好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ   作:グレン×グレン

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 真面目な題名だけじゃなく、ギャグだらけの題名も書いていこうかと思っております(。-`ω-)


三勢合一編 三話 主役視点が事実上の五話目からの作品なんて初めて書いた(by作者

 

 俺、九成和地(きゅうせい かずち)

 

 一目ぼれって言葉が、本当に存在するとは思わなかった。

 

 特に俺の場合、ちょっとへんてこりんな理由で恋に落ちることが当面ないと思ってたからなおさらだ。

 

 自慢じゃないが、俺は孤児である。

 

 その後ザイアコーポレーションが出資している孤児院にお世話になり、そんな中「人類を救う素質がある」とか言われて、サウザー諸島連合に行くことになった。

 

 そしてその後、戦士として育成を受けることになる。

 

 一応言っておくが、孤児になった理由にザイアは関係ない。完膚なきまでに火の不始末が原因だしな。そもそもそんな手の込んだ真似をするなら、最初っから事故死とかを装って家族全員行方不明とかするだろうし。

 

 だけどまあ、正直そこにいてからだいぶたったころには「これ、おかしくね?」と思ったもんだよ。

 

 いやほんと、二言目には「仔の異形たちの愚かな思想は」とかなんだとか。前提条件として「異形が愚か」だから「この思想は愚か」って感じになってる。

 

 なんていうか、まず最初に答えが決まっていて、そこから計算式をどうすればその答えにできるかって感じか? 無理やり強引にそうしている感じで、はっきり言ってテストとかなら点は絶対取れない。

 

 だけどまあ、そんなことを言ったら俺がピンチになりそうだともわかってた。

 

 なにせあいつら、いろいろとめちゃくちゃなことばかりしてるからな。

 

 「お互いを支え合うパートナーが必要」「ストレスの発散は必要不可欠」「共通の何かを持っていれば、仕事においても私情においても連携が取れる」とか言ってきて、相方をまずあてがわれる。

 

 実際仲良くなりやすいから、慧眼ではあるんだろう。そこに関してはできるというほかない。

 

 だけど、十代前半からお互いで性欲を発散させることを奨励するか?

 

「性欲を利用した篭絡はよく行われている」「だからむしろ慣らすべき」という理由で、お互いで積極的に性欲を発散することを奨励。その過程で性教育まで行ってくる。

 

 ……いや、俺なんでそんな環境でそんな反応ができるようになるんだろうな。

 

 ザイアコーポレーションから連れ出されてから読みだした漫画とかだと、こういう特殊な環境で思想教育されると、思考が画一化されて盲目的になるって言ってたはずだ。実際そういう方法をとって人心掌握するって話も聞いたことがあるし。

 

 まあ、俺はそんな中で、相方であるヒマリをうまくなだめながら、どうしたもんかといろいろと考えてたよ。

 

 何せ環境が特殊だし、たぶんだけど脱走とか反乱対策もしてると思ってたからな。とにかく選択肢としては、素直に言うことを聞いて自主鍛錬も積みまくって、優秀かつ忠実な手ごまと思わせて隙を伺うってぐらいしかない。

 

 ……そしたらなんかよくわからないうちに壊滅して、そして神の子を見張る者に助け出されることになったわけだ。

 

 いや、本当に大変だった。Anti Illusion Monster Squadron、略称AIMSは、さっき言った通りそういう教育を受けてるからな。高性能型のレイダーを中心に、エイムズショットライザーを使用する俺達一部精鋭による特殊部隊。そのために「異形たちの妄想のしわ寄せを受けた、優秀な子供たちを導く」とかそんな感じで人集め。

 

 ああ、本気でやってるならどうかしてる。しかも体のいい言葉で操るつもりがなく、マジでそのために命を懸けてたという、ドン引き具合。

 

 いや、たしかに異形のノリは人間社会()のそれとは違うぞ?

 

 とはいえ、ところ変われば品変わる。文化や価値観だって宗教や国家や民族で結構変わるもんだ。それが種族ともなれば当然だろう。

 

 はっきり言おう。あいつら頭がいかれてる。

 

 とてもついていけないし、それに染まらなくてよかったな。染まって最後まで戦って死んだ連中には同情するし、正直止めれなかったことは結構気にしてる。それをやったらこっちの命がまずいし脳改造もありそうだったから仕方ないが、俺の生き方としても消せない傷になりそうだ。

 

 ……そう、俺には生き方がある。

 

 涙の意味を、変えれる男になりたい。

 

 悲しみや絶望で生まれる涙を、ながれるときには安堵と喜びにしたい。それが俺の望む生き方だ。

 

 だからこそ、小さいころから消防士とか山岳救助隊とか考えてた。だからこそ、今の力を生かせる形として、堕天使の仲間として異形の悪意や神秘の暴発から、無辜の民を守りたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ありがとう。そして、笑顔でいて……ほしいかな―

 

 

 

 

 

 

 物心がつくかつかないか、その記憶だけはやけに鮮明に覚えてる。

 

 絶望しているような涙を流し、俺を見て、本心から救われたように浮かべるあの笑顔。

 

 それが、俺の原風景。

 

 そして、俺はなぜかその記憶を思い出させる少女と出会った。

 

 俺よりちょっとだけ上ぐらいの、白い髪で抜き身の刃を思い出させるような少女。

 

 思わず告白一歩手前の申し込みをしてしまったけど、本気で言ったのだけは断言できる。

 

 一目ぼれなんて、本当に経験するなんて思わなかった。それぐらい、強い衝動を感じたんだ。

 

 まあ、そんな分けて俺は今―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「ぐわぁああああああああ!?」」

 

「……下級の転生悪魔とは思えないぐらいやるわね。ま、ゼノヴィアやイリナが相手だと、間違いなく厳しいでしょうけど」

 

 ―吹っ飛ばされる赤龍帝と聖剣計画の生き残りという、割ととんでもない光景を見ているわけだ。

 

 いや、赤龍帝の籠手がリアス・グレモリーの眷属にいるって話は、それっぽい話を聞いてたけど驚いた。

 

 いやまあ、もともと現場の堕天使が暗殺を決定したって話は聞いていた。現状容認するしかないとはいえ、まあちょっと心が痛む。

 

 とはいえ、リアス・グレモリーが眷属にするなんて言う奇跡、そうそう起こるわけでもない。堕天使は悪魔と敵対してるから、そういう意味でも自分からやるわけにはいかないしな。

 

 0,1パーセントにも届かない奇跡なんて、99パーセント以上の失敗が裏にある。しかもこの手のケースにおいて、一人の命を十数人の安堵は、数百じゃ効かない命の消滅と嘆きを天秤に乗せるわけだ。

 

 悲しみの涙を喜びに変えたいからこそ、確証もなく千人すら超えるだろう嘆きの涙を生み出すわけにはいかないわけだ。

 

 決して肯定するつもりはないけど、どうしても容認するしかない必要悪は存在する。それが全部消えるなんて、きっと万年かかっても難しいだろう。下手すりゃ新しく増えていく。

 

 そんなことを思いながら、俺は盛大に吹っ飛ばされた二人の転生悪魔を遠目で見ながら起き上がった。

 

 ……とりあえず真っ先に言おう。

 

 俺は真っ先に盛大に吹っ飛ばされて脱落してる。

 

 そしてこれは手合わせだ。「共闘するならある程度の力は知りたい」という感じで、何人かで模擬戦をすることになった。

 

 真っ先に名乗り出たのは、リアス・グレモリーの眷属である木場祐斗。ただしカズヒ姉さん(と呼ぶことにした)は「エクスカリバーを悪魔相手に模擬戦で見せれるわけないでしょう」と、バッサリ切って自分が出てきた。

 

 ついでに「文句があるなら、まず私を倒しなさい」といってきたので、木場が「イッセー君、力を貸してくれ」と助力を請うた。

 

 そんでもって、まあ堕天使側からも出すべきだってことから俺が名乗り出た。

 

 ……惚れた女の前で男を見せたい。くっだらないけど恰好つけたい年頃だった。

 

 そして、そこからが混沌だった。

 

『イッセー君、洋服崩壊(ドレス・ブレイク)を使うんだ! 責任は僕がとる!!』

 

『! ……木場、恩に着る!!』

 

 なんか明らかに嫌な予感がしたうえ、それを見ていた白いロリっ()が「女を裸にする技です」とか言ってきたので、俺がまず赤龍帝を止めるために突貫。

 

 その後すごい勢いで食い下がる相手に、俺も本気の装備でやろうかと考えたその瞬間―

 

『あの、これ三つ巴よ?』

 

 ―ちょっと申し訳なさそうに、木場祐斗を相手しながらカズヒ姉さんが爆弾を射出してきた。

 

 そして位置取りから俺が脱落し、その後一人で二対一なのに圧倒している。

 

 これはまあ、怖いというしかないんだろうなぁ。

 

 間違いなく、悪魔祓いとしては最上級のレベルだろう。下手したら、エクスカリバーという攻撃力(武器)以外なら聖剣使いより上なんじゃないか?

 

 何より―

 

「―装弾(セット)

 

 その言葉と共に、人間では本来ありえない魔力を使って、突如として現れた砲弾が宙にとどまり―

 

「―じゃあ喰らいなさい」

 

 その瞬間、高速で砲弾が射出された。

 

 無反動砲のそれっぽい奴を利用した砲弾を、高速で射出して相手の逃げ道を封殺し、更に爆風でバランスを崩したところをトンファーで追撃。

 

 それどころかトンファーだけでなく、マシンガンまで取り出して運用する始末。カズヒ姉さん強いなほんと!

 

「……どうかしらぁ? 戦ってみて」

 

「な、なんかスッゲーですわ! カッケーですの!」

 

 と、リーネスとヒマリが、どこか自慢げな表情を見せながら俺の隣に来た。

 

 ……あの、俺も人のこと言えないけど、カズヒ姉さんは敵勢力(教会)だよな?

 

「なんですのなんですのー! 見てるとすっごく気分がいいですわ! あ、これが恋……?」

 

「「それは違うと思う」」

 

 ヒマリが思わずライバルになり駆けそうなので、思わずツッコミを入れてしまった。

 

 しかもリーネスも即座にツッコミを入れてきた。

 

 なんとなく、二人でヒマリの頭をなでながら、カズヒ姉さんの圧倒ぶりを眺めている。

 

「いや、ほんと強いよあの人。あれ、神の子を見張る者(グリゴリ)で模擬戦した相手じゃ、勝ち目があるのは数人ぐらいじゃないか?」

 

 例えば、増援として手が空いたら来る予定の白龍皇(アルビオン)とか。

 

 あいつ、今代の赤龍帝のことを気にしてたからなぁ。出会ったらどう反応するんだろうか?

 

 女の敵極まりないけど、独創性がある上結構怖い技だからな、あの洋服崩壊(ドレス・ブレイク)っての。失望するか、特殊な理由で目をかけるかの二択か?

 

「じゃあそろそろを終りね!! 女の敵じみたことをしようとしたりあおった罪を悔やみなさい!」

 

「「うわぁあああああああ!?」」

 

 あ、決着がついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「まあ、エクスカリバーはともかく露払いにはおつりがくるわね。共闘するっていうなら、一チームで一本ぐらいは任せてもいいんじゃないかしら?」

 

「まあ、私としても死なずに済むならそれに越したことはない。核を回収させてもらえるのなら構わないか」

 

 と、カズヒ姉さんとゼノヴィアってのが話をして今後を煮詰めてる中、俺はとりあえず悪魔側とコミュニケーションを取ろうと決意する。

 

 将来的に敵対するかもしれないけど、それはそれ。最低限の連携をとるためには、まあ最低限の縁を結ぶべきだしな。

 

「……イッセー君。これに懲りたら、あんなエッチな技は封印しなきゃダメよ?」

 

「い……いやだ。俺は、洋服崩壊(コレ)を……進化させるん……だ……ガク」

 

 紫藤イリナってのが赤龍帝をツンツンとしているけど、あっちは無視する。

 

 幼馴染らしいし、つもり話もあるだろうとかそんな感じで無視する。

 

 うん。とりあえずは、一番今回の件に乗り気になりそうなやつを選ぶべきだよなッと。

 

「よ。ちょっといいかい?」

 

 そう言いながら、俺は聖剣計画の生き残り―――木場祐斗だったな―――の隣に座り込む。

 

 盛大に叩きのめされて、そのまま息も絶え絶えな金髪少年の隣に座って、俺も軽くため息をつく。

 

「また盛大にやられてるけど、少しは落ち着いたらいいんじゃねえか?」

 

 まあ、事情はついさっき聞いている。

 

 聖剣計画。バルパー・ガリレイが初期の主任であった頃は、かなり非人道的な実験が行われたらしい。

 

 挙句の果てに被検体の皆殺し。必要悪を否定する気はないけど、できればああいう奴を味方にしないで済むような組織になってほしいもんだよ。

 

 俺もまあ、似たような経験があるから気持ちは少しぐらいわかると思う。

 

 もちろん、内情はいろいろ違うから完璧なんて言わない。そもそも人の精神には個人差があるんだから、全く同じ経験をしても全く同じ感想になるわけでもないしな。

 

 だけど、まあ。

 

「やるなら相手はきちんと選べよ? たとえ相手が敵であっても、筋が通らない理由で悲しい涙が流されるのは、勘弁してほしいからな」

 

「……君にとっては僕らも彼女らも敵だろう? いきなり告白までして、後で怒られたりしないのかい?」

 

 どうやら話を聞いてくれる気になったらしい。

 

 ま、そうはいっても性分だからなぁ。

 

 俺がどう返答したもんかと考えていると、ため息が後ろから聞こえてきた。

 

「申し訳ありません。和地様はあえて悪く言うと、神経が極太のタングステンでできておりますので」

 

「……メリード、相変わらず毒を吐くときはキレッキレだよなぁ」

 

 思わず苦笑いさせてくれる、切れ味鋭い毒舌を吐いたのは、メイド服を着たヒューマギア。

 

 名前はメリード。実をいうと、チームリーダーであるリーネスより付き合いが長い。

 

「……ヒューマギアがその態度でいいのかい?」

 

 少し引いている木場だけど、メリードは再びため息をついた。

 

「ヒューマギアは工業製品ですが、人間の奴隷ではありません。まして私は仕える者(サーヴァント)として、仕える相手にふさわしい者であることを要求するべきでしょう? その見下し視線、下僕悪魔としてのスタンスは奴隷根性一点特化なのですか?」

 

 そして遠慮なくキレッキレ。

 

 いや御免。この人こういう人なんです。

 

「……すまん、木場。メリードは誇り高い従者という形でシンギュラリティに到達しているから、相手にもその誇りに見合うものであることを常に求めてるんだ」

 

「……シンギュラリティ。ヒューマギア自体目にしたのは初めてだけど、初めて会った中に到達した者がいるとはね」

 

 木場はそう感心すると、リーネスにちらりと視線を向ける。

 

「戦闘用に調整するのなら、それだけの存在である必要があるってことかな?」

 

 ……なんか勘違いされてるような。

 

 俺は真剣に突っ込むか考えたけど、それより先にメリードの毒が飛んできた。

 

「知らぬこととはいえ実に愚かですね。どこまでもヒューマギア(私たち)をただの物としてか見てないような発言をするとは、悪魔に仕えることが無くて幸いというべきでしょうか」

 

「………な、なんというか、すいません」

 

 ヒューマギア全体が勘違いされそうだから、真剣に木場をフォローしとくべきだろうなぁ。

 

「木場。神の子を見張る者(グリゴリ)はサウザンドディストラクション後のヒューマギアを大量に確保してるけど、戦闘用に使用って考え方はないからな? メリードたちは全員、戦闘用強化改修を自分から要望しているから、そこのところよろしく」

 

 俺がそうフォローすると、メリードは静かにうなづいた。

 

「その通り。私たちは私たちそれぞれの意思で、戦う力を要求しました。むしろ組織全体は乗り気ではなく、自らの研究成果を利用する形とはいえ了承してくださったリーネス様には感謝しかありません」

 

 そう言ってから、メリードは不敵な笑みを浮かべて一枚の紙を取り出した。

 

「ましてそれら危険手当を、すでにお給金に踏まえてくださっているのですから、主として態度は合格点と言えましょう。上層部は乗り気でないことから、私費で出してくださっているのですよ?」

 

「………え、きゅ」

 

「木場君こっちに来てくれないかなぁ!?」

 

 俺はとっさに木場の首根っこをつかんで、即座にメリードから距離をとる。

 

 メリードもうすうす気づいているけど、あえて意識しない方向性だった。

 

 危ない危ない。俺が止めなきゃ木場の心がボロボロになるところだったぜ。

 

「……明確な自我を持ってるなら、そりゃもう自分達と同様な存在と見るべきだろ? そういうわけで、神の子を見張る者(グリゴリ)は給料や手当を出す方針なんだよ。……その辺がややこしくなるから、人間社会での流通が一気に滞ってるんだけどな」

 

「ああ……なるほど。確かに、一瞬困惑したけど筋は通ってるね」

 

 理解が早くて助かるぜ。

 

 まあそういうわけだ。

 

 シンギュラリティに到達したヒューマギアは、明確な個人としてふるまう存在だ。そしてどんなヒューマギアにも理論上そうなる余地がある以上、ヒューマギア全体をそういう風に扱えるようにしないと、後々ヒューマギアと人間で戦争が起きるだろう。

 

 だけど、肌の色などいろいろな理由で差別がいまだ根強いところは数多い。そんな人間の世界でヒューマギアを人間と同列に語るなんて、当面無理だとどの国もうすうすわかっているわけだ。

 

 そういう意味だと異形は気が楽だ。差別などのはやはりそこそこあるけど、もとから他種族がいる在り方なんだから、さほどの変化や影響も出てこないしな。

 

 ……そして、ヒューマギアの軍事利用は人間社会でも異形社会でも特に考えられてない。

 

 人間社会は理由が明確。明確な感情をシンギュラリティに到達して得るだろうヒューマギアは、ドローンの発展形ではなく兵士の同列で語らなければいけないからだ。

 

 仮にも訓練を積んで心構えも多少はできてる兵士ですら、戦争を経験してPTSDなどを発症するケースは多い。シンギュラリティに到達したヒューマギアにも同じケースが起きるだろうし、もし戦争という極限環境が原因でシンギュラリティに到達したら、どんな感情を持って行動するか予想もできない。

 

 異形社会の理由はそれもあるがもう一つ。

 

 ……そもそも、わざわざヒューマギアを戦闘用に転用する意義が薄い。これに尽きる。

 

 無人兵器のような観点で使うのなら、ゴーレムや魔獣の方がより頑強に用意しやすい。兵士として使うにしても、異形や異能保有者は下手なヒューマギアより強いし、わざわざ戦闘用ヒューマギアを開発する意義も薄い。人間社会におけるデメリットも踏まえれば、採算が取れないどころか無駄遣いにしかならないと判断されている。

 

 だからこそ、サウザンドディストラクションに一番早く対応できた神の子を見張る者は、ヒューマギアの保護及び労働契約こそしてるが軍事部門に引き入れることはまずない。

 

 メリードたちは、全員がそれぞれの理由で戦闘能力を欲したから、戦闘用に調整されることになったんだ。それだって、リーネスの個人的研究のテスターとしてという形だしな。

 

 ……でもって、リーネスは身銭を切って危険手当を保証してる。

 

 シンギュラリティに到達してないヒューマギアは、能動的に金を使うことが薄いから、あくまで自分が必要だと思った物を個人的に購入する程度。だから、給金の平均は少ない部類だ。

 

 ただしシンギュラリティに到達したヒューマギアは、特別手当をつけないとストライキを起こしかねない。

 

 具体的には、気に入った番組のDVDを買ったりとか、私的な使用がかなり増える。レコード蒐集を趣味にする手合いもいた。

 

 まあ、良くも悪くも異形はフリーダムだからこそ、むしろ人間社会よりシンギュラリティに到達したヒューマギアと共存しやすいだろう。

 

 俺としても、メリードたちを邪険に扱うのは気が引けるしな。親しみの一つや二つは感じてる。

 

 そういえば、カズヒ姉さんはどう思ってるんだろうな。

 

 ふとそんなことを思ったとき、俺はふと気が付いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれ? カズヒ姉さんとリーネスは?

 

 

 

 

 

 

 

 

Other Side

 

 

 

 

 

 

 

 

「……いやも~さ~。お互い変わったよね」

 

「全くだ。この目がなければ気づくことはなかっただろうしな。ああ、この目を求めて正解だったよ」

 

「ま、私たちはもう同じぐらい生きてるもんね。その人生の分だけ、変わらない方がおかしいわね」

 

「幼少期の経験が人格に与える影響は馬鹿にならない。まさかこういう形でそれを身をもって体験するとは思わなかったわねぇ」

 

「ちょっと、戻ってるわよ?」

 

「あらぁ? そっちもじゃない」

 

「「………プッ」」

 

「駄目ね。無理して前の口調を維持しても違和感だらけだわ。お互い今の口調になれた方がよさそうね」

 

「そうねぇ。お互い変わりたいからこうなったものねぇ。だったら、昔ではなく今を向き合うのが大人ってものよね」

 

 

 

 

 

 

 

 

「なら、改めて()()()()()、堕天使リーネス」

 

「そうよね、カズヒ・シチャースチエ。()()()で仲良くなれることに感謝しないといけないわねぇ」

 




 ……まあ、ここまでの情報で、未完の作品を見ている方は気づいたかもしれないね。

 うん、どうしてもあれがらみにパターンは完結させたかったんだ。ごめんね、本当に。

 ただ大規模な仕立て直しをして、キャラクターの方向性を切りけることで心機一転する方向にはしているんだ。うん、まさかあの二人があんな感じのキャラにした手直しされてるとは思わなかったかな? でも、そういう方向性になってもおかしくない出来事は当初のころから設定しているんだ。だから納得してほしい。






 それはそれとして、ヒューマギアを軍事兵器として大量導入って展開はまずないのでご安心ください。
 
 敵にしろ味方にしろ、わざわざヒューマギアを奴隷同然の軍事兵器にする意義がまずないので、そこは安心してほしい。ただ本編に絡むタイプに関してはある程度―――インフレバトル作品におけるのでそこはご察しください―――の戦闘能力を上乗せする必要があるから、そこはご了承ください。

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