好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ 作:グレン×グレン
まぁそれはそれとして、まだヴィールのターンは続きます。
野郎のやばさはまだまだここからだぜぇ……っ!
祐斗Side
冥革連合の悪魔達が突貫の態勢をとる中、リュシオン・オクトーバーはイッセー君達と戦いながら星を明かそうとするヴィールに突撃していく。
普通に考えれば、ここでリュシオンさんすら参加したのならヴィールも勝ち目は薄いだろう。
だが、次の瞬間生まれる現象が、その甘い目測を吹き飛ばす。
「恐れるがいい老害共よ。革命の炎は汝らを焼き尽くし、その果てに
ヴィールの動きは急に悪くなり、リュシオンさんの動きは恐ろしいほどに速くなる。
だが、更に迫りくるイッセー君達の猛攻すら含めて、ヴィール・アガレスは圧倒的な数の暴力で迎撃しきる。
「そして我らが敗北を踏み台として、新たなる世は訪れるのだ。栄光を磨かぬ怠惰の罪は、斬首によって禊とせよ」
数が多い。それは、文字通りの意味で驚異になる。
そう、ヴィールは数が多くなった。それこそ、十人近い人数に増えて、四方八方から攻撃を叩き込んできている。
「無知蒙昧たる愚者共に、勝利の栄光は訪れない。鍛錬精進研鑽などは、最低限の下準備。大いなる力を手に宿さんとする研究と改良こそが、覇道をなす礎となる」
分身そのものは、本体よりも脆いようだ。魔力も結果として弱くなっており、それによって撃破されるのも数多い。
それに何故か戦闘に直接参加していないのに、消えていくものも見えている。安定性に欠ける不安定な星の可能性すらある。
「故にこそ、怠惰を広める愚者に死を。我が命捧げる献身を、愚者の怠惰で汚させはせぬ」
だが、その瞬間にヴィールの動きは圧倒的に早くなる。
すべての攻撃をより素早く確実かつ余裕をもって、回避して反撃して迎撃する。
「先に行く者達の辞書から、不可能の文字を消す為に。我らの命を捧げる御恩をもって、勝利を掴む奉公に繋げん」
僅か一分足らずの攻防で、ヴィールはすべての攻撃を捌き切ってカウンターすら叩き込む。
「
その瞬間、ヴィール・アガレスはイッセー君の鎧を拳で突き破る。
「……っ」
「悪いが赤龍帝、今は貴様が一番崩しやすい。……致命傷は避ける。その力、磨き高めて冥界を担う者達を守る為に使うといい」
崩れ落ちるイッセー君が、頭を強く強打しないようにそっと倒れ方を調整する。
サイラオーグ氏を、リュシオンさんを、ヴァーリ・ルシファー。
その猛攻をすべて捌きながら、その絶大な星が僕達の心に楔を打ち込んだ。
Other Side
信じられないものを、ヴァーリ・ルシファーは見た。
あのリュシオン・オクトーバーの星を、敬意すら覚えるサイラオーグ・バアルの拳を。そして未来永劫最強の白龍皇になるとまでアザゼルに言わしめた、空前絶後たるこのヴァーリ・ルシファーを。
その猛攻に逆に有利な体制を示しながら、ヴィールは兵藤一誠を一瞬で鎮圧した。
「……なんだ、この強さは……っ!」
「まだこんなものではない。血脈を見せてやろう……っ!」
歯噛みしたその瞬間、ヴィールの戦闘能力が数段跳ね上がる。
拳の威力が、オーラの密度が、何よりすべての能力が、間違いなく跳ね上がった。
ギアを無理にでも強引に上げるが、それでも迎撃が追い付かない。
すべての攻撃に対応を挟み込んでいる者すら、リュシオンだけという状態だ。自分とサイラオーグに至っては、鎧が凄まじい速度で破壊されていく。
むしろ迎撃を間に合わせているリュシオンに戦慄すら覚えてしまう。
この男、どこまで化け物だというのか……っ。
そしてそんなリュシオンをもってしても、迎撃を間に合わせるのが精一杯。
リュシオンが突入した少しの間はヴィールも動きが鈍っていたが、すぐにでもその低下を抑え込んでいるのが更に恐ろしい領域だ。
戦慄を覚えるこの猛攻に、ヴァーリは憧憬すら覚えていく。
だが、そんなことを言っている場合ではない。
気づけば、ヴィールはこちらの攻撃に全てカウンターで迎撃を成功させている。
あり得ないことだ。カウンター系の神器を禁手に至らせているならともかく、ヴィールは本人の技量と打撃によってカウンターを成立させている。
そういった異能を使って言うわけではないカウンターというものは、基本的に高騰技能だ。
相手が放った攻撃を、放った直後に見抜いて、最適な動作ですり抜けるようにして、自分の攻撃を叩き込む。それゆえに普通に打撃を与える以上の効果を発揮するが、同時にそこに必要な工程は難しい。根幹的にテクニックタイプとして格上でなければ放つことができない高等技術。
それを、この猛攻ですべてにおいてカウンターを成立させている。
魔力攻撃をこちらの遠距離攻撃を捌くことに使っていることもあり、ヴィールの当てている攻撃はすべてが打撃攻撃だ。
それはすなわち、魔王と神滅具の競演である
「……ここまでとはね……っ!」
「だが、俺は負けん……っ!」
ヴァーリが唸るのに合わせるかのように、サイラオーグ・バアルは吠える。
カウンターの連打を意志力と頑健さで強引に突破しようとしながら、攻撃密度を高めることで何とか一撃を射れようとする。
全身を傷だらけにし、額から血を流しながら、それでもサイラオーグ・バアルは突貫する。
そこにあるのは驚異的なまでの勝利への執着。
勝ち負けを超える勢いで戦いを愉しむ自分とは異なる、強迫観念ともいえるその決意は、敬意を持つに値するだろう。
リュシオン・オクトーバーの異常というほかない精神に比べれば真っ当だが、真っ当だから弱いというわけでは断じてない。
敬意を覚えるほどのその猛攻を前に、ヴィールはしかし冷静に分身による包囲戦闘を自身のカウンターを叩き付けながら、ちらりと視線を向ける。
「……やはり、お前は本当に無能で無意味なやつだな」
そう、はっきりと吐き捨てる。
それに対して不快感を、サイラオーグ・バアルは示さなかった。
だが、ヴァーリとしては不快感を感じるほかない。
「言ってくれるね。見る目がないのはどちらだという?」
不愉快なことをいくつも見せているが、いい加減一言言っていた方がいいだろう。
振るわれる攻撃の密度にずれを産むことで、牽制を仕掛けるように攻撃を叩き込む。
「これだけの拳を、これだけの武威を、無能と……無意味と本気で言えるのなら―」
「阿呆が、
その全ての攻撃をすり抜け、ヴィールの肘がヴァーリのみぞおちに叩き込まれる。
その直後、肘を基点に絶大な魔力がヴァーリを貫いた。
致命傷に限りなく近い一撃を食らい、ヴァーリは動きが一瞬止まる。
即死はしない。だが戦闘継続は不可能に近く、更に治療をしなければ確実に死ぬ。
そしてアーシア・アルジェントがいる状況下で、即座の回復を許すほど相手は甘くなく―
「すっこんでろ阿呆が。遠くで寝てろ」
―素早く救い上げるような回し蹴りで、ヴァーリは数百メートルの彼方へと吹き飛ばされた。
祐斗Side
あの、ヴァーリ・ルシファーをああも簡単に……っ!
いくらなんでもあり得ない。というよりも、さっきから急激にヴィールが有利に立ち回り続けている。
こんなわずかな時間で、そこまで急激に成長できるのか? 僕達グレモリー眷属も成長率では著しいが、それにしたって有利になりすぎている!
「……まず確実に無能を潰すか。……戦術を変えるぞ、クラウディーネも健也も、本格的に血脈を使え」
「「了解」」
更に、ヴィールの眷属も本格的に戦線を動かし始める。
赤いオーラに包まれた双竜健也は、一秒に何発もの絶大な魔力を砲撃で叩き込み、宣戦をかき回している。
一発一発の破壊力は、今の部長なら上回るだろう。だが秒間数発も連射するという条件化なら、リアス部長でもすぐにガス欠になっているだろうレベルだ。
「イッセー、イッセー起きて!」
そしてイッセー君を庇いながらの部長は、必要不可欠な迎撃だけにとどめているけど消耗が激しい。
更に回復の基点となるアーシアさんや、増援に来てくれたデビルレイダー部隊にデュナミス聖騎士団も苦戦している。
その理由は、クラウディーネ・ドゥルカンナインが出現させる氷の兵士達。
まるで血を凍らせたかのようなその兵士達は、既に三桁後半に届く数で戦略的に仕掛けてきており、こちらの連携を阻害していく。
連続砲撃と人海戦術。砲撃と兵士の海により、僕達を圧殺するように仕掛けてきている。
そしてそれを全面的に使ったうえで、更にヴィール・アガレスが連れてきた上級悪魔達が、リュシオンさんを包囲して制圧を目論んでいく。
「うかつに接近せず遠距離から抑え込んでおけ。奴の星辰光は接近戦には鬼門だ」
「……気づいたのかっ」
リュシオンさんが警戒の色を濃くするけど、ヴィールは彼の星辰光に気づいているのか?
かつてツヴァイハーケンの武将型アステロイドとも渡り合った彼の星辰光。相当強力なものだと思うけれど、見抜いているのか?
ヴィールは呆れているのか感心しているのか分からない表情で、リュシオンを一瞬だけ見つめていた。
だがすぐに、ヴィールはサイラオーグ氏に向き直る。
「いい機会だ。貴様がどこまで無能で無意味なことをしているか、その体に叩き込んでやる。……かかってこい、
「……いいだろう。その勝負、受けて立つ」
静かに、だけどオーラを纏って一歩を踏み出すヴィールに、サイラオーグ氏は闘気を纏って突貫する。
……だが危険だ。
この戦い、油断すれば……負ける!
こんな感じでヴィールフルスロットル。まだ結構続くのじゃよ。