好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ 作:グレン×グレン
tappeさんからの思わぬ情報提供で、新たに投入できそうな敵勢力が増えてちょっとウハウハ。これから少しずつ有効そうなのを調べていこうかと思っております。
そして今回の題名はちょっと意味不明っぽいですが、まあ最後まで読んでいただければわかるとは思っております。
ちなみに書き溜めはスーパーカズヒ&鶴羽タイム一歩手前といったところ。狂騒曲で出したくてもできなかった奴をあとちょっとでお見せできると思い、頑張って書いていきますですハイ!
イッセーSide
よっしゃ、一気にこれで決めてやらぁあああああ!
そんな気合を入れながら、俺たちはミョルニルレプリカをロキに叩き付ける。
……なんでこんなことになったのかというと、作戦会議のついででロキを叩き潰すプランがいくつかできていたからなんだよね。
で、その際フロンズさんが提案したプランAがこれ。
『ロキ神もミョルニルの凄まじさは理解している以上、レプリカと言っても危険視はするでしょう。確実に当てる為にはある程度のプロセスが必要かと』
そう前置きしたフロンズさんは、こんなことを言ってきた。
『まずはマルガレーテをロキから見て2時の方向に向かわせてから禁手を発動させます。これで彼は注目したうえ、シャルバ・ベルゼブブによる襲撃の一件を知っていれば
地雷ってなんだか分からなかったけど、ブちぎれるぐらい魔王扱いが嫌なのか。
まあ、名門の家柄って結構大変みたいだし、そんなの嫌だって人は多いだろうからそういうことなんだろう。
で、そこまで読んでいたフロンズさんは、とんでもない立案をした。
『マルガレーテはこれに対して激高していい。むしろ激高した怒りでとにかく出力を上げてくれたまえ。それをデコイとして兵藤一誠をロキから見て9時の方向から突貫させる』
とまあ、分かり易い陽動作戦だった。
『その際兵藤一誠には、宿した状態のシャルロット・コルデーが持つクラススキル「気配遮断」も使用してもらう。この二段構えで強襲の成功確率を可能な限り高めた初手速攻がプランAとなります』
ということだ。意外と上手くいったと思う。
まあちょっと卑怯な気もするけど、これも兵法だよね!?
『なお失敗した時は、ロキとヴァーリは勝手に戦うだろうから、マルガレーテに対応を任せて一旦下がり給え。その時はこちらのプランBで可能な限り削ることにするとも』
という感じだった。っていうかプランBも大概やばいっていうか、大王派も恐ろしいなって感じだ。
だけどプランAで片付くならそれに越したことはない。っていうかここまでは上手くいっている。
だからこれで―
「なめてもらっては困るなぁ!」
―ってはじかれたぁああああ!?
『イッセー!? いえ、これはミョルニルが……っ』
シャルロットの戸惑う声で、俺もすぐに気が付いた。
ミョルニルから、雷が出てこない!?
ちょっと待ってちょっと待って! こんな重いハンマーってだけでも大変だったのに、寄りにもよって雷が出ないとかまじで勘弁してってば!
どうすんだよ、これぇええええええ!?
欠陥品ですか! 欠陥品つかまされたんですか! ふっざけんなぁあああああ!
俺がちょっとパニくってると、ロキがなんていうか呆れた雰囲気を出してきた。
「……レプリカとはいえミョルニルを出されるとは思わなかったが、貴殿が振るうのでは片手落ちだ。ミョルニルは清い心の持ち主が振るう時に雷を放ち、また羽のように軽く使えるのだ。主の乳首をつついて至るような貴殿の邪な心では、とても重くなっているのではないか?」
完全に当たってます! 当たってます!
いやちょっと待て! つまりスケベな俺が使っても意味がないってか!?
最初に言ってよ、もぉおおおおおおお!!
「下がってください! プランBに移行します!」
マルガレーテさんが蠅で包囲攻撃をしながらそう言ってくれたので、俺は我に返ってすぐに距離をとる。
くそったれ! ミョルニルが使えないんじゃプランAは意味がない。俺の能力じゃ一歩劣るし、今は下がるしかないか。
なんかすっごく悔しいというか、申し訳ないって感じしかしない!
俺がちょっとへこみながら皆のところに戻ると、リアス部長が近づいてくる。
「大丈夫、イッセー? こんな形で失敗するなんて私も思ってなかったから、気にしすぎちゃ駄目よ?」
『その通り。この手の事態が予定通りで終わる方が少ないのだ。ミョルニルに関してはその仕様を知っている側が指摘しなかったのも問題だし、何より我らにはプランBがある。……下がっていたまえ』
フロンズさんも通信越しにそう言ってくれた。
うう、気遣いが心にしみるぅ。
でもこうなると、俺はあの激戦に入るにはちょっと足りないか。
頼みます、マルガレーテさん!
Other Side
状況の推移に対し、マルガレーテはためらうことなくプランBに移る為に戦闘を開始する。
忌々しいが目の前の二人に対応するには、真っ向から戦える戦力が必要不可欠。階級的に指揮をする都合がある以上、最上級堕天使バラキエルや最上級悪魔タンニーンより、下級悪魔である自分が動くのが妥当なのだ。
元より、転生悪魔とは主の戦力として戦う責任を負うからこそ、上級悪魔の眷属として活動できるのだ。それを否定するような真似は断じてしない。
故に、呼吸を整えてロキとヴァーリを相手取って攻撃を開始する。
聖なる氷を外殻として、魔力の蠅を数十数百に亘り生成し、指示を出す。
時に分散して十字砲火。時に編隊をくんで収束攻撃を叩き込むことで、二人の意識に村を作り上げる。
そしてその瞬間を逃さず、マルガレーテは切り込んだ。
優先目標はあくまでロキだが、隙あらばヴァーリも狙って攻撃を叩き込む。
それをロキもヴァーリもいなしながら、お互いにそれぞれを敵として攻撃を放つ。
「……ふふ……ふははっ!」
そんな圧倒的存在による頂上決戦を繰り広げながら、マルガレーテはヴァーリの笑い声を耳にした。
この極限環境で、むしろ楽園にいるかのように笑える神経に、マルガレーテは嫌悪感すら覚える。
それを知ってか知らずか、ヴァーリは歓喜を全身で表しながら、攻防のペースを上げていった。
「素晴らしい、素晴らしいぞ! プログライズキーを利用して己を高めた
「まだ……言うかぁ!」
その気がない罵倒に殺意が燃え上がるが、それがいけなかった。
「隙ありだぞ、諸君!」
ロキがその隙をついて多重魔法攻撃を仕掛け、ヴァーリと共にマルガレーテも弾き飛ばされる。
そしてお互いの距離が開けて睨み合いになる中、ロキは顎を撫でつけながら感心していた。
「ふぅむ。粗削りながら全力かつ真っ直ぐな赤龍帝も中々だが、優れた技術と才覚を織り交ぜる貴様達も中々だ。悪魔でなければ勇士として誘いをかけるところだったな」
「それはどうも」
ヴァーリはその言葉に機嫌をよくするが、マルガレーテは不機嫌にしかならない。
アースガルズの文化とは合わないとは思っていたが、その文化に照らし合わせて褒められてもうれしくもなんともないと改めて実感する。
「……永遠に殺し合いをする毎日なんてごめんよ。そんなことを栄光だと思える連中なんかと一緒にしないで」
殺意を込めて睨み付けるが、ロキは肩をすくめてそれを受け流す。
分かっていたからそこまで怒りを覚えないが、マルガレーテは呼吸を整えて冷静さを取り戻しながら、嫌悪感だけは隠せない。
そんなマルガレーテの様子に、ヴァーリはむしろ不思議そうな表情を浮かべる。
「……全く、余裕があまりないね。偉大なる魔王の血を宿すだけでなく、それだけ強力な神器をいくつも宿す。俺とは別の意味で奇跡の具現を示しておきながら、なんでそこまで切羽詰まれるのかが分からないね」
心底からの疑問。それがよく分かるほどに、ヴァーリの言葉には馬鹿にする響きも挑発の意志もなかった。
だからこそ、マルガレーテはそれが気に食わない。
「……だったら、私も聞きたいことがあるけどいい?」
「ふむ、どうぞ」
許可を得たので、聞いてやろう。
万が一ブちぎれて覇を使われると面倒なので、最低限覚悟を決めてから、マルガレーテはそれを問う。
「なんでそんなに
本心から、挑発も罵倒もない渾身の疑問を、理解できないからこそ激高する可能性を考えながらといかけた。
「……なんだと?」
怒りはあるが、それ以上に意味を理解できないといわんばかりのヴァーリの返しに、むしろマルガレーテこそ理解ができなかった。
「いやだって、自由や権利っていうのはいつだって義務や責任を払ってこそのものでしょう? それを怠っているのに何で恥ずかしくないのか、逆にそっちが分からない」
マルガレーテはそれが分からない。理解できないと言ってもいい。
「水も安全もただじゃない。だから持つ者は見合った分だけ払う義務があるし、力にはどうしても責任が付きまとう。当たり前のことじゃない」
それはマルガレーテにとって呼吸も同然の価値観だから。
「力の責任は使う使わないの話じゃない。使うならそこで生まれる影響に、使わないなら使った時の可能性を捨てることに、持つ者は使おうが使わなかろうが責任に向き合う義務がある」
それは人が社会に生きる大前提。それがなくなれば文明社会は崩壊する。
少なくとも、マルガレーテ・ゼプルにとってそれは社会に生きる為の最低限の対価だった。
だからこそ、マルガレーテにはヴァーリが理解できない。
「ルシファーの一族という権力も、神滅具という武力も、責任から逃げてたらただの恥知らずでしょ? なのに
本当に理解ができないのだ。
「……なるほどな。なら俺はこう返そう」
だからこそ、ヴァーリ・ルシファーの返答もまた理解できない。
「折角強い力を持ち合わせておきながら、奴隷みたいに生きている君こそ恥ずかしくないのかい?」
まるで理解できる言語に聞こえるだけの異星人の言葉のようだと、マルガレーテはそう思った。
「俺が守るとするなら、それは俺が守りたい奴だけさ。力を持っているのなら、もっと自由にあるべきだろう? なのに誰かのご機嫌取りに終始して、余計なものに縛られるなんて、俺からすればその方が恥ずかしい」
異次元の言語がたまたま人間の言語のように響いている。そんな印象しか感じない。
嫌悪感を通り越して気持ち悪い。
マルガレーテにとって、ヴァーリ・ルシファーとは嫌悪の対象すら通り越した。
「もっと自由に生きるといい。誰に恥じることなく誇り高く生きる。まずはそこから始めるべきだと俺は思うよ?」
この瞬間、彼女にとっての彼の存在は明確に定義された。
「……病気よ、あなた」
そうはっきりと、マルガレーテは宣言する。
思わず面食らうヴァーリに対して、マルガレーテはもはや嫌悪感すら投げ捨てた。
「病人じゃなくて病気。人が人として当たり前にすべきことを投げ捨てるだけじゃなく、他人にまでそれを伝播させる病原菌。そっか、魔王血族ってそういう持病になるんだ。他の悪魔にも伝染したらまずいわね」
人間は病気というものに対して憎しみを抱いたりすることは少ない。嫌悪という感情を向けないこともある。
ただ人類にとって不利益だから避けるなり、根本から排除することを選ぶ。少なくとも、マルガレーテはそうだった。
「……うん。こうはならないように気を付けないと」
もはやマルガレーテは、ヴァーリ・ルシファーを個人として認識することすら半ばやめている。
ゆえにもはや対話をする気もかけらもない。
何故なら、病気とは会話するものではなく―
「……じゃあさっさと仕事をしないとね。プランBで成功しなかったらプランTなんだから」
―ただ徹底的に除去する物なのだから。
以前にも書いたと思いますが、そもそもマルガレーテの設計コンセプトは「ヴァーリとは絶対に合わないタイプ」としております。
偉い立場になる気も劇的な物語も送る気がかけらもないスローライファー気質で、また行動や権利といったものに対してまず「対価となる責任」を考える人柄です。
必然的に禍の団でイキっているころのヴァーリとは相性がいいわけがありません。今回の会話でマルガレーテにとってのヴァーリとは、いわばFGO第一部第五章のナイチンゲールがケルト共に対する基本スタンスと同レベルになりました。
彼女にとってヴァーリとは憎悪も敵意も抱きません。無関心とは言いませんが、しいて言うなら汚物が寝室に在ったら嫌になる生理的嫌悪の類です。
かつての作品でやりたかった「ヴァーリチームけじめ案件」のリベンジをもくろんでいるけど「英雄派を混ぜるのはアカン」と指摘されたので、マルガレーテに協力を求める方向にするかは考え中です。