好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ   作:グレン×グレン

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今日でゴールデンウィークも終了なので、同日中に二話更新の大サービスです!


三勢合一編 第十七話 鋼の守護星

 

 明確に、カズヒ・シチャースチエは動揺していた。

 

 それを抑え込もうとして、しかしそれが結果的に調子を乱すと判断したのか。彼女はあえて爆発させることを選んだらしい。

 

「……ふざけないで!」

 

 即座に榴弾を呼び出すとそれを射出。同時にそれをけん制として、スタンロッドと取り出すと一気に迫る。

 

 それに対して人型ロボットがけん制しようとするが、それより先に九条が前に出る。

 

「よかろう。かのコカビエルを相手にした女傑との戦闘なら腕試しにはちょうど良いわ!」

 

 彼女は即座にスラッシュライザーを構えると、榴弾を花弁で防ぎながら真っ向からスタンロッドを切り捨てる。

 

 続け様の攻撃をカズヒはかわし、一瞬首を横に振ると、素早く片手剣を取り出した。

 

「話を、聞かせて、もらうわよ!!」

 

「やってみるがよい!」

 

 そして即座に切り結び合う中、人型ロボットがセンサーをこちらに向けるのが分かる。

 

『……さて、こちらも一応自己紹介及び、念の為の確認を行うとしようか』

 

「冷静だな。カズヒ相手に負けることはないって信頼か?」

 

 アザゼル総督が代表してそう返すが、ロボットは反応しない。

 

『信頼というものはない。禍の団とは極論でいえば「相互利用」といった程度の集まりだからな。我々も我々の目的の為に彼らを利用し合うだけだ』

 

 なるほど。どうやら禍の団というのは、思った以上に危険な者達が集まっているようだ。

 

 そして僕達が警戒の視線を向ける中、ロボットから更に続く。

 

『私は禍の団の派閥の一つ、疾風殺戮.comのリーダーを務めるハヤテという。通信越しで済まないが、仮想敵のトップ兼筆頭戦力が雁首揃えている中、無意味に出てくる趣味もないのでな』

 

「しゃれたネーミングセンスしてるな。つっても、そんな名前じゃろくなことする気がなさそうだけどよ?」

 

 アザゼル総督がそう皮肉るが、ハヤテと名乗る声の主はどこ吹く風だった。

 

『ユーモアというのは大切だろう? シンギュラリティに到達している者として、情動(それ)を全否定する気はないのさ。……無条件にのさばらせるのも問題だがな』

 

 そう返答するけど、それで総督は何かに気づいたらしい。

 

 いや、僕達も少しは思い当たるところがある。

 

 シンギュラリティ。それに到達したと名乗るこの声の主はつまり―

 

「……ヒューマギアですか」

 

「シンギュラリティ。ヒューマギアが人間と同様の感情を獲得した状態と聞いているが、どうやら悪意で到達することもあるということか」

 

 ミカエル様とサーゼクス様が、そう呟くのも仕方がない。

 

 というより、リーネスが連れていたヒューマギアでしかシンギュラリティの到達者を見たことが無いんだ。彼らはそれぞれ癖がある人もいたけど、根本的には善人だった。

 

 そこから一気にテロリストのリーダーが出てきたんだ。落差が大きい分警戒心も強くなるだろう。

 

「それで? レヴィアたん達の前に現れて、確認したいことってなにかしら?」

 

 セラフォルー様が話を促すと、ハヤテもそれに同意したらしい。

 

『確認することはただ一つ。お前達は、今の人類社会に対してどういうスタンスを取るつもりだ? 返答次第ではそちらに鞍替えしてもいい』

 

 その言葉に、僕は嫌な予感を覚えた。

 

 この流れでそれを聞く。どう考えてもろくなことを考えてない。

 

「人間世界に余計な干渉を加えるつもりはない。俺は今の世界に満足してるからよぉ」

 

「人の子が健やかに導けるよう、教会を中心に今の世を宗教という形で助けるのみです」

 

「悪魔は人間と共生するつもりよん? 少なくとも、人類社会全体に悪影響を与えるつもりはないわ」

 

 それぞれがそう答え、そして統括するようにサーゼクス様が一歩前に出る。

 

「……薄々方向性は予測出来ているが、あえて聞こう。疾風殺戮.com(君達)の人類に対するスタンスはどうなのかね?」

 

 その、返答次第で即戦闘と言ってもいい発現。

 

 既にリュシオンとクロードも、それぞれ戦闘を想定して腰を落として構えている。

 

 その視線をすべて受け止め、ハヤテは―

 

『可能なら数千万程度、多くとも数億にまで数を間引かせてもらう。……人類はこの地球という空間に七十億以上もいたところで、無駄にリソースを奪うだけだ。寄生元に害をなす寄生虫に価値はない』

 

 ―そう、はっきりと宣言した。

 

「……なら、こちらも容赦をする必要はないようだ」

 

 そう告げ、サーゼクス様は僕達を振り返る。

 

「セラフォルー。すまないが、グレイフィアと共に結界の方を頼む」

 

「分かったのよん」

 

「サーゼクス様、ご武運を」

 

 そして、僕達にも目を向ける。

 

「すまないが、これからだとセラフォルーもグレイフィアも周囲の防御にまで目を向けきれないだろう。手間をかけるようだが、周りの敵を任せてもいいだろうか?」

 

「そうですね。一体の敵にむやみやたらと集まっていいことはない」

 

「……拝命しました。ミカエル様、ご武運を」

 

 リュシオンとクロードが、それに頷いて外に飛び出る。

 

 そして、僕もゼノヴィアと顔を見合わせて頷いた。

 

「ここは部長の管轄だからね。僕達が動かないわけにはいかないよ、ゼノヴィア」

 

「いいだろう。悪魔として初の戦闘と行こうじゃないか」

 

 ……ここは、仲間達はお任せします。

 

 その代わり、僕達は僕達で出来ることをいたします、魔王様!

 

 

 

 

 

 

 

 

 和地Side

 

 

 

 

 

 

 

 ったく。数は多い上にしぶといのも結構いるな。

 

 というか、本当にサイボーグがいるってのが驚いた。

 

 なんで分かるかって? ヘッドショットしたからだよ言わせるな。

 

 おかげで機械部品と肉が散乱したから、それで漸く理解できた。戦闘慣れしてなかったらえげつなさすぎて隙が出来てたな。

 

 そしてまあ、なんというかSF度合いが増してきてないか?

 

 今総督達を相手に、ロボットが砲撃を仕掛けてきやがった。

 

 その後カズヒ姉さんが黒髪の女と戦闘開始。他の動けるメンバーはこっちの露払いに向けられたみたいだ。

 

 ……まあ、堕天使総督に天使長に魔王が一人相手にするようだから、流石にあそこは心配ないだ―

 

『では、本腰を入れるとしよう』

 

 ―ろうと思った瞬間、そこかしこから同じ形のロボットが姿を現した。

 

 ……度肝抜かれた瞬間に攻撃されなくてよかった。こっち側が本格的に戦闘を開始したことから、敵も動揺していたんだろう。

 

 だけどほんとちょっと待て。一気に何機……いや、何十機増えた!?

 

 おそらくぱっと見で三十以上。それだけの数が一気に総督達を包囲しただと!?

 

「これは……っ」

 

 サーゼクスさんが目を見開くけど、ロボット側はロボットらしく、冷淡な反応しか返さない。

 

『何を驚く? 魔王クラスを最低三人は相手にすることは当然想定済みだ。それを打倒できるだけの戦力は当然整えるとも。……ゆえに、加減をする気もない』

 

 その時、星辰体(アストラル)が一気に感応される。

 

 だが、それは星辰奏者(エスペラント)星辰光(アステリズム)を使おうとしているからじゃない。

 

 これはそんなレベルじゃない。感応量という一点に限っていえば、星辰奏者のそれとは次元が違う。

 

 三十以上の数で仕掛けてるとはいえ、あれだけの量の星辰体を感応できるわけがない。

 

『サリュートⅠ全機、星辰体運用兵器駆動開始』

 

 その宣言と共に、本格的に敵が動き出す。

 

『創生せよ、天に描いた守護星を―――我らは鋼の流れ星』

 

 そして、星辰奏者とは異なる起動音声(ランゲージ)が鳴り響く。

 

『敵対異形との戦闘行動開始に伴い、戦闘用星辰体運用モードに以降開始』

 

 星辰奏者との詠唱とは何もかも異なる、詠唱というより音声とでもいうべき起動シークエンスが鳴り響く。

 

『アストラル粒子との感応量増大に成功。アストラルを触媒に疑似反物質粒子アザトースの精製機構駆動』

 

 完全な合成音声で響くは、祈り(アナログ)ではなくただの手順(デジタル)。無機質なまでの手順確認(シークエンス)

 

『アザトース生成速度規定値に到達かつ安定動作を確認。アストラルを媒介とした制御機構の駆動を規定段階に移行』

 

 どこまでも機械的に作業的に、情動(アナログ)を一切排した、機械兵器としての星辰体運用が目の前でなされていく。

 

『規定値まで、残り30%……20%……10%……規定値到達』

 

 それと同時に、敵の全身に微細な粒子が漂い始める。

 

 奴の発音を聞く限り、それは冗談抜きで洒落にならない危険物。

 

『制御統合機構の起動確認、同調率の最終確認―』

 

 反物質。核兵器を遥かに凌駕する、科学的に生み出される最大の破壊技術。

 

 疑似とつく限りは星辰光を利用したまがい物だろうが、それを踏まえてもその破壊力は核兵器すら超えかねないことは間違いない。

 

全行程確認完了(オールコンプリート)起動開始(アクティブ)本格戦闘行動開始(オープンコンバット)

 

 そう、あれは間違いなく異形との戦闘……それも最高峰の存在を打倒する為の兵器。

 

超新星(メタルノヴァ)―――星辰式異形制圧兵装・駆動開始(アザトース・ビーム・ジェネレーター)

 

 その死刑宣告と共に、群体で魔王を圧殺できる、鋼の軍隊が攻撃を開始した。

 

「ぬぅ……っ!」

 

「……これは!」

 

 サーゼクスさんとミカエルさんがそううなるのも無理はない。

 

 一体一体がコカビエルでも手古摺りそうな力を持って、数十体の兵器が襲い掛かってるんだ。

 

 ビームブレード、ビームスパイク、収束ビーム砲、拡散ビーム砲、それら各種ビーム兵器による連携攻撃による隙の無い攻撃。

 

 それを何とか潜り抜けての反撃も、展開するビームバリアにより防ぎ、僅かに漏れた分も全身に纏うビームフィールドが相殺する。

 

 果てはビームを利用した推進力と、一糸乱れぬ連携によるかく乱でそもそも狙いをつけさせない。

 

 攻撃、防御、かく乱に至るまで、一切の乱れなく完璧に行われる連携によって、誰が見ても分かるぐらい殺戮の方程式が完成している。

 

「おいおいマジかよ! 並列ネットワークとデータリンクを併用して、ここまで完璧な連携が出来るってのか!」

 

『ある程度の絡繰りはあるが、それだけではここまでは出来ないさ。だからこそ、駆動される側にも相応の技術が必要になったがね』

 

 総督がなんか感心してるけど、それに応える敵のボス(らしき人……か?)は、嘲笑しているじゃないかって声色だ。

 

 俺が援護射撃を真剣にするか考えたその時―

 

『第一、この作戦は戦略段階で勝っているからな。内通者を確保できた時点でこちらが圧倒的に有利なのだと知るがいい』

 

 ―その言葉と共に、よりにもよってな奴が総督に攻撃を叩き込んだ。

 




 本作におけるオリジナルの敵勢力の一つ、疾風殺戮.com

 そのまま滅亡迅雷netにするのもあれでしたし、禍の団とは相性が悪いと思ったこともありました。
 あとシンギュラリティの設定を考慮すると、人間に対する悪意主体でシンギュラリティに到達するヒューマギアがいてもいいんじゃないかとは思っていたので、似て異なる相反する組織としてこんな感じに。
 最終的に人間に協力的なクックスたちと対を成す感じで人当てしたいとも思っております。






 それはともかく、とりあえず敵の量産兵器である人造惑星、サリュートⅠの星辰光を解説いたします。




星辰式異形制圧兵装・駆動開始(アザトース・ビーム・ジェネレーター)
基準値:B
発動値:A
収束性:B
拡散性:D
操縦性:A
付属性:C
維持性:A
干渉性:D

 サリュートⅠに搭載された星辰光。疑似反物質アザトース運用能力。星辰体を触媒として疑似反物質アザトースを生成し、それを操作して攻防加速に転用する万能兵器。
 拡散・収束を切り替えての射撃はもちろん、ブレードやスパイクを生成しての近接戦闘。全身に薄く展開しての装甲強化や、燃費は悪いが壁を生成しての防御、更に噴出点を作ることでの加減速や飛行すら可能としている。
 単独での戦闘では最上級悪魔に対抗できる程度だが、量産兵器ゆえに同時に複数機投入しての戦闘を基本とする。安定した品質の物量戦という、デジタルゆえの強みをここぞとばかりに生かし、連携発動で魔王クラスにも拮抗する戦闘能力を発揮できる。

☆詠唱
 創生せよ、天に描いた守護星を―――我らは鋼の流れ星。

 敵対異形との戦闘行動開始に伴い、戦闘用星辰体運用モードに移行開始

 アストラル粒子との感応量増大に成功。アストラルを触媒に疑似反物質粒子アザトースの精製機構駆動。

 アザトース生成速度規定値に到達かつ安定動作を確認。アストラルを媒介とした制御機構の駆動を規定段階に移行。

 規定値まで、残り30%……20%……10%……規定値到達。

 制御統合機構の起動確認、同調率の最終確認―――全行程確認完了(オールコンプリート)兵装起動(アクティブ)本格戦闘行動開始(オープンコンバット)

 超新星(メタルノヴァ)―――星辰式異形制圧兵装・駆動開始(アザトース・ビーム・ジェネレーター)





 この世界ではまだ極晃が誕生してないこともあったので、独自の起動音声にさせていただきました。

 あと21世紀の科学力ではアメノクラトはさすがに無理だと判断したので、大型化して総合的には性能も低いといった感じです。

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