好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ   作:グレン×グレン

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いや、お待たせして申し訳ありません。


……腰の調子が悪かったので、少しパソコンに向かっている時間が短くなってしまいまして。あと設定の付け加えの方でちょっと手間取っていることもあって遅くなりました。


今からヴァンパイア編のほうを書くところですが、こっから一気にオリジナルが増えていきますので、そのへんの調整にてこずっているところです。


三勢合一編 第七話 赤き龍の帝王の宣言

Other Side

 

 

 端的に言おう。神の子を見張る者が送り込んだ、対コカビエルの切り札であるヴァーリは、想像を絶する苦戦を強いられていた。

 

 それも、魔王クラスの力量を持つ悪魔の力を借りたうえでという、埒外の事態だ。

 

「これは……っ。お嬢様の近くに白龍皇が来ているのなら、牽制(挨拶)をするべきだと判断してはいけませんでしたか……っ」

 

「全くだね。かの銀髪の殲滅女王(クイーン・オブ・ディバウア)との共闘は滾るが、コカビエル如きにこうも手こずらされるのは歯がゆいな……っ」

 

 リアス・グレモリーの義理の姉にして、その兄でもあるサーゼクス・ルシファーの妻である女王でもあるグレイフィア・ルキフグス。女性悪魔としては現レヴィアタンのセラフォルー・レヴィアタンや、レーティングゲームランキング二位かつ女性ランカー一位のロイガン・ベルフェゴールと肩を並べる傑物である。

 

 こと、ルシファーに関しては多少は感心があるヴァーリからすれば、現ルシファーの妻であるグレイフィア・ルキフグスと肩を並べられるのには色々と感慨深いものもある。

 

 ……だが、それで前座に手こずるというのは、流石に苛立ちを感じる展開ではあった。

 

 それを成すのは三種類の魔獣。

 

 赤と白、そして紫の龍の鎧を模した魔獣が、総数百近い数でこちらを包囲する。

 

 しかも赤と白は二天龍の力を完全下位互換とはいえ使っており、あろうことかこちらの力に干渉すらしている。

 

 紫は他二種類に比べれば特色はないが、基本性能では同一であり、これもまた苛立たせてくる。

 

「……二天龍の力を模造するとは、反吐が出る侮辱だな。コカビエルは俺のことがよっぽど嫌いらしい」

 

「まあ、二天龍はかつての三大勢力の争いを引っ掻き回してますからね。戦争継続派からすれば苛立つものでしょう」

 

 そう答えながら、グレイフィア・ルキフグスも歯をくしばって現状に苛立ちを覚えている。

 

 義妹であるリアスの窮地に思うところはある。また生きてきた歴史が長いがゆえに、コカビエルが今のリアスにとって荷が重すぎる相手であることも分かっているからだ。

 

 だからこそ―

 

「いいだろう。ならば遠慮なく叩き潰してやるとするか……っ!」

 

「そこをどきなさい。お嬢様に……リアスに危害は加えさせないわ!」

 

 ―全力中の全力で、敵の殲滅に意識を集中する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それが、何の意味もないことも気づかずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 イッセーSide

 

 

 

 

 

 

 

 お、おぉおおおおおおおお!!!!

 

 今、俺達は胸が熱くなった。

 

 イリナから奪った分も含めて、合計四本のエクスカリバーを合一化させたコカビエル達。

 

 バルパー・ガリレイの野郎が言うには、あと三十分で駒王町どころか、周囲の街もまとめて吹き飛ばせるとかいう、聖杯まで使った緊急事態。

 

 しかもコカビエルはこっちの増援に足止めを送ってるとか言ってきやがった。カズヒや九成達が手こずった連中を何十体も送り込んだとか。

 

 そのくせ、エクスカリバーを使ってるのはフリードだ。

 

 因縁あるしムカつく奴だし、しかも腕も立つから困ったもんだけど、そこで奇跡が起きた。

 

 人工的に聖剣使いを作る為に必要な、他人から取り出して集めた聖剣因子。

 

 その、木場の仲間達から抜き出した因子が、木場に宿ってあいつは至った。

 

 魔剣創造(ソード・バース)禁手(バランス・ブレイカー)双覇の聖魔剣(ソード・オブ・ビトレイヤー)

 

 聖と魔が融合した聖魔剣は、合一化したエクスカリバーと真っ向から切り結んで、しかも押した。

 

 更に無事だったゼノヴィアは、本来のエクスカリバーと同じぐらい凄いデュランダルって聖剣を引き抜いたし。なんでも天然物の聖剣使いだけど、デュランダルは強すぎて扱いきれてないからエクスカリバー使いも兼任していたとか。ひと悶着遭った時に言った「奥の手」とかいうのはあれのことだったらしい。

 

 それであっさり押し切られたフリードを、木場がついに切り伏せた。

 

 ……くぅ~! なんてかっこいい展開してんだよ、あのイケメン!!

 

 羨ましい! 妬ましい! イケメンは心どころか、勝ち方すらイケメンなのか!?

 

 だけど、だけど、だけど!

 

 それでも仲間の因縁が清算されたんだ、あとでしっかり肩を叩いて認めてやらないとさ!!

 

 うわああああああん!! 絶対リアス部長も可愛がるし褒めるよぉおおおおお! 羨ましいけど確かにそうだしちくしょおおおおおおお!!!

 

 おっと、まだ一人残ってたの忘れてた。

 

 コカビエルはともかく、聖剣計画の責任者で、しかも殺さなくてもいいのに木場の仲間達を殺した奴は許せねえ!

 

 覚悟しやがれ、バルパー!!

 

「まさか、まさかそうなのか? 聖と魔という混ざり合うことが本来ありえない聖魔剣の存在は、つまり……」

 

 って、あれ?

 

 あれだけエクスカリバーに執着しているとか言ってたのに、バルパーの奴はなんかほかのこと考えてるぞ?

 

 あ、現実逃避か。目の前でエクスカリバーや自分の研究が色々敗けてたから、ショックで逃げてるのか。

 

 気持ちは分かる。俺もイケメンに女が集まってたり、イケメンでもないのに彼女が出来てる奴がいたらそういうことするから。裸の美女美少女に囲まれている光景を妄想すると、心の痛みが消えるよなぁ。

 

 俺が内心でしたくもない共感を覚えてると、なんか急にバルパーが目を見開いた。

 

 なんだ? まるで視界の隅でスカートが捲れてパンティーが見えたその瞬間みたいだぞ?

 

「そうなのか! 聖と魔というバランスが崩れる、すなわちその象徴となる存在の消滅!! つまり、初代四大魔王だけでなく、か―」

 

 その瞬間、バルパーが吹き飛んだ。

 

 気づけばそこにあるのは、さっき体育館を吹き飛ばしたのと同じぐらいでかい光の槍。

 

 ってことは、投げたのは―

 

「どういうつもり? 彼はあなたの味方でしょう、……コカビエル」

 

 ―部長が睨みを利かせる先、コカビエルがつまらなさそうに光の槍を投げ終わっていた。

 

 な、なんでだ?

 

 リアス部長の言う通り、バルパーはコカビエルと組んでたんだろ?

 

 それを殺すとか、何考えてるんだ!?

 

「……そうだったな。役に立ちそうにない上に、最重要秘匿事項を口に仕掛けたのでついな。……まあ、今更隠す必要もないのだが」

 

 え、そんな理由で!?

 

 さすがにバルパーがかわいそうになってきた。あと、バルパーが言いかけた最重要秘匿事項ってのが気になる。

 

「ちょうどいい。冥途の土産に教えてやろうか」

 

 しかもいうのかよ。

 

 完全にバルパー無駄死にじゃねえか。せめて木場に敵を討たせてやりたかっ―

 

「奴が言いかけた通り、聖と魔のバランスを司る存在は双方ともに消滅した。具体的には初代四大魔王と相打ちになって聖書の神も死んだのさ」

 

 ―へ?

 

 なんか今、結構びっくりなことをさらりと言ったな。

 

 そっか。聖書の神様って死んでるんだ。それも四大魔王様の初代と一緒に。

 

 へ~。じゃあ今の神様って二代目なのか。えらい天子さんとかがやってるんだろうなぁ。

 

「………ぅ、う……ううう……」

 

 あれ?

 

 なんか、ゼノヴィアが滅茶苦茶顔を真っ青にして震えてる。

 

 っていうか、アーシアも同じぐらい顔が真っ青になってる。

 

 っていうかなんで部長達まで真っ青になってるんですか? 俺達悪魔だから、聖書の神様が死んでても問題がないような……?

 

「……嘘だ! そんなバカなことがあるものか!!」

 

「真実だ。証拠はそこの悪魔の持っている聖魔剣で十分すぎる。バルパーが気づいたように、聖と魔を司る存在がともに消滅してバランスが崩れなければ、絶対にありえないのが聖魔が融合した力なのだからな」

 

 ゼノヴィアが吠えたその瞬間、コカビエルがそう言った。

 

 え、木場の聖魔剣ってそんなにすごいのかよ。もしかして、俺の赤龍帝の籠手よりレアなのか!?

 

「そんな、では、主の奇跡……は……?」

 

 っていうかアーシアの顔色がやばい!

 

 もう真っ青を通り越して真っ白じゃねえか!?

 

 で、コカビエル。まともな答えを返してくれるんだよなぁ!?

 

「聖書の神はシステムを作り上げているから、それを運用する形でミカエルはよくやっているな。だが、神でない以上できることには限度があるがな」

 

 最悪の答えを出しやがった……っ!

 

 あ、アーシアが崩れ落ちた!?

 

 慌てて駆け寄ろうとしたとき、すぐに走りってアーシアを支えてくれる人がいた。

 

「シャルロット!」

 

「……無理もありません。神が死んでいるなんて、敬虔なキリスト教徒にとってあまりに重すぎる話です」

 

 痛ましい顔をして、シャルロットはアーシアをゆっくりと横たえた。

 

 と、とりあえずショックで呆然となってるけど、息はしてる。

 

 それでもここまでショックを受けるなんて、大丈夫かよ。

 

「魔王様と同様に神まで死んでるなら、もう戦争なんてする必要がないでしょう!? いったい何を考えてるのよ!?」

 

「逆だろう? 神も魔王も死んだのなら、それこそ堕天使が勝利をつかむ好機。それに天使や教会はもちろん、悪魔からしてもだからこそ勝利をしなければ意味があるまい」

 

 リアス部長が大声を上げるけど、コカビエルはそう答える。

 

 そして、歯ぎしりしながら苛立たし気に拳を握り締めた。

 

「だというのに、アザゼル共は「二度目の戦争はない」とかぬかし、神器などというおもちゃに拘る始末だ。神滅具や禁手に至ったのならともかく、そうでないものが何の役に立つ!」

 

 コカビエルはそう言いながら、今度は適当なところに光の槍を叩き込んだ。

 

 マジかよ。体育館やバルパーを吹き飛ばした時より威力がある。

 

 あいつ、今まで本気なんて欠片も出してなかったのか!?

 

「そのくせ安定性がろくにない星辰光(アステリズム)や、数は揃えられるがおもちゃ止まりのプログライズキーにまで目移りしやがって。強者を意図的に出しうるサーヴァントを呼び出せる聖杯戦争の方が、聖杯も手に入る分価値があるだろうに、「危険すぎる」だのと最小限の研究にとどめるとか、どうかしてるとしか言えやしないな!」

 

 そして、コカビエルは俺達を見下してくる。

 

「だから、俺だけでも戦争を起こしてやるのさ! 既に聖杯も完成寸前、あとはそこの娘を殺せば終わるからな」

 

 なろう。狙いはシャルロットか!

 

 させるかと、俺は立ち上がろうとして―

 

「そして、お前ら程度なら片手間で殺せるしな。―唯一足る猛毒(タワー・ドゥ・タンプル)

 

 ―()ってぇえええええええええええ!?

 

 なんだ!? 体中が、中から痛い!?

 

 頭の中すら痛い。しかも、全部滅茶苦茶痛い!?

 

 見れば、リアス部長達やゼノヴィアも、全員もだえ苦しんで倒れてる。

 

 なんだよ、これ。いきなりこんなこと、神器でも持ってるのかよ。

 

「――聞こえてないだろうが教えてやる。神の子を見張る者(グリゴリ)は神器研究の最先端だが、劣化互換でいいなら人工的に作り出すことも可能になっていてな。これは封印系神器であり、令呪との重ね掛けでサーヴァントの力を自身が使えるようになる代物さ」

 

 マジかよ。そんなことができるってのか?

 

 俺が歯を食いしばっていると、コカビエルはため息をついた。

 

「最も、令呪三画をすべて使い、とどめに使うやつが強大である必要があるがな。それこそ最上級堕天使クラスはないと、ろくに使うことができやしない」

 

 つまり、強い奴が更に強くなるってことなんだろうが。

 

 クソッタレ、部長達は動けないの。っていうか、動くってことも考える余裕がないのかよ……。

 

 そんな中、シャルロットは歯を食いしばりながら、何時の間にかコカビエルの前に立っていた。

 

 動けるのか、シャルロット……!

 

「……体内を犯すこの激痛。そしてあの魔獣。まさか、貴方のサーヴァントは……っ」

 

「ああ。ルイ十七世。お前達フランスの市民がとっ捕まえ、徹底的に苦しめた悲劇だけで英霊になったバーサーカー。お前のおかげでここまでの奴ができたともいえるがな、シャルロット・コルデー」

 

 あいつ、シャルロットの正体にまで気づいてるのかよ!?

 

 シャルロットもちょっと驚いてたけど、いつの間にか包丁を取り出して構えていた。

 

「お前が勢いで奴らを活気づかせてからこそ、ここまでの負の怨念がこいつには詰まっている。魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)こそ今は使いまくった所為でインターバルがいるが、「範囲内の指定した対象に自分の末期の状態を味合わせる」なんていうのは中々便利だと思わないか?」

 

「全くです。自分の愚かさには反吐が出そうになりますね」

 

 シャルロットは、歯を食いしばりながら、それでも立って構えてる。

 

 俺達を、守る為に……っ。

 

「だがお前では俺には勝てん。もし俺の部下になるのなら、生かしておいてもいいとは思うがな」

 

 ……コカビエルがなんか言ってるけど、俺はそんなこと気にしない。

 

「悪い冗談ですね。私如きにそんな力があると?」

 

 シャルロットの言葉も、今は聞かない。

 

「アサシンのクラスなのだろう? お前の美貌を含めれば、諜報には役立ちそうだと思うんでな。どうだ? 待遇は応相談-」

 

「考えるまでもありません。論外です」

 

 立てよ、俺。

 

「私が愚かなのは百も承知です。そして、その愚かさで更に血を流すなんて、もっと御免です」

 

 俺は、さっきなんて言ったんだよ。思い出せ。

 

「そうか。お前も候補だったんだがまあ仕方がない」

 

 シャルロットも忘れてる。だから俺が思い出させろ。

 

「まあ、既に一度死んでいるんだ。だからさっさと死に戻ると―」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふっざけんじゃ、ねぇええええええええええ!!」

 

 俺は全力で立ち上がると、そのままコカビエルに殴り掛かる。

 

 くそ、受け止めやがったなこの野郎。

 

「この宝具の中で二人も動ける奴がいるとはな。いい根性だ、褒めてやる」

 

 コカビエルはそう言いながら、なんか俺の方を見て面白そうな顔をしやがった。

 

 こっちは全然面白くねえよ。せめて殴られてろってんだ。

 

「そういえば赤龍帝だったな。俺と一緒に来るなら、女も金も見繕ってやるが、どうだ?」

 

 女だと?

 

 ハーレムが作れるのか?

 

 めっちゃ嬉しい。

 

「……だが、断るっ!!」

 

「血涙流れてますよ!? そんなにお金に困ってるんですか!?」

 

 シャルロットがなんか驚いてるけど、今はそこじゃない。

 

「ハーレム王を目指しているけど、めっちゃくちゃ一瞬食いつきたくなったけど、今はそんなことどうでもいい!!」

 

「そっちですか!? この状況で!?」

 

 なんかシャルロットが本気で驚いてるけど、今はそっちじゃない。

 

 滅茶苦茶なりたくてたまらなくて、「え、マジで?」ってなりそうだけど、今はいい。

 

 っていうかその前に―

 

「シャルロットが一度死んでるからって、だから二度目も死んでいいとか、ふざけんじゃねえ!」

 

 ああ、はっきり言ってやるよ。

 

「シャルロットは俺のサーヴァントだ。シャルロットはこれからいっぱい俺達と過ごすんだ」

 

 そうだろ、兵藤一誠。

 

「前の人生が大変だっていうんなら、今度の人生ぐらい一杯笑って一杯幸せになるのがいいに決まってる。俺はハーレム王になるんだから、自分がマスターになってる可愛い女の子の為なら一肌脱ぐって決めてんだよ」

 

 ハーレム王になりたいんなら。

 

 最強の兵士(ポーン)になりたいんなら。

 

 部長の自慢になりたいんなら。

 

「第一」

 

 全部まとめてやるんなら―

 

「俺の大事なリアス部長()アーシア(友達)シャルロット(サーヴァント)に仲間達を苦しめた野郎の誘い文句なんて聞くわけないだろ。どれだけどれだけどれだけ欲しくても……受け取ってたまるか、この野郎がぁあああああ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

Other Side

 

 

 

 

 

 

 その少年は、とても正直に本心を叫びきった。

 

 煩悩が全く隠せてないのは困りものだが、同時にそれは彼女の心を強く打った。

 

 自分のことが嫌いだった。

 

 馬鹿なことをしたと思っている。一時の感情で道を踏み外し、しかも行ったことは惨劇を止めるどころか減らせもしない。結果的にそれ以上の惨劇の引き金にまでなってしまった。

 

 そのくせ、願いを叶える権利が死後来ておきながら、それを取り戻すわけでも贖罪するわけでもなく、ただ「間違えない人生」を求めるのだから、自分自身が嫌いになっていた。

 

 ……それでも。

 

 それでも、彼は自分を庇って前に出ている。

 

 真っ直ぐな少年だ。性欲にも真っ直ぐなところは苦笑するが、それでも立派な少年だ。

 

 この激痛が、普通は立っていられるようなものでないことは分かっている。

 

 自分の精神力にも感心するが、それと同じぐらいの精神力を振り絞る目の前の少年は、本当に眩しく見える。

 

 それが、自分以外の者達も含めてはいるが、自分を助ける為にも引き出されていることに涙が出る。

 

 ……死なせてはならない。

 

 この状況下でつい欲しいと言ってしまうような程の餌をぶら下げられながら、それでも自分達の為に投げ捨てて、勝ち目のない戦いに挑もうとしている一人の少年。

 

 彼を死なせてはならない。

 

 今この時、シャルロット・コルデーは自分の願いを新たにした。

 

 自分が間違えない人生を送ることは、二の次で良い。

 

 だけど、それでも、少なくとも。

 

 その願いの為には、自分もそう簡単には死ねない。だから、自分も生き残ろうとしなければならない。

 

 それがどれだけ罪深いと思っても。

 

 きっとそれに苦しむことになろうとも。

 

 かつて信仰に生きた身として、後ろ指を刺されることになろうとも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―この、真っ直ぐな少年が道を間違えないことこそ、今の霊基(自分)だけが望む本心の願いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 その思いに、力は答える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして同時期。

 

 結界の中に飛び込み、

 

 同時に宝具の影響で激痛を覚え、

 

 しかしそれをすぐに乗り越えて走り出す者達が、二人いた。

 




 唯一足る猛毒(タワー・ドゥ・タンプル)の効果は、一言でいえば「多臓器癌を患った状態を疑似体験させる」というシンプルなものです。最もそのレベルの病状を健康体がいきなり味わえば、とても動けるようなものではないですが。

 いや、然しルイ17世の人生は悲惨の一言ですよね。今回コカビエルがある程度制御できることを踏まえてサーヴァントの新規設計を行うことになりましたが、ルイ17世は悲惨の一言です。今回は「兵器」をコカビエルが求めたのでバーサーカーでしたが、物語的にある程度の救済は与えたいとは思うので、状況が許せば別霊基別クラスのサーヴァントとして出したいところ。
 ………シャルロットのメンタルはガリゴリ削られるでしょうけど。いや、そう考えるとちょっと躊躇するなこのプラン

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