好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ 作:グレン×グレン
そんな感じで、最終決戦第一ラウンドとなります!!
Other Side
真っ向から、仮面ライダーマクシミリアンと仮面ライダー道間がヴィールに猛攻を仕掛ける。
狭い一本道で、更に視界が見通せない半透明の結界で覆われている。
これによる挟み撃ち。二方向からの無茶のある猛攻がヴィールに襲い掛かる。
真っ当な成長では決して追いつくことができない圧倒的な成長速度。それに対して解析され難い環境で追いつかれる前に倒すのは、ある意味で真っ当な対応策だ。
だが、
だからこそ、更なる一手が来ることは読めていた。
「耐えなさい、和地!」
「ああ、カズヒ姉さん!」
その瞬間、打撃において計算することなく文字通りの乱れ撃ちによる榴弾の連射が発生する。
同時に、九成和地の全身から炎がまき散らかされる。
―なるほど。確かにこれは俺にも当たる
ヴィールは素直に感心する。
すなわち無差別攻撃による面制圧。自分諸共巻き込むことで、確実に当てて削ることを踏まえている。
一言でいうならマトモではないだろう。だが同時に、まともな手段で勝てない状況でまともな手段に
卑怯卑劣は敗者の戯言。何故ならば、勝った者達からすれば、そんなものはただの小細工でしかないのだから。
むしろ相手が手段を選ぶと
故に、この程度でヴィール・アガレス・サタンは止まらない。
「この程度で……終わりか?」
冷静に、正確に、攻撃に対応していくのはヴィールの方が早い。
もとより彼は、既に二人の戦闘を映像込みで何度も見てきている。
春菜が決着をつけれたのなら、当然次は自分に挑みに来ると予想済みだ。なら当然だが対策はとる。少なくとも、分かっている敵に備えるのは当然のことだ。
ここ一週間ほど、分身の一体は記録映像の確認及びシャドウトレーニングに努めていた。結果として、かつての二人が相手ならカウンターは取れると自負している。当然相手も成長しているだろうが、それでも対応速度は速く済むはずだ。
向こうもこちらに対抗する隠し玉や、初見殺しは用意してくるだろう。だからこそ常に鍛え備えている。もし西遊記の英傑達に喰らいついた自分達相手に備えてないのなら、そのまま打ち砕くだけだ。
だからこそ、喰らいつけるだけの成長を鍛錬で成し遂げた二人の、更にこちらの戦い方に対する対策は称賛に値する。
おそらく春菜からある程度の情報を聞いていたのだろう。そのうえで即座にそれなりに対策をとっている辺り、相手が優秀であることを痛感する。
強い精神力で強引に食らいつくのも難敵だが、こういう正解を探し出して突きつけるのも難敵だ。人によって向き不向きがあることは当然理解している為、彼らはそういうタイプであるというだけだろう。
だが、しかし―
「神滅具を纏ったサイラオーグと、覇に準ずる力を振るえるヴァーリ、そして覇を三人がかりで制御する兵藤一誠による五人がかりには程遠い!」
―既に迎撃は可能だった。
攻撃は当然一方的にこちらが当てており、範囲攻撃も弾き飛ばし返す余裕すらある。
それでもなお食い下がる二人の精神力は認めるが、この程度で終わるというのなら―
「春菜を救い上げるには、どうやら足りんということか?」
「……それはどうかな?」
その、九成和地の言葉に、ヴィールの警戒心は一瞬だが跳ね上がる。
分身は数体を油断なくつかせて、入れ替えることで情報は統合している。
外観から見える情報と、内部の情報は矛盾してないように見える……否。
違和感を覚えたその瞬間、九成和地は吠えた。
「カズヒ姉さん!」
「もちろんよ!」
答えるその瞬間、結界が
そして気づいた時には、大量の爆薬が仕込まれていた。
「……そう来るか!」
なるほどつまり二段構え。
第一弾で倒せると最初から考えず、本命はこの第二弾。
障壁で逃げ場がない空間による、爆圧による圧殺。リズムを読んだ程度ではどうしようもない上、どうやらセンサーによる自動操作なら、カズヒのリズムを四でも意味がない。
ご丁寧にクレイモア地雷の系列とサーモバリック。大量のベアリング弾による制圧に、爆発燃焼により呼吸すら止めんというその凶悪な手法に、ヴィールは思わず笑みを浮かべる。
見事。ここまでの策を瞬時に組み立て、命がけの戦闘の中で備えるとは。
外側から見た結界と内部から見た結界の推定サイズが違うことに、気づくのが遅れたこちらの不徳。
ならば、答えは一つ。
「……全方位圧殺が相手なら、全方位攻撃で対応するのみだ」
すなわち、結界と爆圧を自力で粉砕する。
込められた力を反動を覚悟のうえで開放する。
そして同時に起爆し―
「この程度ではなぁ!」
―ヴィールの魔力が、強引にすべてを吹き飛ばした。
そしてその瞬間、爆圧を強引に突破した二人が左右から迫りくる。
「「まだだ」」
『GANTLET』
『チャージングブラストフィーバー!』
『ダイナマイティングユートピア!』
そして更なる三段構え。爆圧に対応する為に大技を放った瞬間を狙っての、必殺技による突貫攻撃。
隙を作らぬ波状攻撃。当然肉体にかかる負荷やダメージは大きいが、それだけの相手であるとこちらを認めているからこその本気。
しかし、ヴィールはそれを更に上回る。
「甘いぞ!」
双方の攻撃を、聖と魔の融合したオーラを纏っての回し受けで受け流し打ち上げる。
そしてそのオーラを全力で収束させ、相手が回避する隙を与えずに叩き込む。
そして、強大な爆発が巻き起こった。
その光景を、会場にいる者達は見てしまっていた。
絶望のあまり、避難する気力すら失っていく。
冥界のヒーロー、おっぱいドラゴン。悪魔達の英雄、サイラオーグ・バアル。更に魔王の後継たる、ヴァーリ・ルシファー。
そんな若手悪魔の超人といえる者達が尽く倒れ、その仲間達も倒れていく。
その光景に、観客達は心が折れていく。
希望の光だと思っていた英雄達が、冥界に対して反乱を引き起こした男に倒されていく。
「……これ、王の駒って奴を使わなきゃ勝てる者も勝てねえだろ」
そんな風に、ぽつりと呟く者がいる。
王の駒によって強化された戦士達。
そしてまだその恩恵を受け取ることなく、英雄達を打倒するヴィール・アガレス。
そんな存在を前に、増援を送る当てもないのにどうすればいいというのだ。
「……ぅ……ひっぐ……っ」
子供達の中には涙を流し始める者もいて、下手をすれば一気にパニックが引き起こされかねない。
「……ぉっぱい……おっぱいドラゴン……」
「死んじゃ……ゃだぁ……っ」
そんな絶望と恐怖を嘆きがあるがゆえに、子供達が泣き出すのは時間の問題であり―
「泣いちゃダメぇえええええっ!」
その声が、やけに強く響き渡った。
会場中が、しんと静まり返る。
その声を出した者は、一人の小さな少年だった。
「おっぱいドラゴンが言ってたもん! 男は泣いちゃだめだって! 転んでも、何度でも立ち上がって女の子を守れるぐらい、強くならなきゃだって!」
つたない声で、それでも強い意志を込めて懸命に叫ぶ。
それは、心から全身全霊だからこそ、人々の心に届く。
「……そうだ、おっぱいドラゴンは負けないんだ」
「頑張れー! おっぱいドラゴン!」
「おっぱーい! 頑張れー!」
一人、また一人、声援が飛ぶ。
届いてくれと、立ち上がってくれと。
その懸命な声が、何時の間にか合唱にすらなっていく。
『『『『『『『『『『おっぱい! おっぱい! おっぱい! おっぱい!』』』』』』』』』』
そんな声が重なり―
紅が、光った。
やられたと思った瞬間、ついに始まるおっぱいタイム。
さぁ、だいぶ前からぶっ倒れてた、主役共の時間だぜぇええええ!