好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ 作:グレン×グレン
基本的には日常会……ですがシリアス気味です。
イッセーSide
ふぅ~。そろそろ学園祭だし、それが終わると中間テスト。二年生は修学旅行もあったから、割と忙しいぜ。
だからかなぁ。俺もちょっと、普段とは違う感じでのんびりしたかったんだけど。
「あ」
「あ」
なんていうか、タイミング悪くカズヒと出会っちまったよ。
自販機で飲み物を買おうとしたら、また意外なやつと会っちまったなぁ。
「……あ、先にどうぞ」
「そうね。ちょっと待ってて」
とりあえず、先に自販機の前にいたカズヒに先に使わせるのが筋だよなっと。
カズヒが缶コーヒーを買ってから、俺もカフェオレを買う。
……うん、ちょっと気まずい。
そういえば俺達、プライベートで二人きりになったりとかあんまりなかったしな。
最初に会った時もひと悶着あったし、つい最近だと京都で揉めたりしてたからなぁ。
まぁ、どっちも共闘して死線を潜り抜けたりもしたんだけど。そういう意味だと不思議な関係だ。
俺って子供達のヒーローやってるから、元々汚れ仕事担当のカズヒとは合わないところも多いからな。
……うん。二人っきりだとちょっと気まずい。
「っていうか、無糖ブラック? 渋い趣味だな」
「眠気覚ましよ。中間テストが迫ってるもの」
ん? 流石にまだちょっと早くないか?
俺が怪訝な表情を浮かべていると、カズヒは肩をすくめた。
「元ストリートチルドレンの私が、勉強得意な方だと思ってるの? 自分で言うことじゃないけれど、成績は絶対あなたの方が上よ」
疑問符抜きで断言したよ。
え、まじか。要領よく勉強しているイメージあったんだけど。割と予習復習と化している姿を見たこともあるぞ。
……あ、逆か。予習復習してないと追いつけないってわけか。
「……その様子だと、
すいません忘れてました。
オカ研になってからは勉強することも多いし、勉強会とかをアーシア達とやることも多いからなぁ。アーシアもゼノヴィアも国語すら成績が優秀な方だから、一緒に勉強したりすると引っ張られて俺の成績も結構上がっててなぁ。
うん。それでもオカ研二年組では低い方だったけど。木場は完璧イケメンだから勉強も完璧なんだ……。
俺がなんていうか落ち込んでいると、カズヒはちょっと引き気味になっていた。
「……というより、貴方はカフェオレなのね。この時期の高校生って、見得でブラックとか飲んだりすること多いけれど?」
「いや、そんな見得はった程度じゃモテなかったし。それに俺、乳製品とると何故か調子が良くなるからさ」
いや、何故か昔っからそんな体質なんだよ。
「そういえば、チーズケーキが好物だとか聞いたわね」
「そういうことだよ。ま、カズヒの卵かけご飯には負けるけどさ」
あの大好きっぷりには負けるからなぁ。
というより、ちょっと引く。好きすぎだろ、卵かけご飯。
なんていうか空気が緩んだんで、そのまま世間話でもした方がいいか。
……あ。
「そういえば、英雄派のことなんだけど、ちょっといいか?」
「何かしら? 辛口評価ならいくらでも出そうな気がするわね」
あ、やっぱり酷評な感じだな。
めっちゃくちゃぶった切ってたしなぁ、あいつらのこと。
ただ、だからこそ聞きたいこともあるからな。
「偽京都でカズヒ達に仕掛けてきた連中は何か言っていたか?」
「こっちに仕掛けてきたのは、おそらく操られている感じのメンバーだったわね。毎度毎度
あ、手慣れてるな。
そっちはそんな感じだってことか。
「俺は前に仕掛けてきたやつが来たんだよ。影を操って攻撃を転移させる神器持ちで、鎧を着た俺にやられた時の影響で全身に影を纏う神器だったんだ。九重が炎で攻撃した時の反応から火攻めにして何とか倒したんだけど……さ」
「ふむ。何か言われて気にしてるのなら、さっさと話してガスを抜いた方がいいわよ? 部長達に話してもいいけれど……違う視点が欲しいのかしら?」
あ、そんな感じなんだよなぁ。
「っていうかバッサリ切ってほしいのかもな。……そいつは自分の意志で、英雄派に属していた連中だったんだ」
俺がそう言うと、カズヒもちょっと気にした感じだった。
「あの一件って、禁手に到達する方法を探りアンチモンスターのデータを取る為の実験だったんでしょ? 自分の意志でそんな使い捨て同然の作戦に参加したの?」
正気かって言いたい顔してるな。
「俺も信じられなくてさ、なんでそこまでしてるんだって聞いたんだよ。……それで、さ」
「話が長くなりそうね。……ちょっと場所を変えましょうか」
「なるほど、ね」
大体のことを説明し終えた後、カズヒはそう言って盛大にため息をついた。
「典型的な思考誘導の手口ね」
「ボロッカスだな!?」
凄い切り捨て方しやがったぞ、カズヒの奴。
俺が戦った英雄派の奴は、洗脳されてるわけじゃなかった。なのに、死んでもおかしくないっていうか死ぬ気じゃなきゃできないような実験の為に俺達と戦った。それも、曹操の為なら死んでもいいって言いきるぐらいだ。
だからこそ、俺は気になってそれを聞いた。
……神器保有者は酷い人生を送ることも多い。少なくとも、そいつはそうだと言った。
そんな中、曹操に出会って英雄になるという光を見せられたから、命を掛けても付いて行くってあいつは言った。
九重達を泣かせることになってもいい。そこまでしてでも、あいつは英雄という光を目指して、曹操に付いてきたと言って最後まで戦った。
なんていうか、やっぱり胸に重い物があったんだよなぁ。
まあそれとなく切り捨ててほしいとは思ったけどさ。……凄いバッサリと切り捨てたな!
と、カズヒも俺に思いっきり突っ込まれ、ちょっと考え込んだ後一つ頷いた。
「いえ、言い過ぎたわ」
そっかそっか。言い過ぎたか。
そうだよなー。そんな洗脳みたいないい方は―
「自覚の有無なく、そういう形で他者の思考を固定化させてしまうことはよくあるわ。軍隊とか警察でも使われる手口だし、洗脳みたいないい方は失礼ね」
「訂正するのはそっちかよ!」
二度目のツッコミは平然と受け止められた。
っていうか、思考誘導って、そんな洗脳みたいなやり口なのか?
「っていうか、よくあるのかよ?」
「ええ、心身に負荷がかかっている状態に追い込んでからわざと救い上げることで、相手に信頼させるように誘導するのはよくある手口ね。警察の尋問とか軍学校で教官との上下関係を作る際によくある手口よ」
さらりと言ったな。
「まあ軍学校は厳しすぎる訓練を課したうえで引っ張り上げて褒めるという、マッチポンプがままある物ね。警察の場合は更に本番で信頼を裏切ることで心をへし折るというやり口を使ってくるわ」
「世界は真っ黒だな!」
世の中本当に綺麗ごとばかりじゃやってられないな、おい!
俺はちょっと世界を嘆いたけど、カズヒは苦笑しながら首を横に振った。
「訂正するって言ったでしょ? 確かに今のは必要悪で、それを利用して相手の心を犯罪行為に誘導する邪悪も腐るほどいる。だけど、この手のケースは決して悪というわけではないわ」
そんなことを苦笑しながら言うと、カズヒはなんていうか遠い目をして上を見上げた。
「死の危機から救われた子供が、救った対象の職業を目指すっていうのが定番ね。死病の類なら医者を目指すし、災害や事故においてはレスキュー隊員や救助隊。犯罪なら警察で、テロの類なら軍人もある。何かしらの発明によって救われたのなら、研究者だってあり得るわ」
なんていうか、実感籠ってるな。
もしかして、カズヒもなのか?
「カズヒも、ストリートチルドレンだった時に救われたくちか?」
「残念だけど、ゲリラに参加するまでは救い上げる側ね。カズホもだけど、他にもストリートチルドレンって多かった地域と時期だったから」
あ、違うのか。
そう思っていると、カズヒは盛大にため息をついた。
「まぁ、そういう意味ではその英雄派の男を悪く言えないわね」
お、意味深な言葉。
「カズヒもテロったこととかあるのか?」
「政府転覆に尽力した以上、負けてたらテロリスト扱いは確定だけどそうじゃないわ。……綺麗事を通すには、自分の力もだけど環境も大きく関わるのよ」
また盛大にため息をついた。
「ストリートチルドレンなんて者が当たり前な環境なんて、まさにその典型例ね。順法精神というものを得ることがまず大変……どころかそもそも法律すら分かりようがない訳だし。そもそも法律を守ってたら餓死確定なんてことも普通にあり得るわ」
……えっげつねぇ環境。
なんだろう。今の冥界の子供達も割と大変だと思うけど、カズヒの昔の方がもっと過酷な気がするぞ。
「誰も助けてくれなかったのか?」
「そもそも助ける余裕がない人達ばかりだもの。それに、そういう環境だとストリートチルドレンは
……本当にえげつないな。
日本って恵まれてるっていうけど、なんていうか痛感したよ。下手すると冥界の子供達の方が恵まれてないか?
「半端に助けようとする人が来ると、余計なことをするなとリンチされることだってある。そしてそんな環境で生きていくには、それこそ盗みの類はしないいわけないし、場合によっては同じような境遇から強盗だってする羽目になるわ」
そう語るカズヒの目は、只淡々と事実を語っているだけで、強い感情は込められてない。
本当に、かつてのカズヒにとってそれは当たり前だってことなのか。
「……そんなに酷かったのか」
「言っておくけど、更に
俺に釘を刺してから、カズヒは鋭い視線を空に向けた。
誰を思い返して睨んでいるのかは、俺でも分かる。
曹操達英雄派。あいつらをばっさり切り捨てたカズヒは、きちんとそこに残っている。
「だから、私は英雄派の所業もスタンスも認めないわ。自分が酷い目に遭ったからって、だから真っ当に生きていける者を酷い目に遭わせていい理由はない」
その言葉に嘘はない。カズヒは本心からはっきりと言い切っている。
真っ直ぐに、強い決意をもってカズヒや英雄派を否定する。
「必要悪は
「そうだな。九重を悲しませたり、洗脳した奴を使い捨てるなんて、認めていいわけがないか」
俺がそう答えると、カズヒは苦笑をしながら肩をすくめた。
「ええ。奴らにはしっかりとけじめをつけさせるべきよ。……その方が、彼らにとってもいいことでしょうしね」
「え?」
なんか妙なことを言った気がして、俺は思わず聞き返した。
なんか今、英雄派を倒すことが英雄派にとって良いことみたいに言っている気がするけど。
流石にそれ、おかしくないか?
「……言っておくけど、あいつらを
カズヒは、どこか寂しそうな表情でそう言った。
「悪事をきちんと裁いてもらえるってのは、それだけ社会が正しく機能しているっていう意味で恵まれているもの。それに自分の罪を罪として償えないっていうのは、考えようによっては辛いことでしょう?」
そういうカズヒの言っていることは、確かに分かるかもしれない。
カズヒは基本的に「過剰報復も悪」ってスタンスだし、悪いことをしたらけじめはしっかりつけさせるスタンスだ。言っていることはカズヒのスタンスから言っても何も間違ってない。
だからだろう。
俺はまるで、カズヒが裁かれなかった罪人みたいに、自分のことを言っているみたいに聞こえた。
と、京都で英雄派にきつすぎる印象を与えてしまったカズヒ関連のフォロー回ともいえる、ちょっとした話になります。
……まぁわかっているとは思いますが、カズヒは
また自分が悲惨な目にあったこともあるからこそ、それを免罪符に悪行に寛容になるのではなく、ちゃんとケジメをつけさせて終えるという方向性を重視しております。
そのあたりの裏事情を詳細をぼかして説明している話ともいえます。
そういえばカズヒ・シチャースチエの過去語りはあんまりだったこともあるので、そのあたりの説明も兼ね、深堀する感じの話がもう一つほど続く感じです。