好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ   作:グレン×グレン

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 と、題名の通り、禍の団が持ち直し、その結果として後継私掠船団のターンとなります。


神威動乱編 第三十六話 躍動、後継私掠船団(ディアドコイ・プライベーティア)!!

Other Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ロキはローゲ及びホグニ王と渡り合いながら、同時に状況の把握に努めていた。

 

 あまりに訳が分からない集団に混乱しているが、しかし分かることもある。

 

 禍の団の反応から見て、彼らは心当たりがあるようだ。そして遠慮なくお互いが攻撃をしていることから、禍の団は知っているだけで繋がりはろくにないと見える。

 

 つまり、積極的に禍の団は排除も取り込みをしていないということ。厄介ではあるが、しかしそれ以上ではないと考えるべきだろう。

 

 ならばまともに相手をしてやる義理はない。そう判断し、ロキは本格的な攻撃を試みようとして―

 

「……悪いが、少し休憩してくれないか?」

 

 ―男が一人、その戦いの場に割って入った。

 

 目つきが鋭い若い青年が、そこに立っていた。

 

「ブレイか。……俺はロキに直接恨みがあるわけではないからいいが……。ローゲ、お前はいいのか?」

 

「まあいいよ? やられる光景を見てあざ笑うってのも味があるし?」

 

 あっさりと二人から了承を得て、ブレイと呼ばれた青年はロキに向き合った。

 

「いずれ五郎入道政宗を()()()男。六道入道(マサムネ・ジュニア)、ブレイ・マサムネ・サーベラだ。恨みはないが都合がいいから、試金石になってもらう」

 

「……ほぅ?」

 

 ロキはそれに、苛立ち半分感心半分で応えた。

 

 人間如きが一人で神に挑むという不遜と不敬に腹は立つが、同時に下手な英雄(エインヘリヤル)でもいないだろうほどに、目に込められた力は評価に値する。

 

 故に酔狂に少しだけ付き合ってやろうという寛容さを、ロキは褒美として見せることにした。

 

「さて、貴様は我をどうにかできるかね?」

 

「さてな。だが、この刃が届くかどうかを試させてもらう」

 

 その返答と共に、ブレイは一振りの刀を取り出すと、軽く振るう。

 

 それを見て、ロキは寒気を感じた。

 

 臆病風に吹かれたわけでは断じてない。そういったものではなく、これは本能的な肉体の反応だ。

 

 そう、すなわち―

 

「……神殺しだと!?」

 

「そうか。神殺しとしての領域には踏み入れているのか……ありがたい」

 

 ロキの反応に誇らしげに呟いたブレイは、同時に腰に特殊なベルトを巻き付ける。

 

『スラッシュライザー』

 

 バックル部分に片刃の刃が取り付けられたそれは、まごうことなきザイアスラッシュライザー。

 

 そして更に、ブレイは一つのプログライズキーを取り出した。

 

『STEALTH!』

 

 そしてそれを神殺しを構えたまま器用に装填。

 

 視線と切っ先をロキからずらすことなく、ブレイは宣言する。

 

「……変身」

 

『スラッシュライズ』

 

 同時に展開されるは、キツネの姿をしたライダモデル。

 

 それが器用にブレイの背後に尾で器用に立つと、毛皮を模した装甲が展開され、ブレイを囲む。

 

 更に煙幕が展開され全身を包み込んだその直後、それを吹き飛ばして黒をベースとした黄色の装甲に身を包まれた、仮面ライダーが出現する。

 

『ハイディングフォックス! Hahaha! You can't look at me』

 

 

 仮面ライダーという強大な力を纏いながら、しかしブレイの視線はロキを見て、頼りに戦闘する意思は手に持つ刀に向けられる。

 

 お前に挑むのは仮面ライダーでもなければ自分でもない。この刀こそが挑戦者だ。ブレイは全てをもってしてロキにそれを突きつけていた。

 

 そしてロキもまた警戒を色濃くする。

 

 この雰囲気は警戒に値すると、ロキは理解した。

 

 何故ならば、目の前にいるのは戦士ではない。

 

 目の前にいるのは鍛冶師だ。それもミョルニルを鍛えたドワーフ達に迫らんとする、強い意志が見え隠れする。

 

「……我が妖刀、銘はカミナキ」

 

 正眼の構えで神殺しの妖刀を構え、ブレイ・マサムネ・サーベラは宣言する。

 

「……この刃が神殺しに値するか、試されるがいい、悪神!」

 

 これこそが、ブレイ・マサムネ・サーベラが世界に名を轟かせる第一弾。

 

 のちの世に、六道入道(マサムネ・ジュニア)の異名を世に認めさせた(おとこ)。その覇道の第一歩である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして同時に、外周部でも戦闘は激化する。

 

 外周部では大欲情教団相手に大王派の第四義勇師団が激突していた。

 

 後詰といて待機していたが、第四義勇師団は義勇師団なだけあって士気は高い。

 

 更に、この義勇軍のメンバーになることは、バアル次期頭首サイラオーグ・バアルの直属になると同義であること。彼が下級中級に対しても蔑視を向けないこと。また掲げる理念は「成果を上げれるなら誰もが相応の地位につける」という、下級中級にとってこそ希望が見える理念を支え、自らもそれを目指せること。

 

 その全てがかみ合った結果、大王派が組織した義勇師団の中でも第四義勇師団は最高峰の士気を持っていた。

 

 また自己鍛錬に余念がないサイラオーグの影響を受け、非戦闘時の責務以上に自主鍛錬を積むものが多いため、練度も高い。

 

 本来なら自主鍛錬の調整を損なって体を痛める者も出るだろうし、大王派の重鎮によりサイラオーグの発言力を削る為の細工もあるだろう。だがシュウマ・バアル達は余計な小細工で冥界政府全体に悪影響を及ぼすことを嫌い、それを阻止し改善したがゆえに、そういった問題もなく武装の水準も高かった。

 

 二個中隊規模とはいえDFも存在するこの義勇師団は、生中な戦力では返り討ちにあうだろう。

 

 ……だが、戦況はむしろ義勇師団にとって不利になっている。

 

 想定外かつ意味不明な乱入者により困惑していることもだが、禍の団側の戦力がこの機を逃さず仕掛けてきたことで、義勇師団が困惑しているのが最大の理由だ。

 

「……これは、流石にきついな」

 

 鋭く重い拳で、文字通り敵機を粉砕するサイラオーグも、この戦況に不安を覚えてしまう。

 

 それほどまで、この四つ巴は危険だ。

 

 ロキ一派によるマギア部隊との戦闘もあり、戦況は混沌と言うほかない。特に謎の乱入者を部隊規模で突破されたこともあり、義勇兵側は困惑が大きい。禍の団側の困惑があまりに少ないこともあり、これは危険というほかない。

 

「……ノア! 全体の隊列は整えられているか!?」

 

 サイラオーグは全体の軍事運用を任せたノアに通信を繋ぐ。

 

 自分を負かした男だからと嫌悪する思考回路は彼にはない。

 

 レーティングゲームのルールに乗っ取って嵌められた以上、自分の未熟を恥じるのみ。一気に後援者を失ったが、その程度の苦難など慣れ切っている。ノアが勝利の布石をしっかり打って勝ったことを認めこそすれ、悪態をついて罵倒するなどありえない。

 

 むしろそれだけの手腕を持つからこそ、現場で敵を打倒する方が向いている自分より指揮官に相応しい。その信用から、事実上の総大将として彼に指揮を委ねているのだ。

 

 彼で無理なら自分ではもっと無理だろう。士気を上げるだけでは意味がない状況だと悟っているが為、ノアの手腕が巧みであることを期待する。

 

『オーライだ。全体の八割は混乱がだいぶ抜けたし、プランTの移行準備もあとちょっとだ。……ただし』

 

 想像以上に巧みな手腕を見せているノアだが、しかしそこで不安を覚える言い回しをする。

 

 この状況下で、政敵とはいえ味方の足を引っ張る愚は侵さないと確信している。だからこそ、不安は確実に当たるとサイラオーグは確信した。

 

「あえて俺が奮戦するような状況にしたいのか?」

 

『ああ。禍の団の対応があまりにスマートすぎる。この状況でプランTに行けたとしても、外周部の勢力で妨害されかねねえ。奴さん達の理想的勝利は「グレモリー眷属を滅ぼしたが消耗したロキを討ち取る」だろうしな。だから―』

 

「妨害されぬよう、禍の団を釣るエサが必要だということか」

 

 サイラオーグも、その対応の戦術的価値は認めるほかない。

 

 この作戦の最重要目的はロキの撃破だが、同時に禍の団のもう一つの目的であるリアス・グレモリー眷属が打倒されることは避けねばならない。

 

 旧魔王派の首脳陣を撃退したリアス・グレモリー眷属。ことおっぱいドラゴン兵藤一誠は冥界にとって希望の象徴に近い。もし殺されるようなことになれば、冥界政府全体の士気に悪影響が生まれるだろう。

 

 だからこそ、切り札を妨害されぬ為に何かしらの餌を巻いておきたいというフロンズの判断は当然ともいえる。こと戦争において、人命という駒をわざと取らせるのはよくあることでもある。

 

 故に―

 

『つーわけで十分後に戦力比率をそっちよりに再配置する。それまで他の部隊の再編とプランTの準備に徹するから、悪いが大暴れしといてくれ。……()()()使()()()()()()()()()()()()()()()

 

 ―ノアは言外に切り札の使用許可を与えたうえで、通信を切った。

 

 十分間サイラオーグを大きく暴れさせることで、敵の戦力を引き付ける。そしてその為なら自分まで叱責されることもいとわない。

 

 それが指揮官としての覚悟というのなら、サイラオーグも否とは言えない。指揮権を預けたという事実だけでなく、自身のリスクも背負ったうえでの判断だからこそだ。

 

「……全員、ここが踏ん張りどころだ! 最悪の場合はレグルスを使うぞ!」

 

「「「「「「「「はっ! サイラオーグ様!」」」」」」」」

 

 檄を飛ばし、そして眷属達がそれに付き従った時―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……悪いが、そろそろ海賊の時間とさせてもらうぜ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 聖なるオーラを察知して、サイラオーグは咄嗟に飛び退る。

 

 下から放たれる聖なる神殺しのオーラを避け、サイラオーグは敵を睨み付ける。

 

 高速艇の舳先に陣取った、黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)を構えた伊達男。

 

 九条・幸香・ディアドコイに従うライダーのサーヴァント、ジョン・ラカム。

 

 神滅具保有者という難敵に、サイラオーグは拳を構える。

 

 流石にそれだけの難敵が相手ならば、自分が出張るほかはない。

 

 そしてそんなサイラオーグを見て、ラカムは肩をすくめる。

 

「別にあんたを殺しに来たわけじゃねえよ。……海賊ってのは殺戮じゃなくて略奪が本筋だからな?」

 

 その言葉と視線の動きで、サイラオーグはすべてを悟った。

 

 ジョン・ラカムの狙い。それはすなわち―

 

「乱入者の兵器だけでなく、第四義勇師団のDF(ディアボロス・フレーム)を奪取することが狙いか!」

 

「ビンゴ! アルバートの奴が知らない技術ゲットしたら高く買うって言ってくれててなぁ。手出し厳禁の連中がそっちから来てくれるっていうし、横から襲って漁夫の利ってわけよ!」

 

 その言葉に、サイラオーグは切り札の使用を真剣に考慮し―

 

「そうはいかないわ」

 

「その通りだ」

 

 ―その隣に、二柱の神が並び立った。

 

 オケアニスの一人でもあるアニアスと、元々八百万の神だった源玄隆。

 

 本来天敵たる聖槍を前に、プルガトリオ機関エクストラ部隊が来訪するという事態に、ラカムは苦笑する。

 

「馬鹿じゃなくて勝ち目があるってわけかい? ま、特攻が入る武器一つで殺せるほど、プルガトリオ機関長官のお付きは甘くないか?」

 

「「当然」」

 

 自負が籠ったその言葉に、ラカムは決して否定しない。

 

 ラカム自身が分かっているのだ。目の前の二人にサイラオーグをまとめて相手取れるほど、自分は決して化け物ではないと。

 

 だからこそ、二柱と同様にサイラオーグは警戒する。

 

 この状況下で苦笑どまり。慌てているわけでもやけになっているわけでもない。そんな、()()()()()()()()()()()()()()敵の目に、警戒心が沸き上がる。

 

「俺はなぁ。今度こそガチの海賊になる為にマスターについて行ってるんだ」

 

 そんな三人の警戒に、ラカムは僅かに震える拳を見せながら微笑んだ。

 

「怖いのは怖いさ。だが、臆病風に吹かれてちゃちな稼ぎで海賊を嘯くなんてもうごめんだ。俺は今度こそ、縛り首になるリスクを分かったうえで、そうなる前に道連れにして皆殺しにするような生き方をするのさ」

 

 その言葉と共に震えを握り潰し、そしてラカムは手を掲げる。

 

「……真名、開帳」

 

 それは、サーヴァントの切り札を明かす瞬間。

 

「野郎ども、悪党の時間の始まりだ。その象徴たるこの旗を思い出せ」

 

 そして現れるは、一つの旗が掲げられた海賊船。

 

 その旗に描かれるは、交差するカトラスとその上の髑髏。

 

「略奪しろ、蹂躙しろ、人生を謳歌しろ。今こそ俺達が何なのか、この旗の下に宣言しろ」

 

 そして、それらは現れる。

 

 亡霊によって構成される、いくつもの船と船員達。

 

 誰かはカトラスを持ち、誰かはAK-47を持ち、誰かはRPG-7を持ち、また誰かはフリントロックの拳銃を持つ。

 

 高速艇がある。ガレオン船がある。スループ船がある。魚雷艇がある。

 

 そう、そこにいるのは―

 

「さあ、海賊を始めよう!」

 

 ―古今東西の海賊達が、象徴の旗を掲げた男の下に、蹂躙と略奪を愉しむべく集ったのだ。

 

「これが……奴の宝具ッ!」

 

 その光景を見て、サイラオーグは理解する。

 

 あれこそがジョン・ラカムの本当の切り札。神殺しの聖槍以上に信を置く、彼という英霊の象徴が結晶体。

 

 そう、彼は決して聖槍使い(ランサー)ではなく、大海原をかけた船乗り……否。

 

此ぞ海賊、集え我が旗の下に(パイレーツ・オブ・キャリコ・ジャック)

 

 一時代を超える一つの概念の象徴となる旗を掲げた、海賊(ライダー)という英霊なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 これより、蹂躙と略奪の時が始まる。

 

 

 

 




 後継私掠船団は英雄派の独立部隊といえる、サブリーダー幸香の私兵集団に近いです。

 そのスタンスはブレイを見ればわかる通り「あやかりもとを超える」という方向性。

 曹操たちは「英雄の末裔や魂を継ぐもの」であることをアイデンディティに指定r節がありましたが、後継私掠船団は基本として「先祖、もしくはあやかり元()()を目指す」ことを基本ベースにして設計。その過程として「ではどう超えるか」という指向性をそれぞれ持った、光狂い予備軍といったところです。
 現状設計しているネームドは、五郎入道正宗を超えんとするブレイと、同じく独自の超える方向性を見出しているアーネ。カズヒと盛大に因縁がある幸香が頭なので、将来的に和地及びヒロインにちょっとだけ対応するような人数を設計したいところです。



 そしてラカムの宝具ですが、これはラカムのところの海賊旗の知名度を利用して、海賊という概念が成立する亡霊たちを引っ張り込む宝具。

 英霊になるような海賊までは引き込めませんが、まだ応用も効くのでなかなか厄介です。

 そして彼もまた、ジョン・ラカム(過去の自分)という海賊を超えんとする私掠船団のメンバー。
 何かしらの形で後天的強化を入れるつもりなので、お楽しみに。








 次回は幸香のターンであり、禍の団全体のターンでもあります。ちょい短いけど我慢してね!

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