好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ 作:グレン×グレン
今回は、イッセーたちが転移させられた後の京都側のお話!
アザゼルSide
「九尾の嬢ちゃんごとイッセー達が消えただとぉ!?」
俺は連絡を聞いて、思わず絶叫しちまったよ。
「九重殿までとは、これは困りましたな……」
三烈の奴も歯噛みしている。ま、これは当然だろう。
ったく、あの嬢ちゃんには大人しくしとけって言ったんだがな。我慢できずにイッセー達についていこうとして、そのまま巻き込まれたってことか。
態々あっちから強制転移させるってことは、これはリヴァの言っていた通りだな。
本命はあの疑似京都。二条城近辺に集まっているのは、実験を滞りなく進める為の備えってところか。
「どうするの、アザゼルちゃん? 赤龍帝ちゃん達を助けに行く?」
「いや、あの疑似京都への突入はまず困難だ。今の俺たちにそこまでの余裕は捻出できねえ」
セラフォルーにそう答えるが、同時に方策がないわけじゃねえ。
「
さて、それだけ叩き込めば余地はあるが、それまでイッセー達がしのぎ切れるかがすべてを分けるな。
英雄派の連中、おそらくほぼ全員が禁手に到達していると見ていいだろう。曹操達の考えから見ても、態々引っ張り込んだ連中なら勝てると算段を立てているはずだ。
加えて冥革連合の連中は、英雄派に比べると遊びがない。容赦なく殺しに来る可能性も捨てきれねえ。
ったく、この状況で面倒なことになったもんだぜ。
「……本当に困ったものです、九重殿にも」
静かに三烈の奴がため息をつく。
……俺とセラフォルーは、静かに警戒心を強めていた。
勘、と言えばいいんだろうな。魑魅魍魎跋扈する政治の世界や、化け物だらけの神話の激闘を潜り抜けてきた身として、警戒する方がいいと直感が告げていた。
「三烈ちゃんってば、あまり慌ててないのよねん?」
「ええ。グレモリー眷属のあの治癒の少女がいるのなら、即死と欠損以外は気にしなくてもよいでしょう? いい神器を持ったものです」
その返答に、警戒心は一気にマックスに跳ね上がった。
「つまり、アーシアの当てがあるなら重傷程度はしてもいいって感じか?」
「ええ、そういうことです」
ああ、なるほど。
そういうことか……っ!
「三烈殿? どうなされ―」
「近づくな!」
声をかけようとする狐の女を庇いながら、俺は光の槍を突き付ける。
やってくれるじゃねえか。確かに、ベッドから出てはいけないような深手を負ってる奴を真っ先に疑う奴は中々いねえ。
「
「
にやりと笑いながら、三烈は刀を抜き放って俺達と対峙する。
同時、三烈の後ろにあった壁が切り裂かれ、そこから悪魔や妖怪がわらわらと入ってきた。
なるほど。手勢を既に潜ませていたってか!
「……三烈殿、利害の一致とはいえ感謝するぞ。おかげで直接セラフォルー様に批判ができる」
「こちらのセリフだケンゴ・ベルフェゴール。我ら妖怪の復興が成し遂げられる余地が生まれたのだからな」
そう言い合う悪魔と妖怪の筆頭共に、俺は舌打ちした。
「冥革連合の連中か! しかもてめえがそこそこの立場だとは思わなかったぜ、三烈!」
「しかり。我々は禍の団が派閥、百鬼ハント。そして彼らは今回派遣された冥革連合の幹部と眷属だよ」
百鬼ハント。……頭悪そうな組織名なことで。
だがそんな和洋折衷な名前名だけあって、入ってきた妖魔の類は日本の妖怪だけじゃない。
西洋のオーガや、妖精の類までいるじゃねえか。やってくれるな、おい。
「世界中の妖魔のはぐれ物や馬鹿が集まった組織ってことか。ってことはあれか? 百鬼夜行とワイルドハントからとったってことか!」
「左様。脆弱な人間に人界を押し付けられるなど不満ゆえに、我ら強大たる者が世界を堂々と闊歩する世界を作る軍団だ」
うわぁ、馬鹿の集まり。
俺はツッコミを入れるのも面倒なんで、隣の上級悪魔に視線を向ける。
「そしてあんたが冥革連合の幹部か。名代ってところか?」
「その通り。実働部隊の指揮を一任された、ケンゴ・ベルフェゴールという者だ」
そういいながら、ケンゴ・ベルフェゴールは右手を軽く振るう。
そこから血液のようなオーラが流れ出し、一振りの剣を作り出す。
そこから放たれる聖なるオーラ。……どういうことだ?
「ハーフなのか? 冥革連合の幹部は、全員上級悪魔だとばかり思っていたが」
「ハーフや他種族を問答無用で拒絶するつもりはないが、私は純血悪魔だよ。……だが」
そう告げ、聖なる剣を構えたケンゴはにやりと笑う。
「我が刃、魔性を切り捨てるに相応しい力と知るがいい」
それに応えるように、ケンゴの眷属も全員が刀剣類の得物を構える。
……ったく。初っ端らからこれってのは流石にきついってもんだなぁ、おい!
Other Side
三烈が本性を現しケンゴ・ベルフェゴールが強襲をかけるタイミングで、敵の本隊も動きを開始する。
ターゲットは各勢力の首脳陣が集まっている京都サーゼクスホテル。そして同時にテロ組織による犯行声明が送られながら、敵戦力が出撃する。
各地のビルに潜伏していたバトルレイダーが総力を挙げて飛び出し、分隊単位で包囲するように京都サーゼクスホテルを囲み出す。
そして一部が小隊単位で合流し、部隊としてサーゼクスホテルを襲撃せんとしたその時―
「……撃てぇ!」
その声が聞こえたと共に、砲弾がサーゼクスホテルの近くにある寺社仏閣の門に直撃した。
その砲撃に対し、ホテル警護の部隊と禍の団の部隊は困惑する。
狙いが間違いなくおかしいし、何より双方共に想定外の攻撃だったからだ。
結果といて視線がその方向に集まり……誰もが困惑した。
そこに現れるは、少なく見積もって100を超えるレジスティングアントレイダー。そしてそれらにカバーされる、機甲部隊として機能する数の戦車・歩兵戦闘者・装甲車の軍勢だった。
明らかに場違いで困惑を生むその軍勢、その指揮車両から声が響く。
「愚かなるジャップ共よ! 偉大なる白き栄光に従属する栄誉を放棄し、あろうことが偉大なる米国兵士に貸しづく所から反対運動まで見せる愚図共が! 教育をしにきてやったことに感謝するがいい!」
その言葉で、誰もがあの勢力が異形と全く関わり合いの無いテロ組織だということを理解する。
理解はした。だが、何故京都だと言いたくなる者が多数生まれたのは仕方がない。
「さあジャップ共! 教育的指導の時間としれぇい!」
そして戦車砲からAPSFDSが放たれ、更に混乱は加速し―
「……これだから人間は屑が多い。間引きぐらいは自分でしてほしいものだよ」
―それを拳で弾き飛ばす者がいた。
衝撃で帽子が吹き飛べば、そこにあるのはヒューマギアであることを示すユニット。
もしそこにイッセー達がいたのなら、記憶を刺激されて怪訝な表情ぐらいは浮かべていただろう。
彼らと少しだけ言葉を交わした青年こそが、ヒューマギアとしてこの場に立っていた。
「ん~? ガラクタ風情が我らの教育的指導に意をとな……まて、そもそも何をした?」
「迷惑な害獣だ。ちょうどいいからちょっと間引くとするか」
困惑するテロリストに対し、彼はため息をつくと腰にフォースライザーを装着する。
『フォースライザー!』
『Cape Lion!』
最大のライオンとも称される、ケープライオンのロストモデルが組み込まれたゼツメライズキーを、彼はフォースライザーに装填する。
そして冷徹なまでの殺意を見せて、処刑を宣告するように宣言する。
「変身」
『フォースライズ! ケープライオン!』
鋼の装甲を身に纏い、そして彼は拳を構える。
そこからあふれる神々しさすら感じさせるオーラを制御しながら、戦線は布告される。
「死になよ、愚かな人間達。疾風殺戮.comのリクが、面倒だけど直々に間引いてあげるからさ」
今ここに、事実上の三つ巴が発生した。
一方その頃、京都二条城上空に、神仏が降臨した。
「気の流れが微妙に乱れ……いや、繋がっとるなぁ。あの坊主、またやんちゃをしとるもんじゃ」
そう呟くは闘戦勝仏。
かつて孫悟空と呼ばれる仏は、この事態に増援として派遣されていた。
『おいおい勘弁してくれよぉ! 聖槍の相手なんて俺は嫌だぜ!?』
「……我慢しろぉ。俺も腹減ったけどやるんだからよぉ」
「ったく。俺達全員を送り出すたぁ、天帝も本気ってことなのかねぇ?」
更に彼と共に三蔵法師に仕えし、西遊記の一行が勢揃い
魔王を眷属ごと相手取っても勝ち目をもぎ取れるだろうその戦力は、それに気づいた者達が一周回って笑ってしまうほどのものである。
故に彼らの参加によって、この戦いの勝敗は決定づけられたかに思えた。
「なるほど。どうやら少しは楽しませてくれるようだ」
だが、それは違うといわんばかりに声が響く。
闘戦勝仏の視線がちらりと向けば、そこには三人の悪魔が向かい合うようにして立ち塞がる。
「悪いが、忌々しい害獣を駆除する為に必要な実験でな。引き籠ってばかりの老害共に邪魔はさせんよ」
「そういうこと。ゴメンねぇ、おじいちゃん達」
「……邪魔はさせない。さて、覚悟してもらおうか」
戦意を滾らせるは、ヴィール・アガレス・サタン及びその眷属。
女王、クラウディーネ・ドゥルカンナインと、変異の駒たる戦車の駒を使用する、
更に後ろには、ロキ達との戦いで認識された新型のサリュートが確認されている。
「ほっほぉ。冥革連合の坊主達か。剛毅なこったのぉ。……その程度で足止めできると思われるのは心外じゃな」
「足止めなどとはなめられたものだ。……その首、貰い受けるつもりで来た」
静かに、お互いが闘士を燃やす。
そんな中、健也は怪訝な表情を浮かべていた。
少し首を傾げていたが、我慢ができなかったのかヴィールに意識が僅かに向けられる。
しかしそこを突かれることはない。
意識が僅かに割かれているが、戦闘の構えと集中力は十全に残っている。これを隙と捉えて仕掛ければ、逆に討ち取られるのが自分だと分かる。それほどの実力者であると、認識させられるからであり―
「ヴィール様、少しだけ気になったことがあるんですが」
「なんだ? 隙にならぬよう、今のうちに聞いておけ」
「……河童がいないんですけど、沙悟浄は誰なんですか?」
―ただし相手の逆鱗を踏む抜いた時は話が別である。
「「あ、馬鹿!」」
「……死ね」
「え、なにその本気の口調……うわぁあああああああ!?」
戦線の火ぶたは切って落とされた。
補足。
沙悟浄は一種の仙人であり、実は河童ではないそうです。当人は凄く気にしているので、うかつに言わないようにいたしましょう。
そんなわけで三烈は敵でした。
グレモリー眷属が来るのをいいことに、「感知させてもらえば問題ないし、深手を負ったやつを真っ先に疑うやつはいない」という手法で隙をついた三烈の手引きで、アザゼル達をピンポイントで狙って冥革連合も参戦。同時に別件でテロリストまで動くという三つ巴の混乱になってまいりました!
そして同時に闘戦勝仏ご一行対ヴィール眷属です。ヴィールたちと曹操たちを同時にまとめると、今のグレモリー眷属では勝ち目がゼロにしかならないので、こんな感じのマッチメイクになりました。