好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ   作:グレン×グレン

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 はーいどうもぉ! グレン×グレンでっす!

 明後日からちょっと家族旅行なので、投稿がいったん途切れる可能性があることをご了承ください。感想募集中!

 とはいえ書き溜め部分では、ついにミザリがカズヒ達と初再開。……例えが妙だけどこういうのが一番しっくりくるから仕方がない。

 まず間違いなく、今月中にこの作品の一番えぐいところは説明できると思います。


銀弾落涙編 第三話 昇格のチャンスです!

和地Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなある日の深夜。俺達は兵藤邸のVIPルームに集合していた。

 

 というのも、現魔王のリーダー格でもあるサーゼクス・ルシファー様が態々ここに来たからだ。

 

 いや、この人もアザゼル先生並みにフランクだから、ノリで来ていたとしても全然驚かないんだけどね。それにしたってこのタイミングでとなると……あれか?

 

「さて、イッセー君には直接伝えているから知っている者も多いと思うが、イッセー君、朱乃君、祐斗君に昇格の話がある」

 

 あ、やっぱり。

 

「これまでの成果を考えれば上級昇格でもいいとは思ったのだが、一応慣例を守って中級からということになった」

 

「まったく。特例を認めておきながら順序は守れとかうるさい旧家がいたんだろうな。お前ら全員上級昇格でも問題ねえだろうによぉ」

 

 サーゼクス様は苦笑しているし、アザゼル先生も厭味ったらしい。

 

 ただ、カズヒ姉さんはむしろ逆らしい。片目は閉じているけど肩眉は上がっている。

 

「それはどうですか? 特例って一度作ると、必ず()()そうなったかを考えずに自分に適用させたがる馬鹿が出てくるじゃないですか」

 

 あ~。それは分かる。

 

 何か特例とか出るとすぐに湧いて出るよなぁ、自分にも自分にもっていうやつ。

 

 もうちょっと条件とか色々考えて言えよ、子供か。

 

「それに階級が上がればそれ相応に責任とかやることも増えるでしょうし、下級がいきなりとかあれです。イッセーに至っては悪魔になって半年そこらなんですから、段階を踏んで慣らさせてあげるべきでは?」

 

 あ~、確かに。

 

 急に出世しても、出世した階級がやることに慣れてないと苦労するしな。段階とか段取りってのは急激な変化で混乱しない為にも必要か。

 

 ただ、リアス部長は不満そうだ。

 

「イッセーはそんなヘマはしないと思うわよ? 今までどれだけの難敵を戦って生き残ったと思ってるの?」

 

「部長。デスクワークに必要な能力は戦闘のそれとは全く異なります。サバイバルもそうですけど、求められる能力が事柄で変わることを理解してください」

 

 あ、そこは同感。

 

 この辺に関しては種族の違いなんだろうか。戦闘能力とサバイバル能力とデスクワーク能力と統率能力は全部違う能力だからなぁ。別に脳筋じゃないんだから、理解してほしい。

 

「……それで三人だけですの? オカ研が立ち向かってきた困難で言うなら全員でもよくありませんの?」

 

 と、ヒマリが首を傾げるけど確かに分かるな。

 

 ……冷静に考えてプロデビューもしていない上級悪魔がどうにかできるような敵じゃない。文字通り神話級の敵だらけだ。むしろなんで全員生き残っている俺たち。

 

「ぶっちゃけ、俺はなんで自分が生き残ってんのか分かんなくなる時がありまさぁ」

 

「同感かな。……いや、人生のハードモードがジャンルが代わっただけな気がしてきたよ」

 

 お茶請けに使うサンドイッチ用のスモークサーモンを持ってきながらアニルに、同じように遠い目をしながらインガ姉ちゃんが紅茶を入れつつ同意する。

 

 いやまぁ、確かに。

 

「ふふふ。これもイッセー君と共に頑張っているからさ。彼がいるのなら、僕達はどこまでも成長できると、強くなれると思わせてくれるからね」

 

「そういうこと言ってるから、イッセーとのホモ同人誌がナンバリング二桁超えるじゃんか」

 

「数か月で同人誌がそこまでって、異常レベルよねぇ」

 

 木場がどんどんホモ臭くなるし、ヒツギにリーネスまでナンバリングまでは把握しているレベルで周知されてるわで、男としてイッセーに同情する。

 

 ノンケが友人とのホモ同人を作られるって、明らかに殺意案件だろう。真剣に同情する。

 

 ちなみにカズヒ姉さんが「肖像権侵害」としてストレートにぶちのめしに行ったりしているのだが全然懲りないらしい。最近はイッセーに直接「裸を見せるから裸を見せて」と、更なる完成度を求めて暴走しているとか。つくづく同情する。

 

 というより、俺やギャスパー、アニルまでもが掛け算にならないか地味に不安だ。いや、あの手の作品で男の娘って需要があるのか? ないならギャスパーは逆に安全か。

 

 話が脱線しているうちに、サーゼクス様は紅茶とサーモンサンドを堪能している。ご満悦なようだ。

 

「これは中々。インガ君もメイド業務に慣れてきたようで何よりだし、アニル君の燻製は本当に美味だ」

 

「メリードさんの教えがよいこともあるのでしょうが、インガさんが真面目に努力をしているからでしょう。……それと今度の食事に使いたいので、燻製をいくらか貰ってもよろしいでしょうか?」

 

 このレベルの人達に認められるとは、インガ姉ちゃんを誇らしく思う。

 

 俺もそんなインガ姉ちゃんと寄り添うに足る男として精進せねば。戦闘能力だけでなく、日常生活でも技能を増した方がいいかもしれない。

 

 そしてアニルの燻製はどこまで行くというんだ。本人も軽く引いているぞ。

 

「……お話は戻りますが、今回の昇格資格、イッセー先輩や朱乃さん、祐斗先輩だけなんですか? 他の方々にも十分資格はありそうに思いますが」

 

 と、真面目なルーシアが話を戻す。

 

 それに対し、サーゼクス様は苦笑した。

 

「流石にいきなり全員というのは、旧家の者達も了承できなかったようだ。今回はその辺りのバランス、転生悪魔になってからの年月や、いわゆるネームバリューなどのバランスも整えた結果といえるだろう」

 

「……なるほど。転生したばかりの私は流石に無理ということですね。できればもっと昇格して安定したお給金が欲しいのですが、残念です」

 

 ロスヴァイセさんがそう言いながら少ししょげるが、まぁ転生してから一月経つかどうかの彼女は流石に無理があったか。

 

 とはいえ、その辺りのバランスを加味した結果、最も求められているイッセー以外に選ばれたのが、朱乃さんと木場だっていうのはそれだと納得だな。

 

「朱乃はリアスの眷属としてはベテランで、更に神の子を見張る者(ウチ)の幹部であるバラキエルの娘だしな。木場もベテラン側で、イレギュラーな禁手である聖魔剣の持ち主。イッセーと並び立たせるなら十分行けるってわけか」

 

 先生がそう茶化し気味に言うが、確かにそうだな。

 

「……なるほどな。とはいえ私達もおいていかれてばかりではない、近いうちに資格を手にして昇格試験に臨むとしようか」

 

「ふふふ。ゼノヴィアなら意外とすぐになれるかもしれないわね。主よ、ゼノヴィアの出世を応援してください、アーメン!」

 

 気合を入れるゼノヴィアに、イリナが天使の光で祝福をプレゼントしている。

 

 教会組は仲良くて何よりだけど、悪魔の出世(そんなこと)を聖書の神に祈っていいのか?

 

「イッセー先輩たち、おめでとうございますぅ! ぼ、僕も頑張って追いかけます!」

 

「はい。イッセーさんが頑張るなら、私たちも頑張りましょう、ギャスパーくん」

 

「そうですね。私もいずれは上級悪魔になって更なるしっかりとした立場やお給金をゲットして見せます!」

 

 と、ギャスパーやアーシア、ロスヴァイセさんも意気込みを新たにする。

 

「とはいえ、中間テストも迫っているとは聞いている。個人的には同時にこなせると思っているが……どうするかね?」

 

 と、サーゼクス様がそう話を本題に進めてきた。

 

 実際問題、時期が中間テストと被っているんだよなぁ。中級悪魔試験の方が少し早いと言ったところだ。

 

「参考までに聞きますけど、試験内容はどういったものがあるんですか?」

 

「そうですね。基本的に中級昇格試験の場合、レポートの提出に実技と筆記の試験となります。もちろん失敗しても資格が失われることは、よほど醜態をさらしたり問題を起こしたりしなければ取り消されたりは致しません」

 

 イッセーにグレイフィアさんがそう教えるが、割と緩いところは緩いよな、中級試験。

 

「……ちなみに、春菜やインガは受けたことねぇのか?」

 

「私はほら、ディオドラがあれだから」

 

「私も昇格試験(そっち)にはあまり興味なかったわね。そもそも私がなった時点で、ヴィール様は冥革連合を発起するつもりだったし」

 

 ベルナがインガ姉ちゃんや春っちに話を振る中、イッセーは少し考え込んでいた。

 

 まぁ、イッセーって意外と小市民的なところもあるしな。上級悪魔になって最高のハーレム王とか言っていても、こんな短期間でその可能性が来るとは思ってなかっただろう。悪魔の人生は数百年数千年レベルで考えるものだし。

 

 とはいえ、それだけの努力はしていると思うけどな。

 

「僕は構いません。この栄誉に恥じない成果をリアス部長とサーゼクス様に捧げたいと思います」

 

「わたくしもお受けいたします。イッセー君はどうしますの?」

 

 ……二人は結構余裕だな。

 

 中間テストと同時にこなせるという自負があるのか。まぁ、勉強得意だし当然か。

 

 問題はイッセーの方だな。少なくとも俺が知る限り、イッセーの成績も相応に良好だ。中間テストで赤点をとることはまずない。

 

 とはいえそこに中級昇格試験もだと、やっぱり色々とハードになる気がするが―

 

「……俺も受けます! 折角のチャンスを無駄にしたくないですし、すぐにでも上級悪魔になった方がリアスと一緒に居易いですから!」

 

 お、決定したようだ。

 

「……もぅ、イッセーったら」

 

 部長も嬉しそうで何よりだけど、そこでアザゼル先生がにやにや笑ってきやがった。

 

「おーおー。バカップルはこんな時でもお熱いねぇ?」

 

 ほら、やっぱりからかってきやがった。

 

「あらまぁ。アツアツカップルってこういうものじゃないですかぁ、総督ぅ?」

 

「まあ、本格的に付き合い始めればそうなっちゃうでしょう。ただ一応、魔王様の前よリアス部長(上級悪魔)イッセー(その眷属)

 

 リーネスがそれとなくフォローするけど、そこにカズヒ姉さんが気を引き締めることを言う。

 

 まぁ足しかに、トップの前でいちゃつくのって体裁的にはどうなんだだよなぁ。

 

「でもまぁ、サーゼクス様ならオッケーですわよね? むしろテンションヒャッハーなんじゃありませんの?」

 

「もちろんだともヒマリ君。むしろ堂々と名前で呼び合ってくれたまえ」

 

 ヒマリにふられるまでもなく、サーゼクス様もノリノリだ。

 

「むしろこれで堂々と義弟(おとうと)になったわけだ。さぁ、私のこともお義兄(にぃ)ちゃんと!」

 

 スパンと、盛大にグレイフィアさんのハリセンが叩きこまれた。

 

「おお! これが噂の夫婦漫才! カズくんも、よかったら私にハリセン入れる?」

 

「入れないから。ここで茶化すのやめなさい!」

 

 俺は思わず突っ込んだよ。

 

 怒られるかとも思ったけど、グレイフィアさんもカズヒ姉さんもさらりとスルーしている。

 

 というより、まずはサーゼクス様らしい。カズヒ姉さんまでハリセンを構えてるよ

 

「サーゼクス様。この場ではイッセー様とリアス様は構いませんが、それは早いと思われます。いずれ……でよろしいではありませんか」

 

「というより、百年千年生きれる悪魔なのになんでそんなに気が早いんですか? 本格的に交流があって半年の相手に婚約だの親御さんへの挨拶だのって、人間基準でも性急です。イッセーはこと、馬鹿な末端堕天使の所為で大変なんですから、年単位のスパンで組んでくれませんか?」

 

「そ、そうだね。性急すぎるのはグレモリー家の悪い癖かな? ……末端の暴走に関しては、悪魔も人のことは言えないから尚更だね」

 

 サーゼクス様もグレイフィアさんとカズヒ姉さんのダブル説教に素直に反省してくれている。

 

 とはいえ、カズヒ姉さんはまだ足りないのかちょっと憮然としていた。

 

「折角何もしなくても時間が経てばまとまるような状況なんです。まだ二人とも高校生で長命種なんですから」

 

 はぁと、盛大にカズヒ姉さんはため息をついた。

 

 まぁ実際問題、二人とも高校生であってから半年ちょっとだしな。更に貴族社会だからややこしいこともあるし、長命種である悪魔だから長い目でも見れるだろう。

 

 ただ、それでカズヒ姉さんの話は終わらない。

 

「……とはいえ、こういうのを狙う悪意というのはありますから防護体制はとりたいですけどね。部長は学園のマドンナでイッセーは問題児ですから、下手に知られると悪意を持つ馬鹿が出かねません。悪魔側においても注目されるから馬鹿は出るでしょうし、大王派や純血主義などはやはりいい顔をしないでしょうし……ね」

 

 な、なんか深い話だな。

 

 俺達はちょっと戸惑っているけど、むしろ真剣な表情でサーゼクス様やアザゼル先生は頷いていた。

 

「……そうだね。冥界に関してはこちらも気を付けておこう」

 

「学園においては俺も目を光らせるか。リーネス、念の為の警戒網を作るの手伝ってくれ」

 

「当然ですねぇ。しっかり守らせてもらいます」

 

 な、なんかガチな対策が始まりかけている!?

 

「……そこまでする勢いになるたぁねぇ? 冥界ってこういうノリなのか?」

 

「いえ、普段は此処までではありませんわ。とはいえ、イッセー様とリアス様の恋愛ともなれば当然……なのかしら?」

 

 アニルに聞かれたレイヴェルも首を傾げるけど、確かにガチ度が高いよな。

 

 な、なんだ……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その時俺は気づかなかった。

 

 そういえば、小猫は一言もしゃべってないってことに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イッセーSide

 

 

 

 

 

 

 

 いやぁ、なんか凄いことになったよなぁ。

 

 まだ転生悪魔になってから半年経ったぐらいだってのに、もう中級悪魔に慣れるかもしれないんだから。

 

 ロスヴァイセさんも鍛え直す為に一旦アースガルズに戻ることになってるし、今日の夜は色々あったよなぁ。

 

 それにリアスとその……付き合うことになったし。アーシア達も俺のことを好きでいてくれるとか、ちょっと信じられないよな。

 

 あと、レイヴェルが本格的におっぱいドラゴン含めた俺の活動のマネージャーになるって話も合った。レイヴェルはレイヴェルですっごい乗り気だし、つまりそういうことなんだろう。

 

 そういえば、ヒマリやヒツギもたまに熱視線を向けてる気がするんだよなぁ。流石に思い上がりかもしれないけど、ちょっと気になるかも。

 

 ま、そんなことで色々とぼんやりしていたら勉強もできないからな。俺はこうしてサウナに入ってゆっくりしている。

 

 少し前にも入ったけど、その時はリアスも入ってきたうえ、色々大変なことになったからな。

 

 ふふふ。今回はムフフなイベントは無しで、ゆっくりサウナに―

 

「……あら、イッセー?」

 

 ―唐突に、カズヒがサウナに入ってきていた。

 

 ………あ、これ死んだ?

 

「ごめんなさい!」

 

 俺はすぐに謝って脱出しようとするけど、カズヒは何故か手で制した。

 

「脱衣場の服に気づかなかったこっちの落ち度よ。それに湯浴み着*1は念の為に着てるから安心しなさい」

 

 あ、本当だ。

 

 バスタオルより服っぽいのを着てる。これが湯浴み着って奴か。

 

 というより、俺が入ってくる可能性とかを警戒してたんだな。用意周到ってのはこういうことか。

 

 いや、それでも万が一があるから離脱した方がいいとは思うんだけど。

 

 俺はそう思っているんだけど、カズヒは特に気負うことなく、隣に座ってきた。

 

「ちょうどよかったわ。少し、話がしたいの」

 

「え、マジで?」

 

 どういう展開?

 

 俺はちょっと考えて……うん、これはまずないなとは思った。

 

「万が一にもないと思うけど、俺より九成の方が好きだろ、カズヒは」

 

「……そんなに分かり易いかしらね。まぁ、真剣に向き合う覚悟を決めつつあるわ。……*2よ」

 

 あ、案外すんなり認めた。

 

 っていうか、だからこそって?

 

 俺が首を傾げていると、リーネスは体ごと俺の方を向いて、真っ直ぐに俺と目を合わせる。

 

「和地や祐斗には言っているけれど、中間テストが終わった後、*3

 

 ……真剣な声と表情に、俺も少し真剣になる。

 

 話すべき、ことか。

 

「それって、前じゃダメなのか?」

 

「……話してから中間テストに意識を割ける自信がないの。赤点と補修は……避けたいの……っ」

 

 すっげぇ真剣に声を絞り出したよ、カズヒ。

 

 ま、まぁストリートチルドレンとかゲリラって、勉強はあまりできないイメージはあるよな、うん。

 

 これは迂闊に踏み込んだらまずい。話の方に戻そう。

 

「……っていうか、そんな重要な話があるのか? 知ってる奴っているのか?」

 

 少なくとも、リーネスや美空さんは知ってることだとは思う。

 

 あの二人とカズヒの関係性は、凄く深いっぽいからな。たぶん既に聞いているはずだ。

 

 そう思ったんだけど、カズヒは怯えてる様な表情で口を開いた。

 

「……リーネスと鶴羽は当事者よ。あと事情を知っている人は……クロード長官を含めた、貴方がよく知る三大勢力の重鎮は皆知っていると考えていいわ」

 

 な、なんかとんでもないことな気がしてきたぞ?

 

 つまりサーゼクス様やアザゼル先生、ミカエルさんも知ってるってことだろ?

 

 なんつーか、すっごいくだらないことかすっごい重要なことの二択な気がしてきた。たぶん後者だと思う。

 

 そんな、真剣で怯えているような表情をカズヒは俺に向けている。

 

「……これはとても重要な話。それに、人によっては私のことを唾棄し嫌い、憎悪までするかもしれない。少なくとも私は、そうなっておかしくないと思っている」

 

 あ、暗部的な話か!?

 

 いや、たぶん違う。

 

 だけど、ちょっと嫌な気分だ。

 

「俺達が、今更カズヒのことを嫌うと思ってるのか?」

 

 俺がそう聞くと、カズヒは視線を少し逸らした。

 

「……そうなっても文句が言えない。*4なのよ」

 

 そこはちょっと腹が立つな。

 

 そりゃ考え方が合わないところは多いけど、それでも俺達は仲間だろ?

 

 ちょっと不満だったけど、それでも強くは言わない。

 

 たぶん、カズヒにとってその話は、俺にとってのレイナーレの一件に近いんだろう。もしかすると、もっと根が深いのかもしれない。

 

 だけど……やっぱりこれだけは言わないとな。

 

「……俺も、九成も、皆も。*5って思ってる。……そのカズヒが嘘じゃない限り、*6

 

 そう言いながら、俺は立ち上がった。

 

 なんていうか、カズヒにとっても根が深い問題だ。だからきっと、すぐに気持ちを切り替えられるわけじゃないんだろう。

 

 それに、これはきっと俺の役目じゃない。

 

 だから―

 

「話を語りきってから、そんな不安を持ったことをまず九成に謝っとけよ? あいつは絶対、そんな狭い奴じゃないんだから……さ?」

 

 ―それだけは、絶対に断言できるからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Other Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一誠がサウナから出て、五分ほどカズヒは俯いていた。

 

 そして静かに、汗がにじんだ手の平を見る。

 

 耐え切れず、静かに俯いた。

 

「思えるわけ、ないじゃない」

 

 素直な心がそう告げる。

 

 思えるわけがない、そんなことは不可能だ。

 

 何故ならば、カズヒ・シチャースチエは心の底から断定している。

 

道間日美子()は、全てを裏切る邪悪だったのだから……っ」

 

 絞り出る声は、カズヒ・シチャースチエの根源。

 

 悪祓銀弾(シルバーレット)は何よりも、自分という邪悪が嫌いだからこそ錬成された罪人なのだから。

 

*1
温泉とかに入る時に着る服。画像検索でも割と出てくる

*2
()()()()()

*3
話す()()ことを話そうと思うの

*4
そういう話をするのだと思って言うべきこと

*5
今までのカズヒをしっかり見てきた

*6
どんな過去があっても関係ない




 後半で割とシリアスめになりました。

 カズヒの過去にかかわる話は、かなりヘビーなので常々評価が一気に下がらないか心配です。できればそれまでのある程度高評価を貰いたかったのですが、青評価にならないかは常々気にしております。

 ……考えようによっては、今まで似たような感じにしていたキャラクター関連でもトップクラスにアレなんですよねぇ。

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