好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ 作:グレン×グレン
今書き溜めは曹操が仕掛けたきたあたりです! 衝撃の真実を描き始めるのは……週末に家族旅行があるから来週かなぁ?
和地Side
日夜トレーニングはオカ研の基本スタンス。日々の鍛錬により積みかなせた基礎力もまた、俺達が勝ち残ってきた理由の一つだ。
天賦の才覚を持つ者が多く、またトンデモ覚醒を遂げることも多いから、そっちばかりに目が行くこともあるだろう。だけどそれだけでどうにかなるほど、俺達が乗り越えてきた困難は甘くない。
リーネスが日々進める技術研究があるからこそ、新型プログライズキーを投入することもできる。交した絆や縁があるからこそ、そこから新たな可能性を取り込める。そしてそれらをきちんと生かせる余地を、日々の鍛錬が作り上げているからこそ勝利してきた。
まさに友情・努力・勝利。下手なジャンプ漫画よりよっぽどジャンプ三原則をしていると胸を張れる。
だからこそ、俺達は日々のトレーニングを疎かにしない。ましてプロの上級悪魔でも持ってないものがいるような、トレーニング用の異空間までもらっているなら尚更だ。
そんなわけで、俺達は日々トレーニングを重ねている。
そしてそれはもちろん―
「行くぜイッセー!」
「ああ、来い!」
―模擬戦もだ。
今回俺がぶつかるのはイッセーだ。
何度もやっているが、イッセーは意外性に富んでいるよう見えて、意外にも質実剛健だ。
亜種禁手をいくつも用意できているにも関わらず。三叉成駒に至ってからも、それどころか真女王といえる形態を会得したうえで、基本となる禁手での鍛錬をしっかりと積んでいる。
だからこそ、生半可な仕込みでこいつを崩すのは困難だ。厚みと密度の違いで逆に崩そうとして突き入れた得物が折れる。
故にこっちも、小細工には頼らず真っ向から打撃戦を展開する。
なにせ戦闘訓練の量や期間なら俺の方が上だ。ザイアの訓練や座学は腐らせていない。脱走するとするなら能力は必要だし、俺の誓いを達成するのに有効だったしな。
だからこそ、初期形態同士での戦闘ならこっちが優勢。とはいえ基本性能では神滅具パワーでイッセーが有利だから、決して油断できるような差ではないけどな。
このレベルの出力が相手だと、普通の魔剣創造では到底対応しきれないってわけだ。
そんなわけで、俺達の戦闘は派生形態に切り替わり始める。
イッセーが僧侶の大火力砲撃を叩き込むのなら、俺はディフェンディングタートルで固くなりつつ直撃を避けて突貫する。
超機動力の騎士で離脱を試みれば、俺は
攻防一体ならぬ攻防絶大の戦車になられたら、チャージングリザードで回避迎撃反撃を試みる。
……やはり、切り崩すのは流石にきついな。
絶大な反動によるポテンシャル低下を疾走車輪で離脱することで時間稼ぎしつつ、俺はイッセーの成長に舌を巻く。
成長速度は速い。更に毎度毎度信じられないような進化を遂げる。だが、それに驕らず基礎をしっかりと鍛えていくその強さは、生中な奇策が通用しない。
堅実に強い奴が突拍子の無いことをしてくるとか、敵からしたら厄介だな。勤勉な天才に匹敵する敵に回したくない奴だ。
「ったく! やっぱりお前を崩すのは大変だぜ!」
お前が言うなと言いたくなるがな、イッセー。
だからこそ、俺は回復に合わせて本腰を入れる。
『ASSAULT SAVE』
素早くアサルトグリップを装着させ、俺はサルヴェイティングドッグプログライズキーをアップデート。
素早くサルヴェイティングアサルトドッグに変身し、突貫する。
イッセーもまた真女王に至って迎撃する……が。
「あ」
なんか瞬間的に鎧が切れた。
「あ」
そして俺は既に引き金を引いていた。
「「あ˝ぁあああああああっ!?」」
イッセーゴメン!
顔面もろ入ったぞ!? だ、大丈夫かぁ!?
イッセーSide
「……ふぅ~。痛みもだいぶ引いてきたぜ」
「悪いイッセー。タイミングが悪かった」
俺が回復して冷や汗を拭う九成だけど、あれは仕方ない。
真女王になってからすぐに鎧が解除されたもんだから、九成も対応が難しかったしな。っていうか、引き金を引いたタイミングで鎧が解除されたからなぁ。
いやぁ、昔の俺だった危なかった。これでも生身だって鍛えてるから、何とか顔面がめちゃくちゃ痛い程度で止まったよ。死ぬかと思ったな。
「……やっぱり、今の俺にとってネックなのは真女王の持続時間か。全然安定しねぇ~!」
「持続時間にばらつきがありすぎるからな。長いと五分超えるが、短いと一分切るしな」
俺がついぼやくと、九成もうんうんと頷いた。
いや、ほんとそうなんだよ。
俺の強化形態のネックは持続時間の不安定さ。真女王もそうなんだけど、三叉成駒もこれまた厄介だ。
三叉成駒は一つ一つはまだマシなんだけど、駒の切り替えを繰り返すと消耗が一気に跳ね上がる。何度も繰り返すと体力だけは自信がある俺でもすぐにばてるぐらいだ。
ま、ベースとなる
ただこっちはコンボを多用しなければいいだけだから、まだ安定した運用ができないわけじゃない。問題は真女王だ。
全部が全部三叉成駒以上に強化されるけど、その所為か持続時間が全然安定しない。ヴィールと戦ってた時はリアスの魔力もあって十分以上持ったけど、そういう場合でもないと十分持たせることも難しいし、一分も持たない時がある。最悪一発攻撃しただけで解除されたこともあった。
流石にこの不安定っぷりは、戦力として使うのは難しいって代物だよなぁ。
「う~ん。不安定すぎてうかつに使うと自滅しそうだよなぁ。何とか安定させないと」
「まぁ、いざという時の切り札に限定すれば大丈夫な気もしないではないけどな」
九成がそう返すけど、そうかぁ?
一発殴ったらすぐ解除なんてことになると、心臓に悪いなんてもんじゃないぞ。せめて三分ぐらいは絶対に持続してほしい。ウルトラマンレベルが欲しい。
だけど九成は、苦笑してこっちを見てきた。
「お前はカズヒ姉さんの次に精神力で物理法則と喧嘩できるからな。絶対に負けられない時なら、多分
すっごいこと言ってきたな。
ま、まぁ? 俺って土壇場にパワーアップすることが多いから、そんな風に思われるってのも分かるぜ?
だけどそれだって、いろんな人が俺に力を貸してくれたからこそだ。ただピンチになったからノリで進化を遂げたわけじゃない。
あ、でももう至ったものを安定させるのはまた別の話か。生徒会長も俺の根性を危険視してたし、ライザーの時もグレモリー眷属全体で根性に注目している人が多いみたいだしなぁ。真女王を長持ちさせるぐらいならできるって、他の人からも思われてるかも?
……いや、でも今のは言いすぎだろ。
「物理法則に喧嘩って、俺そんな別次元なことしてるか?」
流石にちょっと反論したい。
俺はまだまだだぜ? 一対一で神様や魔王様に勝つことだってできないだろう。物理法則に喧嘩なんて、そんな方々でも難しいって。
だけど、九成はすっごい遠い目をしてこっちを見てきた。
「……乳神」
「……あっ」
確かに。あれは物理法則に喧嘩って言っていいかもな。
なんでも今までは、異形社会でも宇宙人とかそんなレベルな話だったらしい。いる可能性はあるけど実際に見たことはないよって感じな話。
そんなのが、俺のおっぱいを愛する気持ちに呼応してきてくれたわけだしなぁ。それも、ミョルニルを使えるようにしてくれたわけだし。あれは凄かった……いろんな意味で。
いや、今でもちょっと困惑する。
「俺のおっぱいを求める気持ちって、どんなレベルなんだよ」
「京都の一件を思い出せ。常人では理性を保てないレベルだろうが」
……あれは本当に酷かった。
痴漢被害者の方もそうだけど、痴漢をしてしまった人だって被害者だ。っていうかこれ、俺が加害者なのか?
しかもそれでしたことが、リアスを駒王町から疑似京都に転移させただけ。なんていうか……すっごく申し訳ない気分になる。
「コスパがいいのか悪いのかさっぱり分からないよな」
九成の言いたいことも分かる。
なんでもあの空間、強引に入るのが困難らしいって話だ。だけど京都と繋がっている空間だから、距離的には上級悪魔なら普通に転移できるレベルだ。
燃費がいいのか悪いのかさっぱり分からん! そして燃費扱いしていいのかどうかもあれだ!
俺ってこういう時はやっぱり馬鹿だな。それに……うん。
「いざとなったら成果上げられるからって、それに甘えて怠けてちゃいけないよな……っと」
そんな感じで力を入れて立ち上がると、九成は同じように立ち上がりながら、なんていうか微笑んでいた。
「……ああ。お前はそういうところだよな」
え、どういう意味?
呆れられたのか褒められたのかがよく分からん。悪い意味じゃないといいんだけど。
ま、それはともかく。
「じゃ、痛みも退いたし休憩終了。お互い生身で鍛錬しようぜ?」
「オーライだ。お互い叶えたい望みの為に頑張ろうか!」
祐斗Side
イッセー君達も頑張っているね。
さて、それはともかくだ。
「……まぁ、これぐらいできれば仕込みは十分かしらね」
と、カズヒが僕との模擬戦を終えながらそう呟いた。
今僕は、カズヒに頼み込んで対英雄派を備えた手札の調整を行っていた。
こういう時、元々暗部中の暗部だった彼女の視点はありがたい。
英雄派のスタンスと、今の僕が持つ手札の欠点。それを利用して作り上げた策を、更にしっかりと高めることができた気がする。
「やられる側の視点でも完成度は高いわ。間違いなく初見殺しの類だけれど、だからこそ初見に限定すれば確実に通用するわ。……流石はグレモリー眷属唯一のテクニックタイプ担当」
「できれば、本当に他に用意してほしいんですけどね」
本当に、僕以外にテクニックタイプのメンバーを育成してほしい。
特にゼノヴィア。エクス・デュランダルはエクスカリバーを統合しているんだから、もうちょっとテクニックを伸ばした方がいいと思うんだけど。
「まぁ、肉体的精神的な向き不向きはあるもの。そもそも多種多様な手札ってもので真の強者を相手にする場合、個人の時間的リソースを分割させるというネックが生まれるものよ?」
カズヒは汗をぬぐいながらそう言い含めるように告げてくる。
彼女も暗部出身なだけあり、テクニックも相応にある部類だ。手札の多さでは多種多様な武装や装備を携行できることから、下手をすると創造系神器持ちの僕より多いかもしれない。
そんな彼女が、むしろ手札を増やすことに対して懸念を示すとはね。暗部として多種多様な敵と戦ってきたからの意見だろうか。
「いろんな手札を持っているから強いってのは、天才か子供の最強論よ。基本戦場において、戦力ってのは特化型の方が重宝されるものよ?」
訂正。ゲリラ時代の経験の方が生きているようだね。
経験論というのは確かに参考になる。とはいえテクニックタイプを増やしてほしいのは事実なんだけどなぁ。
「……流石にテクニックタイプが僕だけっていうのはダメですよ。絶対絡めとられるチームになってますよ?」
「まぁ、戦場でも部隊編成は特化型を組み合わせた、連携での対応力が重要だもの。ちょっとシンプルに破壊力重視が多いのは難点ね」
あ、カズヒもそこは納得してくれるのか。
……僕としてはゼノヴィアの宝の持ち腐れを何とかしてもらいたい。エクスカリバー六本は無駄にしていい才覚ではないと本当に思う。
「……となるとやはり、気質的には小猫ね。次点で最近前線戦闘力を踏まえているギャスパーかしら」
……やはり視点が違う。
確かに二人もテクニックタイプに慣れる素質はあると思う。小猫ちゃんは姉の黒歌がテクニックタイプよりのウィザードタイプだし、ギャスパー君は割と何でもありな素養のオンパレードだ。
だけど! だけど六本のエクスカリバーは重要だと思うんだよ!
「……もしかしてカズヒって、エクスカリバーにあまり価値を感じていないのかな?」
「……個人的には、エクス・デュランダルそのものに不安要素があるのよ。……暗部的視点で」
というと?
視線で促すと、カズヒは少し俯き気味になった。
「……現在の聖書の教えにとって、悪魔や堕天使は「絶対的な悪にして敵対者」といった風潮がある。ただでさえ数か月で他の神話も含めて和平を進めているこの状況で、エクスカリバーとデュランダルのダブル聖剣を信徒から悪魔になったような女に使わせてるなんて……って思っている信徒は割と多いと思うの」
……なるほど。
和平に反対している者が、三大勢力にいないわけじゃない。悪神ロキのように大規模な反乱を起こしている者はいないけれど、全員が全員和平に全面賛成……というのは楽観論だろう。
元々戦争の積極的継続を願った者達が追放され、禍の団に集まった僕達悪魔側でも、僕らが京都に行っている間に色々と騒ぎが起こったみたいだしね。堕天使側はそもそも開戦筆頭派のコカビエルが潰されたことで和平が結ばれたから、こちらはまだ安心できる部類だ。
そう考えると、そもそも信徒や天使の戦争継続派に楔が撃ち込まれる前に和平を結んだ天界や教会には、不安要素が多い気がするね。
「教会の方はどうなんだい?」
「……基本的に、和平が結ばれてから教会から去った者は数多いわ。青天の霹靂だったからこそ、その衝撃が強すぎて振るい落としはある程度は出来ているわね」
カズヒはそう言いながらも、厳しい表情を崩さない。
「裏を返せば、今残っている者はそれでも信仰を捨てきれなかった者ということ。……不満を捨てきれなかった場合、溜め込みすぎて自家中毒や暴発の可能性は懸念するべきだわ」
やはり、何事も順風満帆とは言い難いわけだ。
と言っても、僕達は下級悪魔で部長だってあくまで次期当主だ。
そういった動きに対してできることはない以上―
「……何かあった時動けるよう、鍛えて備えるしかないわけだね」
―そういうことに終始するだけだ。
誰が相手であろうと、僕達は僕達自身の夢と平和の為に立ち向かうだけだ。
その為にできることを積み重ねる。結局はいつも通りそれに終始されるわけだしね。
カズヒもそこは同意見なのか、苦笑しながら頷いていた。
ただ、少しだけ何かを考えこむと僕の方に真っ直ぐな目を向けてきた。
いや、どこか揺れているような気もするな。どうしたんだろう?
不思議そうに見返していると、カズヒは少し俯き気味になってから気合を入れた感じだった。
「……和地には既に言っているのだけれど、中間テストが終わったらちょっと衝撃的な事実を貴方達に伝えるつもりなの。その……色々と重い話になるから、テスト後には覚悟しておいてほしいわ」
へぇ。
カズヒは色々と背負い込みたがっているところはあったし、初対面の頃からリーネスと阿吽の呼吸だったり南空さんとも阿吽の呼吸だったりしているからね。世界的に寄食側の卵掛けご飯が大好きすぎたり、なんか不思議なところはあった。
もしかすると、それ絡みなんだろう。
でも、なんでそんな時期に?
「むしろ早い方が良くないかい? 中間テストぐらいなら、先に終わらせた方が集中できそうだけど」
僕がそう返すと、カズヒは凄いすすけた表情になった。
「私が、中間テストを……乗り切れないからよ……っ」
凄い真剣な声色だった。そんなに勉学に苦労していたのか。
まぁ、カズヒってストリートチルドレンだったしね。駒王学園はそもそも偏差値高いし、地頭の良さだけでは苦労するのか。
「……今度、一緒に勉強会しようか」
「本当に、ありがとう……っ」
涙目になって感謝された。相当不安だったらしい。
……すべてにおいて完璧な人なんていない。何かしらの欠点なり不得手なりがある物だ。
そういうことに、しておこう。
赤龍報奨についてもある程度の説明とかをしながら、カズヒが覚悟を決めているがゆえにいろいろとやっているといった話です。あと本文で原作の木場VSジークフリートの第二ラウンドを書いている余裕がなさそうなので、此処でちらりと巻いておきます。