好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ   作:グレン×グレン

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 はいどうもー! 感想が話数の二倍を少しずつ超える状況に、にやにやしちゃうグレン×グレンでっす! 感想・高評価は随時募集してます! いずれは推薦!


冥革動乱編 第三十四話 

 

和地Side

 

 

 

 

 

 

 

 そんな日が続くある日、夜にトライフォース放送局を終えた後でびっくりすることを言われたわけだ。

 

「「「乳語翻訳(パイリンガル)を使ってくれって言われたぁ!?」」」

 

「うん。びっくりだろ?」

 

 イッセーすらちょっと引き気味だったことを言われて、俺とアニル、そして本日のゲスト参戦な……なんとカズヒ姉さん。

 

 まさかカズヒ姉さんが、この手のゲームできるとは思ってなかった。足を引っ張らない程度の腕はあったし恐るべし。

 

 だがそんな驚きを吹っ飛ばすインパクトというかなんというか……なんでだよ?

 

「誰が、誰に、なんでそんな狂った要請したのよ」

 

「気持ちわかりますけど、リアス部長経由で頼まれることなんて、絶対偉い人ですぜ?」

 

 カズヒ姉さんのツッコミも当然で、アニルの指摘も当然。

 

 そう、それはつまり―

 

「―異形のお偉いさんって、人間とは思考回路がずれてないか?」

 

「言うなよ。八坂さんだってそれで助かったんだから……いや凄い要望だとは思うけど」

 

 イッセーに言われて思い出したけど、そういえばそうらしいな。

 

 初代孫悟空殿が乳語翻訳に上乗せすることで、八坂姫の心に直接語り掛ける形で正気に戻したらしい。凄いけど、それ使うか普通。

 

 イッセーのスケベ根性が満載な変態技を有効活用かぁ。発想力が凄いな。

 

「で、先輩。その一世一代の決断した人って誰なんですかい? しゃべっていい相手ッスか?」

 

「いや、それが……サイラオーグさんのところの執事さんが、サイラオーグさんのお母さんにかけてほしいって言ったんだよ」

 

 ………。

 

 俺達は顔を見合わせた。

 

 そして、頷いて―

 

「言っとくけど、本気で心配してだからな!? 嫌がらせとかクーデターじゃ断じてないし、サイラオーグさんのお母さんが悪事を働いているわけでもないからな!?」

 

 ―派閥争い的な嫌がらせだと思った俺達に、イッセーのツッコミが先に飛んだ。

 

 あ、違うのか。

 

 じゃあなんで?

 

 そんな俺達の視線に頷いて、イッセーはアニル特性ベーコンを巻いた、採れ立てアスパラガス(調理五分前に採取。先日農家の人との契約の代金として、採れ立てを少しもらう許可を得たそうな)を一つ食べてから話し始めた。

 

 ……なんでもサイラオーグ氏のお母さんは、産んだサイラオーグ氏が魔力をひとかけらも持たないことから、息子ともども冷遇されていたそうだ。

 

 家の恥としか考えられないバアル現当主は、サイラオーグ氏を絶対に領地から出そうとせず、なのでお母さんは家に戻ることなく領地の辺境に連れてひっそりと暮らしていたらしい。

 

 魔力を一切持たないことから、サイラオーグ氏は下級中級からもいじめられる。加えて相応の貴族出身であるから、田舎暮らしには負担も大きい。

 

 そんな中、一生懸命そのお母さんはサイラオーグさんを育て、叱咤激励し、裏では罪悪感で泣きながらも頑張って生きて……病に倒れる。

 

 眠りの病と言われるもので、既に彼女は何年間の眠り続けている。そしてこのままいけば、眠り続けたまま死ぬ可能性が高い。

 

 そんな状況にも耐え、サイラオーグ氏は本家に戻り、次期当主であり消滅の魔力を宿した腹違いの弟を打倒して、次期当主となる。

 

 ……で、話を戻すとその執事さんは、イッセーの乳技なら何かしらの効果が出るのではと思い、藁にも縋る想いでグレモリー家を経由して頼んできたそうだ。

 

 とりあえず、俺達は顔を見合わせて頷いた。

 

「「「……凄く真面目に考えたんだ」」」

 

「感心してるのか引いてるのか分からないけど、気持ちは分かる」

 

 イッセーもそこは同意してくれた。

 

「っていうか、鎧になってまでやったけど声は聞こえなかったし、その姿をサイラオーグさんにも見られたんだよなぁ」

 

「大変ね。いえ、あなたもだけど教えられてなかったっぽいサイラオーグ・バアルも」

 

 カズヒ姉さんが素直に同情するけど、そのうえでため息をついた。

 

「でも大丈夫なの? お互いにやりづらくならない?」

 

 あ、そういうことはあるか。

 

 事情を知るとやりづらくなりそうだし、サイラオーグ氏も何とかしようとしてくれた人に対して、手が出しにくくなるかもしれないな。

 

 だけど、イッセーは静かに首を横に振った。

 

「いや、真剣勝負にそんな気後れしたら相手に失礼さ。サイラオーグさんも全力の俺達と戦いたいって望んでいるしな」

 

 な、なるほど。

 

 俺だったら絶対やりづらくなるけど、凄いな。

 

 アニルもちょっとびっくりしているけど、カズヒ姉さんは微笑みながら頷いていた。

 

「いい根性ね。あなたも彼も、その武人肌の資質はある種の美徳だわ」

 

 そう言いながら、カズヒ姉さんもベーコンのアスパラ巻きを一口で食べる。

 

 そしてお茶を飲んでから、イッセーに真っ直ぐ真剣な表情を向けた。

 

「同種の土俵でやる分において、そういった精神性はある種の美徳よ。……まぁ、受けが悪い層も幅広いでしょうから、その辺りは適宜考えてね?」

 

 ふむふむ、なるほど。

 

 まぁ、お互いにある程度の尊重をするのは人間関係の基本だしな。

 

 ……しっかしまぁ、大変だなその人も。

 

「バアル家っていうと名門中の名門で、しかもその本家っすよね? 間違いなくプライド高いだろうし、責任も重いはずっすよね?」

 

「それは違うわね。あの手のタイプは家柄が高い奴は何してもいいと思い込むタイプよ。諜報網でそれなりに人柄も知られてるから、絶対そんなこと考えないわ」

 

 アニルにカズヒ姉さんがそう言うけど、なら尚更大変だな。

 

 魔力がないサイラオーグ氏が大王バアル家の次期当主になってるとか、下手するとやばいことになるんじゃないだろうか。

 

「……致命的に付け入る隙になるんじゃね、そのお母さん」

 

 俺がそう聞くと、イッセーも遠い目をして頷いた。

 

「一応シトリー領で療養してるんだよ」

 

「それがいいでしょうね。というより、そのサイラオーグっていうのもバアル本家に拘る必要、ないんじゃないの?」

 

 と、カズヒ姉さんが頷きながらそう口にする。

 

 というと?

 

 俺達の視線を受けて、カズヒ姉さんは肩をすくめた。

 

「そんな余計に敵を作るやり方で見返すより、やり方はあるんじゃないかって話よ。……いっそのこと弟の眷属に名乗り出るなりして、面従腹背で彼の理念に近い魔王派に情報を売るとか……いえ、部長やイッセーと波長が合うタイプでそれは無理ね」

 

 流石暗部、それもダーティジョブ専門部隊所属。

 

 え、えげつねぇ……。

 

 男子全員、五センチほど後ろに下がった。

 

 カズヒ姉さんも、そりゃそうだと納得したのか苦笑していた。

 

「……まぁ、魔王派がそういうやり口を好まないっているのもあるけどね。どちらにしても、無理して大王派に属するよりやり方はあるとは思うわね」

 

 な、なるほどぉ。

 

 確かに、大王派のそれまたバアル本家には敵が多そうではある。なら味方の多いところに流れ着けるようにするというのも選択肢か。

 

 と言っても、イッセーと波長が合うタイプがそれはしないだろうとは思う。ぶっちゃけ、そういう方向性に向いてないしなぁ、イッセー。

 

 カズヒ姉さんもそこは分かっているのか、悪い感じはしない笑みだった。

 

「……あとでその人に私を紹介してちょうだい。下種な連中がやりそうな絡め手とその予兆でも教えておくわ」

 

「ああ。頼んだぜ、カズヒ」

 

 イッセーも、それが分かっているから笑顔で頷いた。

 

 ……うん、ガチの場合でない限りは、お互いに多少は尊重するからとげが立たない。

 

 正直、揉め事にならないかちょっと不安だったりしてたからな。京都で合わない時はガチで合わないのを再確認したし。

 

 思わず俺は、そっと胸をなでおろした。

 

「……よく分かんないっすけど、とりあえず一つどうぞ」

 

 アニルがそっと出してくれたアスパラ巻きベーコン、本当に美味しいな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、そんな次の日もトレーニング!

 

 毎日毎日鍛錬必須! ゆとりが多いなら自主鍛錬も! ハードにならないギリギリで!

 

 これが広義的グレモリー眷属。すなわちオカ研の基本スタンスで強さの源。

 

 ほら、ちょっと離れたところを見れば―

 

「少しはフェイントを見抜けるようになってるわね!」

 

「そっちも! アタッシュウェポンを使いこなしてるじゃねえか!」

 

 アタッシュウェポンの一つである、アタッシュアローを使ったカズヒ姉さんと、通常禁手状態のイッセーが模擬戦をしていた。

 

 おぉ、新技に目覚めた後も通常禁手もしっかり鍛えているのか。こういうやつは強いんだよなぁ。

 

 やはり基礎は重要だからな。俺もサルヴェイティングドッグで模擬戦とかをした方がいいな。

 

「それにしても、イッセーも強くなりました」

 

 そんな風に微笑みながら、シャルロットはシャルロットで技術を体に覚えこませる為に反復練習をしている。

 

 ……いや、ちょっと待とうか

 

「今イッセー、単独でやってるのか!」

 

「そうですよ? 連携で行くのが基本ですけど、一人で戦わざるを得ない時もありましたから」

 

 シャルロットにそう返されるけど、本当にあいつはそういうところをきっちりとしているよな。

 

 感心しながらスクワットをしつつ、俺はふとため息をつきたくなった。

 

 鍛錬も真面目に取り組み、基礎を忘れることなく質実剛健に鍛えながら、新たな技を得る努力も欠かさない。学業もなんだかんだで偏差値高い高校で、落第生にならない程度あるなら十分優秀。慣れない貴族関連のマナーも一生懸命取り込んで、最低限はこなせるレベルにもう習得している。変態性を抑える努力もしており、ひきつけこそ起こすが人様に迷惑はかけていない。あと、おっぱいドラゴンの興行収入とかもあって、貯蓄は数十年は遊んで暮らせるぐらいあるだろう。

 

 割と完璧に近い良い男で、そんなイッセーの周りには良い女が結構いるわけだ。

 

 ……にも関わらず、だ。

 

「そろそろあいつ、後ろから刺されるんじゃないだろうか」

 

「そうなんですよね」

 

 シャルロットも真剣に頭を抱えていた。

 

「まだ私が召喚されてから四か月そこらですけど、その短い期間に熾烈な戦いを何度も経験しています。リアスさん達もそんな危機感から、我慢の限界が近づいている気がしますよ」

 

「やっぱりそう思うよな? なんていうか、流石にアーシアやリアス部長のそれには気づいた方がいいと思う」

 

 いや、本当に……。

 

 刺されそうで怖いなぁ、あいつ。

 

 ……俺も気を付けよう。真剣に気を付けよう。

 

 カズヒ姉さんを惚れさせたい。インガ姉ちゃんやリヴァ先生に関しても責任はとる。鶴羽のことだって大事にしたいとは思っている。

 

 そして―

 

「今度機会があったら、絶対に引きずりださないとな」

 

 ―春っちとベルナも、ほおっておけない。

 

 男として、あそこまで言ったんだ。最後まで責任はとる。勢い任せとはいえ、嘘は何一つ言ってないんだから。

 

 だからこそ!

 

「アーネとの再戦があっても勝つ。ヴィールにも一発かます。それぐらいの決意で頑張らないと、な」

 

 よし、ちょっと走り込みをし直すか―

 

「……そろそろ上がりよ。明日のインタビューに支障が出るもの」

 

 ―タイミングが悪いなぁ!? 

 




 本日は原作の流れを説明する回でした。

 次回、ぶちゅぅで冥界が揺れます!

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