好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ 作:グレン×グレン
とりあえず連投クライマックスはあとちょっとだぜぇええええ!
Other Side
その光景に、誰もが一瞬度肝を抜かれた。
別の個所でレーティングゲームを行っていたはずのシーグヴァイラ・アガレスが、何故かロボットに搭乗して現れたのだ。
だがしかし、魔獣達はプログラムされた動作によって駆動する為、こういう時空気を読まない。
むしろミザリの「こういう好機で気が緩んだところに殺されると絶望だよね♪」な嗜好がサーヴァントとマスターのパス経由で流れ込んでいるのか、目ざとく攻撃を仕掛けてくる。
だが、それは黒い炎の壁によって防がれた。
『させるかよっ!』
同時に現れるは。黒いオーラで構成される蛇型の龍。
そこに瞬時にフローズヴィトニルが攻撃を仕掛ける。
準龍王クラスの増援ともなれば、そのままにしておけば敵が活気づく。そう悟ったが故の指示を受けたのだろう。
だが、そんなことは彼女も織り込み済み、それどころか、そこまで考えての作戦でもある。
「今です、結界で動きを阻害しなさい!」
「「「「「「『はい、会長!』」」」」」」
龍王状態の匙を攻撃できる間合いに入った瞬間、ソーナ・シトリーの指示でヴリトラの神器を流用した結界がフローズヴィトニルを包み込む。
「……例え規格外の機動力を持って翻弄しようと、移動範囲を制限してしまえばその脅威は半減します」
静かに一歩一歩を踏みしめながら、ソーナ・シトリーは宣言する。
自らの眷属だけでなく、アガレス眷属も代理で率いて、彼女は断言した。
「狼藉もここまでです。では、本格的に反撃いたしましょうか」
和地Side
振るわれる猛攻に対して、ヴィール・アガレス・サタンは明確に対抗しきっている。
リズムを読んでタイミングを完全に悟る手法こそ、俺とイッセーは何とか克服。そのうえで、歴代赤龍帝の協力もあって分身は抑えこめれている。
だが、本体……しぶとい!
「どうしたぁ! ここまで来てこの程度だというのなら、期待を裏切られたと言っていいんだがなぁ!」
こいつ、リズムを読まなくても強いんだった!
しかもリズム対策ができるのは、現状では俺とイッセーだけ。カズヒ姉さんが空間全域攻撃の支援に徹してるのもそれが理由だ。
ちっ! これ、俺とカズヒ姉さんだけで挑んでたらやられてた……っ!
「……この程度ならここまでだ。せめて加減ぬきで粉砕することで礼儀としよう」
その瞬間、ヴィールの性能が明らかに急激な上昇を遂げる。
野郎、此処で真魔の駒を解放したか!
気づけば後方に大量の魔力弾が展開されている。あれが一斉射されたら一気に形成が畳みかけられるぞ。
どうする? 今迄ですら攻めあぐねていたというのに、此処で一気に性能を大幅に向上させられたら……っ
「頭上げるな!」
その瞬間、絶大な氷塊が魔力弾を撃ち落とす。
この攻撃、まさか―
「ベルナか!?」
―本当にいたよ!?
俺が面食らう中、ベルナの奴は苦笑交じりで首を横に振る。
「アタシは付き添いだ。……いけ、本命!」
「……分かってる!」
そこから炎を纏って突貫するのは、春っち!?
え、ちょ、おま!?
「ヴィール様……私が己の足で立つ為、胸を借ります!」
「良いだろう。遠慮はしないが歓迎しよう。……俺は、それを待っていた!」
全身から炎を纏って突貫する春っちに、正確無比な聖と魔が融合した打撃が放たれる。
いやちょっと待て、それ直撃―
「血脈、覚醒―ッ!」
―その瞬間、驚愕の事態が連発して行われた。
一つは一撃で春っちの頭が吹っ飛んだ。
一つは吹っ飛んだ春っちの頭が炎のようになって瞬時に再生する。
最後に、突っ込んだ春っちは打撃戦でヴィールのカウンターをしのいでいる。
ヴィール以外の全員がちょっと困惑するが、仕掛けた春っちはなにも驚いていない。
「貴方の眷属になってから、私は
「当然、俺のリズムを多少は把握しているのだ。俺ほどではないがリズムを読めなくては片手落ちだ!」
そ、そういうことか!?
ヴィールがどれだけ春っちのリズムを読もうとも、春っちがある程度はヴィールの動きを悟れるのなら、そのカウンターは効果を発揮しない。
性能が急激に上昇したヴィールの攻撃を、春っちが食らいつくことで追いすがる。
「この戦い
「いいぞ! 漸く己の足で立ち上がれるか! 自分の柱を取り戻せたか!」
なんか分かり合いながら、打撃戦が白熱化している。
喰らう攻撃を炎と共に回復させながら迎撃を叩き込む春っちが入ったことで、形勢は何とか喰らいつけている。
……だが、決定打を叩き込むチャンスが―
『……待たせましたイッセー! 今ならいけます!』
―シャルロットの声が、俺の不安を払拭する。
そして、ヴィールすら喜色を浮かべやがった。
「更に見せるか! 千両役者だな貴様は!」
「そうさ! 俺とシャルロットとドライグの三位一体に、惚れた女がいるなら尚更ってなぁ!」
イッセーが全力で吠える。
……なら、期待するぜ!
Other Side
そして外周部でも、戦線は一気に三大勢力優位に傾き始めていた。
自軍を翻弄していたらフローズヴィトニルがソーナ・シトリーの策で抑え込まれたことが大きいが、それだけでは断じてない。
その理由はいくつもあるが、一つはとても分かり易い。
神々が本領を発揮できない最大の理由が、今押されこまれたことに由来する。
「……本丸は任せた、マルガレーテ」
「もちろんです。責任は果たします!」
クーア・バアルの援護射撃を受け、マルガレーテ・ゼプルが聖なるオーラを込めた射撃を放つ。
それそのものはアルケードが弾き飛ばすが、四方八方から迫る氷の蠅の攻撃まではカバーしきれない。
「……くっ! そう来るのね!」
その攻撃は打倒の為ではなく牽制の為。ノックバックで神々に接近させない為の攻撃だ。
これにより、ニスネウスは動きを完全に封じられた。これでは神の攻撃を受けに行くことができないが為、神々は思い切った行動をとることができるようになる。
既に幾人もの部隊がニスネウスの突貫を阻害する為の部隊を展開しており、これにより神々の反撃体制が整ったことが非常に優位に働いているのだ。
「はっはぁ! 流石は神話の英雄さん、やるじゃないかい!」
「流石は魔王ルシファーの血縁が率いる奴だな」
「ちっ! バアル分家の傑物は伊達ではないか!」
ティア・バアルやナシュア・バアル達前衛により、ホグニ王達も喰らいつかれ、猛攻を叩き込む暇がなくなっている。
「右に五度ずらした方がいいぞ、兄上」
「あいよ! ほらぁ、手柄になりなぁ!」
ローゲの幻術も事前に対策を整えていたのか、短時間でシュメイ・バアルに破られて食い下がられている。
更に一瞬の隙をついて、シュウゴ・バアルの遠距離狙撃が正確に殺さんと放たれる為、イシロ・グラシャラボラス眷属は完全に縫い留められていた。
忌々しいのは包囲は完璧ではなく、逃げようと思えば逃げられるという点。
これが逃げるという道にリソースを誘導することで、一点突破の策をさせにくくしている。
それを冷静に踏まえ、イシロ・グラシャラボラスは苦戦の喜びに身を震わせながらも納得する。
「この部隊単位での立ち回りは、ノア・ベリアルはこっちに戦力を割いているということね? やるじゃない」
その推測の通り、ノア・ベリアルはハッシュ・バアルと共に大王派の戦力を借り受け、イシロ・グラシャラボラス眷属の包囲網を確立化させた。
神々が集うこの戦場で、自分達が不利になっている理由はいくつかある。
その大きな理由は、パシパエとカイニスの宝具を併せ持つニスネウスの存在だ。
故に、ノア・ベリアルは時間をかけてニスネウスを抑え込める準備を整えた。
「さぁて、これで形勢は何とか傾けられるってところかねぇ」
「そうでなくては困るがな。まぁ、戦線の報告から見て、ニスネウスの釘付けに気づいた神々は既にサリュートⅠに本腰を入れている。十分我々は仕事を果たしただろう」
ノアにそう答えながら、ハッシュ・バアルは既に他の作業も進めていた。
その光景を見て、ノアは少し呆れの表情を向ける。
「……既に激戦区やその戦闘傾向パターンを算出するとか、それ絶対戦闘じゃなくて戦後復興の準備だろ? アンタそれでいいのかよ?」
「構わんさ。どちらにせよそろそろ神話からの増援派遣が確定されるだろう。今回のテロは制圧ではなく発破をかけることを兼ねた対神仏である以上、アグレアスそのものは今回制圧されないだろうしな」
ハッシュ・バアルはシュウマ・バアルの跡取りとして、彼の立ち回りの才覚を色濃く受け継いでいる人物である。
バアル分家という立場の跡取りである彼は、その才覚もある種の独特さを持っている。
フロンズ・フィーニクスのような、国家全体の方針を決める才覚は一歩劣る。部隊単位での緻密な戦術的采配は、ノア・ベリアルが一歩先を行く。だがその二つで二人に追随する力を持つ彼は、更に独自の手札を持つ。
それこそ、分家当主が積極的に対応する手法。主役を補佐する各種業務に対する手腕。すなわち優先順位が
この短い時間と戦線の士気業務で、ハッシュは既にアグレアスの被害状況を区画単位で把握している。それは当然、復興業務において必要な作業や資材を把握しているということに他ならない。
彼は既に、アグレアスから禍の団は撤退すると踏まえていた。故に敵が撤退した
今まさに人命が失われる戦場で、失われた先のことにリソースを割く。その才覚は、ある種の冷血さを必須とするがゆえに国家運営に必要な才覚と言ってもいい。
カズヒ・シチャースチエは己を必要悪とみなして活動する女傑だと、ノアは聞いている。
だが同時に、ハッシュ・バアルもまた必要悪を正確にこなせる傑物だと、ノアは理解し直して苦笑した。
「……ま、今回俺達は裏方でしっかり仕事をするだけだ。フロンズは今回動きづらいだろうしな」
「それはそうだろう。だが、フロンズは終わってからのかじ取りが本領だろうしな」
我らがリーダー格がこのあと大量の仕事をするのだと考えれば、この程度の苦労はまあいいだろうと思えてしまう。
それとなくやりがいを感じながら、大王派の若き新鋭達は堅実に自らの得意分野を発揮していく。
「ああそうさ。俺達の
「―
全ては、星海を疾く目指すフィーニクスと目指す理想の為に。
こんな感じでクライマックスは燃えるように続いていくぜぇええええ!
しかし同時に不吉な要素を見せるノアとハッシュ。
この点に関してはRillさんとちょっとメッセージで交した内容を反映させたものであり、かなり先を見据えた伏線だといっておきます。
作者の視点と読者の視点って違うから、しっかり入れているつもりの伏線が足りてないことってあるんだよねぇ……(遠い目