好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ   作:グレン×グレン

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 はいどうもー! 感想と高評価は常に募集し、いつかは推薦も募集しまくれるようになりたいグレン×グレンです!

 そんな感じで京都のバトルも本格段階に突入寸前です!


冥革動乱編 第二十話 真正面から不意を衝く!

イッセーSide

 

 

 

 

 

 

 

 

 疑似京都の引っ張り込まれて、俺達はそれぞれ英雄派の襲撃を受けた。

 

 誰もかれも禁手に到達してたうえ、自分の意志で英雄派に属している連中。それも、こっちの能力を考えて選ばれたっぽい奴らだったから皆手古摺ったみたいだけど、何とか無事に潜り抜けた……って言いたいんだけど―

 

「和地ー! 和地出ますのよー!」

 

「……この様子だと、和地だけ追い込まれてるみたいねぇ」

 

 電話に出ない九成を心配するヒマリやリーネスを俺達も不安げに見てしまう。

 

 そう、九成だけが合流できていない。それどころか誰も連絡すらできていない状態だった。

 

「……どうする? 九成だけ疑似京都に連れ込まれなかったなんてことは、流石にないだろ?」

 

「同感です。それにどうも戦闘が二条橋近辺で起きているようです。おそらく戦闘が長引いているのかと」

 

 ロスヴァイセさんが俺にそう答えるけど、つまりかなりやばいってことだよな?

 

 九成以外は大抵何人かでまとまって転移させられてた。俺の場合は九重が強引に入ったこともあって特殊だけど、その時は俺を倒したがっていた奴が選ばれた感じだった。

 

 となると、九成の場合はそういう奴が選ばれてるってわけで……。

 

「絶対ベルナ(あいつ)ね。断言できるわ」

 

 南空さんがそう言うと、カズヒも額に手を当ててため息をついた。

 

「イッセーのケースといい、妙なところで外連味を……っ」

 

「でも、落ち着かなきゃ駄目よぉ」

 

 苛立ちが見えてるカズヒの肩に、こっちも不安げなリーネスの手が乗っかった。

 

「今優先するべきは和地じゃないわぁ。まずは八坂姫の救出か英雄派の打倒。優先順位をはき違えれば、そこから絡めとられるわよぉ」

 

 リーネスは首を横に振りながら俺達を見回して、そうはっきりと言う。

 

 くっそぉ。めっちゃくちゃ心配だけど、言ってることが正しいから言い返せねえ。

 

 たぶん九成はそうするだろうし、俺達が助けに行こうとしたら逆に怒りそうな気もする。

 

「確かに、和地なら「そっちは任せる!」とかですましそうですのよねー」

 

 付き合いの長いヒマリまで言うなら尚更かぁ。

 

 よし、こうなったら覚悟を決めるか。

 

 九成だって俺達の仲間だ。そう簡単にやられるわけがないしな。

 

「じゃあ、まずは八坂さんを助けて曹操達をぶっ飛ばす! それまで九成がしのぐって信じよう!」

 

「よ、よいのか? 母上を助けてくれるのは嬉しいが……」

 

 九重が躊躇いがちだったけど、その肩にカズヒは手を置いて首を横に振った。

 

「これが私達に課せられた責任というものよ。将来的に貴女もそれ以上のものを背負うのだから、勉強しておきなさい」

 

 うん、カズヒってば厳しい。

 

 ただ―

 

「少し手に力が入りすぎているぞ?」

 

「そこ、指摘しない」

 

 ゼノヴィアに南空さんがビシっとツッコミを入れるけど、実際俺達もちょっとは気づいてた。

 

 うん、カズヒも九成のこと結構好感度高いんだよなぁ。

 

 なんていうか、ちょっと空気が緩んだな。

 

「……うんうん。カズ君が順調に成果を上げてて先生は嬉しかったり」

 

「リヴァさん、ちょっと空気を呼んでくれない?」

 

 リヴァ先生に茶化されて、カズヒもちょっとだけ頬が赤い。

 

 ……ちょっと空気が緩みすぎたかな?

 

 と、そこでインガさんがパンと手を鳴らす。

 

「……和地君は心配だけど、まずはやることを終わらせないとね。それに―」

 

 その言葉に合わせてるみたいな感じで、二条城の門がゆっくりと開いていく。

 

 なるほどな。

 

「向こうも待ちくたびれてるみたいだし、寄り道は許してくれそうにないしね」

 

 インガさんの言う通りか。

 

 これ以上何かをしようとしたら、あっちが余計なことをしてきそうだな。

 

 ああ、ならこっちもやってやるさ。

 

「……上等よ! ミカエルさまの(エース)として、テロリストにはお仕置きしちゃうわ!」

 

「お怪我は私に任せてください。全部癒して見せます」

 

 イリナもアーシアも気合を入れてるし、ならやることは決まってる。

 

 俺は一歩前に出ると、同じタイミングで前に出ていたカズヒと目を合わせて頷いた。

 

「まずは曹操達を何とかして―」

 

「―その後和地を助けましょう」

 

 待ってろよ、九成。

 

 やることやったら絶対助ける。だから死ぬなよな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

九成Side

 

 

 

 

 

 

 

 糞ったれ! 連絡している暇もない!

 

 ベルナと春っちの左右からの砲撃は、前回よりも正確でいて、しかし若干のばらつきによって弾道の予測と阻害している。

 

 左右から放たれる連続砲撃を回避しつつ、俺は何とか隙を見出そうとしているけど……だめか。

 

 二人揃って練度が高い。この砲火を掻い潜りながら突破するのは、今の俺では無理がある。

 

 となるとベターな選択肢は、とにかくこの二人を釘付けにすることだ。

 

 間違いなく手練れである二人を足止めしていれば、それだけでもカズヒ姉さん達に貢献できる。少なくともむざむざやられたら、敵の戦力的にも味方の士気的にもキッツいからな。

 

 ただ、その動きにした瞬間に春っちの砲撃に殺意が上乗せされた。

 

「そんなものじゃないでしょう、和っち!」

 

「いや、こんなものでも苦労してるんだけど!?」

 

 というよりだ。

 

 いい機会だ。今のうちに聞けるだけ聞いておくさ。

 

 俺は腹をくくると、多少の被弾覚悟で春っちに向かって突撃を仕掛ける。

 

 ディフェンディングタートルの強みを最大限に生かして突貫し、俺は多少の負傷と引き換えに、春っちの懐に飛び込んだ。

 

 春っちも炎を刃を形成して切りかかるが、俺は魔剣で受け止めてつばぜり合いに持ち込む。

 

 ベルナは即座の攻撃を避け、最適な仕掛けるタイミングを計っているようだ。都合がいいからこのまま話を勧めよう。

 

「春っちは、何をそんなに追い詰められてる?」

 

 俺はそこが気になっている。

 

 ロキとの戦いでかなり暴走気味だったが、ふと考えてみると再会した時から片鱗は見えていた気がする。

 

 切羽詰まっているというか、張り詰めているというか、余裕がないとでも形容するべきか。

 

 ロキの一戦においてはそれが暴発した。そう考えるべきだろう。

 

 ヴィール・アガレス・サタンは純血悪魔の強化を主眼とする男だ。もしかして、気を張り詰める必要に迫られた環境なのかもしれない。

 

「やむを得ない事情があるなら、力を貸す! 春っちにそうしてやりたいと心から思ってるし、それが俺の決めた俺の生き方でもあるからな!」

 

「……そろそろいいか!」

 

 後ろから振るわれる高圧水流の斬撃を回避し、俺は視界にベルナも捉える。

 

 ああ、それにだ。

 

「なんでここまで気にしているか分からないが、お前もだベルナ!」

 

 ああ、こいつのも言っていいだろう。

 

 なんで気になるかはまだ分からないが、それでも分かることはある。

 

「当ててやろうか? お前、後継私掠船団(ディアドコイ・プライベーティア)どころか、英雄派の理念に賛同なんてしてないだろ?」

 

 春っちの攻勢が緩んでいるのを利用して、ベルナと打ち合いながら俺ははっきりと確信を口にする。

 

 向こうも特に強気の言葉はかけてないが、図星を疲れたのか表情が強張っている。

 

 ああ、やっぱりな。

 

 ザイアの連中を思わせる、後継私掠船団のアーネ・シャムハト・ガルアルエル。

 

 昼間に曹操が告げ、カズヒ姉さんに酷評された英雄派の基本理念。

 

 それを参考にして、俺は漸く確信した。

 

「テロリストなんてのは付き合いでやるもんじゃない。真っ当な幸せこそを欲するなら尚更だ」

 

「はっ。……痛いところを突くじゃねえか」

 

 肯定と受け取らせてもらう。

 

 やっぱりだ。ベルナ・ガルアルエルの本質が見えてきた。

 

 常識人だとは思っていたが、まさしくその通り。こいつは真っ当な倫理観や価値観を持っていて、そんな真っ当な暮らしを良しとするタイプだ。

 

 アーネ・シャムハト・ガルアルエルのような、ぶっ飛んだ在り方なんてしていない。そもそも英雄派の理念どころか、英雄というものに対して焦がれていない。

 

 なら、そこから引っ張り上げる奴が必要だって分かり切っている。

 

 切り結びに移りながら、俺は説得する為に声を振り絞る。

 

 自分が生き残る為じゃない。英雄派を打倒する為じゃない。

 

 ただ、しなくてもいいことで嘆きの涙を流しかねない、そんな生き方をする人を放っておけるか。そこに割って入れる力があるなら、尚更何とかするべきだろうが!

 

 ああ、この二人は引っ張り上げられるべきだ。それが人として、カズヒ姉さんの男として、春っちの幼馴染として、そして何より―

 

「嘆きの涙が生まれるというなら、流れる前に意味を変えるが、俺の生き様なんでなぁ!」

 

 ―涙換救済(タイタス・クロウ)なんて呼ばれる、俺という存在の根幹が、引っ張り上げろというんだよ。

 

「真っ当に生きて真っ当な幸せを得る。その価値がある人間がいるのなら、そんな人間がテロリストに引きずり込まれることを良しとできるか」

 

 ベルナ・ガルアルエルは引っ張り上げられるべきだ。少なくとも、その余地があるのなら引っ張り上げてやりたい。俺は心から思っている。

 

「幼馴染がらしくない生き方を強いられている。もしそうだとするのなら、どうにかしたいと思って動くのは当然だ」

 

 成田春奈という少女は、俺が知る限りテロリストとして嘆きを作り広げることを喜べる子ではなかった。その頃を知っているからこそ、無理をしている風にしか見えない彼女を良しとできるか。

 

 だからこそ、俺は俺として立ち上がるさ。

 

「止めるさ。強引に殴り飛ばしてでも、まずあんた達を引っ張り上げる!」

 

 ああ、時間稼ぎなんて言ってる場合じゃなくなったな。

 

 ここからは、本気で行かせてもら―

 

「ハッ! 吠えたな、この野郎」

 

「そう、まだ足りないわけね」

 

 ―その時、寒気を感じた。

 

 強引に振りほどき、そのうえで足を踏み入れる。

 

 直感で何が起きるかを悟り、それでも俺は踏み込んだ。

 

「……そういうのはなぁ、幸せになるべき奴にやれって言ってんだよ!!」

 

「……私は強くなったのよ! それを絶対、認めさせてあげるわ!」

 

 とりあえず、逆鱗を踏んづけた責任はとる。まずはそこからだ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

Other Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 放たれた絶大な聖なるオーラを、曹操達はさらりとしのいで見せた。

 

 偽二条城だった場所は、ゼノヴィアの先制攻撃でクレーターとなり果てた。

 

 六本のエクスカリバーを錬金術で鞘にすることで、制御性能を大幅に高めたデュランダル。エクス・デュランダルと呼称されしその一撃は、まさに絶大だったというほかない。

 

 だがそれをしのいで見せた、英雄派の筆頭幹部達はその上を行くということだろう。神滅具保有者とそれに並び立つ猛者達というならば、十分あり得ることではある。

 

 それを静かに受け止めながら、カズヒ・シチャースチエは内心で嘆息する。

 

 今自分達と対峙しているメンバーは、その殆どが胸からネックレスをつけている。

 

 おそらくは幹部の証。曹操や霧使いのゲオルグとやらも持っている可能性がある。そしてそれはつまり、異形社会に属しイキり散らした中二病組織ならば、実力者の証でもあるだろう。

 

 となれば、戦闘においても警戒は必須。誰もが難敵だと考えた方がいいに決まっている。有利を押し付けられれば、相手が調子に乗って油断でもしない限りは死人が出るだろう。

 

 ()()()()()()()()をどうかと考えながら、カズヒはこっそりと立ち位置を変え、九重の隣でメモを取り出すと筆談を始めた。

 

 そのうえで、意識の八割は英雄派にしっかりと向けられている。

 

 カズヒがそんな器用な真似を行う中、一誠達と睨み合う曹操は楽しげだった。

 

「いやいや。そりゃシャルバ達も倒されるわけだ。これを馬鹿にできたとか、馬鹿はあいつらの方だと思うね」

 

「下から追いかける者なんて気にもしてなかったんだろうね。さて、そろそろやろうか」

 

 それに答えるジークは、魔帝剣グラムの切っ先を祐斗とゼノヴィアに向ける。

 

 敵からの指名に対して、二人もまた剣を構えて挑む体制になっていた。

 

「なるほど。我らが魔帝(カオス・エッジ)は剣と剣技の比べ合いをご所望か。……君達はどうするのかな?」

 

 そう告げる曹操に合わせるように、筋骨隆々の大男と、麗しい金髪の美少女が一歩前に出る。

 

「二人はそれぞれ、ヘラクレスとジャンヌ・ダルクの魂を継ぐ者さ。さて、誰が誰を相手するんだい?」

 

「さっさと決めてくれや。バーニングに行きたいんでな」

 

「私は様子見に徹するわ。戦闘は本命じゃないしね」

 

 ヘラストロテスとシャムハトがそう言う中、ジャンヌ・ダルクの方は不敵な微笑みをイリナに向ける。

 

「じゃ、私は天使ちゃんにしようかしら♪」

 

「なら俺はどうするかねぇ? ヴァルキリーの姉ちゃんは調子が悪そうだし、此処は主神の娘でも相手するかぁ?」

 

 そう告げられ、それぞれも臨戦態勢に入っていく。

 

 そして曹操もまた、聖槍の切っ先をイッセーへと向けた。

 

「なら俺は赤龍帝だ。さて、ヘラストロテスとシャムハトはともかく、君はどうするんだデュルヨーダナ」

 

「……そうね。能力的には、サーヴァントの影を呼び出せる固有結界使いが―」

 

 そう、英雄派の意識が鶴羽に向いた、その瞬間―

 

「……活動開始(セット)

 

 ―カズヒもまた、すべての準備を完了した。

 

 誰もの意識がカズヒに向いたその瞬間、カズヒは宝石魔術を解放する。

 

暴風投射(エメラルド・カタパルト)

 

 発動するのは風属性。シンプルに風を利用して物体を投射するというものだ。

 

 ただ投射した()()*1が問題すぎて、誰もが一瞬呆気に取られる。

 

「母上を返せええええええ!」

 

『『『『『『『『『『ぇええええええ!?』』』』』』』』』』

 

 その場にいた幹部や、各種雑務の為に連れてこられた末端構成員といった英雄派はもとより、カズヒ以外の味方も全員が面食らう投射物はなんと九重

 

 剛速球もかくやの速度で投射される九重を前に、曹操は反応こそするが対応は甘い。

 

 槍の石突でバントのように弾くという、そんな咄嗟故の対応が仇となる。

 

空域置換(ダイアモンド・シャッフル)

 

「ッ!?」

 

 その瞬間、九重に括りつけられた宝石が光、瞬時にカズヒがそこに現れる。

 

 咄嗟に迎撃に移ろうとする曹操だが、しかし反応速度が追い付かない。

 

 カズヒは右腕で石突を掴むと、勢いを利用して半ば投げ飛ばすように曹操と共に宙を舞い、左腕で構えるショットガンを曹操の顔面に突きつける。

 

 それも只のショットガンではなくザイアから流れた技術による、アタッシュウェポンが一角のアタッシュショットガン。ダメ押しとしてハウリングホッパープログライズキーまで装填されている。

 

『ハウリングカバンショット!』

 

 右手を放すと同時に、悪を滅する瘴気の弾丸が曹操の顔面狙いで放たれた。

 

*1
注:誤字じゃありません




 自分には特に容赦ないため、敵と味方にも容赦がないカズヒ。真正面から虚をつくために要人を酷使しました。なお当人は、最悪の場合は腹斬る覚悟を完了済みなので、こういう時始末に負えない手合いです。

 だがまさかこんな方法をぶちかますとは思っていなかった英雄派に、さらなる奇手を成立させるためのいってとしてせいりつしました。味方にも教えなかったことも言ってとなっております。

 ……ぶっちゃけ、カズヒの性格なら英雄派のあの相手探しは隙にしかならないと思いまして。誰がお前らにマッチメイクさせるかと言わんばかりに、初手から本丸狙いで一発かましました。

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