好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ 作:グレン×グレン
まだ冥革動乱編も書き切ってないのに、次の章の題名でいいのを思いついてしまいました。
五勝はウロボロス編とヒーローズ編を使い、カズヒ達道間家関連の事情説明を行い、そして本格的に和地がカズヒを惚れさせる話となっております。
カズヒ関連のグレン×グレン作品史上でも特にモデル作品が鬱な事情を明かすことで、カズヒにヘイトが集まらないかと正直不安。評価が下がる可能性すらあるので、それまでに高評価を稼いで推薦を誘発したいなぁもう! って感じなぐらいです。
まあそれはそれとして、どうぞ!
和地Side
最も、出発までは少し時間がある。
なのでちょっと時間を持て余していたんだが……イッセーの奴、何を落ち込んでるんだ?
アザゼル先生やロスヴァイセさんと一緒にいるけど、相当落ち込んでいるな。
このタイミングでメンタルが不調とか、流石に不安だ。愚痴を聞いてガス抜きぐらいはさせてやるべきか。
「……どうしたんだイッセー? 一体何が―」
「京都の痴漢はイッセーが原因だったんだよ」
先生が言ったことに理解がさっぱり追いつかない。
俺は説明できそうなロスヴァイセさんに視線を向けるが、こっちはこっちでもう二日酔いだ。
別の意味で大丈夫か不安だな。
仕方ないのでイッセーに視線を向けると、何とも言えない表情だった。
「新幹線に乗ってる時に飛んで行った俺の可能性が憑りついた人が、おっぱいを求める痴漢になってたんだ」
「……俺は、一周回って嫌味抜きでお前を凄いと思ったぞ」
どういう意味だよと言いたげな視線が返ってくるが、実際嘘偽りなんてない。
真剣に視線を合わせて、両手をイッセーの方において断言する。
「どいつもこいつも理性を失ってただろうが。お前普通に生活できてる時点で奇跡だって」
「反論できねえ!」
いや本当に感心したぞ。
松田もおそらく被害者なら、イッセーの性欲は常人では精神汚染のレベルだということだ。それで普段からあれなら納得だし、むしろ敬意を向けるべきかもしれないぞ。
そりゃ一日七回から七日に一回の頻度でひきつけも起こす。むしろその程度で済んでいることを褒めるべきだ。
「とは言っても、痴漢になった人達にはフォローしてあげないと。イッセーが悪いわけじゃないけど、過失ゼロってわけにもいきませんし……ねぇ?」
「アジュカの奴も巻き込んでやるか。悪魔の駒のブラックボックス解放は絶対に要因だろうしな」
そうだな。これはマジで何とかしないといけない。
いや、イッセーからしても予想できるわけはないんだが、かといって痴漢に走った原因である以上何かしらの補填は必須だろう。
まぁ、それ以上にきっかけを作ったアジュカ・ベルゼブブさんも巻き込めば資金面はどうにかなるか。おっぱいドラゴン、印税が凄いことになってるらしいし。
「とりあえず、
「それもそうだな。いやぁ、文明の発達に伴って異形を隠すのも大変だと思ったのが昔の話になってきたな。
俺の提案に先生も即座に乗っかってくれる。
イヤホンと、星辰光は何が出てくるか分からない一芸特化が結構多いからな。こういう時、そういう星辰奏者が出てきたことにすればそれで押し通せるところがあるよなぁ。不幸中の幸い。
「それはいいですけど、反省は必要ですよ、イッセー」
と、シャルロットがそこで割って入ってくる。
「そもそもの話、下手な核兵器を超える戦術的価値を持つ
「うん。今度からはもうちょっと安全なところでやるよ。……痴漢多発の原因とか、正直シャルロットにも痴漢になった人にも悪かったし」
イッセーも素直に反省しているようだ。
とはいえ、イッセーはそれとは別の意味で考え込んでいるみたいだな。
「どうしたんだ、イッセー?」
なんていうか、このタイミングで悩まれると困るんだが。
そしたらアザゼル先生が、何かに納得した感じでうんうんとうなづいていた。
「なんだかんだで色々と考えるお前のことだ。英雄派について考えてたのか?」
「似たようなもんです。というか、
な、なんか深い話になりそうだな。
「ある意味お前も、三大勢力にとって英雄だろ」
「それ言ったら、お前も似たようなもんだろ」
即答で返されるけど、ちょっと……なぁ?
「お前の活躍には劣るって。ことロキ戦において、俺はちょっと目立つモブ程度だったろうしな」
というか、カズヒ姉さんやイッセーのパワーアップっぷりに比べると、俺はどうも目立たない気がする。
いや、インガ姉ちゃんやリヴァ先生を引っ張り上げれたのは良い事だとは分かっている。そこに関しては胸を張れる。
大体俺の主眼は「涙の意味を変える」ことや「そもそも嘆きを生まない」ことだ。褒められるのは嬉しいし、カズヒ姉さんを惚れさせたいし、ボーナスが貰えるのは良い事だけど、渇望的なところに名誉欲はない。
それだけ原初の誓いが強いってことだけど、それを踏まえてもだ。
「窮地において俺は、どうしても突破力というか打開においてはあまり尽力できてない。守りにおいては出来ているとは思うが、それでも活躍という点ではお前やカズヒ姉さんには負けるからな」
「その割には、落ち込んではいませんね」
シャルロットに指摘されるけど、それはそうだ。
「結果的に本願は叶えてるからな。……と言っても、今後を考えるとちょっと不安だけど」
「確かに……な」
先生もその辺は納得しているようだ。
「言い方は悪いが、お前は精神面が成熟しているうえ地に足をしっかりつけるタイプだ。常に自力で出せるギリギリを出して戦える安定した強みを持つが、爆発力にはどうしてもかけているからな」
「やけにはっきり言いますね」
イッセーに首を傾げられるけど、これに関しては納得できる。
「
俺がそう言うと、先生も頷いた。
「で、メンタル面については
先生の言うとおりだと思う。
実際問題、逆のパターンは当てはまりやすいからな。
「まあ、逆パターンの「出力差が激しい奴はメンタル面でも爆発力がある」ってケースはもっと当たりやすい。たぶんだが、イッセーは絶対出力差が大きいタイプだし……な?」
そう言いながら、リーネスや鶴羽と話し合っているカズヒ姉さんの方をちらりと見る先生。
……うん。言うまでもない。
カズヒ姉さんはまさにそれがぴたりとあてはまっている典型例だ。
「
実際カズヒ姉さんの星辰光は、星辰光占いの信憑性を高くするタイプだと断言できる。
「ちなみに、「出力差がデカい」「最高出力も高い」「それとは別に収束性も突き抜けてる」の三点セットは高確率で「ヤルと決めたら死んでもヤル」タイプだ。根性で激痛とかも無視して突貫するような化け物だと思え」
「「「凄い納得です」」」
先生の説明に、三人が揃って納得する。俺も後ろでうんうんと頷いたとも。
ぶっちゃけカズヒ姉さんはまさにそのタイプの典型例だと思う。
そもそも性能を高くするには肉体的な資質も必要だから、絶対ではない。だが強力な星辰光と断言できるようなタイプの星辰奏者は、大抵の場合星辰光の性能で性格がある程度読めることが多い。
そういう意味だと、俺の場合は―
「性能が全体的に強力なうえで、出力差が大きくない。この手のパターンは土壇場の窮地より安定してポテンシャルを発揮するタイプに多い。神器持ちでもこのタイプは、禁手に至りにくいと統計的にも出てるんだよ」
そんな先生の説明的にも、俺はやっぱり禁手になりにくいわけだ。
「いっそのこと、英雄派から技術でも奪った方がいいんだろうか」
「やめとけやめとけ。禁手ってのは神器が極限の思いに応える形態だ。理論的に至れる方法で至ったとしても、本質的には劣っていると考えるべきだろうさ」
先生はそう言うが、しかしなぁ。
「天然だから人工より下というのは横暴では? ダイヤモンドも人工の方が強度は高いと言いますし、文明社会では何かしらで人工にしている方が基本的には優秀ですよ?」
「原理が細かく解明してるならそれもありだが、まだまだ未開の分野で人工だよりってのはやはり脆いと思うがな。特に和地は神器関連のレアケースだし、天然で至ってこそだと思うだけどよぉ」
「うぷっ。すいませんが、ちょっとトイレに……」
シャルロットとアザゼル先生が議論になる中、ロスヴァイセさんがトイレに特攻した。
まだそんなに酔ってるのか。どんだけお酒に弱いんだというか、いっそのこと星辰奏者になれないものかと思うというか。
まぁ、話を戻すか。
俺はイッセーに向き直ると、話を元の方向に誘導する。
「で、英雄について考えてたって言うが、どうしたんだ?」
「いや、なんていうか……そもそも曹操ってどんな人なんだろうって。……言っとくけど、史実の方だぞ?」
その言葉に、俺はそういえばよく知らないなぁと思った。
たぶん三国志の漫画とかは参考にしない方がいいだろう。
というわけで、ちらりと現物を知っているかもしれないアザゼル先生に視線を向けると、先生はうんうんと頷いた。
「そうだな。手っ取り早く
人材狂いか。
「細かいことは各自で調べてもらうが、曹操という男は当時の価値観としては異例なほどに、地位や身分を重視せずに能力がある物を集めていた。そういう意味では英雄派の曹操もそうだが、手段がえげつないのが頂けんな。史実の曹操は三国志で言うほどは悪役じみてないぞ?」
ふんふんなるほど。
と、イッセーは何か深く考え込んでいる。
怪訝な表情を浮かべていると、アザゼル先生がため息をついた。
「まったく。大方自分が英雄に打倒される悪魔だってんで、その辺無駄に考えこんでるんだろ?」
そういうと、先生はシャルロットの肩を掴んでイッセーに押し付ける。
「ちょ、アザゼル総督!?」
「先生!? ちょ、恥ずかしいからストップ!」
「いいからその状態でよく聞け。……シャルロット・コルデーも味方にとっては英雄に負けず劣らずの偉人だ。だが、お前はシャルロットを見てそんな風に考えるか?」
そういわれて、イッセーはぶんぶんと首を横に振る。
「ありません! シャルロットはそれ以上に俺の相棒で、家族で、仲間です!」
……シャルロットがちょっと顔を赤くしている。うん、そういうとこだぞイッセー。
でもまあ、先生の言いたいことが何となく分かった気がして、俺はなんていうか苦笑する。
「つまり、その程度でいいってことですか先生?」
「そういうこった。英雄の意味だのなんだの考える暇があるなら、そいつ自身を見て判断しろ。特にイッセー、お前はそこが良いところだぜ?」
確かにな。
そういった視点をあまり持たず、個人の人柄とかを見る。そして体当たりで寄り添ってくれるのが兵藤一誠。ハーレム王になってる男だ。
英雄が何たらとかそういうことは、イッセーにとってあまり重要な価値観じゃない。考える必要がある時が来ても、そこに囚われたららしくない。
なんていうか納得してると、先生がにやりと笑ってイッセーの顔を覗き込む。
「お前の夢は何だったんだ? 言ってみろ!」
「おっぱい一杯夢いっぱいの、最高のハーレム王になることです! そして
!」
「そういうこった! お前はそれでいいんだよ。何よりそんなおっぱいドラゴンだからこそ、俺達やガキどもはお前に期待してんだからな!」
そう言ってにっこり笑った先生につられて、俺やシャルロットも笑ってしまう。
ま、イッセーはそっちの方がらしいよな。
で、そして出発のタイミングになったらひと悶着だ。
「今すぐ戻るか絞め落とされるか好きな方を選びなさい」
「鬼かお前!」
殺気一歩手前の睨みを利かせるカズヒ姉さんに、イッセーが思わずツッコミを入れた。
二条城に向かう為に移動手段を待っていた俺達に、九重が一緒に行きたいと突っ込んできた結果、こんな感じになっている。
「そこまで言うことないだろ? もしかしたら八坂姫を助ける力になるかもしれないし、ちょっと可哀想だろ」
「具体的にどう役に立つかも提示できないのに、要人を前線に送れるわけないでしょ? もし何かあればあなたや私の責任じゃすまないわよ?」
「なら俺達が守ればいいだろ? 何の為に俺達は一生懸命鍛えてきたんだよ」
「少なくとも私は違うし、そもそもそれは慢心でしかないわ」
なんて感じで、イッセーとカズヒ姉さんで言い合いになっている。
あ~、コカビエルの時もそうだったけど、この二人って根っこの相性は悪いところあるよな。
暗部部隊のダーティジョブを覚悟完了しているカズヒ姉さんと、子供のヒーローを地で行く節がある人気者なイッセー。スタンスが違うのは当然だし、相容れないところは徹底的に相容れない。
普段は双方ともに無駄な揉め事は起こさないし、どっちも双方に多少の理解があるからまとまってるけど、ガチで対立すると絶対激しくなると思ってはいたよ。
「リアス部長やクロード長官、アザゼル先生に魔王ルシファーの責任問題にも繋がるわ。私やあなたが罰則受ける程度で済む行動で納めるべきだと思わないの? 彼らに恥ずかしくないのかしら?」
「ここで九重を突き放すことがいいって? そんなもん、ファンの皆にも、そんな人達のヒーローでいてほしいといったサーゼクス様にも、俺を信頼してくれる部長にも、もっと恥ずかしいに決まってる!」
……お互いの言い分が分かるし、何より二人が重点を置いているスタンスが違うから平行線確定だな。
となると、此処でガチバトルになるまでに何とかするのが俺の役目……か。
「ハイハイ二人ともちょっとテンション落として! とりあえず俺に話をさせろ」
そう言って割って入ってから、九重に屈み込んで視線を合わす。
九重はイッセーにしがみつく形で、意地を見せている感じだった。
まあ、今回の問題は通すべき筋を通せば片が付くから、そこまで意地になる必要はない。
「なあ九重? 今お前が無断で俺達についていったら、いろんな方面に迷惑がかかるんだ。……どうしてもついていきたいなら、やるべきことは別にある」
「……そうなのか?」
よし、つかみは行ける。
俺は目を閉じてうんうんと頷きながら、言うべきことをはっきりと告げる。
「無理を通したいならきちんと許可を取れ。どうしても助けに行きたいというのなら、その価値があることを三烈さんとかアザゼル先生にしっかり認めさせろ。こんなところで我が儘を言うより、そっちの方がよっぽど建設的だ」
実際それが筋ではあるからな。
なんていうか空気が温くなった気がするけど、そこが重要なんだ。いやホント。
「通すべき筋を通していれば、カズヒ姉さんだってある程度は妥協するさ。反論も許可を出した先生に向けられるし、そもそも先生が許可を出したのなら先生の責任関係は八割がた俺らも無視できる」
誰もが聞き入っている気がするから、このまま続けるか。
なんていうか本当に静かになった気がするし、このまま続けて―
「……おーい。ちょっと目を開けろー」
「和っちゴメン。なんか、マジゴメン」
―あれ?
何故か聞き覚え在りすぎるけどここで聞こえるわけがない声が聞こえるぞ?
嫌な予感がして目を開けると、そこは破壊されていた偽京都の二条城。
そして何より―
「……悪い。取り込み中だったか?」
「悪いけど、和っち以外は別にいるから」
―ベルナと春っちだ。
これ完璧に恥ずかしい奴だ!?
ぶっちゃけ星辰光占いとかあったら、血液型占いよりよっぽど正確な結果が出そうな気がしないでもない。
肉体的資質もあるとはいえ、精神性が能力に反映されている感じは少なからずある作品ですからね。自分も星辰光を作る時は、保有者の性格を反映させるようにしております。
それはそれとして、盛大にもめるイッセーとカズヒ。
常在戦場覚悟完了なダーティジョブ担当のカズヒと、本作では原作以上に恥じない行動をモットーとするイッセー。普段はお互いに評価しているところもありますが、合わないところは絶対に合わないタイプです。
なので和地がフォローに回ろうとした結果、タイミングが悪く木っ端図かしい展開になってしまいました。頑張れ和地。