好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ 作:グレン×グレン
本日はカズヒの過去話といってもいい
和地Side
なんか知らんけど、作業しながらカズヒ姉さんの身の上話を聞くことになった。
うん、カズヒ姉さんがオカ研の仲間と仲が良いのは結構だけど、イッセーと話していると少し不安になる。
スタンスが大きく異なってるから大丈夫だとは思うけどさ? イッセーのフラグ建設能力を考えると、ちょっとね?
ま、一緒に聞く分なら問題ないだろ。落ち着け俺ー。
「さて、知ってると思うけれど私はソ連崩壊後の政情不安定地域出身でストリートチルドレン。イッセーには言ったけど、そんな待遇で順法精神なんて、自殺志願者でもなければ持ちえないような環境だったわ」
なんてことがないように語りながら、カズヒ姉さんは作業を続けていく。
本当にカズヒ姉さんにとって、それは作業をし続けながら話せることだということか。
カズヒ姉さんが強いのか、それとも荒んでいるのか。……もしくは、慣れてしまって気にしようがないのかもしれない。
そんなことを思いながら、俺も作業の手伝いをしながら話を聞く。
「そういう環境ではストリートチルドレンは基本的に害獣よりで、うかつに手を差し伸べれば
本当にそれな。悲惨な環境っていうのは、這い上がる
勉学の一番大事なところは、それが大事だと知るには勉学を学ばなければならない。……もともとどこの言葉だったかは覚えてない*1が、真理だと思う。
必要な知識がなければ価値がわからないことなんていくらでもある。そして価値があるかどうかを知らなければ、それを知ろうという発想だって生まれにくい。
実際、貧困地帯というものは識字率も低いそうだ。ままならないものだ。
「……私が物心ついた時には、既に私は親がいなかった。その時たまたま近くにいた、同じく孤児だったカズホを放っておけずにカバーしながら生きてきたわね」
地金が良い人だったんだろう。そんなレベルで凄いというかなんというか。
俺が感心していると、カズヒ姉さんは盛大にため息をついた。
「
遠い目をしながら、カズヒ姉さんはそうぼやく。
まあそれは分かる。悲惨な環境で子供が数人だけで、生きていくには綺麗事ばかりではいられないものだ。子供が健やかに育つには、環境にボーダーラインがあるだろうしな。
そして、カズヒ姉さんは具体的にどうしたんだ?
俺達の視線に、カズヒ姉さんはついと視線を逸らした。
「……
「犯罪にならないように?」
「簡単なことよ。魔術的な精神干渉を使って
なるほど。確かに「交わした契約を
屁理屈使って誤魔化したり、いいように弱者を使うだけ使って切り捨てる奴っているからな。それを抜きにするだけでも十分すぎるか。
「もちろん、契約そのものを成立させる為にも苦労したわ。対価として低く思えても、相手が契約しやすいようにあえて対価としてもらうこともあったし、一見すると何の役に立つのかも分からないものをせびったりね」
「それでどうにかなったのかよ?」
イッセーが首を傾げるけど、カズヒ姉さんは頷いた。
「ボロボロになって捨てるだけの毛布でも、何枚か重ねて着れば
そんな風にさらりと返されて、イッセーは絶句していた。
どうやら想像の数段下レベルで酷い環境に、軽く戦慄しているらしい。
まぁ、そのレベルだとはすぐには思い至らないだろう。日本で過ごしていると底辺のラインが割と上になるしなぁ。
そんなイッセーにカズヒ姉さんは、すました顔で更に続ける。
「あとはまぁ、子供の教育に使っていた絵本とかもあったわね。最低限の読み書き計算ができるだけでも、受けれる雑務は増えるもの。そこから更に色々知っていく為にも、最低限の基礎は習得するべきだったわ」
更にイッセー絶句。
イヤ、これ本当にあるからな。世界を探すと、底辺ってのは日本人が思っているより更に下にある物だからな。
俺もその辺は少しは調べてドン引きしているからなぁ。これでも任務の難易度も高いから給金も相応にあるし、相応に募金はしているつもりだ。さらりと上層部に頼んで裏取りしてもらった団体にのみ送っている。
絶句しているイッセーに苦笑をしてから、その後盛大にため息をついた。
「……でも、ソ連崩壊後のあそこの政情は実に悪くてね。結果として反政府軍が組織されて内乱状態。当時の政府に
そういえばそんなこと言ってたなぁ。
っていうか、冗談抜きで戦局左右する大活躍じゃないか? 物資を大量に盗んでプレゼントとか、冗談抜きで戦局に影響出るぞ。
俺がちょっと引いていると、カズヒ姉さんは肩をすくめた。
「十三歳後半ぐらいに決着がついて、少年兵の社会復帰プログラムの過程で派遣されてた教会の警護に来ていたクロード長官に見い出されて、私は訓練を受けてから暗部に属したというわけよ」
「また、壮絶な人生を送っているものだね」
木場が苦笑するけど、カズヒ姉さんはさほど気にした筆もなかった。
「貴方達も大概でしょ、祐斗。それに、あそこもだいぶ孤児院が増えているし、そういう方面に金をきちんと回しているものね」
な、なるほどぉ。
人に歴史あるというが、カズヒ姉さんも大概だな。
「……まぁ、そんな劣悪な環境から心身を引っ張り上げられたのなら、そのまま引っ張られる道に進みたがるというのはあり得るわね。……英雄派のやり口はやっぱり問題だわ」
そして容赦ない。
「……けじめはしっかりつけさせる。そのうえで悔い改め……なくとも、懲りて真っ当に生きるというのなら厳しめにする程度にしてあげるわよ」
「厳しいのか厳しくないのか分からないな」
俺がそう言うと、カズヒ姉さんは肩をすくめる。
「厳しいに決まってるわ。私は正義
「覚悟完了はカズヒ姉さんの基本理念だしなぁ。ま、容赦する余裕もないわけだけど」
あいつら強敵だし、実際余裕は欠片もない……か。
……ベルナの奴とも、いい加減決着をつけないと……な。
祐斗Side
やはり、カズヒの人生も中々に壮絶だったね。
あれだけの自他ともに厳しくあれる人だ。過酷な反省を送っているとは思っていたし、ストリートチルドレンでゲリラ活動までしてもいる。十分すぎるほどに証拠は揃っていた。
とはいえ、実際に聞く彼女の過酷さはやはり凄まじい。
そんな環境で過ごせば、荒んでいてもおかしくない。いや、ある意味で彼女の厳しさは、その過酷な環境が生んだものでもあるのだろう。
……そんなことを思っていると、資料を持った南空さんがこちらに気づいて会釈をする。
「こんにちは、木場くん。ちょうどよかった、部長さんはいる?」
「部長なら部室におられると思うよ? それは生徒会からの、学園祭関連の?」
「そういうこと。なんか知らないけど他の部より多いみたい。……昨年、何かしたの?」
あはは……。やっぱり釘は指してくるよね。
「昨年はお化け屋敷だったんだけど、暇をしていた妖怪を雇ってやっていたものでね。ルール違反だと怒られたよ」
「……違反かどうかはともかく、それは流石にやりすぎね。そりゃ釘も指すわ」
南空さんも流石に引き気味だった。仕方ないね。
まぁ、今回はそんなことがないようにきちんと修正も入れているしね。たぶん大丈夫……だと思う。
「それで、今回はどんな感じなの?」
「人が増えていることもあったし、旧校舎そのものを一種のテーマ―パークに見立てて、色々なことを同時にするっていう形に落ち着いたよ。オカルトの館って感じかな?」
そう、人数が一気に二桁になったことをいいことに、色々な提案をまとめてやる方向になったんだ。
料理ができる人もそこそこいるから喫茶店。オカルト要素を出す為にお化け屋敷。更に朱乃さんが巫女であることからお払いの真似事をしてみたり、教会出身のメンバーも多くなったから、いわゆる懺悔室を作ってみたりとかね。
流石に内容次第では色々と動くけど、学園祭の催しでガチなことを言うこともないから、基本的にはお目こぼしする予定だよ。やむを得ない事情で大変な目に遭っているようなら、特別サービスで僕らが裏で動くこともあり得るかな?
オカルトのコスプレや発表会の類もする予定だ。イリナさんが布教を従っていたから、基本的には聖書の教えに由来する豆知識的なものが主体になる。
あとは……そうだ。
「お焚き上げ擬きもする予定だよ。中々捨てれないものとかもあるだろうから、案外人が来るだろうしね」
まぁ、その辺りにおいて生徒会は厳しめだろうけど。
実際、旧校舎の位置から見て火事になったら大変だからね。消火用にドラム缶に水を入れたり消火器を集めたりしたし、それが目立たないように魔術儀式的なカモフラージュとかもしたりしてる。
南空さんもそれは見ていたのだろう、納得した表情だった。
「あれってそういう……そして
うん。たぶんそうだ。
明らかに一見すると手間と成果が釣り合ってないだろうけど、これには先を見越したある目論見がある。
「ちなみにお焚き上げ参加者には、アニル君の燻製が先着500名様限定で配られる予定さ」
それを聞いて、南空さんは首を傾げる?
「……燻製ってそんな簡単にできるの?」
「まさか。それに適当に廃棄物を処理した煙は使えないからね。あくまで煙が大量に出る雰囲気と合わせたものさ」
そしてアニル君は、今は兵藤邸の燻製用ペントハウスで燻製作成の真っ最中。
ちなみに僕達が修学旅行に行っている間、部長達はその備えとして獣害被害の多い地域に言って獣狩りをしていたそうだ。
人を襲う熊や農作物を食い荒らす鹿がたくさん討ち取れたらしい。熟成が終わった順に大量に燻しているそうだ。
……正直、料理ができる者としてはあれを使って何か作りたいね。いや、本当に腕がなりそうだ。
南空さんもご相伴に預かっていたのでちょっとうずうずしているけど、ふと首を傾げた。
「……喫茶店で出した方がよくない? 儀礼済みとかなんとか適当に銘打って」
「それもあったんだけど、出来が良すぎてサンドイッチにするにはパンとかもこらないと行けなくてね。学園祭の予算でできる範囲じゃなかったのさ」
いや、本当に出来がいいからね、あれ。
まぁ、そういうわけで今回はそこまでは行けなかったけど―
「アニル君は一年生だからね。そして彼の燻製なら食べた人は多くが次を期待するだろう。……それが今回ねじ込んだ狙いさ」
「卒業後のことまで考えてるんだ。リアス部長も中々やるわね」
ああ、そうなのさ。
「……ただ、やっぱり少し悩んでいるところもあってね」
そこが、少し気にはなるんだよね。
「えっと、それって私達が知ってもいいことなの?」
「割と分かり易いことだしね。簡単に言えば、イッセー君が鈍感すぎるのさ」
実際、あそこまで鈍感というのもどうかとは思う。
リアス部長は婚姻に夢を持っていることは、ライザー・フェニックスとの戦いで明らかになっているはずだ。加えて、アーシアさんも敬虔な信徒であった上で、毎朝目覚めのキスをしていると聞く。朱乃さんにおいても不倫なんて言葉を使っているのだから、そういう関係を連想するのは当然ともいえる。
……ゼノヴィアの場合は、まず子供を作りたいという主張から来ているから微妙だけどね。とはいえ、イッセー君一人に絞っているのだから気づいてもよさそうだろう。
勢い余って関係が進んだら進んだで、猿のようにはまるというのもあるから今まではスルーしてきたけど、やっぱり少し気づかなさすぎる気がする。
毎回死闘を繰り広げている以上、自分達の思いが伝わる前にどちらか……あるいは両方が死ぬかもしれないのはストレスだろう。
「イッセー君も罪作りすぎるところはあるね。正直、僕も時々もやもやするよ」
そうため息をついてから、僕は南空さんの方を見る。
「………」
なんていうか、凄い真剣な表情で考え込んでいる。
ここまで真剣に考えてくれるのはありがたいけど―
「ぶつかるよ?」
「え……ブッ!」
よそ見をしながら歩くのは、ちょっと厳禁だったね。
いやほんと、ちょっとネットを探るだけでもドン引きする話が出てくるぐらい、ストリートチルドレン関連はヘビーです。自分の待遇に文句をつけてる日本の子供たちは、もうちょっとぐらい真の底辺を知った方がいいんじゃないかってぐらい。個人的に某フルメタ主人公の語り口調で説明されるアニオタWIKIがおすすめ。
そんなヘビーなカズヒの過去をある程度明かす機会もなかったので、閑話も兼ねて此処で出させていただきました。……我ながら実にヘビーな来歴なんだけど、ガチの過去話になるとこれを別ベクトルで凌ぐのですよ。