好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ   作:グレン×グレン

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ギャグ題名でぶちかます、ヴァンパイア編の第一弾。


三勢合一編 第十一話 自分から首を切り落としやすくすることが土下座の形という話があるから、謝るときは土下座は最後に取っておこう

 

 

 時は七月。プール開きもそこかしこで行われているだろう、日本の初夏。

 

 神の子を見張る者(グリゴリ)のプログライズキー研究部隊。ザイアコーポレーションの遺産を研究することも踏まえた試験部隊、AIMS第一部隊のメンバーの内、リーダー兼監察官でもあるリーネスにつれられた二名。すなわち、俺こと九成和地に、ヒマリ・ナインテイル。

 

 俺達は、今駒王町に存在する私立学園駒王学園の高等部にやってきていた。

 

「……準備はいいかしら?」

 

 リーネスがそう告げ、俺とヒマリは心からの本気で頷いて返す。

 

「……恩を仇で返すこの所業、私達も本気で行うことがせめてもの礼儀ですもの。気合満タン、バッチオーケーですわ」

 

 そう意気込みを入れ直すヒマリに、俺も応えるように気合を入れる。

 

「クックス達を置いてきたのはあれだからな。今のあいつらじゃあ、下手したら一撃で吹き飛ばされるからな」

 

 俺はそう思うしかない。

 

 つい先月かそこら、俺達はグレモリー眷属と共闘した。

 

 暴走して戦争を引き起こそうとしたコカビエルの追撃。その過程でエクスカリバーを奪い、魔王の妹を堕天使の幹部が殺すことで冷戦状態に火を起こそうとした、何考えてるんだあのバカ野郎はと言いたくなる所業。そんなことされた後に、追撃のエクスカリバー使いに現地を縄張りにしているグレモリー眷属。

 

 ……よくぞ共闘できた。リーネスがあえて情報を開示し、同時に相手方の上層部にも書状を送ってくれたおかげだ。あと、リアス・グレモリーやカズヒ姉さんがその辺りに応用で柔軟なおかげだろう。

 

 そして、俺達の戦いは熾烈を極めた。

 

 聖杯戦争を利用したコカビエルの仕込み。更にサーヴァントの力を己に上乗せしたその強敵っぷりは、冗談抜きで強敵だった。

 

 サーヴァントと二人三脚で至った、二重神滅具による二重禁手。その前人未到の領域に至った赤龍帝、兵藤一誠。サーヴァントであるシャルロット・コルデーとの連携がなければ、死人が大量に出てもどうにも出来なかったかもしれない。そう断言できる戦いだった。

 

 その戦いを潜り抜けた者に、恩を仇で返すような苦しみを与えることに、俺達の心は正直痛む。

 

 だけど、世界は俺達だけで構成されているわけじゃない。

 

 俺達は現場の部隊だから、権限には限度がある。カズヒ姉さんもエージェント一人であり、上層部と直接の繋がりがあるわけじゃない。リアス・グレモリーはグレモリー本家の次期当主だけど、所詮は次期当主でなので権限は上級悪魔としては高い程度止まり。

 

 だから、上層部の判断や行動までどうにかすることはまずありえない。振り回されることはあっても振り回すことは出来ないし、出来る方が問題だ。

 

 そう、だから腹をくくるのみなんだ。

 

「覚悟は、いいわねぇ」

 

「「了解!」」

 

 そして俺達は、グレモリー眷属のねぐらでもある駒王学園旧校舎に踏み込み―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「この度は、神の子を見張る者(ウチ)総督(トップ)がご迷惑おかけしましたぁあああああああ!!!!」」」

 

 堕天使総督(ウチのトップ)というアザゼル(馬鹿)が、正体を隠してグレモリー所属の赤龍帝(イッセー)を指名してお得意様になっていたという事実。

 

 しかも性格からして適当なタイミングで正体を明かすとほぼ確定。知られた瞬間にイッセーはビビるだろうし、見方によっては営業妨害。

 

 ……その情報を察知して、「これは謝りに行った方がいいんじゃないか」と判断して菓子折りもって頭下げに来たわけだよ。

 

 そして今―

 

「本っ当に苦労しているのね。確かに魔王様もプライベートでは非常に緩いけれど、堕天使も相当だわ」

 

「そっちも大変なのねぇ。あ、これクックスに作ってもらったお菓子よぉ。マカロンと月餅とどら焼きがあるけど、どれがいいかしら?」

 

 ―上司の愚痴でリーネスとリアス・グレモリーが盛り上がっていた。

 

 どこも、大変だなぁ。

 

 俺がそんなことを思っていると、コトンと隣にティーカップが。

 

「最上級堕天使は誰も彼も迷惑な方々ばかりのようですわね。そちらも苦労なさっているのでしょう?」

 

 ……姫島朱乃さんだっけ? 前にも思ったけど、堕天使に対して毒がないか?

 

 いや、悪魔と堕天使は敵対してるから仕方ないけどさ? それにしてもこう、個人的な嫌悪が見え隠れしてるんだけど―

 

「うえぇえええええん! 部長ぅうううリーネスぅうううう! 正直本気でビビったよぉおおおおお!!!」

 

「ああイッセー。本当に大変だったのね」

 

「ごめんなさいねぇ。ほら、お詫びにぱふぱふ」

 

 そしてイッセー、なにサラリとWおっぱいにダイレクトだいぶ決め込んでる。

 

 正直その豊満なおっぱいサンドイッチは、男としてちょっと羨ましいぞ。カズヒ姉さんはまな板だけど、貧乳に一目惚れしたこととおっぱいに興奮しないかは別問題だ。

 

 ……スキンシップで味わってるけどね! カズヒ姉さんに悪いからもうちょっと抑えた方がいいのかもな!!

 

「うんうん。リーネスのおっぱいはとっても柔らかいですもの。しっかり癒されると良いですわ」

 

 そしてヒマリ。……その体制のイッセーをなでるのはいかがなものか。

 

 というより、こいつの性格から言ってやる行動はそこじゃない。

 

「ついでにお前もおっぱい押し付けたら?」

 

「体勢が悪くてコケそうですの……」

 

 そういうことかと、返答に苦笑する。

 

 自分で言うのもなんだけど、俺が一番あそこでまともだったからなぁ。俺ですら日本の一般人からずれてるのだから、ヒマリは更にずれている。

 

 と、いうことで。

 

「とりあえず、こういうことをよくする人なんで、とりあえずこれを利用して余計な策謀とかはしないと思っていいぞー」

 

「なるほどね。まあ、何かをしたとしても大丈夫だよ」

 

 俺がそう馬鹿総督()のフォローを入れると、今度は木場祐斗がそう返答する。

 

 なんだなんだ? なんか切り札でもあるのか?

 

 そう俺達の視線が集まると、どこか木場祐斗の顔はほんのり赤くなってた。

 

 ……何だろう、薔薇の花が咲き誇りそうな雰囲気を漂わせてる気がする。

 

「イッセーくんは、僕が守るからね」

 

 ………。

 

「イッセー、尻には気を付けた方がいいんじゃないか?」

 

「最近、木場を後ろに立たせるのが怖くてたまらないんだ」

 

「酷いよ二人とも!?」

 

 いや、そのホモ臭いセリフは年頃の男にとっては引く十分な理由だぞ。

 

 俺とイッセーは少しだけ、だけどしっかりと後ろに下がる。

 

 まあそれはともかく、リーネスとリアス・グレモリーはため息をついた。

 

「だけどまあ、三大勢力の会談前に火遊びはやめてほしいわねぇ」

 

「そうね。一応文句は言いたいけれど、堕天使の総督相手だと流石に簡単にはいかないもの」

 

 はぁと、ため息がシンクロする。

 

 まあ、正直張り倒した方がいいんじゃないかとすら思いたいんだが。いや真剣にどうにかしてほしい。

 

 トップ陣営にフリーダムな奴が多すぎると、下としては真剣に苦労する。特にトップ中のトップが一番悪戯好きなのが酷い。

 

 誰か物理的に手綱を握る奴がいてほしい。神の子を見張る者(グリゴリ)のノリだと出来ると思うんだよ。

 

 そう、俺が思った時に気配が増えた。

 

「アザゼルは昔からそういう男だからね。まあ気にしない方がいいさ」

 

 その言葉と共に、なんか洒落にならないオーラを感じる。

 

 敵意とかそんなんじゃない。ただただ強大というほかない、そういう自然体の気配。

 

 そして俺が戸惑っていると、グレモリー眷属の多くがひざまずき、リアス・グレモリーも面食らっていた。

 

「……魔王様!?」

 

 え、魔王!?

 

 俺が振り返ると、そこにいたのはリアス・グレモリーを思わせる紅の髪を持った男性。

 

 外見は二十代だが悪魔なのでそこは論外。それはともかく魔王で紅の髪となれば、現ルシファーしかありえない。

 

 ああ、現魔王サーゼクス・ルシファーは、リアス・グレモリーの兄だったなぁ。

 

「楽にしてくれ。今日はプライベートで来ているからね」

 

 そう朗らかに笑うサーゼクス・ルシファーに、ヒマリが目を輝かせてぴょんぴょんと飛び跳ねていた。

 

「おぉおおおおおおお! 魔王ですの! イケメンですの! カッケーですのぉ!! ポーズとか似合いそうですのぉ!!」

 

「失礼なことを言うのはよそうね!」

 

 思わず取り押さえるかどうか真剣に考えるよコレ。

 

 っていうか、大真面目に突っ込むけど敵対勢力のトップに見せる反応じゃないから。

 

 そう思ったその瞬間、サーゼクス・ルシファーが動きを見せる。

 

 流石に怒ったかと身構えた瞬間、サーゼクス・ルシファーは大仰に手を広げた。

 

「ふはははは! 刮目するがいい、この魔王ルシファーの威光に―」

 

 その瞬間、後頭部にハリセンが叩き付けられた。

 

「サーゼクス様、そういうサービスはおよしになってください。対象年齢が違いすぎます」

 

 そういう銀髪の人は、たぶんグレイフィア・ルキフグスだ。

 

 なんだろう、なんかこう、他人の気がしない。

 

 俺とグレイフィア・ルキフグスは目が合うと、ちらりと隣を見る。

 

 そこにいるヒマリやサーゼクス・ルシファーを見て、何となく理解できた。

 

「そちらも大変ですね」

 

「お互い様です」

 

 苦笑を交わし合うぐらいには、振り回されるタイプらしい。

 

「まあ気を取り直そう。まずはゼノヴィア君だったかな? リアスの新しい眷属にデュランダルの使い手がいるというのは驚いたよ。ぜひ祐斗君と並び立てるリアスの剣になってほしい」

 

「これは照れる。というか、まさか信徒として滅ぼすべき魔王を主の兄君として敬うことになるとは思わなかった。……主よ、私は早まったのではうぁ!?」

 

 ……自爆芸が身についてないか、ゼノヴィアの奴。

 

 というか、悪魔になってから数週間は立ってるはずだろ? それで悪魔になった直後の時と同じような失敗ってどうよ?

 

「いつもこうなのか?」

 

「アーシア先輩を含めて、結構な頻度でなってます」

 

 俺がつい呟くと、塔城小猫がそう返答してくれた。

 

 そうか、いつもなのか。

 

 学習能力がないのか、信仰心が抜けないのかどっちなんだろうか。

 

「こ、これは! ジャパニーズ天丼ですのね!」

 

「絶対に違うのでやめてください」

 

 ヒマリのボケ倒しに、ドアを開けながらツッコミの声が聞こえる。

 

 と、そこにいたのはシャルロット・コルデーだ。

 

 どうやら私服も用立ててもらったのか、現代風の夏服に身を包んでいた。

 

 そしてシャルロットに気づいて、イッセーが片手をあげてリアス・グレモリーも微笑んだ。

 

「おかえりシャルロット! そして大変だったんだよぉおおおお!」

 

「おかえりなさい。いつもバイトに精が出るわね」

 

「イッセー、よく分かりませんが大変なことがあったみたいですね。あとリアスさん、問題なくバイト代が入ってきました!」

 

 イッセーをぽんぽんとあやしながら、シャルロットは一枚の封筒を見せる。

 

 バイト、代………?

 

「あらぁ? バイトなんてしてたのぉ?」

 

「ああ、現代文化に慣れる事も兼ねて、自分から頼んできたんですよ。登録制のバイトに入って、ほぼ毎日一度はやってますわね」

 

 リーネスに応える姫島朱乃の言葉に、俺は感心する。

 

 なんとなくシャルロットの方を見ると、ちょっと照れくさそうにしていた。

 

「イッセーに恥じないようにと思いまして。それとサーゼクス・ルシファー様ですね。妹さんにはマスターともどもお世話になっています」

 

「いやいや。君がいなければコカビエルにリアスが殺されていたかもしれないんだ。むしろ感謝するのはこちらの方さ」

 

 そう朗らかに返しながら、サーゼクス・ルシファーはこっちに視線を向ける。

 

「さて、私的な用事もあったが、ちょうどいいから君達全員に聞いてほしいことがある」

 

 ………というと?

 

 俺達全員を見渡して、サーゼクス・ルシファーははっきりと告げた。

 

「今度行われる三大勢力合同の会談だが、コカビエルの一件を主題とする都合上、君達全員の参加はほぼ確定事項だ。そして会談場所は、その中心地となったこの駒王学園で行うことになったよ」

 

 ………わぁお。

 

 こりゃまた、フリーダムな出来事になったもんだなぁ、オイ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Other Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてその連絡を、彼女のまた通達されていた。

 

 血濡れの部屋の中で、カズヒ・シチャースチエは苦笑を浮かべる。

 

「……暗部組織が会談のゲストってのも考え物ね。異形社会は人間社会に比べて自由だけど、それもそれで考え物だわ」

 

 そうため息をつきながら、カズヒは周りを見渡した。

 

 イスラム教とかが多い原理主義テロ組織だが、宗教を源流とするテロ組織はそれに限った話ではない。

 

 今回は、サウザンドディストラクションで流出したプログライズキーや星辰奏者技術を利用する腹積もりのテロ組織の殲滅に動いていた。

 

 厳密にいえば、そこに寄りにもよって現地の司教が関与しているという事態の対処だ。表の部隊がテロ組織そのものを制圧している間に、それに反応した裏のつながりを断ち切るのが目的だ。

 

 そしてしっかり仕事を終え、カズヒはふと天井を見上げる。

 

 今この時活動しているのは、確か教会の星辰奏者部隊だったはずだ。

 

 星辰光(アステリズム)を運用し、かつ身体能力が総じて常人を大きくしのぐ星辰奏者(エスペラント)は、必然的に下位の異形を上回る。悪魔祓いとしての技術も踏まえれば、単独でも中級悪魔を打倒する程度は十分可能だ。

 

 加えて身体機能がすべからく向上する関係上、自然治癒力も打たれ強さも常人どころか下級天使すら凌ぎうる。

 

 それもあり、サウザンドディストラクション後に星辰奏者の強化技術が流出してからは、教会ももちろん積極的に投入した。

 

 とはいえ数においては少しずつ増やすしかないこともあって、優先的に配備されたのは特殊部隊だ。

 

 大規模作戦において、あえて先陣を切ることで他の部隊の士気を向上させることを目的とした精鋭部隊。名をデュナミス聖騎士団。

 

 難局にある善人に勇気を与え、鼓舞し、その力を引き出す存在である力天使にあやかったその騎士団は。その性質もあって危険度は非常に高い。

 

 故に、生存能力が大幅に上昇する星辰奏者を中核とした形に再編されて今に至る。

 

 教会の星辰奏者の約四割が属している最精鋭部隊。それだけの戦力が表に投入されていることに感謝する。裏の汚れ仕事で自分が支援できるのも誇らしい

 

 自分も表の方に回ればそこに所属することになったのかと思い、しかしすぐに首を振った。

 

()()()と同じ釜の飯とか、流石に勘弁よね」

 

 そう思い、そして少し苦笑する。

 

「あの子、大丈夫かしら」

 

 その言葉と共に、カズヒは昔を振り返った。

 

 いまだ複数神器によって格納している多数の装備。その採集を主要として行っていた、あの苦労を思い出す。

 

 そしてふと、二人の顔を思い出した。

 

 一人はリーネス。運命ともいえる奇縁の下、()()()()()()を遂げた少女。

 

 もう一人は、九成和地。自分に一目惚れなんてものをした、物好きな少年。

 

 彼女が面倒を見ているのなら、悪い男ではないのだろう。短い付き合いだが、気質なども好感が持てる。

 

 だからこそ付き合うことに気後れをしつつも、まあ住む世界が違うから大丈夫だとも思っていたらこの有様だ。

 

 リーネスも性格上止めない可能性があると思うと、これは真剣に気にするべきかとも思う。

 

 とはいえ、彼女としては絶対にありえないと思いたいが―

 

「リーネスが止めない辺り、()()()()()()()れるかもしれないわね」

 

 ―その時は、こちらも真剣に向き合うべきだろう。

 

 そんなことを思いつつ、カズヒは思考を切り替えた。

 




 星辰奏者技術は流出しており、確保できた勢力はどこも利用するかそれを考慮しているのが現状です。

 原作からして、技術水準は第一世界大戦相当と言われている中で「上位なら個人で一個中隊相当」と言われていますし、こと自然治癒力が大幅に向上するのは明確なメリット。D×Dでも不死をモットーとするフェニックス家が成り上がっているように「死に難い」というのは大きなメリットなのです。

 この作品、敵も味方も魔改造も多いですがちょい役含めてオリキャラも多くなることは間違いないと断言します。その過程で教会の表側のもテコ入れを踏まえるためこんな感じになりました。それがデュナミス聖騎士団です。

 基本的には脇役の中では出番が多い程度止まりにはなります。出てからの出番の多さでいうなら、おそらくサイラオーグ当たりになるかと。

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