイッセーの手で、バトルハンマーでももっと小さいぐらいになったし。
……別の意味で戦闘向きじゃないけどな。まあ、異形の超常ステータスならあれでも十分使い道はあるけど。
とはいえかなり重くなってるようだな。伝承ではでかい状態でも羽のように軽いと言われていたけど、その辺はレプリカゆえの限界ってことか?
「禁手なら振るえるとは思いますけど、かなり重いですね」
「一応言うが、本番までは預かるからな? 下手に振るったら、お前が譲渡しなくても
そんな感じでイッセーに説明を終えると、続いて先生は地図を出して島を指さす。
「戦場はフロンズが大王派から用意してもらったこの無人島だ。本当ならこっちで用意できる石切り場にする予定だったが、こっちの方が何が起きても情報を人間界に秘匿しやすいし、それ以外にも有利な面がある。……その説明込みで、この戦いにおけるイッセー以外のキーパーソンを紹介する」
ふむふむ。
俺達が興味深そうにしていると、ぞろぞろと出てきたメンツにちょっと面食らった。
クロード長官が連れてきていた二人がいるのはいい。リヴァ先生がいるのはちょっと面食らった。
ただし、最後の一人に見覚えがあるけど、まさかこのタイミングでって感じだった。
「……あ、マルガレーテさんじゃないですか!」
「ま、マルガレーテ……えっと、その―」
イッセーとリアス部長が声を上げるけど、確かあの二人は面識があったな。
まあ驚くのも無理はないだろう。後で俺も話を聞いただけだけど、マルガレーテって人はなんとベルゼブブの末裔らしい。
そのあたりフランクよりなイッセーはともかく、リアス部長は仮にも元七十二柱の次期頭首だから、気にするのは当然か。
「……その、ベルゼバブ様とお呼びした方が―」
「―やめて」
部長がちょっとへりくだろうとした時、マルガレーテは強い口調で遮った。
「悪いけど、私はもうベルゼバブじゃないです。それに今の立場なら私があなたにへりくだるべきですから」
「……どういうこと? クロード長官は何か知っているのかしら?」
けげんな表情で部長がクロード長官に話を振ると、クロード長官は少し咳払いをしてから頭を下げた。
「……ドタバタしていて説明が遅れたことを謝罪します。マルガレーテは現在、和平もあってある引き抜きに応じて転生悪魔となっています」
………どういうことだ?
俺が首を傾げていると、また軽い咳払いが聞こえた。
見ると、ノア氏が苦笑交じりで肩をすくめていた。
「……今の彼女は俺の眷属だ。そして眷属になる条件として「魔王血族として扱わない」ってことなんで、俺達は有能な一下級悪魔としてのみ扱うからその辺はよろしくな」
いや、どういうことなんだよ。
イッセーSide
え、えぇえええええええ!?
いろんな意味でどういうことなんだ、それ!?
「いや、ベルゼブブの血を継いでるんでしょ!? そんな扱いでいいんですか!?」
俺は思わずマルガレーテさんにそう言うけど、なんていうか睨まれた。
すっごい不機嫌そうなんだけど、俺って何か悪いことを言った?
「やめてくれない? プルガトリオ機関を抜けた以上、私は魔王なんてものにならないの」
「ごめんなさい! でもさっぱり分からないから説明をしてほしいです!」
謝るけどそこは聞きたい。いやマジで。
そんな俺を見て、クロードさんはすまなそうにしていた。
「申し訳ありません。彼女は元々人間として生まれましたが、特殊な事情で魔王ベルゼブブの血を覚醒させていた少女だったんです。教会が保護した際、その来歴ゆえにプルガトリオ機関で保護することになりまして、和平を推し進める際に象徴になりえるということでミカエル様の護衛という形であの場に連れて行ったのですが―」
「―その際の各種交流で「魔王の血を引く悪魔」みたいに扱われることを嫌がってるとフロンズが見抜いて引き抜きをかけてな? 「人間から転生した転生悪魔」という扱いにすることを引き抜きの条件に提示してたんだよ。……で、旧魔王派が色々やってくれたことで
と、ノアさんが引き継いだけど……まじで?
「え~。めっちゃくちゃ貢がれそうだし、イケメンも囲い放題ですよね? 何が嫌なんですか?」
俺からするとかなり羨ましい。
だって四大魔王の末裔とか、いろんな人がほっとかないだろ?
顔もいいし能力もあるし、そこに魔王の血まであったら、イケメンの悪魔を集め放題じゃん。むしろ最初から上級悪魔になるぐらいでいいじゃん。
もったいないな~
俺は素直にそう思うけど、顔に出てたのかすっごい嫌そうな顔だった。
「
す、すっごい嫌そうだった。
なんだろうな。魔王と人間が混ざってるっていうのだと、俺が真っ先に思い浮かぶのはヴァーリだ。
めちゃくちゃ誇らしげにしてたよなぁ。旧魔王派の連中だって、魔王の血を引いてることををすっごい誇らしげに振舞ってた気がするし。
なのに、マルガレーテさんはとてもとても嫌そうだった。
お金もイケメンも権力も手に入りそうなのに、そんなに嫌か?
ちょっと信じられないものを見てしまった気分だけど、マルガレーテさんはうんざりそうにため息をついた。
「そもそも上級悪魔だって嫌だし。私は下級どまりでい続けて仕事をするから、その分ゆっくりできる時間をくださいね、マスター?」
「オーケオーケー。給料分の仕事をしてくれれば、非常時以外はそれ以上の無茶は命令しないから安心しな。俺達としても、他種族を上級以上にする気は基本無いんでな」
ノアさんにそう言われると、マルガレーテさんはどこかほっとした感じだった。
な、何が何やら。
俺達が困惑してると、アザゼル先生がゴホンと咳払いをした。
「話を戻すぞ。とりあえず注目されたマルガレーテだが、こいつはロキに対する戦闘補助と、ヴァーリがこっち側に意識を向けさせない為の担当だ」
というと?
「どういうことだ? ヴァーリ・ルシファーの本命はロキとフェンリルでは?」
「だが仕掛ける時はこっちも巻き込む気だからな。乱戦にならないようにする為にも保険は必要だ」
ゼノヴィアにそう言うと、先生はため息をついた。
「ぶっちゃけこの戦い、
「できれば……ではありますがね」
フロンズさんも隠さず頷いたよ。
っていうか、マルガレーテさんはそれでいいのか?
「……そちらさんはそれでいいんですかい?」
「ええ。私もヴァーリ・ルシファーは嫌いだもの。はっきり言って殺しておかないと、またベルゼブブを名乗らなきゃいけなくなりそうだし」
アニルにそう答えながら、マルガレーテさんは目が座っている状態でそう言った。
うわぁ。めっちゃくちゃヴァーリのこと嫌ってるよ。
フロンズさんやノアさんも苦笑い気味だし、そこまで嫌いなのか。いや、まあテロリストだし当然だけど。
下手に突っついたらいけないよな―
「質問! そんなに嫌いな理由は何ですの?」
―ヒマリがぶっこんだぁああああ!?
マルガレーテの転属が明かされ、そして彼女のスタンスが垣間見える会でした。会議はまだ続くけど、ヒマリのブッコミがいい感じでキリをよくしたので今回は此処まで。
ぶっちゃけマルガレーテの設計コンセプトは「ヴァーリの真逆」といっても過言ではありません。そのため当初からフロンズ側につかせることが決まっていたというより、その前提で作ったキャラクターです。
そのため戦闘能力でもスペシャルっぷりでも血筋でもヴァーリと対をなせるレベルですが、それ以上に精神性が対照的。ぶっちゃけマルガレーテは「ヴァーリみたいなタイプが特に嫌い」という基本コンセプトがあるといってもいいです。
この章におけるヴァーリハードモードは半ば彼女によってなされるといってもよく、彼女のスペシャルっぷりが嫌というほどわかるので、バトル面でもお楽しみください。