好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ 作:グレン×グレン
そんなわけで、本格的にヒーローズ編に突入します!
あ、活動報告に二つほど追加しているので、良ければ見ていただけると!
和地Side
襲い掛かる魔獣達に、俺は正確にショットライザーの射撃を叩き込む。
三体ほどの魔獣をそれで牽制したところに、上から仕掛けるのは聖十字架の槍を構えた鶴羽だ。
一瞬で魔獣を突き穿ち、更に放った炎で一気にせん滅する。
「和地! 残りは!」
「あと十体! これで半分だ!」
まったく、これは流石にしぶというというかなんというか。
とにかくしぶといんだよ、この魔獣。
これで漸く半分だ。割と消耗したというか、他の連中は大丈夫か?
いや、とにかくまずは―
「こいつらのぶちのめすのが先か……リヴァ先生!」
「任されたぁ!」
俺の言葉に応えて、離れたところから大量の砲撃が魔獣質に放たれる。
リヴァ先生は神格としての力を地脈の制御に利用することで、地脈から力を供給する砲撃を得意技としている。
性質上レーティングゲームのフィールドとかだと本領が発揮できないが、だからこそこの戦場ではめちゃくちゃ強くなるというわけだ。
魔獣達は凄い速度で削られながらも反撃を叩き込もうとするが、しかし遅い。
「左右がなぁ!」
「がら空きよ!」
そこに回り込んだベルナと春っちが、氷水と火炎の砲撃で左右から更に挟み込む。
一斉攻撃で削り潰され、魔獣達は壊滅する。
俺は復活しないか少しの間警戒するが、そのまま魔獣達の残骸は塵になっていった。
……よし、此処はもう大丈夫か。
「……和地君、皆!」
そこにインガ姉ちゃんが飛び降りるように現れた。
「避難誘導は完了! 一旦ここから後退するって指示が来たよ!」
「なるほどね。……分散した魔獣がほぼ駆除し終わるまではそっちの方が安全ね」
インガ姉ちゃんの連絡に、リヴァ先生は頷いて周囲を確認する。
……俺も見たけど、割と環境被害がデカいな。
これで人的被害がほぼ出てないってのが奇跡なぐらい、今の魔獣達はしぶとく、そして数が多い。
俺達が戦っていたのは、シャルバが強制的に至らせた魔獣創造の禁手。それによって生まれた魔獣が更に生み出していく小型魔獣だ。
最初の産み出された魔獣は、一番巨大な個体が
奴らはそれぞれ、短いスパンで小さい魔獣を産み出しながら侵攻を開始。それぞれが冥界の大都市に向かって進軍している。
現状撃破は一切なし。足止めに色々な作戦も行ったがすべて失敗。更に英雄派の暗躍を警戒して、神仏魔王の参戦も困難。結果として生まれている魔獣が人里を襲わないよう、可能な限りの駆除と避難誘導が主体になっている。
既に冥界上層部では対抗戦術と対抗術式の研究が行われているが、果たして間に合うかどうか。
俺達もその支援に駆り出された形だが、しかしてこずったな。
「……どうすんだ? シャルバの野郎が何かしら動いたら、流石に更に傾くんじゃねえか?」
ベルナがそう気にするのも当然だ。
今回の一件、旧魔王派の動きが思った以上に少ない。
おそらくは雌伏しているとかそんな感じだろう。だからこそ、一気に動き出せばタイミング次第ではかなりまずいことになる。
シャルバ・ベルゼブブの正確なら、尚更演説でもしてくるとは思うしな。
……ただ。
「イッセーが態々出張ったんだ。あいつなら倒しているだろうし、最悪でも深手を負わせているとみていいだろう」
俺はそう言い切れる。
イッセーはカズヒ姉さんや俺とは別の意味で、やると決めたら本当にやり遂げるからな。
シャルバも相応の切り札を持ち込んでいたようだが、この期に及んで演説の一つでもしてないというのなら……最悪でも深手を負っていると考えるべきだろう。
問題は、だ。
「……まさか、あの赤龍帝が……ね」
「うん。殺しても死ななそうな感じだったのに」
春っちが俯くと、インガ姉ちゃんも目を伏せた。
……龍門によるイッセーの転移は成功せず、悪魔の駒だけが転送されるという事態があった。
この手のケースは主に対する強い思いを盛った眷属の転送を試みた際に起きるケースで、すべてにおいてその下僕は死亡している。
とどめに、ゲートからはサマエルのオーラまでもが検出されたとのことだ。
イッセーのことだから、喰らったとしてもシャルバは何とかしている。少なくとも今すぐに何かされることはないだろう。
だが同時に、サマエルの毒を喰らってイッセーがただで済むとも思えない。
「……あの馬鹿……っ」
鶴羽も、あの時の光景を思い出して歯を食いしばっている。
俺も、思い出しただけで嫌な気分になるな。
……ここは辺境とはいえグレモリー領。そんなところの避難誘導に、俺達が出ておきながらリアス部長達がいない。
その理由は単純明快だ。
リアス部長達は、ほぼ全員が心神喪失状態に陥っている。
くそったれ。無理やりにでも連れ戻しておいた方がよかったな……っ!
避難誘導とは言っても、数百人数千人規模を一気に転移させるわけではない。
とりあえずベースキャンプ的な物を作っており、そこに人々を集めて安全を確保している感じだ。
俺達は避難誘導がほぼ済んだことから、大人の上級悪魔や眷属達に駆除を任せていったベースキャンプに帰還した。
休憩できる時に交代で休息をとることも重要だしな。というか、少しは補給もしておかないと。
「お疲れ様ぁ。ご飯、用意できているわよぉ」
……意外とエプロンが似合うなぁ、リーネス。
疲れてるのか、そんな場違いなことを考えてしまった。
「じゃ、ご相伴に預かるということで。何があるんだ?」
俺は努めて明るくそう尋ねる。
視界には子供も映っているからな。こういう時に不安がらせるのはよくない。
サムズアップで子供達を元気づけながら、俺はクックスがいるだろう炊き出しの場所に向かっていく。
「ふふぅん。実働班には栄養価抜群のをクックスが作ってるわぁ。カプサロンっていうんですって」
ごめんリーネス。さっぱり分からない。
「ほほぅ。カプサロンねぇ」
「知ってるの?」
何やら感心しているリヴァ先生は、春っちに尋ねられると指を一本立てる。
「フライドポテトの上にケバブとチーズを重ねてオーブンで焼いて、その上からサラダをのっけた料理よ。オランダのファーストフードね」
「……そんなの作れる設備なんて、何処に在んだよ」
ベルナの指摘はとってももっともな気がする。
イヤホンと、百歩譲ってオーブンはともかく、ケバブって結構専門的なものが必要な気がするんだけど?
俺達の疑問符に、リーネスは微笑みながら手である方向を向けた。
……機動特急アントニオンの随伴列車に、子供達の行列ができている。
「アントニオンの随伴列車には、一両丸ごとキッチン仕様もあるのよぉ。炊き出し用だけど、只煮込んだだけというのも味気ないでしょぉ?」
子供たちはドネルケバブを片手に笑顔になっている辺り、ある意味成功しているのか?
というかドネルケバブがあるならもうそれだけで十分な気もするんだが。
俺が首を傾げていると、リヴァ先生はおなかをさすりながらちょっとにやついていた。
「ちなみにカプサロンは、一食食べればもう一日何も食べなくてもいいと言われるぐらい、カロリーが豊富なの♪ 過酷な戦闘で消耗した戦士達のカロリー補給にぴったりね♪」
「……ダイエットの天敵を通り越して怨敵かな?」
インガ姉ちゃんの意見にとっても納得。
ファーストフードは基本的にダイエットに向いていないが、サラダもあるのになんだその宿敵具合は。
まぁ、戦場で色々消耗した戦士達にはなんというか……完全栄養食?
いやまぁ、今はそんなことはどうでもいいか。
俺は気分を切り替えると、とりあえずカプサロンをクックスから受け取って、俺達用に用意された随伴列車に移動する。
二段ベッドや簡単なテーブルがある一両丸ごと俺達用の随伴列車で、俺達はカプサロンを食べて体を休めることにした。
……割と本当に大変だからな。
機動特急アントニオンは、同時に随伴列車込みなら移動要塞として使用することもできる仕様になっている。
その為随伴列車の中には、簡易病院として使用できる仕様もあり、キュウタはそっちで重症を負った者達の様子を見ているわけだ。
とはいえ、それに気を使って俺達の疲労や消耗が回復しないはそれはそれで問題だ。
ある程度の割り切りをもって、俺達が動く時の為に英気を養う必要もあるからな。これができないといざという時動けなくて更なる被害を生むことになる。
なので俺達も、カプサロンを食べて鋭気を養っていく。
「それで、あの魔獣はどうにかできそうなのかな?」
「まぁ大丈夫でしょうね」
インガ姉ちゃんが重要なところを聞くと、リヴァ先生はさらりと頷いていた。
またあっさりと断言したな。
結構俺達もてこずっているんだけど?
「断言できるの? 割とてこずってるんだけど」
春っちがそう返すと、リヴァ先生は軽く肩をすくめた。
「私達がてこずってるのは神仏魔王クラスが動けないことや、避難誘導を重視してるうえ、同時多発的な奇襲だからよ。裏を返せばそうでないなら対処は割と簡単にできるわ」
カプサロンをパクパク食べながら、リヴァ先生は断言する。
……まぁ確かに。本隊にも行って仕掛けたけど、しぶといのは事実だが、敵として対峙するだけなら、ロキの方が遥かにやばかったな。
総合的な性能では上なんだろうけど、耐久や火力においてはともかく、技術や対処能力ではロキの砲が数段上だ。たぶん足止めでいいなら、ロキ一人でも一体は確実に行けるだろう。
となれば、つまり―
「奇襲による混乱さえ収まれば、やりようはいくらでもある。旧魔王派が過剰に反応してないのは、ミザリがその辺りを悟っているからと考えるべきね」
―リヴァ先生は、この展開をそう言い切った。
つまり準備が整うまでの間、被害を抑えられればこちらの勝ち。あの魔獣達は面倒なだけで、倒しようはいくらでもあると先生は言っているわけだ。
なるほど。割と余裕があるのはそれが理由か。
ちょっとほっとしていると、リヴァ先生は苦笑しながらため息をついた。
「……裏を返せば、準備が整ったところで後ろから仕掛けたりすれば、神の一柱や二柱は滅ぼせそうでもあるけれどね。そこも踏まえると、やっぱり面倒なことにはなるでしょうね」
まぁ、確かになぁ。
つまり神仏魔王の力を借りずに、あれを何とかしないといけないわけだ。
仮にも神滅具の禁手である以上、そのポテンシャルは神仏魔王に届くはず。それを神仏魔王抜きでどうにかしないといけないわけだ。やはり打倒は可能だが面倒な相手となるわけだな。
……とりあえず、英気を養う為にも食べておくか。
美味いしなこれ。しかもカロリー豊富だから、過酷な戦いで消耗したエネルギーが補充される補充される。
「それはそれとして、春菜に聞きたいんだけどさ? 冥革連合は動くと思う?」
鶴羽が春っちのそう聞くと春っちはさらりと首を横に振った。
ためらうこともなく、断言と言ってもいい動きだ。慌ててもないことを見るに、これに関して絶対の確信がある。
「十中八九通り越して十中十でないわね。ヴィール様はあくまで冥界の発展に繋げる為に悪を成しているもの。禍の団との協力関係上、冥界政府を直接的に助けることはできないでしょう。だけど、あの方はこんな下劣なやり方で冥界に危害を加えることを良しとはしないわ」
まぁ確かに。
ヴィール・アガレス・サタンはまごうことなく誇り高い悪だ。
シャルバの逆恨み限界突破なこんなやり方で、民間人を中心に狙うような無差別テロを肯定するとは思えない。組織人として同盟組織にある程度の気は使うだろうが、自発的にこれに便乗することはまずないだろう。
「……あ、冥革連合から王の駒と真魔の駒が合計13個送られてきたって」
「それ使ってぶちのめせってか? ぶれねえな、あの旦那も」
ちらちらと情報を確認していたインガ姉ちゃんが見つけた情報に、ベルナが呆れ半分感心半分だった。
……まぁ、あの組織は王の駒や真魔の駒による冥界政府の強化を目論んでいるからな。この機会に使えと更に広めようとしてくるか。
少し俺は苦笑いするが、だけど問題はそこだけじゃ断じてない。
「あの超巨大魔獣軍団はそれで何とかなるとして、問題は曹操とミザリだな。オーフィスから抜き取った力も踏まえると、できればどっちかは何とかしたいし、カズヒ姉さんを何とか助け出したいんだけどなぁ」
俺のボヤキに、鶴羽もため息をつきながら俯いた。
「……誠明もとんでもないことしてくれるわよ。日美子を自分達に引き込む為に、あの頃の日美子を再現するプログライズキー作るとか。……そもそもどうやって作ったのよ」
泣き出しそうな表情で頭を抱え込む鶴羽に、俺達の同情の視線が集まった。
「師匠……っ。何か重い物を背負っているとは思っていたけれど、まさかあんなレベルなんて……」
既に事情は聞いている為、春っちはそう呟いて俯いた。
まぁ、俺も含めてヘビーすぎる因縁だからな。俺だってダメージがないわけじゃない。盛大なプラスで強引に持ち直しているところはある。
瞼の裏の笑顔に誓い、今この状況下でへこんでいる余裕はない。
「……というか、まさか経産婦だったなんて。しかも寄りにもよって―」
「―あの幸香が娘だってんだからな。前から相当キてるはずだろうよ」
インガ姉ちゃんやベルナも、その辺は本当に同情心だらけだ。
普通ならやったことがやったことだからヘイトも稼ぎそうだけど、その心配は全くない雰囲気だ。
……いや、俺が言うことでもないがちょっとびっくりするぐらいだな。
「……後回しにするのもなんだから今行くけど、三人は大丈夫なのか? その、特にカズヒ姉さんとか」
やらかしがやらかしといっていいレベルじゃないぐらいだからな。
ただ、インガ姉ちゃんも春っちもベルナも、その辺に関しては衝撃は受けてるけどそれ止まりではあった。
なんでちょっと聞いてみたかったわけだけど、三人ともさらりとした表情だ。
「それを後悔して悔やんでるのは、今までを見てればすぐ分かるよ。だったらね」
「だからこそ、自分の二の轍を踏ませない為に人生を賭けてきたって分かるもの」
「ま、前世で罪を犯したから今生で償えってものあれだろ?」
……そっか。
短い付き合いだろうけど、それでもカズヒ姉さんをそう見てくれるのか。
視界の隅でリヴァ先生も、優し気な笑みを浮かべてくれる。
ああ、本当に―
「……ひっぐ」
―鶴羽が鼻水まで出そうな勢いで号泣してた。
すいません。何か言いたいんだけど言えないんですけど。いや、鶴羽が一番この流れなら言うべきなのか。
俺は苦笑して鶴羽に譲ると、それを悟ったの鶴羽はしゃくりあげながら、とりあえず食事をわきに置いた。
「……ぐすっ……本当に……ほんとにっ……日美子を……カズヒを……ありっ……ありがと……ありがとうっ……」
なんというか、ちょっとほっこりした気分が蔓延している。
俺はそっと鶴羽の肩を抱くと、小さく頷いて改めて決意を告げる。
「大丈夫。カズヒ姉さんは何があっても助け出す。ミザリの好きにはさせないし……あんなままなんて、断じて認めないさ」
俺の言葉に、全員が小さく頷いた。
ああ、そうだよカズヒ姉さん。
貴女は確かに罪を犯して、それはとても重くて大きな罪だ。
だけど、カズヒ・シチャースチエが成してきた善行や成果は、消えてなくなるわけじゃない。
邪悪を祓う銀の魔弾。正義に味方し奉じる戦士。
ケバブなんで家で作れるかボケぇ!
まぁそれはともかく。こんな感3じで導入部分です。
イッセーに対する信頼が強すぎたメンバーは壊滅的打撃により、それ以外のメンバーがメインで対応している状況です。
そしてカズヒに対する和地ラバーズの信用はしっかりと。
基本的に和地がここまでラバーズ作れたのはカズヒの存在などがあったからこそといえるうえ、過半数が脛に瑕持ちなのでそのあたりに対する許容量が広めなのも大きいです。
とりあえず、後継私掠船団の筆頭戦力も一部に出しうるメンツはほぼ確定的なレベルです。なのでこのまま書き進められそうです。