好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ   作:グレン×グレン

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 はいどうもー! ちょっとスランプ気味だけど、調子がよくなり始めているグレン×グレンでっすぅ!

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冥革動乱編 第四十八話 試合が終わり死合が始まる

 

イッセーSide

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……いい加減、意識が飛びそうだ。

 

 殴った拳も痛いし、拳で殴られたところも痛い。

 

 視界もぼやけてきたし、体力の尽きかけている。

 

 それでも、俺もサイラオーグさんも殴るのやめない。

 

 理由はいくつもある。

 

 俺もサイラオーグさんも勝ちたい。この強い人に対する敬意もある。そして―

 

『『『『『『『『『『おっぱいドラゴン! おっぱいドラゴン!』』』』』』』』』』

 

『『『『『『『『『『サイラオーグ! サイラオーグ!』』』』』』』』』』

 

 こんな応援の声が聞こえてくるんだ。そんな簡単に止まれるわけねえだろ!

 

 そうでしょう、サイラオーグさん!

 

 俺も、サイラオーグさんも、どこか笑顔になりながら殴り合っている。

 

 何度も何度も殴りあって、お互い血まみれで酷い顔だよ。

 

 ……だけど、サイラオーグさんは本当に格好良い。

 

 俺もそんな風に見えてるんだろうか。見えてるといいな。

 

 サイラオーグさんは、自分のことを格好突かないなんて言っていたけど、そんなことなんてない。

 

 格好悪いわけねえだろ。格好良いに決まってるだろ!

 

 これだけ、全力で、一生懸命頑張っている。そんな姿が、かっこ悪いわけないだろう!

 

 だから、負けない。負けたくない。

 

 負けてやりたくなんてない。できることなら勝ちたいし、負けるにしても文字通り全部を振り絞って負けたい。

 

 だから……だから……。

 

 俺はついに鎧が解けて、だけどそれでも腰に力を入れて地面を踏みしめる。

 

 リタイアするまで、退場するまで……っ

 

「最後まで、殴り合ってやらぁあああああ!!」

 

 だからこそ、ゆっくりと拳を構えるサイラオーグさんに、俺はカウンター覚悟で突撃し―

 

「……そこまでだ」

 

 その瞬間、審判のリュディガー・ローゼンクロイツさんが、割って入って魔法で俺の拳を止める。

 

 待ってくれ! まだ俺は……戦える!

 

 そう抗議しようとしたけど、更にリアス部長が俺に抱き着いた。

 

「もういいのよ、イッセー!」

 

「ダメです部長! 部長の為にも、サイラオーグさんに対しても―」

 

 俺がそう言おうとしたとき、部長は涙すら浮かべながらサイラオーグさんの方を向いた。

 

 俺はそこで振り向いて、サイラオーグさんが動かなくなっていることに気が付いた。

 

 え……これって……?

 

「君からの反撃が止まったことで、彼も()()()()動くことがなくなったのだよ。……気づくのが遅れたが、数分前から意識を失っていたようだ

 

 リュディガーさんがそういうけど、いったいどういうことなんだ?

 

 いや、意識を失っていた……って?

 

「かつて、ライザーとレーティングゲームをした貴方と同じようなものね。……それだけ、貴方と最後まで戦いたかったんでしょう」

 

 部長の言葉に、俺は涙すら出てきた。

 

 サイラオーグさん、そこまで、俺のことを……。

 

 そのまま静かに崩れ落ちていくサイラオーグさんを、俺は思わず抱きかかえた。

 

 重いし、固いし、でかい。

 

 そこまで体を鍛え上げて、魔力を持たないハンデを乗り越えた。そんな、努力と信念が積み重なった体に敬意まで浮かぶ。

 

 俺はもう、涙を我慢することなくこぼしながら声を絞り出す。

 

「……ありがとう……ございました……っ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アザゼルSide

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「試合終了ぅううううううううううっ!!! 激闘を制したのは、乳龍帝おっぱいドラゴン! これにより、リアス・グレモリー選手の勝利です!」

 

『『『『『『『『『『わぁああああああああああっ!!!』』』』』』』』』』

 

 司会が大声で試合終了を告げ、会場が大歓声で揺るがされた。

 

 ったく。不器用だが、熱くなるいい試合じゃねえか。

 

 俺やディハウザーも素直に堪能したかったんだが、九成やカズヒが連絡取れない時点でそうもいかねえ。

 

 だが、本当にいい試合だった。

 

「ふふっ。これは将来、本当に滾り負けるリスクを感じられるライバルが生まれそうだ」

 

 そんな風に、ディハウザーは試合フィールドを見ながら本当に嬉しそうな笑みを浮かべていた。

 

 こいつもゲーム好きなことで。負ける可能性を実感しながら、それでも楽しそうに笑顔を浮かべられるとは呆れるやら感心するやらだ。

 

 だが同時に、少しだけ憂い顔になってもいた。

 

「とはいえ、この敗北は彼にとって本当に痛い。上役は相当に冷たくなるでしょうね」

 

「……また、パイプがゼロになるってことか」

 

 ノアに屈辱的な敗北をした結果、サイラオーグは集めていたパイプをすべて失うことになった。

 

 それでも第四義勇師団の活躍もあり持ち直していたが、それもごっそりなくなりそうだ。

 

 利用価値がなくなれば、あっさり見切りをつける。それが悪魔のドライな側面であり、こと大王派はそういう連中だしな。

 

 カズヒは「次期大王なんて狙わず、最初から魔王派としてやる道もあった」なんてことを言っていたみたいだが、いっそのこと真剣に話してみるべきかねぇ?

 

 今なら大王派もフロンズやノアに意識を向けているし、比較的スマートに鞍替えすることもできるだろう。むしろ今だからこそできる手ではあるしな。

 

 ……まぁ、それはともかくだ。

 

―俺だ。九成とカズヒは?

 

―まだです。……でも、禍の団が仕掛けてくるにしては遅いですね。

 

 不意打ちじみた念話だったが、返信はすぐに返ってきた。

 

 リヴァも相当に警戒しているみたいだが、あいつの能力は浮遊島では発揮しづらいからな。

 

 しかし、ある意味で格好のタイミングだったゲームは既に終わっている。……この上でテロを起こすってのも、タイミングとしては悪くないか……っ。

 

 俺は、その時寒気を感じる閃きを覚えた。

 

 確かに、それならある意味でヴァーリの発言には抵触しない。だが同時に、誰でも分かる屁理屈でしかない。

 

 まさか、禍の団の連中は……っ

 

 その時、映像に映った奴らの姿を見て、俺は面食らった。

 

 司会もディハウザーも面食らっている辺り、どう考えてもこれはゲーム運営側の判断じゃねえ。

 

 おいおい、何がどうなってるんだ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イッセーSide

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……イッセーさん!」

 

「イッセー!」

 

 声が聞こえて、俺は顔を上げる。

 

 途端に、涙を浮かべたアーシアが、俺の胸に飛び込んでくる。

 

 しかもアーシアごと抱きしめる感じで、ゼノヴィアまで抱き着いてきた。

 

「イッセーさん! 本当に……格好良いです!」

 

「よくぞ勝ってくれたイッセー! 流石にちょっと不安だったぞ!」

 

 アーシア、ゼノヴィア……。治療を受けている時に心配してくれたのか。

 

 ……あぁ。本当に、俺は良い女に恵まれたよ。

 

 見れば、サイラオーグさんの周りにも眷属の人たちが集まっている。

 

「サイラオーグ様……っ。よくぞ、戦い抜いてくださいました……」

 

「また、這い上がりましょう。我らも共にまいります……っ」

 

 ……良い仲間を持ってるよな、サイラオーグさんも。

 

 きっと大変だろうけど、また戦いましょう。

 

 俺も、貴方のようにもっと強くなって挑みますから……。

 

「……お疲れ様でした、部長。伏札が決まってくれたようで、一安心です」

 

「ええ、サイラオーグの眷属達と戦って、少しずつだけどコツも掴めてきたわ」

 

 ねぎらう木場にそう答えながら、部長は少し怪訝な表情を浮かべていた。

 

「でも大丈夫なの? あれだけ殴り倒されていたら、怪我はもちろん疲労も大きいでしょうに」

 

「それが、運営の方が用意してくれた薬湯を飲んだらすぐに治ったんです。部長達の分も預かってきてます」

 

 あ、そういえば、栄養ドリンクサイズの小瓶を持ってるな。

 

 サイラオーグさんにも、眷属の方が飲ませている。

 

「……イッセー先輩。先輩の分です」

 

 お、ありがとう小猫ちゃん。

 

 ……おお! なんか凄い回復したぞ!

 

 怪我も疲れもだけど、なんていうか心も回復したって感じだ。メンタルの疲労まで回復とか、なんだそりゃ!

 

 アーシアの神器をもとに回復技術も発展してるんだなぁ。

 

「さて、そろそろよろしいでしょうか?」

 

 と、そこに見慣れない悪魔の人が不敵な笑みを浮かべていた。

 

()()が用意した薬液が効いてくれたようで何よりです。大丈夫なのは確認しておりますが、万が一もありますからね」

 

 へ~。もしかして今回の為に急遽用意したって感じなのか。

 

 それぐらい大盤振る舞いってことかな? それとも、半分ぐらい治験も兼ねてるとか?

 

 俺がそんなことを思っていると、ふとその人と俺達に間に、審判のリュディガーさんが割って入ってきた。

 

 ……なんか雰囲気が怖いぞ? まるで、本気の戦闘をしようって感じな雰囲気だ。

 

 なんていうか、俺達も警戒心が湧いてきた。

 

「……このような催しは聞いていないが? 実況側には連絡が言ってますか?」

 

『それどころか、そんな治療薬なんてまだ開発されてねえはずだ。……あんた達は知っているのか?』

 

 なんか先生まで警戒している。え……どういうこと?

 

『えっと……そういった話はないですね。大王派の御厚意でしょうか、ディハウザーさん』

 

『私も聞いたことはない。……だが、彼は二年前までさかのぼって、禍の団関係者や冥革連合にも繋がりはないと言われているが……どういうことかね?』

 

 おいおい、司会の人もチャンピオンも、なんか不穏なことを言っているぞ?

 

 おい、この薬液って……大丈夫なのか?

 

 俺達のそんな視線を向けられて、その上級悪魔の人は胸すら張った。

 

「薬液の安全性は誓って保証します。なにせ一昨日に渡された分を、ランダムに私と私の眷属が飲んで検証していますからね」

 

 いや、そこは安心だけど、そうじゃない。

 

 俺達が皆警戒心を向けていると、その悪魔は、迷いも曇りもない目で、俺達を真っ直ぐに見据えた。

 

「そして捜査も間違っておりません。……二年と半年前から一昨日まで、私は()()()()()とは連絡を取っておりませんから」

 

 ――――ッ!

 

 一気に警戒が跳ね上がる。同時に、この空間に何人もの悪魔が足を踏み入れ始める。

 

『……君は英雄派のテロを何度も仕掛けられ、眷属や使用人にも死者が出ているという。間引きの為かね?』

 

「ヴィール様と現四大魔王に誓って、そんなことはありません。英雄派どころか禍の団に()()()()()()()()()()()()のですから、ターゲットにされるのは運が悪かっただけですとも。……ねぇ、ヴィール様?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「その通り。彼は俺の工作員において古株でな。特定の符丁で指示を伝えるまで、現政権に忠実に仕えるよう命じておいた。場合によっては、命を懸けて我々が相手でも殺しに来いと指示を忠実に従ってきた誇るべき部下だ」

 

 そして、俺はそいつに三回目の直接対面をした。

 

 鋭い目つき。鍛えられた体。そして強い戦意。

 

 サイラオーグさんに負けずとも劣らない、そんな完成された戦士の姿で、俺の視界に堂々と映ってくる。

 

「……まずは健闘を称えよう。そしてすまないが、此処からは実戦の時間だ」

 

 ここで、お前が来るのかよ……っ!

 

「勝利直後にすまないが、冥界政府に活を入れる為に犠牲になってほしい。……死力を尽くせ、グレモリー眷属にバアル眷属。さすれば、俺達を返り討ちにして生き残れるかもしれんぞ?」

 

 ヴィール・アガレス・サタン……っ!!!




 ヴァーリ「試合でテロしたらぶっ殺すぞ、OK?」

 ヴィール「OK。試合が終わってからテロするよ」

 うーん、屁理屈!








 とまぁ、こんな感じである意味本番が勃発です。毎度毎度試合そのものが妨害される展開がグレン×グレンのデフォルトでしたが、今回変化球です。

 いえ、ライオンハート編のレーティングゲームはその性質もあってオリジナル要素が叩き込みづらいので、個人的にはハイスクールD×Dの二次創作における鬼門とすら思っておりまして。その結果として自分はしょっぱなから何かしらで妨害があってそもそも試合がつぶれる……というのが基本的な手法でした。

 ただバルバトス諸島さんの作品で「第三者視点で試合を見る」というのが意外といい感じだったので、そこに春菜及びベルナの決着要素を踏まえた結果、ちょっとした試験的な方法として「試合が終わってからテロ」という形をしてみました。

 なお今回の手引き作戦においては、ジャンプ漫画NARUTOを参考にしております。あの手法はなかなか興味深かったので似たようなことをしてみたかったこともあり、ちょうどヴィールは能力的にNARUTO要素を参考にしていることもあったので、こんな感じでやらせていただきました!

 さぁ、ある意味ここからが本番だぜぇ!

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