好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ   作:グレン×グレン

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 それはともかく、書き溜めはガチバトルが終わってちょっとラブコメ的なあれになっております。このあと学園祭がスタートです。

 おそらく今週中にウロボロス編を書き出すことになりますが、ウロボロス編及びヒーローズ編を含めた第五章の題名はすでに決定済みです。

 まぁ四月前半にスタートする感じですね、はい。


冥革動乱編 第五十六話 なぜサイラオーグは無能なのか

 

Other Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「無能で無意味なサイラオーグ。今のお前は冥界の毒になる」

 

「貴様が言うか、冥革連合……っ!」

 

 怒りが籠った返答と共に、放たれる拳を最小限の動きで躱してヴィールはサイラオーグに拳を叩き込む。

 

 今のままならまず負けない一対一だが、決してなめてかかれるわけではない。それぐらいには、サイラオーグ・バアルは脅威だと、ヴィール・アガレス・サタンは重々理解している。

 

 何故ならば、彼の一撃は間違いなくこちらに届くのだから。

 

「言っておくが、お前はたぶん勘違いしているぞ?」

 

 最小限の動きで躱して捌き、ヴィールはサイラオーグに攻撃を叩き込んでいく。

 

 はたから見れば容易くやっているように見えるほど、流れるようなその動きに無駄はない。

 

 最小限の力で十分な余力を残しながら、ヴィールはサイラオーグを一方的に殴り続ける。

 

 それでいながら気圧されることなく、反撃を振るっていくサイラオーグは、決して弱い男ではない。心身の強靭さで言うならむしろ真逆だろう。

 

「お前は確かに優れた戦闘能力を持っている。また上級悪魔でありながら魔力を欠片も持たないという、本来なら性格が歪んでいるだろうデメリットを持ちながら、肉体を鍛え上げてきた精神も確かに強靭だ。それは認めてやる」

 

 ヴィールもそこは認めている。

 

 認めているからこそ、うかつな手だけは打たない。

 

 必要な部分は慎重に。かつ有効な時は大胆に。それによって堅実かつ迅速に、サイラオーグを削っていく。

 

「貴様は優れた戦士だ。獅子の鎧と共にならば、いずれ必ず魔王に匹敵する戦闘能力を会得するだろう。むしろ超えるかもな」

 

「そうだ! そして俺は必ず夢を掴む!」

 

 反撃のカウンターを嵐のように浴びながら、サイラオーグは突貫する。

 

「誰もが、それに見合った力を持つのなら! 必ず見合った地位につける冥界を! 母上に恥じぬ冥界を、俺のような者が生まれぬ冥界を! 俺は必ず作って見せる!」

 

「……()()()()()、馬鹿が」

 

 それを狙いすましたように、自分でも称賛するほどの拳をヴィールはサイラオーグに叩き込んだ。

 

 衝撃で強引にのけぞったサイラオーグに、ヴィールは一歩前を踏み出す。

 

 そして聖と魔を融合させたオーラを全力で纏い、渾身の頭突きを叩き込む。

 

「てめえのっ、間抜けなっ、頭にもっ! 分かるように訊いてやるから答えてみなぁ!」

 

 三連続で頭突きを叩き込み、更にボディブローを叩き込んでから、ヴィールはサイラオーグに詰問する。

 

「……だったらなんで、大王派に()()()()()()()()()()、あ?」

 

 本心から、ヴィールはそれが分からない。

 

 そしてなんでそんなことを聞くのか分からないと、サイラオーグの表情が物語っている。

 

「おのれの夢を、隠す必要がどこにある! 夢を掲げて示さずに、どうして民がついてくるというのだ!」

 

 だからこその反論に、ヴィールは冷めた目を向けるほかない。

 

 本心から思える。

 

 こいつはダメだ。

 

「だからお前は無能で無意味なんだ、間抜け!」

 

 はっきりと、誰の耳にも聞こえるように宣言する。

 

「あの連中がそんな夢を応援すると思うか? お前を後援する大王派の大半は、お前を利用して魔王派に目にもの見せたいだけだと、まさか本気で分かってないのか?」

 

「分かっているとも。だが例えそうであろうと、上に上る為のパイプを掴む必要があるのなら―」

 

「それがまず論外なんだよ、間抜け!」

 

 話を聞く勝ちすらないと、ヴィールはその口に拳を突き入れた。

 

 反撃の攻撃を右手以外で捌きながら、ヴィールは翼で己を支えることで、サイラオーグを持ちあげる。

 

 そして真っ直ぐに目を見たうえで、サイラオーグを否定した。

 

「自分の夢を応援するわけでもなければ、相互利益を得ようとするわけでもない。ただ利用して甘い蜜を吸うことだけ考える屑共の手を取って夢を叶えるぅ? それが無能で無意味だと、俺は言ってるんだよ、馬鹿が」

 

 まったくもって理解ができない。

 

「……大王派に取り入って真逆の(そんな)夢を叶えるなら、まず知られねえように隠せよなぁ!」

 

 そしてその瞬間、サイラオーグの口の中にオーラの攻撃を叩き込む。

 

 聖と魔が入り混じったオーラの一撃を喰らい、サイラオーグの動きが一瞬だが確実に怯む。

 

 そして畳みかけるように、攻撃と口撃を放っていく。

 

「何故、態々消滅を継いだ弟から次期大王の座を奪う!? 奴らのプライドを踏みつけるだけだろうが!」

 

 一撃

 

「何故、大王派の連中が嫌うような夢を()()()()()!? 挑む準備をし終えてもないのに、妨害させて何になるという!?」

 

 一撃

 

「何故、大王派の連中の()()()()()()()()()()!? 相手から利益を得たいのなら、相手の弱みを握るか何かしらの益を与えるだろうが、普通!」

 

 一撃

 

「何故、見下し毛嫌いされる()()()()()()、魔力を持つ貴族達に()()()()()()()!? 奴らに恩恵を与えてもらいたいなら、奴らが喜ぶような自分を見せつけろ!」

 

 一撃を放ち、そしてヴィールは肩をすくめる。

 

「大王派で真逆の(そんな)夢を叶えようっていうなら、それが最低条件だろうが、あぁん!?」

 

 そして投げ飛ばし、更なる攻撃を叩き込む。

 

「大王派の連中から多くの支援を受け取りたいなら、奴らの機嫌を伺えよ! 実の弟に土下座して「自分は腕力だけですから、魔力を生まれ持っているあなた方の下僕として、偉大にして崇高たる方の敵を滅ぼすために全てを捧げます」と、靴を舐めながらへりくだって、屑をおだてていい気分にさせろよなぁ!?」

 

「何を……ふざけている!」

 

 激高するサイラオーグは、強引に突貫して反撃を試みる。

 

「掲げる夢を踏みつけにさせて、へらへら笑っておきながら、どうして夢を叶えられるという!」

 

「馬鹿が! 自分の夢に泥を塗り、唾を吐きつけてるのは()()()()()()

 

 振るわれる拳に拳を叩き付け、ヴィールはサイラオーグの反論を真正面から粉砕する。

 

 そしてそのまま流れるように、拳の猛攻を叩き付けた。

 

「邪魔して馬鹿にして愚弄するだろう連中の支援を得ようとしながら、何故そんな奴らの前で夢を語る! 何故夢を虐げ踏みにじるような連中に、邪魔しやすいような夢を語る! 「こんな嫌なことをするから妨害してください」と、自分から自分の()()()()()()()()()()()()()、偉そうに講釈を垂れるんじゃねえ!」

 

 すべての攻撃を攻撃で打ち砕き、ヴィールは全力でサイラオーグを否定する。

 

「夢を本気で叶える気がないから、そんなことをしているんだろうが。臥薪嘗胆という言葉を知らんのか、この阿呆がぁ!」

 

 本気の怒りを込めた拳は、サイラオーグの矜持を圧倒してすべての攻撃で攻撃ごとサイラオーグを打ち抜いた。

 

「何故お前は夢を叶える為の行動をしない!?」

 

 全力の拳の応酬は、すべてが怒りをもってサイラオーグに叩き付けられる。

 

「何故、生まれ持った魔力と血統を誇る悪魔に尽くす為だけに己の武力と器量があると思わせて油断を誘わなかった!? 何故、自分達に都合のいい存在と思わせることで奴らの弱みとなる情報を調べられる位置に潜り込まなかった!? 何故大王派の連中からすべて絞りつくしてから投げ捨てられるように、逆らおうとすら思えないように心をへし折り脅さなかった!?

 

 殴り殴り殴り、そして問うて問うて問い質す。

 

「何故、自分よりすべてが劣る弟を称え下僕のように尽くしつつ、その隙をついて魔王派が喜ぶようなバアル本家の弱みを探そうとしなかった!? 何故、自分の理想を応援する者が多いだろう魔王派に繋ぎを作り、大王派を()()()()()()()()()()()()()()()としなかった!? 何故己の夢を宣言するまでに、邪魔をする大王派のスキャンダルを集めに集めて同時に公表しなかった!?

 

 理解ができない。信じられない。まったくもって愚かしい。

 

 そんな糾弾と共に、ヴィールはサイラオーグを殴り続ける。

 

「大王バアルに散々踏みにじられ、奴らが認めないだろう夢を叶えんとしてんなら、それぐらいの覚悟がいるだろうが! お前の精神力と武芸があれば、奴隷のように尽くすふりをしつつ魔王派の連中と繋がれば、今頃お前の夢を邪魔する大王派(最大勢力)を、夢の宣言と共に一気に崩すこともできただろう!」

 

 あまりに情けない。あまりに不甲斐ない。

 

「運よく巻き込まれた聖杯戦争と、同時期に得た鮮血の聖別洗礼(パプテマス・ブラッド)がスタートダッシュを一気にかけたからとはいえ、僅か五年と少しで俺は冥革連合を決起させることができた。貴様ほどの才覚が真剣に夢を叶える手法を考えて、全力で奴らを利用しつつ魔王派と繋ぎをとれば、同じぐらい……長くとも十年……いや、もっと早く奴らを潰すこともできただろうに!」

 

 連続の攻撃でよろけるサイラオーグの頭を掴み、ヴィールはサイラオーグを持ち上げる。

 

 そこには怒りの感情がこれほどまでにといわんばかりに込められていた。

 

「いいか? 貴様は夢を叶えようなどと()()()()()。叶えようとしているつもりなら、それは自分を()()()()()だけだと思い知れ」

 

 その宣言に、サイラオーグの鎧となったレグルスから怒りを見せて睨み付ける。

 

『ふざけるなよ、サイラオーグ様がどれだけの覚悟をもって、奴らの前で夢を掲げたと―』

 

「だから夢を叶えようとしてないんだよ、馬鹿が」

 

 その反論を、真っ向からヴィールは切り捨てる。

 

本気で叶えるつもりなら、させるつもりがないと分かりきっている連中の前で準備もなしに夢を宣言しないだろう? 叩き潰す算段を整えて宣戦布告する以外に、そんなことを言う理由がないだろう? 本気なら相手を上手く利用する為に隠すか、真っ向から叩き潰す宣戦布告として使うんだよ、馬ぁ鹿」

 

 本心から罵倒したうえで、ヴィールはサイラオーグの目を真っ直ぐに見る。

 

「お前の掲げる夢など、嫌いなやつに勝てないと分かっている奴が「自分は決して屈してません」と()()()()()()()()()()()()()だ。足を引っ張るだけ引っ張って、本気で挑もうとしない臆病者の()()()なポーズだ。それを()()()()()()()()()、俺はお前を()()()()()()()()んだよ、ボケが」

 

「俺が、本気でないだと……っ?」

 

 腕を掴み、引きはがそうとしながらサイラオーグはヴィールを睨み付ける。

 

 それに対して、ヴィールはため息すらつく余裕があった。

 

「まったくだ。自分の夢を裏で邪魔すると分かっておきながら、そんな連中の前で夢を語ったうえで後援者にする。自分の夢に自分で唾を吐きつけて、踏みにじっていると何故分からん」

 

 はっきりと、ヴィールは此処に宣言した。

 

「サイラオーグ・バアルは無能で無意味な男だ。この程度の()()()()()()()()()()()()()十分できるだろう臥薪嘗胆如きも()()()、下らん虚勢を張ることに全霊を尽くす阿呆などが、夢を叶えるなど千年早いっ!!」

 

 そして、ヴィール・アガレス・サタンは拳を握り締める。

 

 更にその拳は、一つの真魔の駒を握り締め―

 

「目を醒まさせてやるし真魔の駒(餞別)もくれてやる。性根を入れ替えて一から夢を掲げ直せ、この……大馬鹿野郎がぁっ!

 

 ―全身全霊の拳が、サイラオーグを真正面から打ち抜いて沈黙させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 軽く100mは吹き飛ばされ沈黙するサイラオーグを一瞥し、ヴィールは少しだけため息をついた。

 

「……ぬかったな。地が出た」

 

「……なるほど。組織のトップとして口調を作ってるわけか」

 

 振るわれる攻撃に、ヴィールもまた迎撃で返す。

 

 そして反撃がすり抜けてこちらに打撃が届きかけ、ヴィールは瞬時に状態を逸らすと距離をとった。

 

 間違いない。()()()()()

 

 それを悟り、ヴィールは素早く分身を差し向けながら、敵手を確認する。

 

「やはり貴様か、リュシオン・オクトーバー」

 

 部下は決して弱くない。

 

 自主鍛錬は欠かさず、才能も少なからずあり、それを王の駒や真魔の駒で強化している。

 

 筆頭格は全員が最上級上位クラスの性能を持ち、それ以外も含めて技量とて年齢水準を遥かに超える。

 

 それをもってしてなお、リュシオン・オクトーバーは突破してこちらに攻撃を叩き込んだ。

 

 ならば―

 

「リュシオン・オクトーバーは一旦俺が相手をする。隊列を立て直せ」

 

『『『『『『『『『『承知!』』』』』』』』』』

 

 部下が速やかに対応し、ヴィールは静かに拳を構える。

 

 そして分身をしのぎ、リュシオン・オクトーバーも拳を構える。

 

「……流石は冥革連合の長。異形は階級の上下と戦闘能力の上下が比例するから厄介だね」

 

「良し悪しはあるだろうが、俺は嫌いではない。とはいえ、貴様のように()()()()()は俺が相手をするのが最適解か」

 

 ため息をつきながら、ヴィールは静かに距離を測る。

 

「……心外だね。俺は人より歩くのが早いとは思うけど、道を外しているつもりはないよ」

 

 不満げな表情を浮かべながら、リュシオンも腰を落として足に力を入れる。

 

 そして―

 

「……少しは自覚しろ、この俺のようにな!」

 

「しているさ。進むべき道も示すべき道も!」

 

 ―頂上決戦が開始される。

 

 接近しての超高速の連続格闘攻撃に、ヴィールは魔力攻撃まで追加される。

 

 その猛攻をリュシオンは回避しつつ、隙あらば攻撃を叩き込む。

 

 味方がいなくなったことでリュシオンは明確に不利なはずだが、先ほどに比べるとヴィールの優勢は削れている。

 

 それに周囲が動揺しながらも、二人は周囲を警戒しつつ正面から攻防を繰り広げる。

 

「……やっぱり、君はそういうことか!」

 

「……多分だが当たりだよ、慣性制御能力者!」

 

 お互いにお互いを察していたがゆえに、その言葉の応酬で隙は生まれない。

 

 ゆえに、ヴィールは味方に伝える目的で種を明かす。

 

リュシオン(貴様)の星辰光は既にツヴァイハーケンが幾つか仮説を立てていたが、自ら喰らって慣性制御だと確信できた。自分に使えば動作の機敏化や打撃力の強化に、他者に使えば動作の干渉で動きを阻害するといったところか」

 

「……さて、素直に語るほど間抜けじゃないけどね」

 

 リュシオンはそう返すが、それが焼け石に水程度なのは自身も理解している。

 

 ゆえにこそ―

 

「とはいえ、これ以上隠していても意味がない……か。創生せよ、天に描いた星辰を―――我らは煌めく流れ星」

 

 ―遠慮する理由も欠片もない。

 




 ヴィールがサイラオーグを無能扱いする理由の根幹は「本気で夢をかなえようと思えないやり方」につきます。

 ヴィールからすればサイラオーグの夢をかなえようといってしている行動は「中二病のなんちゃって不良」と全く変わらないように映っているのです。少なくとも、本気で夢をかなえる気なら絶対しない行動をとっている風にしか見えていない。

 まぁ当人の発言を見ていればわかると思いますが、ヴィールはファブニルがガチで気に入りそうなレベルの夢に対する本気な男ですので、サイラオーグの能力が高いことを理解していることもあるからなおさら侮蔑の感情が先に立つ。

 自分が願う世界を作るために本気で真剣に考えてプランを立てて動いている横で、妨害されるような形で夢をかなえて相手の神経を逆なでして妨害してくださいといっているような真似をしている奴がいれば、ムカつくというのは理解できるのではないでしょうか? ヴィールにとってサイラオーグの行動はまさにそんな感じなわけです。

 ……わかりやすく例えると、Fateの愛されキャラであるゴルドルフ・ムジークの父親であるゴルドが告げたセリフがいい感じですかね。

「掃除機でふろ場を掃除する奴がいたらムカつくだろう」とかそんな感じのあれ。

 ヴィールからすればサイラオーグは、掃除機でふろ場を掃除するどころか、逆に汚れをばらまいているような奴なのです。





 ……まぁ、「ヴィールの方がいかれている側」という前提条件がある以上、逆にヴィールにムカつく方が多い流れではありますけどね。
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