好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ   作:グレン×グレン

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 はいどうもー! 家族イベントで来週末と序盤、投稿や感想返信が難しくなるグレン×グレンでっす!

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 本日は冥革動乱編のエピローグとなっております。まとめにまとめたので、ちょっと長いです。


冥革動乱編 第七十話 銀の宿命が幕開けは、すぐそこに

 

 和地Side

 

 

 

 

 

 

 

 

「え、イッセー達が昇格ってマジですか!?」

 

「厳密には三人だけだし、中級昇格試験を()()()()だけだけどね」

 

 俺は学園祭の真っ最中、自分達の休憩時間中にサーゼクス様に会ってその話を聞いた。

 

 まさかそんなことになっているとは。どういえばいいんだろうか。

 

 レーティングゲームの成果が基本で、何十年何百年も下級悪魔のままで試験も受けれない。そんな奴が何人もいると聞いていた。だからその意味では、転生して半年程度なイッセーが試験を受けれるというだけでも凄い話だ。

 

 だがイッセーは熾烈な戦いを繰り広げて勝ち残ってきた。タカ派堕天使としては最強なコカビエル。魔王と天龍のまさに悪魔合体なヴァーリ・ルシファー。更にドーピングされた旧魔王の末裔三人がかりに、北欧の悪神。最近では最強の神滅具保有者や、努力(文字通り)チートな神滅具保有者まで出る始末。そういう意味では十分すぎる。

 

 ……まぁ、イッセー達は特殊すぎるからな。

 

「特例って、出ないに越したことはないですから……ってまとめた方がいいんですかね?」

 

「はっはっは。まぁ、政治を仕事としている者としては言いたいことは分かるよ」

 

 サーゼクス様は朗らかに言うと、コーヒーを一口飲んだ。

 

 ちなみに今は三年生がやっている喫茶店。コーヒーに拘りのある生徒と親が喫茶店やってる生徒がいたそうで、コーヒーに限定すればたぶんこの学園祭の飲食店でトップだろう。

 

 で、たまたま出くわしたのでこんな感じでちょっと世間話といった感じだ。

 

「で、時期って何時なんですか?」

 

「あと数週間といったところだね」

 

 早いよ。中間テストと殆ど時間差がないって。

 

 駒王学園、偏差値高いんだけどなぁ。

 

「ちなみに断るとペナルティとかあります?」

 

「特にはないね。ただ個人的に、イッセー君達は皆合格可能な能力を持っているとは思っているよ」

 

 う~ん。俺だったら今回は時期が悪いから見送るな。昇格の機会はリカバリーが簡単みたいだけど、中間テストはポシャるとリカバリーが大変だ。

 

 だが合格可能かぁ。……まぁ、グレモリー眷属の戦闘能力って、プロの上級悪魔とその眷属を比べても上位側らしいしな。イッセー達は既にヴァーリやサイラオーグ氏と真っ向勝負できるしな。たぶん朱乃さんとかも参加資格を得ているだろうし、二天龍の宿主や神の子を見張る者幹部と五大宗家のハイブリットだしなぁ。最後は木場だろうが、あいつは総合力が二人より高いしな。

 

 むしろそういった実技が基本なら、同じ試験に参加する人達が可哀想だな。

 

 基本的には中級の下だろう。なんというか、濃い味の食べ物を食べた後に薄味を食べると味がしない的な感じになりそうだ。評価が下がりそう。

 

「……実技試験はお釣りがきそうですね。ただ筆記試験もありそうなんですけど」

 

「そこは大丈夫だろう。朱乃くんや祐斗君は十全に知識があるからね。イッセー君も夏季休暇の時に家の者が叩き込んで評価もされているからね」

 

 ……そういえば、悪魔って二足のわらじどころか三足ぐらいは履いているからなぁ。中間テストと資格試験ぐらいは同時にやってこそって感じか。

 

 頑張れイッセー。俺は自分が転生悪魔じゃなくて良かったって心から思ってる。

 

 さて、ちょうど良い事もあるな。

 

 凄く気になることを、いい機会だからズバリと尋ねるとしよう。

 

「春っち……いや、成田春菜とベルナ・ガルアルエルはどうなりますか?」

 

 真っ直ぐに目を見て尋ねると、サーゼクスさんは小さく頷いた。

 

「……冥革連合も英雄派も、冥界政府はもとより和平を結んでいる各勢力に相応の被害を与えている。出がかりと同時に潰されたディオドラの場合とはまた違う」

 

 そう言ってから、コーヒーを一口飲むとカップを置いたサーゼクス様は少し遠い目をする。

 

「またインガ君のケースとも似て異なる。彼女達はディオドラに心を折られ事実上の洗脳状態だったが、二人は洗脳されているわけではないからね。罪状はやはり重くなるだろう」

 

 確かに……な。

 

 被害規模から言っても、自由意思の度合いから言っても、二人はインガ姉ちゃんより罪が重くなるだろう。

 

 俺だって犯した罪に対するけじめはしっかりつけるべきだと分かっている。

 

 ただ、それでも―

 

「……なので、君達にも頑張ってもらいたいね」

 

 ―ん?

 

「……と言うと?」

 

 あれ? 流れおかしくないか?

 

 インガ姉ちゃんの時より罪が思いってことは、インガ姉ちゃんの時のようにはいかないってことだろ?

 

 え、え……えぇ……?

 

 思わず面食らっていると、サーゼクス様は苦笑した。

 

「罪状はインガ君より重いから、彼女達とは違っていくつもの魔術的拘束をかけることになる。破った場合は死ぬほどの呪詛をかけることになる為、君達も下手なことが起きないように監督してくれたまえ。リアスには既に伝えていたけどね」

 

「あの人サプライズ好きだな!」

 

 相手を選べと後で真剣に行った方がいいんだろうか。イッセーの家を改築する時も、改築することは言ってもタイミングは言ってなかったしなぁ。こういうノリは相手を選ばないと余計な揉め事になるっての。

 

 ま、まぁそういうことになるのは仕方ないな。うん。

 

 あとはこっちが色々と気を使っていればいいだろう。ああ、変なことはさせないような生活を保障するだけだ。

 

 とはいえ、まぁちょっとほっとしたな。

 

 少し脱力していると、サーゼクス様はコーヒーを一口飲んでほっと息をつく。

 

「あと周りから聞いたが、リアスやイッセー君の関係も進展しそうなようだね。どうもイッセー君の方に事情があったようだが、改善の兆しが見えているようだ」

 

「あ~。そっちに関しては神の子を見張る者(ウチ)の末端がすいません」

 

 あれは本当に酷かった。

 

 全く。既に死んでいるから責任も追及できないしな。レイナーレって奴にも困ったもんだ。

 

 ただ……まぁ。

 

「こっからはこっからで、はたから見ていると楽しいというかやきもきしそうというかって感じですけどね」

 

「青春というものだね。ふふ、若いとは良い事だ」

 

 そういうことになるんだよなぁ。

 

 うん。そこには嘘はつかないし、つく必要もない。

 

 俺の根幹は決まっている。だからこそ、責任はきちんと持つさ。

 

「しっかり罪を償わせたうえで、幸せにするべく頑張らせてもらいます!」

 

 ああ、これだけははっきりと、断言できるさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

Other Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……フロンズ。連絡が来てたらしいから俺が受け取ったぜ?」

 

「彼女からか。どうやら、そろそろ結論が出るようだな」

 

「そうらしい。奴らが愚行を実行したら、手土産を持って亡命する……ってよ。何をするんだろうかねぇ?」

 

「ふむ、少々予想はできることがある」

 

「つーと?」

 

「禍の団はオーフィスという絶対的な強者を長にしたからこそ、あれだけの規模になったところはある。だが同時に、オーフィスの目的が成立すれば多くの派閥にとっても不都合は多い。そのデメリットを込みでもそれだけの象徴が必要だったからこその抜擢だろうがね」

 

「……おいおい。つまり連中、無限をどうにかできるってのか? 俺達でも()()形にできちゃいねえことを、既にできるってのか?」

 

「断言はできん。だが例の極晃星(スフィア)とやらに至った者がいるのなら、十分可能だ。……最も、愚行と言うからにはそういうことではないのだろうが」

 

「んじゃどういうことだ? ぶっちゃけ、オーフィスをどうにかできる力があるなら、俺達をもっと派手にぶっ飛ばせるから分からねえな」

 

「簡単なことだよ。……オーフィスはいったいなんだと思う?」

 

「何って無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)に決まって……おい」

 

「その通り。単独では神滅具でも不可能だろうが、マルガレーテや匙元士郎、成田春菜のように複数の神器を束ねたのなら、龍神に届く()()を張ることは可能だ。もっとも、英雄派は人間という()()が持つ強みたる、ある種のいやらしさを自覚的に武器にする組織だしな。他の手段を見つけ出した可能性はある」

 

「……そう考えると、奴らは英雄より()()って言った方がいい気がするな。実際、生物として脆弱なくせして地上の覇権を握っちまってるのは、一握りの英雄じゃなくて人間という種族だしな」

 

「だからこそ、我々も人間の秀でた物は積極的に取り入れるべきだ。今時一騎当千やエース部隊などはやらない。時代は全面的な強化だよ」

 

「とかいう割に、一騎当千もしっかり集めてるじゃねえか。ただの見せ札ってわけじゃねえだろうに」

 

「まぁ、異形ゆえにそこにも理解はあるさ。机上の最高は良いところ取りだろう?」

 

 

 

 

 

 

 

「そう、夢想(理想)未開(明日)を手にするが為、この程度のことはして見せるとも。……彼方の光を掴む為に、な」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アザゼルSide

 

 

 

 

 

 

 

 

 ふう~。漸く学園祭も終了だな。

 

 校庭じゃぁ、火を囲みながらオクラホマミキサーだ。九成は南空にとっ捕まってたが、まぁまんざらでもない感じだな。

 

 さて、俺は一旦旧校舎の方を顔出しするか。イッセーの奴は全然姿を見せねえし―

 

「ストップです」

 

 ―いきなりアタッシュショットガンの銃口を突き付けられたぞ。

 

 俺何かしたか? ……いくらでも思いつくが、ばれてるやつはないはずだぞ?

 

 おのれ! 何かやらかしていると踏んで拷問する気か!?

 

「手段を選べよ! そこまで俺には信用がねえか!?」

 

「何か勘違いしているようですけど、貴方こういう時引っ掻き回すでしょうが」

 

 カズヒの鋭い視線がきついが、いったい何の話だ?

 

 俺がよく分からず周囲を確認すると、校庭を見ることができる位置の窓に、リアスの姿があった。

 

 というか、位置取りから見て誰かと話しているな。あと顔がちょっと赤い。

 

 ……ははぁん。

 

「余計な茶々は禁止ってか? 過保護だねぇ」

 

「真っ当な恋愛が真っ当に成就してほしいっていうのは、私からすれば尚更でしょう?」

 

 さらりと言ってくれるが、なるほどな。

 

 まぁ、堕天使側があほやった所為でこじれたところもある。ここは俺も大人としてクールに去るか。

 

 それに、カズヒの方が気にもなる。

 

 ……真っ当な恋愛が真っ当に成就してほしい、か。

 

 それができなかったカズヒが、それを言えるようになるだなんてな。それも、俺の前でそう言い切ったんだ。

 

「……言う覚悟、決めたんだな?」

 

「ええ。中間試験が終わってからにします」

 

 そうか。

 

 俺が要望したとはいえ、覚悟がいるだろう。

 

 つらい記憶だ。語りたくない記憶だ。正真正銘の意味でトラウマで、言わずにい切れるならその方がいいと思いたくなる気持ちも分かる。

 

 だが、俺は言うべきだと思っている。

 

「つっても、なんか急に決めたんだな」

 

「……和地が成果を上げ、男を見せているのが一つ。あとはミザリ……誠にぃのこともありますから」

 

 ……あ~。

 

「あの野郎、あの手この手で引っ掻き回してくれたな。あそこまで手札を揃えてるとかまじで脅威だ」

 

「はい。なので、もし出会って()()()()()()、絶対に自分から話してくると思ったので。……事前に伝えておいた方が、皆の動揺も少ないでしょう?」

 

 なるほど、そういう方向か。

 

 確かに、ミザリ・ルシファーが転生した経緯を考えればその考えは妥当だ。むしろカズヒ達がの件もそれが理由だと考えるべきだろうしな。

 

 ………ただちょっと気になるな。

 

「それなら早い方がいいんじゃねえか? なんであと数週間もかけるんだよ」

 

 いっそのこと、スパッと言った方が早くねえか?

 

 カズヒは少し微笑ましい表情で、リアス達が薄っすら映っている窓の方を見る。

 

「イッセーや部長に少しは浸らせてあげたいですし。……なに……より……」

 

 と思ったら、急に俯いて黙り込んだ。

 

 なんだ? なんか凄いレベルで言い難そうだぞ?

 

 ただなんだ? どう考えてもギャグのノリだぞこれ。

 

 見る見るうちに顔を赤くしながら、カズヒは俯いた。

 

「……語った後のメンタルで、中間テストを切り抜けられる自信が……なくて……」

 

「あ、あぁ~」

 

 そっかぁ。そうだな。

 

 こいつ成績悪い側だしな! オカ研で学年平均下げてる奴、今やこいつぐらいだしな!

 

 ストリートチルドレンに学力を求めるのも酷ではあるがな。というか、十年以上ストリートチルドレンだったのに何で学力がそこまであるんだこいつ。

 

「……十年以上前の高校の授業なんて、殆ど覚えてないわよ……っ。というか、どっちにしても偏差値が10ぐらい離れてるわよ……っ!」

 

「あ~、まぁ、頑張れ」

 

 あとでマンツーマンで講義してやるべきかねぇ?

 

 こいつも割と人生ヘビーっつーか、間違いなくあの話はヘビーの極みだしな。それぐらいのフォローはしてやるべきか?

 

 なんていうか同情しながら天を仰いでいると、なんか旧校舎が騒がしいぞ?

 

 あ、ゼノヴィア達の姿が見えた。

 

「……どうやら俺以外にも乱入者はいたみたいだな」

 

「今すぐ〆てきます」

 

 ……え、まじで?

 

 俺が振り返ったその瞬間には、既にハウリングホッパーで変身しているカズヒが旧校舎に突入していった。

 

 ……え˝、マジで!?

 

「この空気を読めない阿呆共がぁあああっ! 男と女の甘いひと時をなんだと思ってるのよ糞餓鬼共ぉおおおおおおお!!」

 

 やべぇ! まじで大暴れしてやがる!?

 

 と、止めないとマジで死人が出るぞぉおおおおおおお!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Other Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……さて、連絡は終わったか? ラカムよ」

 

「もちろんだマスター。ま、ああは言ったがほぼ確定だろうよ」

 

「まったくだ。折角龍喰者(ドラゴン・イーター)を引き出せるのだから、そのまま奪い取って堂々と公表すればよかろうに。そうすれば神話体系一つを崩すこともできるだろうに」

 

「ま、妙なところで縮こまってるからな。……あいつらは英雄になろうとしてるんじゃなくて、英雄って()()でイキりたいだけってことだろうさ」

 

「ふん。百や二百じゃ足りぬ数を誘拐し、死戦をさせて使い潰そうとしておきながら何を今更。そこまでやるのなら最後まで走りきらんか」

 

「で? 態々タイミングを引き延ばしたのはなんでだよ、マスター?」

 

「決まっておる。実際に使ってからの方がハーデスめに一泡吹かせられるじゃろう? その方が手土産の価値が跳ね上がるじゃろうから、閉じ籠っている間に退屈することは減るだろうて」

 

「確かになぁ。当面は馬車馬のように働かねえといけねえし、一仕事の後に潤いぐらいは欲しいもんだ」

 

「そういうことだ。奴にしても、ハーデスのような奴には痛い目を見てほしいだろうからな?」

 

「懲りずに逆恨みしてほしいみたいだしな。いやぁ、俺達よりよっぽど怖い連中だと思わねえか?」

 

「まったくじゃ。……あのすまし顔であそこまでの野望を持つとは、妾達が上納し契約するに相応しい」

 

「……じゃ、俺は団員達に通達してくる。手土産の整理や慣らし運転もする必要があるからな」

 

「頼むぞ。過去(かつて)を踏みしめ現在(いま)を乗り越え、未来(かなた)を目指すが後継私掠船団(ディアドコイ・プライベーティア)。先達を超えるという点において、奴は曹操やシャルバとは話にならぬ次元におる。……後継者の私掠船団、なってやろうではないか」

 

 

 

 

 

 

 

 

夢想(理想)未開(明日)を掴むが為に、妾達もこれぐらいのことはして見せるとも。……悪いが曹操、貴様に英雄()は掴めぬよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

和地Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は十分ぐらい、玄関の前をうろうろしていた。

 

 お、落ち着かない……。

 

「まったくもう。私が代わってあげたんだから、もっと落ち着いて出迎えてあげなさい?」

 

「部長? 魔改造の手配も費用もグレモリー家(部長達)がしましたけど、此処一応()()()ですよ」

 

 リアス部長にカズヒ姉さんのツッコミが飛ぶけど、二人とも俺の方を微笑ましい顔で見ているしな。

 

「ふふ。九成君もやっぱりまだまだ年頃の少年みたいですね」

 

「カズ君ってば、なんだかんだで男の子だよね~」

 

 リヴァ先生、ロスヴァイセさんと一緒にからかわないでくれないかな?

 

「……あらあら。こういうところは年相応ですわね」

 

「ふふ。和地ってば可愛いですの~♪」

 

「ま、動揺しないで悠然としてるって年じゃないじゃんか。いいっていいって」

 

 朱乃さんやらヒマリやらヒツギまで!?

 

 ……っていうかそろそろだよな。

 

 と思った瞬間、ドアがノックされた。

 

 思わず緊張してきたぞ、これ!?

 

 なんていうかドキドキバクバクしてると、ぽんと肩に手が置かれた。

 

「大丈夫だよ、和地君」

 

 あ、インガ姉ちゃん。

 

 にっこりと、落ち着かせるようにインガ姉ちゃんは微笑んだ。

 

「私を引っ張り上げてくれたみたいに、それで充分だからさ?」

 

 ……そうだな。うん、そうだった。

 

「ありがとう、インガ姉ちゃん」

 

 笑顔で頷くインガ姉ちゃんに微笑んでから、俺はゆっくりと扉を開く。

 

 まだ午前中なので、朝日が差し込むそこで―

 

「あ、和っち!? え、と……ほ、本日はお日柄もよく!?」

 

「落ち着けよ。……よっ、カズって呼んでいいか?」

 

 めっちゃてんぱっている春っちに、緊張しながらもこっちに歩み寄ろうとするベルナ。

 

 ……うん。俺は、彼女達を引っ張り上げれたんだな。

 

 その満足感を胸に秘め、俺は自然と微笑むことができた。

 

これからも、よろしくな

 

 ああ、ここからだ。

 

 ここから、二人の時間を進めていこう。

 

「……よっしゃぁ! それじゃ二人の歓迎会だ! ……畜生、九成めモテやがって!?」

 

「イッセーは人のことを言えないというか、此処から一気に追い上げているというか、ある意味追い抜いているのを自覚してからです」

 

 イッセーやシャルロットがきっかけになって、わいわいがやがやとなっている。というか、既に春っちやベルナが引っ張られて巻き込まれている。

 

 うん、兵藤邸はこういう時平和だから何よりだ。

 

 あ。アニルの燻製がクックスによって調理されて振舞われている。なんて強烈な洗礼なんだ、舌を肥えさせる意味で。

 

 

 思わず苦笑していると、ぽんと俺の肩に手が置かれた。

 

 そこにはカズヒ姉さんがいて、真っ直ぐな目で頷いてくれた。

 

「誇りなさい、涙換救済(タイタス・クロウ)。貴方が変えた涙は笑顔と共に流れたの。私も惚れられた身として鼻が高いわ」

 

「そっか。いろんな意味で期待したいな」

 

 思わず苦笑すると、カズヒ姉さんも苦笑し―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、今度最後の試練がマストダイレベルで襲い掛かるは。それ乗り越えたらベッドインしてあげるわ、期待しなさい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんかとんでもない爆弾ブッこんで来たぁあああああ!?




 ……そんなこんなで、冥革動乱編は終了。あとは幕間をやってから次章となります。






 次の幕間はギャグは比較的少なめですが、それでも雰囲気は違うと思うので……この場で次章について簡単な説明を。

 事象はウロボロス編とヒーローズ編を使った、カズヒ関連の秘密が一気に明かされる話です。
 この話を乗り切ればストーリーの評価に影響しそうなレベルのやばい爆弾はほぼぶっ飛ぶので、この章の反応次第で評価に大きな変動が起きそうだなぁとは思っております。
 ちなみに和地は、まずウロボロス編で鶴羽を落とし、ヒーローズ編でついにカズヒにガチ攻略を試みる予定です。ついでに言うと、ミザリ・ルシファーも本格的にオカ研とかかわっていきます。

 色々と爆弾が連続で爆発し、同時にこれを乗り切れば「ほぼ」評価が急降下しそうな不安要素はなくなる章。

 その名は―







 銀弾落涙編






 銀の弾丸は、勝利(罪業)に追いつかれ涙を浮かべる。

 涙を変える救済者よ。瞼の裏の笑顔にささげた誓いを胸に、涙の意味を笑顔に変えろ。

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