好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ 作:グレン×グレン
あとちょっとだ。あとちょっとで、奴がくるぜぇ!
和地Side
……あ、意識が飛んでたな。
春っちとベルナは吹っ飛ばせたか? 戦いはどうなった?
っていうか俺は死んでないのよな? 相当やばい怪我を負ったはずだから、すぐにでも治療が必要な状態な気がするんだが。
そこまで考えて、ふと気づいた。
俺は、肩を担がれて運ばされている。
ついでに言うと戦闘もしているらしい。動きがこぉ……武器を使っている感じだ。
そして漸く覚醒し、俺は即座に魔剣を創造するとそれを敵に投げつけた。
狩猟用ブーメランを参考にした魔剣は、勢いよく飛んでエインヘリヤルマギアとかいう敵の兵士を沈黙させる。
それを次弾の準備をしたうえで確認して、俺は周囲を警戒しながら急遽聞きたいことを聞く。
「助かった、鶴羽。……ただ俺の怪我は誰が治療したんだ?」
俺は鶴羽に肩を担がれて、味方のいる陣地に向かって運ばれている最中だったようだ。
気絶したのは脳震盪ではなく、失血性のショックだったと思う……んだが。
何故か体の調子がいい。アーシアに回復されてもここまではならないと思うぞ?
「……あ~、全然分かんない」
「どんな返答だよ!?」
だからそんな答えが返ってくるとは思わなかった。
「ちょっと意識が飛んでて気づいたら、右手が凄く痛くて完全回復してたのよ。和地も血まみれだったけど怪我とかは全然ないわよ?」
「マジで!?」
どんな状況になってるんだ、いやマジで。
何が起きたのか皆目見当がつかない。いやホント、どんなことが起こればそんな訳の分からないことが起きるんだ?
「ち、治癒魔術を無意識に使ったとか?」
「いや、私の魔術回路じゃそんな大怪我をすぐ治すとか無理だし。……ただ、右腕が痛いとあの人を思い出すのよねぇ」
「というと?」
意味深な返答に、俺は警戒をきちんとしながら促した。
すると言い難そうにしてたけど、鶴羽も意を決したようだ。
また仕掛けてくるエインヘリヤルマギア相手に共に攻撃を叩き込みながら、鶴羽は自分を納得させるように頷いた。
「……そういうサーヴァントに心当たりがあるっていうか、パパが死んだあとに参加した聖杯戦争でそんなサーヴァントのマスターになったのよ」
ふぅん……ん?
今さらりと流しそうになったけど、めちゃくちゃおかしなこと言ってないか?
「鶴羽。お前ってザイアに努めていた両親が爆発事故で亡くなった流れで施設に送られたはずだろ? 何時聖杯戦争に参加する余裕があるんだよ」
確かそんな身の上を聞いていたはずだ。
いや、情報をあまり語れないからついたブラフの可能性もあるな。まだ会ったばかりの頃だし、そこは……いや待て。
もう一つ、ちょっと気になることがあったぞ?
「お前、両親のことは寝言でもお父さんお母さんって言ってただろ? パパって今更おかしくないか?」
そうだ。そこもおかしい。
……ちなみに寝言を聞いたことがある理由は内緒だ。ベッドのあととか勢い余ってとだけ言っておこう。
そして盛大に鶴羽は肩をびくりとさせていた。
「……えっと、その……」
めちゃくちゃ言いたくなさそうだ。
ま、この状況で聞くことも出ないし、親しい中にも礼儀があるな。
俺はすぐに意識を切り替えるると、ショットライザーを確認する。
とりあえず、変身する分には問題ないな。
「ま、その辺は機会があればでいいな。それよりも―」
すぐに再度変身をしようかと思った時、俺達は巨大な炎を見た。
Other Side
放たれる灼熱は、B++ランクの対神宝具。
ラグナロクに由来する炎の具現化がこの宝具であるがゆえに、こと北欧神話に由来する神々において優れた特攻効果を発揮する灼熱を浴びれば、北欧の戦神トールと言えどただでは済まない。
……だが、しかし。
「……中々に熱い。だが我を焼くにはいささか足りぬな」
それを、ロキは強引に突破する。
深手は負った。重症だといえる。
だが致命傷には程遠く、そして驚異的な速度で怪我も治癒していく。
「……うっへぇ~。面倒極まりない」
「これに耐えるか」
襲い掛かる氷の戦士達を鎧袖一触を体現して迫るロキに、ローゲもホグニも嫌そうな顔を隠さない。
強敵であることは理解していた。それぐらいは分かっていた。
だが、これはあまりに厄介すぎる。
何が厄介なのかというと、いまだに星辰光の底が知れないということだ。
星辰光は、一部の例外や完全人造の人工惑星を除けば唯一無二だ。それはノウハウの継承が困難かつ全体に寄与しないというデメリットと引き換えに、敵に手札を悟られ難いというメリットを持つ。
想定する限りは自己強化系だが、それにしても強化の度合いが高すぎる。
これはどう低く見積もっても、人造惑星すら凌駕する。出力に限って言えば、星辰奏者という次元では断じてない。
例えるなら、いわゆるウルトラライトプレーンが星辰奏者で普通のレシプロ機が人造惑星と形容するのに対し、ジェット機の領域だと言ってもいい。
性能が明らかに異常と言ってもよいこの力は、真っ向から主神オーディンを相手取っても勝てるだろう。
そんな化け物に、ローゲとホグニは舌打ちすらする。
「……これは、一旦逃げる?」
「……そうだな」
茶化し半分のローゲに、ホグニは以外にもすぐにそう答えた。
意外そうに見るローゲだがホグニが苦々し気に見渡す視線の先を見て、それを理解する。
氷の戦士達の数が、少しずつだが減少方向に向かっている。
これはおかしい。
この宝具はいずれそうなるが、しかしそれにしても早すぎるだろう。何よりその際に起きる
それを理解して、ローゲはホグニの言い分を理解する。
「あっちゃぁ。既に地脈も込みで手を入れられてるってわけか。これはきっつい」
ならば、この状況での戦闘は少々不利だ。
これでは本領を発揮できない以上、勝ち目がだいぶ減衰している。
これは逃げる算段を整えた方がいいだろう。それを悟り、ローゲは素早く幻術を展開する。
ロキは憎い。己が神すら翻弄したにも関わらず、それを無かったことにするどころか己の栄光として取り込んだのだから、憎くないわけがない。
だが、ローゲは別に自分が報復に拘るつもりもない。
ロキが酷い目に遭うところを見れるのならそれで充分。アースガルズの神々も酷い目を見てほしいが、その為に意味もなく博打を打つ趣味など欠片もなかった。
そして、その本命はまだ先のこと。だから今はそこまではしない。
これは、ただそれだけの話である。
イッセーSide
うぉおおおおお!?
止まるな。止まったら死ぬ。
そんな決意を込めて、俺達は全力で飛行していた。
「……随伴とかそういうのに楽かなーって思ってたけど、飛べるって本当に便利! 飛べてなかったら死ぬじゃんこれ!」
「まったくでさぁ。あのままだったらイッセー先輩以外は削り殺されてましたからねぇ」
「……あ、あれ!? 一体何が……きゃぁあああああ!?」
「あ、正気に戻りましたの? 今全力で飛び回ってますのよ!」
自棄気味なヒツギはアニルを抱え、漸く我に返ったルーシアをヒマリが抱えてる。
そして俺は俺で、全力で飛んで逃げている。
……ちなみにヒツギが飛んでる理由は、さっき自分で言っていた理由でフライングファルコンプログライズキーを選択してたから。
高速飛行能力があるって便利なんだよなぁ。俺はドライグのサポートがないとまだ飛べないけど。
っていうかとにかくやばい! 敵の増援がやばい。
さっきからあの凄い炎とか、いろんなことが起こりまくってる。禍の団の連中も本気を出したってか!
俺は部長達を探しながら、同時にちらりと視線をある所に向ける。
それはフェンリルにくわえられたままのヴァーリだ。
敵の増援に対して、フェンリルはあえて冷静に周囲を観察している。
ロキとあいつがこの戦場でのツートップになっている以上、ロキが本気の戦闘をしているのなら自分が冷静に俯瞰して対応するべきとかそんな感じなんだろう。ただの狼とは比べ物にならない厄介なやつだ。
ヴァーリ・ルシファー。俺のライバル。
こんなところでやられるのは、正直俺も嫌だって思う。
だけど……。
その時だった。
ヴァーリが、俺にちらりと視線を向けた。
「……兵藤、一誠」
その声が、小さくてもしっかりと聞こえる。
「………悪いな、フェンリルは貰っていく」
……はい?
「我、目覚めるは―」
いや、ちょっと待て。
今なんて言った?
……まさか。
「あいつフェンリルが狙いだったのかぁああああ!」
「「「「『わぁっ!?』」」」」
他の皆が絶叫する中、ヴァーリが覇龍を発動させる。
そのオーラでフェンリルが吹っ飛ばされたと思ったら、ヴァーリはフェンリルに組み付いた。
「黒歌、俺を所定のポイントに飛ばせ! そのあとはアーサーと共に動くぞ!!」
そう言うなり、フェンリルと一緒にヴァーリの姿が消えた。
畜生、やられた!
フェンリルをどうするつもりなのかは知らないけど、あいつ最初っからそれが狙いで俺達に共闘を提案してきたんだな!?
くそったれ! いつか一発かましてやる!!
『イッセー! 荒れているようですが落ち着いてください! 今はとにかく皆と合流しないと!』
っと、そうだった。
シャルロットの声でふと我に返って、俺は慌てて周囲を見渡す。
くそったれ、このままだと、皆がやられるかも―
『……イッセー! 二時の方向、斜め下です!』
その時シャルロットが、俺より先に見つけてくれる。
すぐに振り返れば、そこには幸香の奴と睨み合ってる部長達とロスヴァイセさんが。
っていうか幸香とぶつかってるのかよ!? 皆大丈夫か!?
くそったれ! 間に合ってくれよ―
祐斗Side
幸香の発言に、朱乃さんは怒気を顕わにしていた。
「……何を……っ!」
抑えきれない怒りがバチバチと雷光となって漏れ出し、僕達も接近しづらい状況となっている。
だが、九条・幸香・ディアドコイは平然と、むしろ何を言っているのだといわんばかりのあきれ顔を浮かべていた。
「何をと言ってもなぁ? 表では嫌悪を浮かべておきながら、内心では好意であふれている。そんな感情を父親に向けているのが、我が覇王の魔眼から見れば駄々洩れだ……ぞっと」
花弁で雷光を即座に防ぎながらも、幸香は口を塞がない。
「言っておくが、細かい内情までは見れんぞ? 覇王の魔眼は本質的に同胞となれる者を見抜くことに特化しているが故、同胞でない者に関しては余程強い感情がなければ見れぬ。……まぁ、好意を素直に示せぬがゆえに反動で荒ぶっておるのじゃろうて」
「ふざ……けるなっ!!」
更に強大な雷光が放たれるが、幸香は結界も上乗せすることで容易く防いだ。
更にポリ窒素の魔獣を従えることで、僕達の介入すら牽制する。
そんな状況で、暴走寸前の朱乃さんの殺気を、真っ向から幸香は受け止めた。
「ふむ、
むしろその表情は呆れすら浮かんでいる。いや、あれはもはや哀れみか。
「
割と重い過去を平然と話す彼女は、本当にそれを重く受け止めていないのだろう。
だが同時に、朱乃さんに哀れみすら覚えている。
「だから親子の情は知識でしか知らぬが、だからこそ分からぬよ。どんな理由があるかは知らぬが、それだけの好意を持っておるのにも関わらず、何時死ぬかも分からぬ極限の戦場ですら敵意に偽るなど、父親にはもちろんおぬし自身にとっても悪いことでしかなかろうて」
「私が……あの男を……親だと思っていると!?」
暴走寸前と言ってもいいレベルで殺気立つ朱乃さんに、幸香は肩をすくめて首を横に振った。
そこまで重要な意味を持った話でもないということなのだろう。しかしだからこそ、嘘偽りのない疑問だったのだと痛感する。
「まあ、敵にそんな情けをかける趣味はない。受け止める価値ない言葉と思っておるのなら、何を言っても馬耳東風じゃろうしな」
そう切って捨てた幸香は、呆れた目で朱乃さんを見て―
「……まして、もう死ぬ貴様には関係ないことだろうよ」
―その言葉と共に、殺気が迫りくる。
この気配はフェンリスヴォルフレイダー!? それも―
「朱乃!?」
「……え?」
リアス部長が叫ぶが、しかし遅い。
既にフェンリスヴォルフレイダーは、その牙を朱乃さんに噛みつく寸前だった。
しまった。幸香に気を取られて他に対する反応が遅れて―
鮮血が、勢いよく舞った。
あとちょっとで例の奴が来ます。具体的には次の話で現れます。