好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ   作:グレン×グレン

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 ……ふむ、日付が変わった直後にするとスタートダッシュがやっぱり遅いな。

 と、いうことで今回は朝をねらい目にしてみました。


三勢合一編 第十四話 蠢く暗雲

 

 和地Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……五回。五回だ。

 

 俺は五回、総督の後頭部に一撃を叩き込みたくなった……っ!

 

 このオッサン、ウチの馬鹿(コカビエル)がやらかした事態が原因で会談してるってのに、あの手この手で余計な茶々を入れてくる。

 

 心臓に悪い。いやな汗が出てる。

 

 幸か不幸かカズヒ姉さんやイッセーとの会話で、どの勢力も戦争継続に消極的で和平に意欲的だって分かってる。だからまあ、気絶だけはしない。

 

 だけどそれを読んでるからって調子乗ってるんじゃないのか、この堕天使総督は!!

 

 俺がそう思っている中、リアス・グレモリーはすべての説明を終え、サーゼクス・ルシファーに労われて着席する。

 

 そしてそれが終わり、天使長ミカエルがアザゼル総督に目を向けた。

 

「……とのことですが、あなた方堕天使側の意見を聞いてもいいでしょうか?」

 

「コカビエルが悪かったな。コキュートスで永久冷凍刑に処したからもう大丈夫だ。安心しとけ!」

 

 サムズアップして言うことじゃない。

 

 耐えろ俺。総督を殴るのは我慢しろ。

 

 こんなんでも一応組織のトップだ。現場の戦闘員が殴ったら大問題だ。リーネスにも迷惑がかかるし、というよりAIMS第一部隊が終わる。

 

 他のトップ陣営もため息をついている。ああ、総督はそういう方向で信用されているらしい。

 

「説明としては最悪ですが、貴方にその気がないのは信じましょう」

 

「……まあ、リアスもコカビエルが相当貶していたと言っていたしね。そこは信じてもいいだろう」

 

 ミカエルにそう同意を示してから、サーゼクス・ルシファーは真っ直ぐに総督を見る。

 

 ああ、こっからが本番だ。

 

 俺は、ちょっと息をのんだ。

 

 胃が痛くなるのは此処からで―

 

「―そういうわけだから、俺達はさっさと和平を結ぼうじゃねえか」

 

 ―もうこの総督殴っていいか?

 

 確かにそのつもりなのは知ってるけど、それをそんな軽く言うのはどうかと思う。

 

 吐きたくなってきたよ、俺。

 

 他の首脳陣もちょっと面食らってる。

 

「……おいおい。今の俺は平和主義だぜ? そんなに人に迷惑をかけることが好きなマッドサイエンティストに見えるのかよ?」

 

 すいません総督、見えます。

 

 神器研究施設とかであほみたいな鍛錬という名の実験設備とかも作ってるでしょうが。まともなのもあるけど。

 

 俺が内心で突っ込むのと同じく、首脳陣三名は頷いていた。

 

「鏡を見なさいアザゼル」

 

「魔法少女の敵役に相応しいと思うわん☆」

 

「悪いがフォローできないよ、アザゼル」

 

 見事に肯定されて、流石に総督の眉をしかめている。

 

「……俺の信用ってそんなに地に落ちてるのかよ」

 

「それはもう。文字通り天から堕ちた存在なのですから。まぁ、和平が嘘なら現場の者同士で交流させることもないでしょうが」

 

 皮肉を利かせながらも、天使長ミカエルはそう納得する。

 

 半分冗談ではあったのか、魔王二人も特に異論は挟んでない。

 

 ……まあ、どの勢力も和平に乗り気だとは聞いてる。少なくとも、本心が否定的とかそんなわけでもないだろう。でなけりゃ、悪魔側も天使側も俺達堕天使側と接触させることもないだろうし。

 

 だからだろうか、緊張感はそんなにない。和平という言葉が出てきたことで、一気に緩んだと言ってもいい。

 

 だけどその上で、ソーナ・シトリーの姉でもあるセラフォルー・レヴィアタンはアザゼル総督を見て小首を傾げた。

 

「でも、だったらなんで白い龍(アルビオン)刃狗(スラッシュ・ドッグ)を組織に入れたの? 警戒されて当然だと思うのよん」

 

「んなもん、神器研究がほぼすべてだよ。あとはまあ、戦争したくないのと外敵の襲撃を警戒しないってのは別問題って感じだな。俺は戦争なんぞに興味はねえし、宗教関係にも人間界の政治にも手を出す気はねえ。むしろ今の世界に満足してるんでな」

 

 そう返すと、総督はにやりと笑う。

 

「ついでに。和平をしてくれるってんなら神器研究のデータもそっちにくれてやるよ。他にも技術提供や共同研究だってしてもいいぜ?」

 

 その言いように、首脳陣の方々は苦笑しながら肩の力を抜いた。

 

「そうだな。悪魔としても戦争の再開は種の絶滅が再び見える禁忌だ。折角半ば打開出来ているのに、それを引き起こす気は欠片もない」

 

「それはそれで問題もあるけどねん」

 

 そういう魔王二人に目を細めながら、天使長も頷いていた。

 

「そうですね。天使として不敬極まりないですが、戦争の大本である神と魔王が消滅した今、これ以上争って神の子らに余計な被害を与えることこそ論外でしょう」

 

「……堅物ミカエル様が言うねぇ。昔だったらそれだけで堕ちてるぜ?」

 

「時代の流れには適合するべきということです。それにまあ、サーゼクスやセラフォルー達が魔王なら、今の悪魔を積極的に滅ぼす必要もないでしょう」

 

 そんな風に天使長とうちの総督が言葉を交わしてると、ちらりと魔王二人が視線を逸らした。

 

 え、なに。その意味深な反応。

 

 天使長もそれに気づいたのか、ちょっと緊張感が復活してる。

 

「……どうしました? まさか新たな魔王候補が出たのですか?」

 

「そうではないが、今は大王派閥が勢力を強めているんだ。……比率としては6:7といったところか」

 

「ゼクラムのおじいさま達も、和平そのものには賛成してるから大丈夫ではあるけどね……」

 

 あらー。そちらも大変なようで。

 

 確か今の悪魔って、現四大魔王達リベラル派の魔王派と、血統主義が強い本家の悪魔達を主体とする大王派に分かれてるんだったな。

 

 転生悪魔制度や現四大魔王の戦闘能力もあって、現魔王派閥が若干有利って聞いてたけど、ちょっと追い抜かれてるのか。

 

「マジか。転生悪魔制度で最上級になった奴も多いし、今の状態で大王派がそこまで盛り返してるとは思わなかったぜ」

 

 総督が感心してると、サーゼクス・ルシファーは軽く肩を落とす。

 

「転生悪魔からの賛同は根強いが、フィーニクス家が亜種聖杯戦争に手を出したことでね。地脈の力を利用して受精と着床を歩進する儀礼宮殿を立て、更に儀礼術式に数多くの純血の下級中級を参加させたことがきっかけだよ」

 

「おかげで出生率はここ十数年間上がりっぱなしなのよん。更にいくつも建設したり、フィーニクス家が私費を投じて育児手当制度を確立したことで、純血の下級中級から支持をゲットしちゃったのよねぇ」

 

 そうセラフォルー・レヴィアタンもぼやくけど、すぐに気を取り直したようだ。

 

「まあ、ゼクラムおじいさま達も戦争を継続する気はないから大丈夫なのよん。それより、和平について少し話を煮詰めたいわん」

 

 ………なるほどなるほど。これはまた………

 

 どこも大変だってことか。

 

 

 

 

 

 

 

Other Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方その頃、旧校舎では何人かの影が動いていた。

 

 駒王学園周囲には、三大勢力による厳重な警備が敷かれている。

 

 純粋に投入されている人数が多いのはもちろんだが、それ以上に結界なども厳重だ。

 

 なにせことが三大勢力の会談。更にどの勢力も和平を結ぶことを目的としている。失敗した場合の被害が甚大である以上、警戒が強くなるのは当たり前のことでもあった。

 

 にも拘らず、あっさりと多数の潜入に成功している。

 

 それにはもちろん理由がある。

 

 それはひとえに、内通者の存在だ。

 

 その内通者がそろそろ時間だとほくそ笑むとほぼ同時、彼らは動き出した。

 

 全ては内通者が流した情報。時間停止能力という神滅具に次ぐ力を利用する為。

 

 悪意が、水面下で動いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 和地Side

 

 

 

 

 

 

 

「……さて、これで一通り必要なことは終わっただろうか」

 

「だな。あー、かたっ苦しいから疲れたぜ」

 

 サーゼクス・ルシファー……いや、和平が結ばれるなら敬称がいるだろう。

 

 サーゼクスさんがそう言ったのに合わせて、アザゼル総督が肩をコキコキと慣らして息をついた。

 

 いや、一番肩の力抜いて会談してたのはあんただろ。

 

 八割ぐらいの人数の視線を受けながら、しかし総督はどこ吹く風だった。

 

「これで和平はまず確定。帰ったら仕事はしたとはっきり言えるもんだ。喜べお前ら、今日は俺が晩飯を奢ってやる、うな重でいいか?」

 

「マジですの!? うな重大好物ですのー! ビバ総督ですのー!」

 

 大好物を奢ってもらうと言われて、ヒマリのテンションも急上昇。

 

 総督と元気にハイタッチをする、現場の戦闘員。

 

 いや、すごい光景だな。

 

「ごめんなさいねぇ。堕天使(ウチ)、結構フリーダムだからぁ」

 

「そちらも苦労してるのね……」

 

 リーネスはリーネスでカズヒ姉さんと苦笑いをかわし合っているし。

 

 なんだか、空気が結構弛緩してないか?

 

「……サーゼクス。実は先日、赤龍帝が私に聞きたいことがあると言っていたのです。ひと段落つきましたし、今聞いてもよろしいでしょうか?」

 

「イッセー君が? 私は構わないが、いいかね?」

 

 ミカエルさんやサーゼクスさんの視線を受けて、何故かイッセーはアーシア・アルジェントの方を向いた。

 

「アーシア。アーシアのこと、ミカエルさんにどうしても聞きたかったんだけど、いいかな?」

 

 ………んん?

 

 俺達が首を傾げていると、アーシアは了承して、イッセーはミカエルさんに真っ直ぐ向き直った。

 

「俺、アーシアから事情を聴いて以来ずっと思ってたんです。……悪魔を癒せる優しいアーシアを、なんで追放する必要があったんですか?」

 

「……言葉をはさむようだけど、それはある意味で当然のことではあるよ」

 

 そこで、今まで黙っていたリュシオンが口を開いた。

 

「優しいといえば聞こえはいいけど、優しいことと甘いことは違う。少なくとも、和平どころか捕虜の取り扱い条約も結ばれてないのに敵対勢力に無条件に手を貸すのは甘さだし、しかもそれで逃げられて損害まで出ているなら、処罰しないのも組織として問題だよ」

 

「…………まあ、そこに関してはプルガトリオ機関(ウチ)の落ち度でもあるわね」

 

 姉さんもそう続けるけど、なんか一瞬沈黙してなかったか?

 

「本来ならプルガトリオ機関が預かるっていうのが流れになるんでしょうけど、世の中必要悪を容認できる奴ばかりじゃないの。潔癖症は綺麗でないものを全否定するものよ」

 

 流石姉さん、言い分がシビアだ。

 

「まして教会は基本として信徒が運営する者。過度に天使が介入すれば、それでは教会は人の組織じゃなくて天使の家畜よ。だから―」

 

「……いえ、そこまでにしてあげてください」

 

 続けた姉さんの言葉を、ミカエルさんが遮った。

 

 苦笑いを浮かべながら、労うような目でカズヒ姉さんを見て首を横に振る。

 

「聖書の神のシステムを制御できない以上、主の加護で悪魔を癒せるという事実を肯定するわけにはいかない。追放はある意味で保身なんです。責められるは主が遺したシステムを使いこなせないこちらにもあります」

 

 そう言ってから、ミカエルさんはカズヒ姉さんに軽く頭を下げる。

 

「……嫌われ役を押し付ける気はありません。お気持ちだけ受け取っておきます」

 

「……いえ、一片の真実ではありますから」

 

 ………うん、なるほど。

 

「カズヒ姉さん、重荷を背負いこみ気味じゃないか?」

 

「そういう人なんです、昔から」

 

 と、そこでカズホ・ベルジュナヤが苦笑を浮かべながら首を横に振る。

 

「昔から汚れ仕事とかを背負いたがる性分でして。私もついていこうとしたんですけど、「必要悪だけじゃなく、善も世界に必要」と言われた上、「向いてない」とバッサリ正論で切って捨てられまして」

 

「ああ~。そういうこと言いそう」

 

「そこ、初対面で連携攻撃しないで」

 

 カズヒ姉さんが追い込まれて視線を逸らす。

 

 そして何時の間にか近くに来ていたヒマリが、カズヒ姉さんの頭を撫でた。

 

「よしよしですの。カズヒは一生懸命頑張ってるからですのよねー」

 

 流れるようにフォローを……っ。いつもそんなことできるような手合いじゃないだろうに。

 

 な、なんというか、敗北感……っ。

 

「……リーネス様。そろそろ引き締めをお願いしたいのですが。というよりおふざけになってませんか?」

 

「まあまあ。どうせ総督がいるから無理よぉ」

 

「困った駄天使です」

 

 後ろでメリードとリーネスがそんなことまで言ってきているけど、俺も総督と同じ扱いになってないか、コレ。

 

「っていうか待て。今堕天使の字が違ってねえか?」

 

 総督は反論できないです。もうちょっと真面目な態度で会談して欲しかったです。

 

 と、そこでミカエルさんがコホンと咳ばらいをして、話をこちらに引き戻す。

 

「……話を戻しますが、同様の理由で聖書の神の死を知った者も、安全性の問題から追放することがあります。必要最小限の数で押さえておかないと、システムに異常が発生してしまうのです」

 

「ゼノヴィアの場合は、即断で自分から売り込んだから気にしなくてもいいと思いますが。暗部出身であることは知らなくても、私が聞いてたことを知っているなら一言言ってもよかったのに」

 

「……その通りだけど、此処でそれを言わなくていいだろう?」

 

 カズヒ姉さんの容赦ない一撃に、ゼノヴィアは結構食らったらしい。

 

 そしてすぐに気を取り直すと、ゼノヴィアは一歩前に出た。

 

「気に病まないでください。実際カズヒの言う通りですし、何よりそのような事情があるのなら、私は恨み言を言う気はありません」

 

「ゼノヴィアさんの言う通りです。それに、今の私はイッセーさんや部長さんと出会えて幸せです。ミカエル様が謝る必要なんてありません」

 

 おぉ。

 

 イッセーに至っては感極まっているこの言い方。結構きついことを言ったらしいカズヒ姉さんも、ちょっと感心している。

 

 なるほど、聖女と呼ばれただけのことはあるってわけか。

 

「ま、お前が頭を下げる必要はないだろ。つーかそっちの二人が悪魔になったのは、俺ら堕天使側の責任だしな」

 

 ……そして空気壊すなよ総督。

 

 ほら、イッセーもなんか一気にボルテージが上がってるし。

 

「……ああそうだよ。アーシアは堕天使に一度殺されたんだ! ゼノヴィアもコカビエルが余計なこと言ったからだ! 俺に至っちゃいきなり殺されたしな!」

 

「イッセー。今は落ち着いてください」

 

 殴り掛かりそうな勢いのイッセーの肩を、シャルロットがやんわりと押しとどめる。

 

 シャルロットになだめられてイッセーも少し落ち着いたけど、それでもかなり不服そうだった。

 

「シャルロット! でも……」

 

「末端の暴走に上層部のトップが直々に対処することの方が難しいですし問題になりかねません。それに、神滅具を制御出来ずに暴走させれば、生まれる被害はそれではすまないでしょう」

 

 イッセーにそう諭すと、シャルロットは静かに目を伏せる。

 

「こと、自覚のない神滅具の発動は下手な破壊よりなお性質(たち)が悪いのですから」

 

「……ま、お前さんの神滅具に気づかなかったのも、フランス革命で処刑が乱舞した要因の一つではあるか」

 

 総督も流石に殊勝な顔つきになったけど、すぐに普段の調子に戻すと、パンと手を打った。

 

「第一、今更謝ったところで納得できるわけもないだろうしな。穴埋めは別の形でさせてもらうさ」

 

 ……すいません。そんな話は聞いてないです。

 

「そうですねぇ。私もそれには手伝わせてもらいます」

 

 リーネスは知ってるのか? 俺は聞いてないよ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ことが終わってその意味が分かった時、俺はある意味で感謝することになる。

 

 感謝することになるけど、もっと早く言って欲しかった!

 




将来的な伏線を仕込みつつ、テロの準備も整ってまいりました。
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