好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ 作:グレン×グレン
今回まで禍の団のターンとなっております。
イッセーSide
畜生! 曹操の奴、全然攻撃が当たらない!
というか迎撃で手いっぱいだ。反撃に移る余裕がない!
「カウンター狙いで漸く装甲を削れるだけ。まぁ、技術で負けているのに……カウンターってのが無理あるわね」
カズヒはそうぼやくだけだけど、なんか調子がおかしくないか?
おい、まさか―
「カズヒ、さっきもらった攻撃で何かされたのか!?」
「大したことはないわ。ただ単に
それ大問題だろうがぁ!
「なんで言わなかったんだよ!? っていうかそんな状態で戦うか、普通!?」
「余裕がないからよ。この戦い、全員が本気を出さないとまずい。リーネスの伏札も、まだ少し時間が必要だしね」
あ、カズヒはリーネスが戦場に出てきた理由を知ってるのか。
でもだからって、正気かよ!?
「はっはぁ! そろそろ混ぜてもらうぜぇ、曹操!」
「はいはい。じゃ、自分が傷つけた
って此処でサーヴァントまで乱入かよ!?
あのごつい爺さん、いったい何者なんだ?
槍を片手で振り回しながら、その爺さんはカズヒを感心した感じで見ている。
たぶんだけど、あの爺さんの攻撃が原因だな。俺も傷を負わないように気を付けないと。
「しっかしやせ我慢が得意だな? 俺の槍に塗られてるのは、どんな豪傑も悶え苦しんで
ってとんでもないのだな、畜生!
そんなの喰らってカズヒは大丈夫なのか? むしろなんでまともに戦えてるんだ?
俺が不安げなのに気づいたのか、カズヒは肩をすくめた。
「
星辰奏者も大変だな。
曹操からも同情の表情が見えてきてるんだけど。
「まったく。まぁ、投降するというなら治してもいいよ? こんなものもあるしね」
そんなことを言いながら、曹操はどこからともなく小瓶をって―
「なんで、フェニックスの涙をお前が持ってるんだ!」
「大規模テロリストを舐めないでくれ。裏社会ってのは金さえあれば大抵のものは手に入るからね。冥革連合にもフェニックス家出身がいたりすることもあるし……あと旧魔王派も色々としてるようだよ?」
「でしょうね。プルガトリオ機関も何度か手に入れたことはあるもの」
カズヒは納得してるようだけど、俺は到底出来ねえよ。
こっちは高騰しすぎてフェニックスの涙があまり使えないのに。それがあれば、治せる奴だって増えるだろうに。
そもそも高騰した原因のテロリストが持ってるとか、納得できない……っ。
そう思った瞬間、鎧がいくつもかけて損傷する。
まずい、曹操の攻撃がこっちに集中して、捌ききれない……っ!
「なるほど。ヴァーリが認めるだけあって中々やるけど……まだ俺には届かない」
『イッセー! 禁手を切り替えることも考えてください。真っ向勝負ではこっちが不利です』
分かってるさシャルロット。
ただ、曹操にそれをさせてくる隙がない!
何とか隙を見つけ出そうとした時、空が明るくなった。
な、なんだ?
まさか本当にグレートレッドが!?
「ゲオルグ。どうやら成功したようだ、
あれ? なんか曹操が怪訝な表情を……あ。
なんか落ちてくるけど、あれグレートレッドじゃない。っていうか西洋系じゃなくて東洋系の龍だ。
『痛いっての畜生がぁ! もぉ~、なんで引退したのにこんな目に遭うんだよ!』
なんか愚痴りながら落ちてきたのは、なんていうかこぉ……カルいドラゴンだな。
ドライグ、知ってる?
『ああ、あれは龍王の
へ、へぇ~。あんな龍王もいるんだ。
タンニーンのおっさんやヴリトラよりは、ミドガルズオルムに近いタイプだな。外見も性格も。
っていうかなんでこんなところに? あ、もしかして増援って玉龍?
俺がちょっと期待したその時―
「ほぉ、そちらも存外てこずっているようだな」
―聞き覚えのある声が、いくつもの落下物と一緒に舞い降りた。
衝撃で土煙るが上がる中、出てきたのはアロハとサングラスを身につけたおさるの爺さんやら、ロキとの戦いで出てきたΔサリュートとかいうでか物。
そして何より、俺達悪魔にとって因縁があるのは―
「―直接会うのは二度目か。曹操相手にしのぐとは存外できるな、赤龍帝」
「……ヴィール・アガレス!」
こんにゃろう。いるのは知ってたけど、此処で来るのかよ!
和地Side
放たれる攻撃は激しすぎて、さっきから防戦一方になっている。
やばい、逆鱗を踏んづけたのは失敗だったか……っ!?
「……なんで? なんで? なんでなんでなんで!?」
猛攻を仕掛ける春っちは、むしろ泣きそうだった。
「私は強くなった。ここまでずっと頑張ってきた。それでもどうしようもなくなりそうだったけど、ヴィール様のおかげで乗り越えられた」
まるで俺に駄々をこねているみたいなその声に、俺はその意味を理解しきれないことで悔しくなる。
「……ま、あんたにはあんたの都合があるんだろうがな」
一方冷静に、それでも悲しそうに仕掛けているのはベルナだ。
こっちが比較的冷静な所為で、突破することもできやしない。
「助ける相手は選ぶもんだろうが。……人並みの幸せを受けるべき奴なんてのは、もっと他にたくさんいるってことだ!」
春っちのアラをカバーするように、ピンポイントで集中攻撃を入れてくる。
やばいな。加えて氷塊で叩き付けてるから、熱衝撃でダメージがデカい。
「強いられてなんていない。自分から進んでるの。強くなる為に、強い自分でいたいから。なのに―」
そしてそれを支援として、春っちはこっちの懐に飛び込んでくる。
「……あなたは、なんで私をそんな風に見るのよ、和っちぃっ!!」
そしてしのぎ切れず、もろに攻撃が叩き込まれる。
まずい、意識が―
「ま、そういうわけだ。手を伸ばせば救いになるほど……いや、手を伸ばして救ってやるほど、価値のあるやつばっかりじゃねえってことだよ」
―そして俺の視界に、寂しげなベルナが映る。
「残念だな。アタシらなんかを救うより、もっと多くの奴を救いに行くべきだったんだよ、お前は」
そして 更なる砲撃が叩き込まれ、俺の意識は飛んだ。
Other Side
その状況に、カズヒ・シチャースチエは舌打ちする。
想定外にもほどがある。しかも、悪い方向に極めて傾いた形でだ。
闘戦勝仏、孫悟空。更に三蔵法師を共に守った一行が来た以上、彼らがアザゼルの言っていた増援の当てであることは間違いない。
そんな彼らが苦戦しているうえ、苦戦させている相手ごと来てしまったのは状況の悪化というほかない。
何より―
「……皆さん、しっかりしてください!」
―既に
死者こそいないが、深手を負って意識すら朦朧としているものが殆ど。
動けるのはインガが庇う形で深手を負ってないロスヴァイセ。あらゆる意味で格が違うリヴァ・ヒルドールヴ。そして自分とイッセーに、九尾の狐に何とか食い下がっている匙ぐらいだ。
『どうすんだよこれ!? 肝心の増援が苦戦してるとか聞いてない……っていうか化け物かよ、ヴィールの奴!』
「誉め言葉と受け取っておこう。貴殿こそ見違えたぞ、匙元士郎」
そう返すヴィールは、体の調子を確かめながら、油断なく周囲を警戒する余裕がある。
静かに闘戦勝仏達を警戒しながら、いつでも動ける体制でこちらを見据えていた。
「暴走せずに龍王の力を使うとは見事。最初に会った時はただの無能かと思っていたが、現場の戦士としては有能なようだな」
「確かに面白いね。今度機会があれば一戦交えてみたいものだ」
槍で肩をポンポンと叩きながら、曹操もそれに同意している。
それを静かに警戒しながら、カズヒは激痛を無理やり無視して魔術の準備を行っている。
英雄派は既に勝ったも同然とみなしており、次の状況を見据えることばかり考えている。
一方冥革連合も、闘戦勝仏達ばかりに警戒心を向けており、決して無警戒ではないが優先順位を高めていない。武闘派かつ歴戦の神仏が連携まで十全に取れる状況であるのなら、当然の判断ではある。
英雄派の舐めた対応は屈辱に思うが、しかし警戒が薄いのなら隙をつける余地はある。冥革連合においては闘戦勝仏達に感謝といったところか。
ヴィールたちは一応警戒しているため寝首を掻くことは無理だろうが、それでも闘戦勝仏たちが仕掛けるのにつなげる余地は作れるかもしれない。英雄派においては寝首を掻く余地すら十分にある。少しずつ準備を進めておく。
そしてこの睨み合いなら、情報を集める余地はあるだろう。
鶴羽やインガを叩きのめした怒りを押し殺し、カズヒはちらりとΔサリュートを見て疑問をあえて口に出す。
「形状が違うわね。それにロキとの戦いで出てきたやつが、武闘派の神仏をその数でどうにかできるのかしら?」
そんな風につぶやけば、余裕が慢心になりかけた曹操達は苦笑する。冥革連合もヴィールが肩眉を上げていた。
「まぁ、そういう疑問は出てくるだろうね」
「……むしろ語ってくれと言われていたな。だから教えておくとしよう」
……どうやら、Δサリュートには相応の秘密があるらしい。
「そもそもΔってついているのがシャレらしいよ? サリュートの技術を流用し、高性能にしつつコストといったカタログスペック外の問題を少しでも減らそうとして、ロシアの軍事関連から発想を得たらしい」
曹操の言葉にカズヒは考え、しかし先に悟ったのはカズヒではなくリーネスだった。
「ああ、なるほどぉ。だからΔねぇ?」
「嬢ちゃん、何か分かったのかいのぉ?」
闘戦勝仏に聞かれて、リーネスは目を細めてΔサリュートを見る。
「多分ですけどぉ、最低でもあと一つは仕様変更がありますよぉ? Δサリュートそのものはプラットフォームなんですよぉ」
「正解っ! 冴えてるね」
曹操がそう答えると、ヴィールもまた頷いた。
「ロキ相手に派遣されたのは、対軍勢制圧用のΔサリュート・ブラスト。今回連れてきたのは対神仏迎撃用のΔサリュート・マキシマ。あとは開発が遅れているΔサリュート・アサルトが存在するそうだ。確かアサルトは対大型異形用だったな」
その言葉に、カズヒも大体のことを悟っていた。
「そういえばロシアって、プラットフォーム化を進めていたわね。あぁ、三つの形態があるから
ロシアは陸軍の開発といて、いくつかのプラットフォームとそこからの派生を考慮している。
そこから発想を得たΔサリュートの根幹は、星辰体運用兵器としてのプラットフォーム。そこから外装や装備の一部を変えることで、目的に応じた三機種を分けるということなのだろう。
少数で多数の雑兵を制圧するブラスト。数機がかりで神仏クラス一柱を相手取るマキシマ。アサルトはおそらく、一対一で高位大型異形クラスを相手取る設計と思われる。
確かに、それができるなら価値がある……が。
「そんなものを開発できる技術力が、既に禍の団にあるなんてねぇ。発想の転換で足元をすくわれただけじゃないみたい」
リーネスが目を細めながら告げるのがすべてだ。
換装で機能を自在に切り替えるには、そんな技術を生産できるだけの下地が必須だ。
発想の転換で開発できるサリュートとは異なり、これだけの技術を開発するには相応の技術力が必須となる。
神の子を見張る者でもそれを作るのは中々困難だろう。少なくとも、相応の試作や実験が必要になりかねない。
神の子を見張る者の技術研究に身を置くリーネスだからこそ、カズヒ以上に警戒をしているはずだ。
カズヒの聞いている情報が正しければ、開発者はミザリ・ルシファーが契約し悪魔として新生したサーヴァントである、アルバート。
変異の駒とはいえ兵士一駒で転生しており、サーヴァントでも弱い部類と踏まえられていた……が、それは間違いだった。
ミザリはピンポイントで頭脳労働系の天才を迎え入れたことになる。彼が単純な戦闘能力だけに囚われない人物であることの証明だ。
―誠にぃなら納得かな。小論文とか推理小説の犯人当てとか得意だったものね……っ―
つくづく
―げぇき……だし……ぇ……?
あの、事情など欠片も把握していない。だからこそ心を救う笑顔に誓った想いだけは裏切らない。
この命は、正義を奉じて邪悪を滅ぼす、その為に生きると誓ったのだ……から。
思考が微妙に緩んだのは、隣の謎現象に由来する。
具体的には、赤龍帝の鎧から光が放たれていた。
あ、これまたおっぱいだ。
意識を向けることができたオカ研メンバーは全員がそれを痛感した。
慣れるとは恐ろしい物であり―
「これは、まずいでござるな」
―慣れることなく悟れることは、更に恐ろしいことでもある。
さぁ、乳が降臨なされるぞぉおおおおお!
そして和地は和地で追い込まれ気味。ですがご安心ください。
このいぶし銀、発言には最後まで責任持つ男です。次から、はじけるぜぇ……?