好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ   作:グレン×グレン

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 グレン×グレンです。

 とりあえずウロボロス編の前半戦は、この話で終了します。


銀弾落涙編 第十四話 猛威蹂躙(その3)

和地Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 振るわれる聖槍を、俺は腕で振り払う。

 

 サルヴェイティングアサルトドッグは、はっきり言って重武装が売りだ。

 

 つまり、固定武装を豊富に持っているのが持ち味、同時に装甲でもあるのが利点ともいえる。

 

 魔剣創造では強度が足りずに吹き飛ばされると踏んでいた。だからこそ、この強引な突破で吹っ飛ばす!

 

「流石に君は想定外だよ! ああ、まさかここまでとはね!」

 

「そりゃどうも!」

 

 ASガントレットをアストラルスピニングドリルとして使用することで、装甲の突き破りを試みつつ、回転を利用することで攻撃を受け流す。

 

 総合性能では劣っているが、重武装による制圧で何とか押し切れるか!

 

 トップアタックでのミサイルを連発することで曹操の意識をかき乱しつつ、俺は組み付く体制に持ち込んだ。

 

 放つのは胸部のオービタルバインダーから放つ、拡散星辰体粒子砲。その勢いで吹っ飛ばしつつ、空中に出たところをマイクロミサイルで始末にかかる。

 

「なめられたものだね!」

 

 七宝を使って自在に飛行しながら、曹操は俺の攻撃を迎撃する。

 

 策はある。だが、それを与えるにはどうしても俺が尽力する必要がある。まして負けた時の為にも、データは取れるだけとっておかなければ。

 

 第一だなぁ……。

 

「カズヒ姉さんを追いかけたいんだよ俺は。いい加減潰れろ!」

 

「そうはいかない。ミザリに何か言われそうだしね!」

 

 放つマイクロミサイルに対して、七宝の一つが輝くと共に、大量の槍を持った人型の存在が迎撃する。

 

 ちぃ! 数が多い!

 

 気づいた時にはヒット&アウェイで曹操が俺を削ってくる。

 

 ASブーストで小刻みに加速して回避するが、こいつは連続使用ができるタイプじゃない。このままだと削りきられるか。

 

居士宝(ガハパティラタナ)は木場祐斗の禁手と同じでね、技量が反映できてないんだ。攻撃力だけの代物に抑え込まれるとは恥ずかしくないかい?」

 

「そんなものを使うほど追い込まれてるのと思っていいか?」

 

 嫌味に嫌味で返しながら、俺は曹操と激突する。

 

 あとどれぐらいだ? ……いや、いいタイミングか。

 

 俺はそれに気づき、右側に振り向いて叫ぶ

 

「やれ、イッセー!」

 

「赤龍帝だと!?」

 

 曹操は咄嗟に右側に振り向いた

 

 ……かかったな馬鹿め!

 

「覚悟しやがれ、曹操!」

 

 左側から、イッセーがドラゴンブラスター発射の構えをとっている。

 

 同時に俺もショットライザーを操作して、蹴りを叩き込む体制だ。

 

 思っているのと別の方向からくる攻撃は回避が難しくなる。仮面越しだから視線も見られにくいのを利用した小細工だ。引っかかってくれてありがとうよ!

 

 ドラゴンブラスターとマグネティックスターブラストフィーバーの十字攻撃。このタイミングは避けきれまい!

 

 そして何より―

 

「もらいました!」

 

 ―放たれる珠宝を、上から飛び掛かったシャルロットが組み付いてそらす。

 

 このタイミングならそれを使うと思ったよ。なら更に一手入れて妨害すればいい!

 

 これで―

 

「「終わりだぁあああ」」

 

 ―潰す!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「甘い、将軍宝(パリヤーカラタナ)!」

 

CHALLENG!

 

ZETUMETU MALICE!

 

 その瞬間、曹操は更に七宝を出すと共に、サウザンドライバーを操作する。

 

 その七宝は俺にカウンターとして叩き込まれ、その衝撃で吹っ飛ばす。

 

ロンギヌスディストラクション!

 

 更に放たれる蹴りが、ドラゴンブラスターを突き破って、イッセーの鎧を打ち砕いた。

 

 

 

 

 

 

 

  ディ ス ト ラ ク ショ ン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

祐斗Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 あの二人でも、ダメか……!

 

 僕は何とか体を立ち上がらせ、リアス部長達を庇える位置で曹操を睨み付ける。

 

 イッセー君も九成君も、ダメージが大きいのか動けない状態だった。……というより、意図的に動けない部分の骨を折っているようだ。

 

「……将軍宝は居士宝と同じで未完成かつ、能力も曖昧なんだ。ただ破壊力が大きいだけというのも雑だし、それなら輪宝の方が便利だしね。まして、サウザイアー・魏があれば十分なんだよ」

 

 そう言いながら、曹操は吹っ飛ばしたイッセー君と九成君をちらりと見た。

 

 二人とも、動けないながらも意識はあるらしい。悔しげに睨んでいるのを見て、曹操は肩をすくめる。

 

「今回はそれに救われたけどね。慣らしがまだ終わってなかったから、後一手遅ければやられていたよ」

 

 そう言いながら、曹操はこちらに最低限の警戒を向けつつもゲオルグに振り向いた。

 

「さて、ゲオルグ。進歩はどうだい?」

 

「四分の三強といったところだが、召喚の方を維持できそうにない」

 

「それだけあれば十分さ。ハーデス神を怒らせないうちに返しておこう」

 

 その言葉が引き金になり、オーフィスを包み込んでいた黒い塊が試算する。更にサマエルも魔方陣に沈むようにして、元の場所に召還されたようだ。

 

 見れば、オーフィスは特に怪我をしているわけでも弱っている様子もない。

 

 最強の龍殺しでも龍神は無理だった……ということか?

 

 僕がそう思った時、オーフィスはきょとんとしながら小さく呟いた。

 

「……我の力、奪った?」

 

 ……なに?

 

 僕が愕然としている中、曹操は満足げな笑みを浮かべた。

 

「その通り。無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)の力は非常に価値があるが、無限の龍神(オーフィス)は底知れなさ過ぎて御せないと踏んだ。そこで、発想を転換したのさ」

 

 変身を解除した曹操は、不敵な笑みを浮かべながら拳を握って宣言する。

 

「この奪った力で、俺達は新たな()()()()()()()()

 

 ……っ!

 

 そういうことか。よく分からない言い草は、オーフィスの力を奪って別のオーフィスを作るという意味か!

 

「その為に……態々サマエルを使ってオーフィスの力を奪ったのか……!」

 

 何とか立ち上がる先生に聞かれ、曹操は素直にうなづいた。

 

「その通りです。龍神はともかくグレートレッド個人には興味がなかったので、オーフィスの力はともかく願いは迷惑でした。とはいえ、オーフィスの力はプロパガンダとしても象徴としても非常に有効。禍の団を作り維持するには、やはりそれなりの象徴がいるということです」

 

「……だから、オーフィスの力だけを使って都合のいいマスコットを作ろうってか。元から半ば傀儡政権だとは思ってたが、いっそ作り直そうとは……人間の嫌らしいところを煮詰めた発想だな、オイ」

 

 九成君が睨み付けると、曹操は胸すら張った。

 

 満更でもないどころか、誇らしいといわんばかりの清々しい表情だ。

 

「誉め言葉だよ、それは。なにせ俺、これでも人間だからね」

 

 ……象徴と力を併せ持ちながら、都合のいい傀儡を作り上げる。

 

 異形社会ではあまり見ない発想だけど、人間世界では傀儡となる象徴は相応に見られるケースだ。冥界では魔王様は若手とはいえ権限は相応にあるけど、実態の権限がない人間界の名目上トップは、歴史上に何度も見られている。

 

 人間だからこその発想。これが……英雄派かっ!

 

 僕達が睨み付けるしかできない中、曹操は苦笑を浮かべて槍の切っ先を僕達から逸らす。

 

「さて、将来的には今確実に潰すべきだが、個人的にはこれからを見てみたいしデータも欲しい。禍の団でももっと見てみたいという意見があるし、三大勢力なら尚更でしょうね」

 

 そう言いながら、曹操は苦笑すら浮かべている。

 

「……ふざけて、くれるわね……っ!」

 

 その時、南空さんがふらふらとしながらも起き上がった。

 

 そのまま九成君を庇う様に立ち塞がり、曹操を睨み付ける。

 

「そもそも、アーシアさんを真っ先に封じれば詰めるでしょう。……誠明と一緒に仕掛けた以上、カズヒは絶対に殺される。……私達を見逃しても、誠明は殺しに来るでしょう……!」

 

 睨み付ける南空さんに、曹操は少し困り顔だ。

 

「悪いけど、俺は君達の関係にはノータッチだよ。相当因縁があるみたいだけど、ミザリ自身そうだとは思ってなかったしね。まぁ、悪祓銀弾(シルバーレット)一人ではミザリに殺されるだけだろうけど―」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやだからしないって。恩人をあっさり殺すほど僕は恩知らずじゃないよ?」

 

 そんな言葉と共に、カズヒを抱えた謎の集団を引き連れ、ミザリ・ルシファーが姿を現す。

 

「……カズヒ、姉さん……っ」

 

「カズヒ……っ! 誠明……っ!」

 

 動きたくても動けない九成君と、悲し気にミザリを睨み付ける南空さんが悔し気に唸る。

 

 それに対して、ミザリは曹操をちらりと見て怪訝な表情を浮かべながらも、苦笑しながら僕達を見回した。

 

「だから殺さないって。僕にとって日美子は、すべてを奪うことで人生を賭ける価値のあるものを()()()()()()恩人だ。殺せば悲しいしそれはとても()()()けど、流石にちょっと気おくれぐらいはするよ

 

 その言葉に、南空さんは愕然とした表情を浮かべる。

 

 今のミザリの言葉は、陶酔すら込められていた。

 

 ミザリ・ルシファー。彼は僕達が思っているよりも遥かに異常な精神性をしている。

 

「……なんでよ、誠明。確かに日美子がすべて企んだことだけど、元をただせばパパがやったことじゃない! もうあれだけ復讐したのなら、恨むのはパパ達にしなさいよ!」

 

 そう涙すら浮かべる南空さんに、ミザリは不思議そうに首をかしげる。

 

「いや、小父さん達ももう恨んでないよ。……ねぇ、小父さん?

 

 そんな答えに、南空さんは凍り付いた。

 

 そんなミザリの視線の先にいる、謎の集団の一人に視線が向けられる。

 

 複眼型のセンサーを持つ、装甲に覆われた人型の存在。独立具現型の神器みたいだけど、完全な人工物として具現化している。

 

 そんな存在のうち、形状が大きく変わっている存在が気まずそうに首を動かした。

 

「……それいっちゃう? 流石の僕も、この流れで娘に正体明かすのは気が引けるんだけど?」

 

 ………は?

 

「馬鹿……な」

 

「ぱ、パパ?」

 

 明らかに驚愕するアザゼル先生と、目を見開いて信じられないといった表情を浮かべる南空さん。

 

 そんな二人や僕らの視線を受けながら、その存在は片手をあげた。

 

「……やっほー七緒ちゃん? 厳密にはちょっと別物だしこんな姿だけど、パパの六郎だよ? ……元だけど」

 

 その返答に、南空さんは崩れ落ちた。

 

 絶望としか言いようがない表情で、ゆっくりとミザリの方を振り向く彼女は、信じられないように首を横に振る。

 

「……なんで? なんで、パパを……?」

 

「何って、むしろ感謝すらするべきだったからね。もちろん最初は恨んだし、一回殺したからこそすっきりしたし、何より自分が全力であそこまでの悲しみを作れたからこそ心から許せるわけだけどさ?」

 

 苦笑しながら、しかしミザリは大したことはしていないといった風に苦笑している。

 

「ある意味で恩人でもあるのに殺すのもアレすぎる気がしたからね。元々幽世の聖杯を使って強化復活させようかとも思ったんだけど、第一世代型人造惑星の概念を知ったから、両立できないかって思ったんだよ」

 

 そう微笑むミザリには、異形に対する悪意がない。

 

 それを理解し、南空さんは思わず後ずさっていた。

 

 僕も気持ちは分かるよ。

 

 事情はさっぱり分からない。情報がどうしても把握できない。

 

 だからこそ、分かることもある。

 

 ミザリ・ルシファーは異常者だ。悲嘆を美しいと感じ、自分自身が嘆き悲しむことすら尊んで実行に移せる精神性。更に怨恨を向けて当然の相手に、その行動を感謝できる精神性を持っている。

 

 彼は、何かが根本的にかけ離れている……っ!

 

 僕達が戦慄する中、ミザリは苦笑していた。

 

「だから日美子を殺したいわけじゃないんだ。むしろ僕に何より大切なことを教えてくれた日美子には、一緒に嘆きを楽しんでほしい。でもあの時のことを考えるとそれも難しそうだから……こんなひと手間を考えたんだ」

 

 そしてミザリは、プログライズキーらしきものを取り出すと、カズヒの腰についたままのフォースライザーに装填する。

 

『HIMIKO!』

 

 いったい、何を!?

 

「てめぇ……カズヒ、姉さんに、何を―」

 

「上書きするんだよ。僕を目覚めさせてくれた日美子の情報を、今の日美子の体にダウンロードするってところかな?」

 

『フォースライズ!』

 

 その瞬間、フォースライザーが展開してカズヒに装甲が付属される。

 

 異形たちと似通った装甲をつけた彼女は、振るえるように起動すると、声を発する。

 

『……あれ? 誠にぃ、またすっごいことしたねぇ』

 

「あれ? なんか変なことになってるな?」

 

「カズヒ、姉さん……!」

 

 戸惑うミザリや九成君の声にこたえるように、彼女は飛び降りると体の調子を確認する。

 

 そして、振り返ると軽く手を横に振った。

 

『ごめんごめん。今の私は道間日美子でもカズヒ・シチャースチエでもないよ』

 

 それにミザリが首をかしげる中、彼女は苦笑の雰囲気と共にミザリに告げる。

 

『……強いているなら、私はモデルバレット悪祓銀弾(シルバーレット)よりもミザリ・ルシファー(あなた)勝利を分かち合える存在

 

 悪意を全身から放ちながら、ミザリに寄り添い抱き着いた。

 

『私こそ、悪鬼明星(誠にぃ)と並び立てる悪鬼伴侶(リリス)。貴方が描いた勝利の化身だよ』

 

「……興味深いね、後でゆっくり聞くとしようか」

 

「そうだね。俺もちょっと聞きたいことがあるから、一旦離れるとしようか」

 

 興味深そうに微笑むミザリに、型を聖槍でたたきながら曹操が近寄る。

 

「……あのバカについてちょっと話を聞きたいね。まぁ、とりあえず一旦離れようか」

 

「……あいつ何やったんだい? あと、結局彼らはどうするのかな?」

 

 ミザリが僕らの方をちらりと見ると、曹操は肩をすくめながら苦笑する。

 

「俺は生かしておきたいけど、仲間やハーデス神に強制する気はない。オーフィスの搾りかすを御所望だから、大挙して死神達が来るようだよ」

 

「……ふ~ん……。で、君は?」

 

「さっきのヴァーリチームが使った術式を真似して、ジークフリートと交代するつもりだね」

 

 そう語りながら、曹操は僕達を見る。

 

「……というわけだ。できれば俺としても、全力で一対一もしてみたい。ぜひ生き残って乗り越えてくれたまえ」

 

 そう告げながら、姿を消していく曹操達。

 

 ………これが、英雄派か………っ!

 




 とりあえず、これで戦闘はいったん終了。

 一話インターバルを挟み、明日からカズヒの罪業が明かされることになります。……日曜日からえっぐいのを読ませることを前もってお詫びいたします……。

 というわけで、次話は今日18時を予定しております。

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