好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ 作:グレン×グレン
さて、今現在は復活したイッセーが姿を現して一気に話が動いているあたりを書き試しております。カズヒの過去案件をカズヒが見ているような状態ですね。
和地Side
あの後、避難キャンプは大混乱になったのは言うまでもない。
元凶が堂々と宣戦布告的なことを言ったうえ、主神クラスである冥府の神ハーデスが協力者だと宣言し、とどめに希望の星扱いされていただろうイッセーがやばいことになっていると証拠付きでぬかしやがったんだ。
どこもかしこも大混乱で、魔獣騒動は更に厄介なことになっていること間違いなしだ。
幸い、サイラオーグ・バアルはあれを見てもイッセーが生きていることを自信満々で信じている。その男の宣言で、俺達がいた避難キャンプは落ち着いてはいる。
俺からすれば死体の残骸が出てきたようなもので、尚更信じられないんだがな。
……そんな時、俺は木場からの連絡で一旦別行動だ。
とりあえず、現状動けるオカ研メンバーは全員でアジュカ・ベルゼブブ様のところに向かうことになった。
サイラオーグ・バアルの指摘で、闘戦勝仏の意見を聞いた結果、イッセーの死に懸念点があると判断されたらしい。そこでグレイフィアさんの情報提供で、駒をアジュカ・ベルゼブブ様に調べてもらおうという話になったとか。
……あれで生きてたら奇跡ではあるが、必要な時に奇跡を掴み取るのがイッセーではある。
とはいえ、そこに至るまでの積み重ねがあるからこそ、奇跡を掴み取ったわけだ。今回、それができるとする要素があるなら―
「オーフィス、か」
―俺の答えはそうでしかない。
イッセーはオーフィスを助ける為に全霊を注いだ。そこにオーフィスが思うところを持っているのなら、奇跡が起こる可能性はあるだろう。
とはいえ、死体の残骸と言ってもいい物を見て信じられる奴なんて、そうはいない。
合流したリアス部長達も、殆ど全員の目が死んでいる。むしろ良くここまでこれたと言いたい。
「……木場、どうなんだ?」
「正直、藁をも掴む思いだよ。……あの演説も相当堪えたね」
一番マシな状態の木場ですらこうだしな。そりゃそうだろう。
「……二人とも、大丈夫ぅ?」
「……正直、めちゃくちゃやばいじゃん?」
リーネスにそう答えるヒツギも、かなり来ているのが見て分かる。
無理もない。衝撃的すぎる事実でただでさえメンタルがやばい。そこから持ち直したと思ったら、そのきっかけでもあるイッセーがあんなことになるんだしな。
ヒマリに至っては、もう憔悴という言葉すら生ぬるい。
普段の様子が見る影もない。それほどまでに、沈み切っている状態だ。
俺も相方として、正直見ていられない。
望み薄だと分かってはいるが、それでも少しぐらいマシな何かがあってほしいと心から願う。
そう思いながら、シャルバ・ベルゼブブ様が人間界での拠点にしているビルに入ると、ロビーで数人の人間がいた。
なんか急に俺達のスマホやら携帯やらを向けてきて、いきなり動揺してるんだが。
俺達が怪訝な表情を浮かべていると、一人の悪魔がこっちに近づいてきた。
「申し訳ありません。ここは我々が主催するゲームの、文字通りロビーとなっている個所でして」
……ゲームの、ロビー?
なんかよく分からないけど、今はそっちはどうでもいいな。
俺達は彼女に連れられて、アジュカ・ベルゼブブ様が待つ屋上庭園にまで移動することになった。
さて、鬼が出るか……蛇が出るか、な。
Other Side
一方その頃、冥界での魔獣進軍は更に激化していた。
シャルバ・ベルゼブブのなれの果てともいえる、人造惑星ステラフレームモデルベルゼビュート。彼の犯行声明により、趨勢が傾き始めていると言ってもいい。
冥界の英雄とすらみなされている兵藤一誠が、ほぼ確実に死んでいるという状況。更にそれを成したシャルバ・ベルゼブブが、ベルゼビュートとして宣戦布告を行い旧魔王派を鼓舞したことにより、魔獣を支援する旧魔王派のシャルバ派といえる陣営が高い士気で構成を仕掛けていることにより、魔獣の進軍を止めるどころか、足止めすら困難になっているのが理由である。
敵の士気が上がり味方の士気が下がっているのならば、この不利は当然。更に兵藤一誠の死亡が濃厚という状況下は、冥界政府において内ゲバが怒りかねない状況であり、一気に被害が増大化することすらあり得る事態だった。
この状況で戦線が瓦解しなかった最大の要因は、魔王派と大王派が足並みを揃えていることが大きい。
内輪もめに近い状態になっているのは一部だけであり、魔王派と大王派が連携を取ろうとしているからこそ、事態は不利な状態で維持されていた。
「……さて、ではそろそろ行ってくるよ」
その大王派の会議が終わり、シュウマ・バアルは跡取り息子であるハッシュ・バアルにそう朗らかに告げていた。
対して、ハッシュ・バアルは少し苦い顔をしている。
その理由は、彼らが行おうとしている行動にこそあった。
「危険すぎます、父上。やはり父上自ら動くのは―」
「―必要な演出だよ。我々が彼らを率いるからこそ、彼らが我々の側に立っているのだという認識を強めることになる。これは大王派はもとより、我々にとって大きな力となるだろうしね」
そう返すシュウマに、ハッシュは反論しない。
ハッシュ自身がそれを理解している。何より、それによってもたらされる恩恵はシュウマがもし死んだとしても、それ以上のメリットを与えることが確定的だ。
これを最大限に生かす為には、シュウマが動くのが最も効果的だ。そしてハッシュもシュウマも、そのためにシュウマを生贄にすることを了承できる人柄でもある。
故にこそ、ハッシュ自身がそれを感傷だと理解していた。
それを悟ったのだろう。シュウマは不敵な笑みを浮かべながら、その肩に手を置く。
「いざという時、我らが家はお前に任せる。フロンズ殿と共に、大願成就を果たすといい」
「……承知」
静かに頷くハッシュに微笑んでから、シュウマ・バアルは歩き出す。
同時に補佐官達が続き、移動しながら更なるすり合わせを行っていく。
「……全艦隊の出撃準備は整っているな?」
「はっ。第一艦隊は御身と共に。残りの艦隊は第零艦隊含め、第九艦隊まで準備は完了。全十五艦隊の準備が整うまで一日もかかりません」
「魔王派に対する根回しはどうなっている?」
「既にパイプのあるメンバーには、八割ほど了承を頂いております。特にアスモデウス派には、魔王様に「我々が奥の手を投入する」ことに繋ぎを作ってもらっています」
部下達の報告を聞き、シュウマは満足げに頷いた。
「……では、以後の判断はハッシュ、フロンズ、ノアの三人に仰いでくれ。私はこれから―」
そして足を止め、前方にいる、軍勢を引き連れた三人の男女を見て、不敵な笑みを浮かべる。
「―特級戦力を取り込む為の、大博打を始めるとしよう」
和地Side
屋上庭園の片隅に、アジュカ・ベルゼブブ様がいた。
……この距離からでも分かる、優れた実力者の持つオーラ。
隠しているわけでもなく、しかし見せびらかしているわけでもない。文字通り自然体からあふれるオーラだけで、戦慄する。
比喩でも誇張でもなく、彼ならヴァナルガンドとなったロキ相手に一対一で渡り合えるだろう。それだけの実力者であることが直感できる。
「やぁ、グレモリー眷属の諸君。大変なことになっているのは聞いている」
「……お久しぶりです、ベルゼブブ様。本日は、どうしても調べてほしいことがありましてまいりました」
リアス部長がそう言いながら駒を出そうとするが、それをアジュカ様は手で制する。
その視線は、俺達とは別の方向を向いていた。
……おいおい。冗談だろ。
「すまないが、どうやら先に対応するべき客人が来たようだ」
俺の警戒とアジュカ様の言葉に反応するように、空間が歪んで何人かが転移される。
その人物たちを見て、俺は目を見開いた。
おいおい、冗談だろ……っ
「初めまして、アジュカ・ベルゼブブ。僕は禍の団の英雄派で幹部をしている、ジークという者さ。ジークフリートとも呼ばれているね」
英雄派の幹部である、ジークフリート。
こいつはいい。だが、問題は後ろについてきている連中、それも率いている二人だ。
「ふむ、残念だが壮健なようだが、まあいいか。……久しいな、忌々しい偽りのベルゼブブよ」
シャルバ・ベルゼブブ……いや、モデルベルゼビュート。しかもそれだけじゃなく……っ!
「……お、グレモリー眷属もいるんだ? へぇ~、中々誠にぃが好きそうな顔してるね」
喜色の雰囲気を魅せるのは、モデルバレット。
……カズヒ、姉さん……っ
落ち着け。今は抑えろ。
魔王アジュカ・ベルゼブブ相手にきている連中だ。今の絶不調なグレモリー眷属がどうにかできるような相手じゃない……っ
俺が警戒しながらも抑えていると、ジークフリートは興味なさげに視線をアジュカ様に戻す。
隣の木場が殺気立っているが、今は抑えろ。
「木場」
「分かっているよ。君も、抑えているからね」
ああ、察してくれて助かるよ。
俺としても仕掛けたいところなんだが、タイミングが盛大に悪い。今この場で仕掛けても、勝算が無さすぎる。
今は抑えろ。様子を窺え……っ
―そうなって自分自身を宥めながら、俺はカズヒ姉さんと向き合いたいことを見定めていた。
ああ、そうだ。
カズヒ・シチャースチエに。道間日美子に。俺は、聞きたいことがどうしてもある。
だから、そのチャンスだけは冷静に見極めろ。
そして、好機を掴んだのなら絶対に逃すな、九成和地……っ!
いろんな勢力が暗躍をしております。ついにフロンズ達大王派も、それとなく動き出す!
……代役をきちんと立てている勢力の強みっていうのは、重要人物がいざというときに命がけの博打を打てるところにあります。
万が一死んでもリカバリーができると分かっているからこその動き方というものがありますからね。