好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ   作:グレン×グレン

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 そんなこんなで、禍の団が本格的に動き出します。


三勢合一編 第十五話 襲撃開始

 そんなこんなで、ちょっと空気がシリアスになったが、そこで総督が座り直すと周りを見渡した。

 

「……さて、俺のところにヴァーリに、赤龍帝とそのサーヴァント、でもって、サーヴァントのクロードに噂のリュシオン・オクトーバー……確か神の子に続く者(ディア・ドロローサ)だったな」

 

 ……ん? どこかで聞いたことがあるような……?

 

 俺が首を傾げてると、リアス・グレモリー達若手だけど有力者だったりする人達が面食らってる。

 

 ミカエルさんも魔王二人も、少し苦笑していた。

 

「新規神滅具候補を持っていることが理由だったのかしらぁ? デュナミス聖騎士団でも最強にして規範と呼ばれてたはずだけれどぉ」

 

 リーネスがそういうことを言って、俺は思い出してちょっと引いた。

 

 そうだそうだ。なんか有名どころで「神の子の後に続く」とかいう評価がされてたんだっけ。

 

 そうか、そういえば星辰奏者になっていたって話は聞いてたけど、そういうことか……。

 

 俺達が面食らってると、リュシオンは苦笑しながら首を横に振った。

 

神滅具(ロンギヌス)星辰光(アステリズム)も確かに持ってますけど、買いかぶりすぎです。……俺が強いのは、誰でも出来ることを常に続けているからです」

 

 そう言いながら、リュシオンは目を伏せると手を胸に当てる。

 

「毎日欠かすことなく勉学と鍛錬に励み、より良い方法がないか探し、そしてそれを知る者に礼を欠かすことなく教えを乞う。そして鍛錬と勉学で消耗したものを、休息と補給で足していけば、余程のことが無ければ誰でも成長できます。恵まれた才能を持っていることは事実ですが、それは俺の一つの要素でしかありません」

 

 そういうと、リュシオンは微笑みながら俺達やイッセー達を見る。

 

「誰だって、誰にでも出来ることをちゃんと積み重ねていけば少しずつなら成長出来る。もちろん邪魔が入ることもあるし、人間は怠けたいと思うものだし、消耗という概念があるから常時少しずつ成長し続けるとは言わない。それでも俺が成長できたのは星辰奏者の才能や神滅具を宿していたことが重要なんじゃない。少なくとも、俺はそれを示し続けることも忘れたつもりなんてない」

 

 そして、真っ直ぐにアザゼル総督の目を見つめた。

 

「だからあまり持ち上げないでください。持って生まれた者であることはは認めますけど、俺の本質は人が誰でも出来る物にこそあるんですから」

 

「……神器研究者に、酷なこと言ってくれるぜ」

 

 総督は苦笑いしているけど、俺はふと気づいた。

 

 なんか、カズヒ姉さんが視線を逸らしている。

 

 なんか思うところがあるのか?

 

 俺が首を傾げてると、総督はすぐに気を取り直したのかイッセー達をちょっと面白そうに見た。

 

「……ま、日々の努力を否定する気はねえが、それを踏まえても神滅具ってのは厄介だ。ある意味で俺達トップ並みの力があるんだからな」

 

 そう言ってから、総督はヴァーリの方に視線を向ける。

 

「だから、今後の参考がてらに一応聞いておきたい。……お前らは世界に何を望む?」

 

「俺は強い奴と戦えればそれでいいさ」

 

 速攻でヴァーリがそう言うけど、和平を結んだタイミングでいうことじゃないと思う。

 

 いやほんと、今言うことじゃないだろ。正直すぎるぞ。

 

「そうですね。俺は人々が少しでもより正しくあってほしいと思ってます。だからこそ、自分自身がそうあることで少しでも多くの人にそうなってほしいですね」

 

 リュシオンはリュシオンで凄いこと言うな。なんていうか、優等生の百点満点の回答だ。

 

 しかもなんていうか、目を見るだけで本気具合が見えてくる。嘘偽りない純度100%って感じがする。

 

「……今も昔も変わりません。私は、信徒としてより多くの人々が健やかに生きれることを望みます」

 

「私に世界の行く末を案じれる資格はないでしょう。ただ、より良く出来る人達を応援したいとは思ってます」

 

 クロードとシャルロットのサーヴァント組はこんな感じ。

 

 クロードは暗部出身なだけあって、なんというか覚悟完了済み的な印象。流石カズヒ姉さんのボス。

 

 シャルロットはなんかこう、自分に自信がなさげだな。そういえばあまり話さなかったけど、どんな感じの人なんだ?

 

 で、最後は―

 

「………え、俺?」

 

 ―イッセー、もしかして他人事だったか?

 

「あのねぇ。神滅具保有者って言い回しで気づきなさい」

 

「イッセー、お前は絶対に振られるだろ。赤龍帝なんだぞおまえ」

 

 カズヒ姉さんと俺がツッコミを入れるけど、イッセーはかなり戸惑ってた。

 

「いやいや、俺、新米の下級悪魔だぜ? 世界の行く末とか言われても困るって!」

 

 そういうイッセーに、アザゼル総督はちょっと考え込むと、手を打った。

 

「なら簡潔な二択にしてやる。平和な世界でそこのリアス・グレモリーを子作りしたいか、子作りなんて気にせず戦争をすることを選ぶかだ」

 

「はぁ?」

 

 とんでもないことを言ってきやがったよ、この総督。

 

 リアス・グレモリーも面食らってるし、何を阿呆なことを―

 

「………何、だ……と?」

 

 なんでお前は食いついてる、イッセー。

 

「そういうもんだ。平和な世界なら種の繁栄が重視だから、普通に考えて子作りも重視される。戦争を選ぶならお前は間違いなく戦力として期待されるから、そんな余裕がない戦いだらけの毎日だ。……で、ど―」

 

「平和オンリー平和平和平和ぁ! 部長とエッチしたいです! 平和が一番!」

 

 総督の言葉をさえぎって、思いっきり食い気味で宣言したよ。

 

 ……空気が微妙だなぁ、これ。

 

「イッセー君、サーゼクス様もおられるんだよ?」

 

 木場がツッコミを入れるのも当然だな。

 

 そりゃお前、自分の主とその兄で魔王がいるってのにそんなこと言うやつは普通いない。

 

「あらあら。リアスは愛されてますわね」

 

「イッセー先輩、最低です。……最悪ではないですけど」

 

「イッセーさん! ぶ、部長さんばかりに目を向けないでください!」

 

「なるほど。部長のような女性と子作りしたいのか。……髪を伸ばすか?」

 

 ……グレモリー眷属の女性陣も大変だな。反応的や表情的に嫌われてはないようだけど。

 

「す、すいません! 童貞を卒業したくてたまらないお年頃なんです!!」

 

 恐縮するのはいいけど、いうことはそれでいいのかイッセー。

 

「ふふっ。まあ、年頃の少年はそういうものだよね。俺も人並みには興味はあるし、若さは未熟に寛容が許される時だから、いいんじゃないかな?」

 

 リュシオンは朗らかに対応してるな。年齢はそこまで開いてないだろうに、大人だなぁ。

 

「ま、まあ欠点の一つ二つは誰にでもあるものです。……ちょっと極まりすぎている気もしますけど、意識して抑える努力は認めてますよ?」

 

 フォローが追い付いてないぞ、シャルロット。

 

「……若さの未熟はきちんと反省してこそだと思うけれどね。あまり繰り返すような絞め落とすわよ?」

 

「ハイ! すいませんでしたぁ!」

 

 カズヒ姉さんは相変わらず厳しい。まあ正論だし、猶予はくれてるんだからいいか。

 

 それより発言にちょっと間があるのが気になるな。ほんとに気になる。

 

 とまあ空気が緩んだけど、気を取り直したイッセーが前を向いて拳を握り締める。

 

「と、とりあえず言うことは一つ! 俺の力は主であるリアス部長や仲間達の為に、そしてシャルロットに恥じないことの為に使います! ……えっと、あとどう言えばいいのか―」

 

 と、イッセーがそこまで言ったその時―

 

 

 

 

 

 

 

 気づいた時、状況は一気に一変していた。

 

 分かった理由は単純明快だ。

 

 空気が違う。

 

 緊張感が殆どで、次に占めているのは戸惑いだ。そう察せられる場の雰囲気が全てだろう。

 

 そしてそれに気づいたその場で周囲を確認使用した瞬間、視界が塞がって柔らかいものが包み込んだ。

 

 ……この状況下じゃなければもうちょっと嬉しかったんだけど―

 

「和地起きましたのねー! ほっとしましたのー! 安心しましたわー!」

 

「御免。せめて抱き着く場所を変えてくれない? 周りが見えない」

 

 ―半泣き状態のヒマリに抱き着かれるけど、この空気だとちょっとその感触を味わう余裕がない。あとたぶん、視界が塞がってるのがまずい状況だと思うから。お願いずれて。

 

 なんとか視界を開放したら、明らかにヤバいという展開がまさにその通りだった。

 

 部屋の中にいたメンツの内、十人ほどが止まっている。

 

 それも動きを止めているとかいう次元じゃない。脈拍や呼吸も感じられない、文字通りの静止状態だ。

 

 ちなみに止まっているのは、悪魔側がソーナ・シトリーとその女王に、グレモリー眷属からは姫島朱乃と塔城小猫にアーシア・アルジェント。天使・教会側はカズホ・ベルジュヤナ一人。そんでもって堕天使側は、俺とヒマリを除いたAIMSのメンバーだ。

 

 総数十人。結構な人数が何かされたらしい。

 

「……っていうか、何があったらこんなことになるんだ?」

 

 状況が分からなくて首を傾げると、慌てた様相のイッセーが、外を指さした。

 

「そ、それがテロだって……あんな感じで」

 

 言われて外を見ると、確かに外も凄いことになってるな。

 

 三大勢力の警備陣は、軒並み固まっている。その上で、外にはいろんな連中が現れて、こっちを攻撃している。

 

 問題は……。

 

「ジャンルがごった煮すぎだろ」

 

 思わず漏れ出るこの感想。

 

 だけど言わせてほしい。ごった煮すぎるだろアレ。

 

 魔法使いらしいローブを纏っているやつがいる。まあ、魔法使いってのは異形に関与している人間として見れば数多いからこれはいい。

 

 あとレジスティングアントレイダーもいる。まあ、頭のねじがぶっ飛んでいる連中にばかり送られるうえ、科学技術だからコピー品を開発することは不可能じゃない。これもいい。

 

 後、ゴーレムがいるのもいい。魔法使いとか呪術師がそういうものを作り出して戦闘に使うことは珍しくない。それに魔術回路持ちなら、宝石や木材に羊皮紙などを材料とすることで、そんな即席ではなく一度作ればある程度の自律動作すら可能にするやつもいる。これもいいとしよう。

 

 問題はそのあと二つだ。

 

 まず一つ。見たことの無い魔獣がいる。それも文献とかでも見たことが無い、よく分からないタイプの魔獣だ。

 

 更に問題が最後の一つ。

 

 ……四肢が何というかサイバーチックで、服やボディスーツという感じでもない謎の連中がいる。

 

 ショット&ランを繰り返しながら、こっちの上層部が張っている結界を攻撃しつつ、反撃の攻撃をかわしている。

 

 数が多いが市内なので大火力を出せないのが現状みたいだ。だけど魔法使いが防御魔法を展開してもあっさり貫通する威力の乱れ打ちだというのに、サイバー的な連中は全然減らない。躱してる。

 

 なんていうか、反射神経が早いな。あと回避がなんていうか機械的な気がする。

 

「……なんなんだ、あれ。他者強化型の禁手とかそんな感じか?」

 

「いや、サイボーグだなあれ。しかも完成度高いぞ」

 

 俺がぽつりと呟いた言葉に、総督がそう答える。

 

 いや、ちょっと待とうか。

 

「サイボーグ!? そんなものもいるんですかこの世界!」

 

「いや、初めて見たな。だが完成度が高いというか、たぶんあいつら、脳を含めた一部を除いて殆ど全部を機械的なものに切り替えてるぞ」

 

 イッセーにそう答えながら、総督は滅茶苦茶興味深そうにサイボーグ達を観察している。

 

 ついでに光の槍で、攻撃をしてきている連中を吹き飛ばしながら、しっかりと観察している。

 

「……ヒューマギアの技術もいくらか流用しているみたいだが、フレームも駆動系もより人間に近づけているみたいだな。人間社会に組み込む為外見を人に近づけたヒューマギアとは逆に、人間に技術を組み込んでも動かせるよう中身を重視してるようだな。となるとやっぱり人間の脳は丸々組み込んでるって感じか。……今度神の子を見張る者(ウチ)も試すか?」

 

「さ、サイボーグ! ロボ〇ップですのね!?」

 

 ヒマリ。君女の子なんだから男のロマンに惹かれてどうする。あとこの流れだとお前が被験者になるぞ。

 

 総督もやめてくれよ。誰を被験者にするんだよ。現代の倫理観だと異形社会でもその辺を上手く用立てないとややこしいことになるからさぁ。

 

 後気になったんだけど―

 

「ロボ〇ップってなに?」

 

 本気で知らん。

 

 そんな映画、ザイアでもグリゴリでも見たことないと思うんだけど……。

 

 俺が本気で首を傾げてると、カズヒ姉さんが少し遠い目をしながら苦笑いしていた。

 

「何十年も前の映画シリーズよ。殉職した警察官がサイボーグになる話だったはずずね。……世代的に私達でも古い扱いなんだけど……よく知ってるわね」

 

 カズヒ姉さんもよく知ってるな。俺らと同年代だろ?

 

 そんなことを思ってると、リュシオンが外を見ながら目を警戒するように細めている。

 

「……どの勢力もタカ派はいる。特に教会は、その性質上悪魔や堕天使に対して無条件で敵とみなしやすい。だから会談でテロが起きる可能性は当然高く見積もってはいたけど―」

 

 そう言いながら、リュシオンは周りの敵を見て首を傾げる。

 

「……それどころか、悪魔や堕天使とも縁がなさそうなのが多すぎだ。いったいどの勢力がこんなことを?」

 

「……他の神話体系に由来する者達ではなくて? 三大勢力が一つに纏まれば、質においてはともかく規模と数において他の神話体系を圧倒的に凌駕する勢力になるわ」

 

 リアス・グレモリーがそう意見するけど、それはミカエルさんとセラフォルーさんが首を横に振って否定した。

 

「いえ、それなら外周のデュナミス聖騎士団が察知するでしょう。もし潜り抜けたにしても、この戦力、それも種類のバラバラさに説明がつきません」

 

「他の神話体系は鎖国的なところが多いもの。もし彼らなら、もっと分かりやすい感じになるはずよん」

 

「そうだ。なにより問題は手口だよ」

 

 それに頷きながら、サーゼクスさんは何故か旧校舎の方に視線を向ける。

 

「私達すら停止しようとしたあの感覚は、時間停止のそれだ」

 

 その言葉に、何故かゼノヴィアも頷いた。

 

「ああ。私が無事なのはそれに慣れていたからデュランダルで弾けたからだ。時間停止そのものは一種類しか受けてないから断言はしないが、ギャスパーのそれとそっくりだったぞ、部長」

 

 俺の聞き覚えのない名前を聞いた瞬間、グレモリー眷属が本気でざわついた。

 

「ギャスパー君の!? いや、確かに彼は制御できないから、暴発はあり得るけど……」

 

「でもよ木場! ギャスパーならもう解除されてるだろ!? それにあいつは旧校舎にいるんだぜ!?」

 

「何より、今のギャスパーでこの広範囲はあり得ないわ。それに外の襲撃者達が動けないこともいい、ギャスパーだとするなら不自然すぎる!」

 

 なんかグレモリー眷属がほんとにざわついてるんだけど、どういうことだ?

 

「……話を聞く限り、グレモリー眷属に時間停止が可能な人材がいるの? でもそれだけの実力者ならコカビエル相手に出さないのはおかしいと思うけれど?」

 

「いえ、彼は少し特殊な来歴なんです」

 

 カズヒ姉さんが疑念を見せると、シャルロットが補足説明を入れてくれた。

 

変異の駒(ミューテーション・ピース)僧侶(ビショップ)で転生したギャスパー・ヴラディという眷属をリアスさんは持っているんですが、彼は視認した対象の時間を停止させる停止世界の邪眼(フォービドゥン・バロール・ビュー)が制御出来てないので封印されていたんです。近年のグレモリー眷属の活躍て封印こそ解けましたが、まだ制御は出来てないので旧校舎で待機となりました」

 

 な、なるほど。

 

 制御出来ない神器とか害悪だしな。それも暴発とかするんだったら、そりゃまあ封印は仕方ない。

 

 うっかり発動したら最悪だ。誰が止まろうが止まることなかろうが、このニトログリセリンの海に火種が落ちるようなものだしな。

 

「つまり、暴走しすぎて禁手(バランス・ブレイカー)になってしまったんですの?」

 

「いや、これはそういうわけじゃねえな」

 

 首を傾げたヒマリに、総督が待ったをかける。

 

「以前会ったことはあるが、あれはまだそんな感じじゃねえ。タイミングよくこうも襲撃してきたことと言い、たぶんとっ捕まって強引に暴走状態にされてるようだな」

 

 もっと酷いじゃねえか。

 

「私のギャスパーを……よりにもよって魔王様達を相手にしたテロに使うだなんて………っ」

 

 そしてリアス・グレモリーの怒気が怖い。

 

 あの、その怒りで全力を叩き付けたらコカビエルにも通用したんじゃないですかねぇ!

 

「と、とりあえずどうするんです!? 外の人達が救援に来てない以上、たぶん向こうでも戦闘になってるかと待ってるかってことですから、逃げるなりした方がいいと思うんですけど?」

 

 俺がそう提案すると、首脳陣は全員首を横に振った。

 

 ぜ、全員か。

 

「むしろ俺達は逆に釣りをしてるんだよ。強引に脱出して駒王町(この町)に被害を出すリスクより、しびれを切らした本命が名乗りを上げて挑んでくるリスクを取ったってわけさ」

 

 総督がそう言うと、しかし旧校舎の方に視線を向ける。

 

「つっても、このままだとこっちも停止しかねえな。だが敵さんも流石に警戒はしてるし、下手に出ると集中砲火を喰らうだけだな」

 

 そう総督が考え始めようとしたその瞬間、リアス・グレモリーが一歩前に出る。

 

「……なら、私が行くわ。……魔王様、旧校舎にある未使用の戦車(ルーク)の駒を利用したキャスリングで、私がギャスパーを助け出します」

 

 キャスリングっていうと……王と戦車の駒を入れ替えるチェスのルールに則った、悪魔の駒の機能だったか。

 

 なるほど。それなら敵の虚を突けるかもしれないけど……。

 

「流石に一人ってのはまずいんじゃないかい?」

 

「……そうね。敵だって流石に切り札を野放しにするわけがないもの」

 

 リュシオンとカズヒ姉さんがそう言うけど、なんかカズヒ姉さんに一瞬間がなかったか?

 

 いや、それは今気にすることじゃないか。

 

 二人の言うとおりだからな。敵だって作戦の要に人員を配置しないわけがない。しかもこんなところに仕掛けるんだから、流石に上級悪魔が来ることぐらいは想定しているだろう。

 

 だったら―

 

「二正面作戦とかどうです? まずリアス・グレモリーが突っ込んで、敵が揺らいだ瞬間に残り全員で正面突破を図れば、虚をつけるかもしれません。逆でも不意を突きやすいかと」

 

 俺はそう提案するが、しかしそこでヴァーリが鼻を鳴らす。

 

「そんな手間暇をかけるぐらいなら、俺がそのハーフヴァンパイアごと旧校舎を吹き飛ばした方が手っ取り早いんじゃないか?」

 

 ………。

 

「ヴァーリ! てめえ今なんつった……ぶっ飛ばすぞ!」

 

「お前、空気と情勢を読めよ。テロリストの前にお前を潰すってことになったら協力していいぞ俺は」

 

「和平を結ぶって時に馬鹿なことしないでくれない? 説得力がなくなって意味がなくなるのよ? 第三勢力になるつもりなら私もイッセーに付くわよ?」

 

 イッセーと俺とカズヒ姉さん。つまり対コカビエルの三大勢力共闘が思わぬ形で再現されそうになったよ。

 

 しかも相手がヴァーリ(堕天使側)だから、いやなところも再現されてるしな。

 

 そしてヴァーリ。明らかに嬉しそうな表情をするな。

 

「お前なぁ。和平結ぶって時にそれはやめろよ。やるにしたって最後の最後だろうが、それは」

 

 流石に総督もツッコミを入れるけど、ヴァーリはどこを吹く風だ。

 

「退屈なものでね。実際、神滅具を装備したコカビエルを、四人がかりでとはいえ倒した者達と戦えるってのは楽しめそうだ」

 

 こいつは本当に何を考えてるんだか。

 

 今更だけど、総督はこいつを連れてこないでほしかった。教会側(イリナ)悪魔側(匙達)はいないんだし、大丈夫だっただろうに。

 

 空気が全く読めない男に、サーゼクスさんやグレイフィアさんも半目を向けてる。

 

 妹の眷属が関わってるし、まあ当然だよな。

 

「……すまないが、それは遠慮してもらおう。妹の眷属である以上に、守るべき冥界の民を生贄にするやり方はできれば避けたい」

 

 そうため息をついてサーゼクスさんが言うと、それに続けるようにグレイフィアさんが魔方陣を展開して操作する。

 

「こちらで調整すれば、一人なら追加できるでしょう。問題は誰が行くかですが―」

 

「俺が行きます!」

 

「なら私も行きましょう。禁手を使えばイッセーと同化状態で行動できるはずです」

 

 即答でイッセーが名乗りを上げ、そしてシャルロットも続いた。

 

 なるほど。首脳陣を除けば最強格の、神滅具がタッグで行動か。

 

 しかもリアス・グレモリーの眷属ってことも考えれば最適解だな。

 

「……じゃ、外の敵をぶっ飛ばして陽動した方がいいか。いいですよね、総督?」

 

 可能な限りサポートはしないといけないと思い、俺はそう提案する。

 

 実際問題、このままだと相手に堪え性があったら時間の浪費だ。止められないからそのまま帰るって輩の可能性もある。

 

 そうなると、敵が誰かも分からない。流石にもうちょっと情報は入手したい。

 

 だから撒き餌をすることを提案してみたけど、どう判断するんだろうか。

 

「……そうだな。ヴァーリ、お前も退屈しのぎに行ってこい」

 

「そうだね。このまま黙っているのもいい加減飽きた。奇跡を見せた赤龍帝(ライバル)に、奇跡そのものの白龍皇を見せるとするか」

 

 そう言うなり、ヴァーリは外に飛び出て鎧を展開する。

 

 ……相変わらず強いな。一気に敵が吹っ飛んでるぞ。

 

 さて、それはともかくとして―

 

「じゃ、俺も行かせてもらうか」

 

「なら私もですわ。こっちもいい加減イライラいてましたし―」

 

 そう答えながら、ヒマリはちらりとリーネス達を見る。

 

 そして一瞬目を伏せ―

 

「―これ以上、私達の仲間に酷いことをされるわけにもいきませんもの」

 

 その言葉と共に、一気に飛び出す。

 

 同時に腰にエイムズショットライザーをベルトごと装着している。

 

『FREE』

 

 プログライズキーも駆動し、落下中に速やかに装着。

 

「んじゃ、俺も行かせてもらうぜ!」

 

 そして俺がそう言ってから飛び出す頃には、既に着地したヒマリが相手を見据える。

 

『Kamen Rider……Kamen Rider……Kamen Rider……』

 

 敵が反応し、攻撃態勢を取ったその瞬間。

 

「変身!」

 

『ショットライズ』

 

 その攻撃をかいくぐるように走り、同時に引き金を引く。

 

 放たれる銃弾は敵をけん制するように飛び回りながら、タイミングよくヒマリに向かい、強化スーツを展開する。

 

『リベレイティングキャット』

 

 具現化されるは、明るい橙の装甲で敵たプロテクター。

 

 全身鎧型禁手のように、しかし明確に科学的な印象を与える全身装甲。

 

「仮面ライダーラクシュミー……ここで推参しますわ!」

 

 かつてインドにて英国相手に反抗し、当時の英国人から貴人に対する礼を持って葬儀を行わせるほどに敬意を向けられた、インドのジャンヌ・ダルク。

 

『Die You are enemiy of human』

 

 ラクシュミー・バーイーにあやかった、戦士が此処に推参した。

 




 ハイApoの置いては亜種禁手関係の特性でギャスパーにカバーが入りましたが、本作ではそもそも亜種禁手になって日が浅いことと、キャラが増大化する作品の都合上、ある程度の戦闘要員を絞らないと、今の段階ではキャラの魅力を書ききれないと思いこんな感じになりました。

 最も、神器関係はアザゼルがいるのでこっから一気に無理がききますけど。







 それはそれとして、コカビエル戦では裏方に回ったヒマリの仮面ライダーとしての形態もここで出せました。

 仮面ライダーラクシュミーは、マクシミリアンの相方担当。ヒマリ自身のポテンシャル込みで、細かいところは次回をお待ちください。





 あとどんどんかけていっているので、ガス抜きを兼ねてサーヴァント風ステータスとかにリソースを向けるべきかも考え中。

 サーヴァントはクラスごとの違いという形で、能力とかの分割ができるのがある種の強みだと思ってますので、そういう方向にすることで伏せている能力とかをスルーしつつ出していきたいと思っております。

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