好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ 作:グレン×グレン
イッセーSide
すっげぇえええええ!
目の前で本当に凄いことになってる!
「遅いな。もう少し滾る相手はいないんだろうか」
白い鎧を纏ったヴァーリは、空を縦横に舞って魔法使いを吹き飛ばしていく。
「邪魔が入る可能性は予想してたけどな……迷惑なんだよ消え失せろ!」
仮面ライダーマクシミリアンに変身した九成も、魔獣達の攻撃を星辰光や装甲で防ぎ切りながら、射撃で一体ずつ確実に倒していく。
そんでもって―
「はっほっちょいさ!」
―ヒマリが変身した仮面ライダーラクシュミーも、サイボーグやレイダーを相手にかく乱してる。
なんていうか動きが素早い。
ヴァーリみたいに超高速で空を駆け回ってるわけじゃない。
直線の速さなら、九成の方が上だと思う。
だけど、ヒマリは素早い。
なんていうか、木場が一番近いと思う。
すばしっこいんだ。なんていうか、100m走じゃなくて反復横跳びとか障害物競走みたいな速さだ。
レイダーの攻撃やサイボーグが振るう片手剣の攻撃を素早くかわして、左手に持った聖剣と右手に持ったショットライザーで反撃を叩き込んでる。
他の二人もだけど、戦い方が上手いなほんと!
俺と同じようにちょっと見惚れてた木場も、そこに気づいたのか顎に指を当てて考え込んだ。
「……最高速度より敏捷性に重きを置いているのかな?」
「正解だ。仮面ライダーはレイダーの上位互換って感じでな、使用するプログライズキーや変身デバイスで性能が変化するんだよ」
木場にアザゼルがそう答えると、なんかポケットをごそごそしながらこっちに近づいてきた。
「
な、なるほど。
俺が感心している時も、アザゼルは外を見ながら更に続けてきた。
「一方、
なんかちょっと分からないこともあったけど、またちょっと意外っていうか―
「普通女の子を守るのが男じゃね?」
「この業界は、戦闘能力が男女平等なんだよ。それに―」
アザゼルがそう言った時、なんか盛大な音がした。
振り返ると、なんか凄いことになってる。
「グリド! レッツゴー!」
「ヒマリ! 流石に燃費を考えた方がよくないか!?」
そう言い合う九成とヒマリは、なんか凄いことしてた。
まず九成は敵に追い掛け回されてる。なんか一斉砲火を喰らって追い掛け回されてる。
それを、何故かバイクに乗って逃げてた。
そしてヒマリはそいつらを後ろから攻撃してた。聖剣を片手に大暴れしてた。
……その隣で、鎧で出来た龍が暴れ回ってた。
え、なにこれ?
「ザイアは孤児を集めて対異形の戦士として訓練してた。そして相性がよく戦闘能力も高い男女をコンビにして、そいつらを仮面ライダーに選んでたんだが……」
あの、なんでそこで沈黙?
「……あの二人、魔術回路持ちな挙句、神器を何故か二つも持っててなぁ」
………。
「部長。神器って一人で何個も持てるんでしたっけ?」
「いえ、聞いたことないわ」
「そりゃそうだ。強引に他人から摘出して移植でもしない限り、普通は神器ってのは一人一つだし、それをやっても大抵はリスクがある。そこの
何で知ってる!?
いや、思うがって言ったよな? 推測したのかよ!?
俺がビビってると、アザゼルは遠目になって二人を見てた。
「だけどあいつらは文字通り、生まれた時から神器を二つ持ってたイレギュラーだ。
と、とりあえずめっちゃ凄いのは分かった。
あれ? 何故かミカエルさん達も遠い目をしてるぞ?
「……アザゼル。実はここにももう一人レアケースがいます」
ミカエルさんがそう言うと、カズヒが視線を逸らしながら片手を上げた。
……え、どゆこと?
「私、
そんでもって、クロードさんやリュシオンさんも苦笑していた。
「一応断っておくと、教会で生まれついての二重神器保有者は彼女を含めても二人しかいません」
「ちなみに俺達デュナミス聖騎士団のメンバーです。外周警備担当だから、落ち着いたら呼びましょうか?」
あ、アザゼルが白目をむいた!
よっぽどレアケースなんだろうなぁ。あと、ヴァーリもレアって言ってたし……とびおって誰?
俺が首を傾げてると、アザゼルは我に返ったのか首を横に振った。
アザゼルは気を取り直したのか、ポケットから探してたらしい腕輪っぽいリングを二つ取り出して、俺に押し付ける。
「……そ、そういうわけで、ヴラディ家のハーフヴァンパイアでしかもレアな神器持ちのお前らんとこの
「……二つあるけど?」
「万が一の予備兼お前用だ。それがあれば、シャルロットの禁手無しでも、代償を払うことなく一時的に通常禁手になれる。やりようによっちゃ覇龍も狙えるが……予備は持ってきてないし下手に使うと正しい形で禁手になりにくくなる。なにより迂闊に使っていいもんじゃねえから、あくまで緊急時の最終手段にしとけよ?」
おお! マジか!
そういえば俺、代償を払って十秒とか、シャルロットの力を借りて亜種禁手とか、へんてこりんな形でしか禁手になってなかったな。
ちょ、ちょっと興味があるけど我慢我慢。
「……それで、あとどれぐらい待てばいいのでしょうか? あまり時間をかけるとギャスパー君が心配です」
「もう少しお待ちを。あと一分もかかりません」
シャルロットがグレイフィアさんに確認を取っていると、サーゼクス様がアザゼル総督に振り向いた。
「アザゼル。今回の件、私は動き出しそうな者に心当たりがある。そちらはどうかね?」
「旧魔王血族のことを言ってるなら、たぶんそれ以上に厄介なことになってるだろうさ」
アザゼルはそう言うと、苦笑いを浮かべながら肩をすくめた。
「四、五年ほどまでに
「……というと?」
ミカエルさんに促されて、アザゼルは指を一本立てる。
「名前は
も、問題は………?
俺が息をのんでいると、アザゼルは―
「トップが史上最強の存在、無限の龍神様だってことさ」
―すいません。俺さっぱり分からない。
聞こうかと思ったその時―
『そうじゃ。妾達が今トップにしておるのはオーフィスなのじゃよ』
『まあ、利害の一致による寄り合い所帯ではあるがな』
―なんか聞き覚えのない声が響いたんだけど?
「……まずい! グレイフィア、リアス達をすぐに飛ばすんだ!」
「……承知しました! お嬢様、ご武運を!」
「え、ちょっと、グレイフィア―」
なんか急に慌て始めたサーゼクス様達に、リアス部長が何か言おうとしたけど間に合わない。
え、ちょ、もう転移!?
あぁ……クソ! こうなったらぶっつけ本番!
待ってろよ、ギャスパー!!
祐斗Side
気づいた時には、僕達の周りを強大な防護結界が覆っていた。
「……大丈夫なようで安心しました」
そうミカエル様が微笑んでるけど、緊張感は一切消えてない。
当然だ。この結界はどう考えても魔王クラスの力が込められている。
それが、この一瞬の攻撃でボロボロになっていた。おそらく慌てて魔王様方が複数人がかりで防いだのだろう。
そして、その煙が晴れると一人の女性がいた。
駒王学園本校舎の上部をごっそり吹き飛ばしたのは、見覚えがあるようでしかし明確に違う存在。
黄金の装甲とアンダースーツで構成される、どことなく仮面ライダーに酷似した装甲服。
間違いなくレイダーとは物が違う。しかし和地君やヒマリさんのそれとも似て異なるその装甲を見て、アザゼル総督は警戒心を露骨に見せた。
この場で最も余裕を見せていた彼が、ここまで反応するとは……っ!
「ザイアスラッシュライザーか。お前さん、ザイアの関係者か?」
「少し違うのぉ。……ザイアの支配者が異形達への反抗作戦を企ててることをリークした一人……が近いのじゃ」
なるほど。
ザイアコーポレーションを真の意味で支配していた者がいて、彼らが聖杯戦争の仕掛け人であり、更に星辰体技術やプログライズキーを利用して異形達に戦争を仕掛けるつもりだったという話は聞いている。
そしてそれは誰かによってリークされると同時に、サウザンドディストラクションでとん挫。いくつかの技術は三大勢力を中心とした者達が確保したが、九割以上は行方知れずになっている。一部が突如としてテロリストや危険思想の持主に転移するという悪夢じみたおまけもある。
そして、それを成した者の一人が、彼女なのか……!
僕達がそれに警戒していると、外からオーラの砲撃が放たれる。
どうやらヴァーリと戦っていた魔法使いが放った物らしい。複数人で放った物なのか、コカビエルでも本腰を入れるレベルの威力があるだろう。
ヴァーリ自身はあっさり躱したが、その流れ弾がこちらに向かって飛んできた。
それが目の前の女性に向かって飛んでいくが―
「おっと」
その瞬間、黄金の花弁が咲き誇った。
まるで花びらを思わせる黄金の盾が、その魔法攻撃をあっさりと防ぐ。
しかも警戒するべきは、それはまさしく花弁のように舞っているという点。
少なくとも同型のものが、後二つも展開されている………っ!
「……おいおいマジかよ。この反応、
アザゼル総督が目を剥くが、信じられないことを言ってきた。
……神滅具級だって? それはつまり、イッセー君やヴァーリと同格の神器使い……っ
それもクラスの反応ということは、あれそのものは既存の神滅具ではないということ。
つまり、新種の神滅具の可能性があるというのか。
「うむ。これぞ我が神器、
そういう女性に、ヴァーリの攻撃の流れ弾が迫る。
ジャブ感覚で放ったもののようだけど、それでもコカビエルに手傷を負わせられる程度のポテンシャルがある。
『……ふむ、かの白龍皇でこのレベルというのは想定よりマシと言うことか』
―こちらの死角から放たれた、黄緑色のエネルギーがその攻撃を吹き飛ばした。
そしてそれに合わせて、噴出音と共に新たな姿が……現……れ……る?
いや、これ―
『さて、一応自己紹介をするべきなのか?』
―ロボだ!?
全高4メートル半といったレベルの、人型のロボットがいきなり姿を現した。
こ、こんなものが、あの白龍皇の攻撃を弾き飛ばしたのか!?
思わず皆が面食らう中、人型ロボットが女性をカバーするような立ち位置に立つ。
それを見たうえで、女性はベルトを外した。
そして姿を現すのは、二十歳前後の若い女性。
背はそこまで高くない上に、黒い髪をツインテールにしているから若く見える。
だけど、そこから放たれる覇気はヴァーリにも匹敵する強者であることを見せつけている。
そして同時に、息をのむ音が響いた。
「な………っ」
カズヒ・シチャースチエが、目を見開いていた。
そしてそれに気づいた女性は、少し小首を傾げる。
「む? どこかで見られたことでもあったかのぉ? ……まあ、心当たりもないし初対面が多いのじゃ。名乗りを上げるとするか」
そう判断した女性は、不敵な笑みを浮かべると共に胸を張る。
「妾はテロ組織
魔王様に天使長、そして堕天使総督を前にして、その女性は臆することなく宣言する。
「英雄派特殊部隊、
―それが、のちに僕達を何度も苦しめることになる、禍の団の主要派閥、その中の異端者達。
英雄の末裔や魂を継ぎ、その名を名乗る派閥である英雄派。その中において、英雄の名前ではなくその跡を継ぐ者として名乗りを上げる者達。
後継私掠船団。その筆頭であり、カズヒ・シチャースチエが向き合うべき残り香。
アレクサンドロス三世の後を継がんとする女傑、九条=幸香=ディアドコイとの最初の対面だった。
とりあえず、この作品は真主人公のカズヒにとって「運命が助走つけて前から後ろからスパイクつけてタックルぶちかましてくる物語」といっても過言ではありません。
シルヴァリオサーガの要素を入れている以上は極晃星を出すべきとも考えておりますが、カズヒが関与する形で四つぐらい作れそうという、我ながら軽くドン引きなことやらかしてます。
それはそれとして二重神器保有者であることこそが、和地・カズヒ・ヒマリが停止から逃れられた理由です。リーネスは神器保有者ではないため停止をモロに食らいました。
カズホもこんなところに派遣されたのはカズヒと縁があるからだけではないのですが、魔王クラス級の素質やよほどのイレギュラーがなければ最上級すらいるだろう周囲の警備陣も停止させる結界を突破できないと推測できたので、申し訳ありませんが停止してもらいました。……この子も強いんですよ? 星辰光抜きで現状のグレモリー眷属を一対一ならほぼ打倒できるぐらいには。勝算五割以上はイッセー、時点は聖魔剣の木場にデュランダルのゼノヴィアぐらいという程度には。……イレギュラーでもなければなれてないので迎撃もできなかっただけなんです。
まあこれまでの話でも書きましたが、カズホは絡めてとか謀略に向いてない精神性なのですよ。基本的にイッセーとは別の意味で正道を歩んでこそ本領を発揮できるタイプなのです。……いっそイッセーに落とさせるか? オリジナルのイッセーヒロインは作りたいと思ってたし。
それはそれとしてヒマリの戦闘もついに出すことができました。
……和地とヒマリを相方にしてエイムズショットライザーを持たせることを決めた時点で、ゼロワンにおけるAIMS組にあやかる側面を少しは入れて起きたかった。転生者もそれぐらいのことはしたくなるだろうし。
そこで転生者はオオカミやチーターより人間に近い、犬や猫をモデルにしたプログライズキーを開発。ただし内面があれなので、無自覚にペット的な感覚で接していたという感じでもあります。
そしてそのあたりを決めてから、まずカズヒは基本能力が高めのラッシングチーターよりのキャットを選択。そのあと和地を犬側に設定するとともに、和地の能力を「助ける」ことに設定。もとより初期型は「救済」のサルヴェイティングと「解放」のリベレーティングにするつもりでまとめており、そこからより猫っぽいリベレーティングをヒマリ用に、スタンス的にあっているサルヴェイティングを和地用にした感じです。
そして本格登場、九条・幸香・ディアドコイ。
彼女たち後継私掠船団は、英雄派のほかの幹部やメンバーと違ってかつての英雄の名前をそのまま語らないのが特徴です。ほとんどのメンバーはこれから設計していくことになりますが、最悪でも二世とかつけることになると思います。
その行動スタイルなども踏まえ、英雄派の主流派とはちょっと変化球なのが特徴。なんというか「ロンギヌス・イレギュラーズ」や「ハイスクール/Apocypha」における魔改造英雄派のスタイルに近い感じとなっております。
続けて出てきた謎のロボットと共に、難敵となって活動することになると思うので、そのあたりはご了承くださいな。