好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ   作:グレン×グレン

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 はいどうもー! 感想・高評価・推薦・創作掲示板での紹介を常々欲するグレン×グレンでっす!

 役者があまりに集いすぎたところで引いた前話でしたが、ここらで一気に話が進みます。


銀弾落涙編 第四十二話 迂闊な発言は自分の首を絞めるのでやめましょう

アザゼルSide

 

 

 

 

 

 

 

 冗談きついぜ。

 

 俺達はアクシズ達が送った記録映像を見て、正直少しひきつっている。

 

 あのヴァーリチームを、高々死神数十人で圧倒しただと……っ

 

 しかも、あのやり口はこの後が予想できすぎてやばい展開が確定じゃねえか。

 

『ファファファ。我らが冥府に下賤なものが入ったのだ。仕置きは此処からだな』

 

 ハーデスの爺は愉快そうに笑ってから、俺達に視線を向けてきた。

 

『さて、この場で戦うことにになったら覚悟していただこう……だったか? こちらのセリフなのはもう分かっただろう?』

 

「……いやぁ、流石は冥府ってところっすかねぇ?」

 

 ミカエルが護衛に派遣した、切り札(ジョーカー)デュリオ・ジュズアルドも警戒心を強めている。

 

 確かに、これはまずいな。

 

 話を聞く限り、ハルベルトはおそらく一個中隊レベルの規模があるはずだ。それを踏まえて考えれば、冥府の戦力は俺達が思っているより遥かに強化されている。

 

 ガチでこられれば、俺やサーゼクスが滅ぼされる可能性は十分すぎるほどあるな。

 

 しかも質が悪いことになってきた。

 

 冥府の片隅から、武器が激突する音が鳴り響く。

 

 そして直後、吹き飛ばされるように一人の男が飛び出してきた。

 

「……すいません、総督。気づかれてここまで押しやられました」

 

 そう告げるのは、俺がこっそり連れてきた刃狗(スラッシュ・ドッグ)、幾瀬鳶雄。

 

 神滅具(ロンギヌス)保有者の一人である、味方によってはヴァーリ並みにスペシャルなやつだ。

 

「……この崇高な冥府に、下賤な狗と日本人の雑種を連れてこないでくれませんか?」

 

 そう不愉快そうに告げながら、若い死神が入ってくる。

 

 野郎が鳶雄を一人でここまで押し込んだってのか!?

 

「気を付けてください、彼の星辰光は危険です」

 

「みたいだね。いや、そりゃ神滅具保有者を押し込めるわけだよ」

 

 鳶雄もデュリオも警戒しているが、そりゃそうだ。

 

 奴の星辰光がやばいのは、俺だって見ただけで分かるってもんだ。

 

 ……ははっ。冥府がここまでとはな。

 

「……訂正するぜ、クソジジイ。思った以上に先進的じゃねえか……っ」

 

 星辰体運用技術を、冥府がここまで進めているとはな……っ!

 

 これはまずいな。最悪、適当な理由をつけて俺質を皆殺しにしてくる可能性が真剣に見えてきやがった。

 

 俺が少し寒気を覚えた、その時だった。

 

「……やれやれ。老害とその狂信者がイキっているようですなぁ」

 

 そんな声と共に、足音が響く。

 

 何人かの男女を引き連れ、そいつらを連れているはずがない奴が俺達の前に姿を現しやがった。

 

 おいおい、今度はどういう展開だ。

 

『……どういうことだ? 何故貴様らが共に来ている?』

 

 ハーデスも怪訝な表情を浮かべるなか、そいつは肩をすくめた。

 

「当然。彼らは我々の側につくことを決めたからだよ老害」

 

 そう余裕の表情で告げる、シュウマ・バアルが引き連れているのは―

 

「俺質これから悪魔側ぁ♪ 君質これから負ける側ぁ♪ 仕掛けてくるなら覚悟しなぁ♪ それなら俺らがボコるからぁ♪ そしたら冥府は焼け野原ぁ♪」

 

 ―鬱陶しいラップが鳴り響いてやがる。しかも挑発モード満点でだ。

 

「さて、仕掛けてくれるならその方がいいがな。死神に鎌には興味がある」

 

「ふふ。何なら後継私掠船団(こちら)に参加する人は募集中よ?」

 

 更にシュウマをカバーする形で、ブレイ・マサムネ・サーベラとアーネ・シャムハト・ガルアルエルまできやがった。

 

 おいおい、どういう状況だ?

 

『……シュウマ。まずは一つ聞きたいが、何故後継私掠船団を連れている?』

 

 サーゼクスが警戒するのも無理はねえ。

 

 流れと言い分では俺らを助けに来たみたいだが、それにしたって引き連れているメンツがメンツだ。

 

 最悪三つ巴に殺し合いになりかねねえ。当然その辺は確認するだろうな。

 

 だがシュウマは、むしろ俺達を庇うような位置取りになってから胸まで張りやがった。

 

「無論、彼らは味方です。フロンズが頑張って交渉を続けた結果、後継私掠船団(ディアドコイ・プライベーティア)は文字通り我々の私掠船団となりました」

 

 ……おいおい、マジかよ。

 

 後継私掠船団の連中は、どいつもこいつも目をギラギラさせて死神達をけん制してやがる。

 

 そうか、フロンズの奴、こいつらを味方に……おいおいおい!?

 

 正気かアイツ、こんなぶっ飛んだ連中を抱えるってのか!?

 

『……フン。散々禍の団との対抗を利用して和平などを進めておきながら、そ奴らを迎え入れるとはどういうことか』

 

 ハーデスはそう皮肉るが、それに対して、シュウマの奴は嘲笑まで浮かべてきやがった。

 

 このタイミングでハーデスに嘲笑。凄まじく何かやらかす予感がする。

 

「そこに関しては感謝しますよ。……貴様のおかげでその辺りの手筈を整える必要は薄れたのでね」

 

『……なんじゃと―』

 

 ハーデスが何かを言いきるより早く、何か外が騒がしくなってきやがった。

 

 というかこれ、戦闘の音じゃねえか?

 

 俺達が警戒していると、慌てて死神の一人が飛び込んできやがった。

 

 明らかに、切羽詰まっている。これはどう考えても何かやばいことが起こったぞ。

 

『た、大変です―』

 

「―当ててやろう。ポセイドン派の過激派が冥府に侵攻してきたのだろう?」

 

 シュウマが遮るように言うと、その死神は絶句していた。

 

 おいおい、マジかよ。シュウマの野郎、何をしやがった!?

 

 ハーデスの爺もそれに気づいているようだ。かなり殺気があふれてやがる。

 

『貴様、何をした!?』

 

「……別に何も? ですが()()()()ではありました」

 

 わざとらしくそう返すシュウマは、片手を軽く上げる。

 

 まるで示し合わせていたかのように、ブレイは記録媒体を取り出すとそれを魔法で映し出した。

 

 ……あ、ハーデスと曹操が映ってる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イッセーSide

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 空に映し出された映像で、早々とハーデスが話し合っている。

 

『なるほど。オーフィスに使うということでいいようだな。では………は儂らが貰うから、一方を入れてもらうぞ?』

 

『了解です、ハーデス殿。もしかすれば二天龍にも使うことになりますが、よろしいので?』

 

『構わんよ。忌々しい二天龍は冥府の怨敵。魔王の血が混じった白龍皇も、忌々しい和平の象徴となった赤龍帝も、まとめて滅ぼしてくれるのなら都合がよいわ』

 

 ……音質が悪いから聞こえにくいところはあるけど、これって盗聴というか盗撮だよな?

 

 見えている場所がなんていうか、明らかにおかしいし。隠しカメラで確定だろ。

 

『しかしよろしいのですかな? 禍の団によって主神ゼウスは深手を負いましたし、ポセイドンにおいては未だ精神洗浄の為に封印されております。そんな禍の団に助力をするのは、親族としていかがなものでしょうか?』

 

『それは構わん。むしろその点においてだけは、ミザリには礼を言いたいぐらいだ』

 

 この映像、多分だけどここ以外にもばらまかれてるってことでいいんだろうなぁ。

 

 なんとなくそう思っていると、映像のハーデスは愉快そうに肩まで震わせている。

 

『身内の恥さらしに罰が当たった程度で何故怒る必要がある? 我らが信仰を奪った三大勢力がのうのうと和平などを抜かしておきながら、その手を取るような奴など、むしろ四肢をもぎ取られても自業自得というものだ』

 

 ……そういえばそんなこと言っていたって、曹操も言ってたな。

 

「ちなみに。この映像は既に冥界が流すことのできるすべての異形や異能の持ち主に見えるようにしている。……これでもある程度は編集しているがね」

 

 フロンズさんはそう言ってから、だけどなんかため息までついていた。

 

「ただ残念なことに、この情報を獲得したタカ派が、ゼウス・ポセイドンのタカ派に未編集のコピーを送ってしまったようでね。おかげでオリュンポスは大混乱で、特にポセイドン側のタカ派は冥府を滅ぼす為に進軍を開始したようだ」

 

「よくもまぁ、ぬけぬけと……っ」

 

 ソーナ会長が頬を引きつらせているけど、もしかしてこれってわざと!?

 

『……やって、くれましたね……っ!』

 

 プルートの奴もかなりキレてる。

 

 殺気まで向けられてる九条だけど、あっちはむしろ嬉しそうだ。

 

「礼を言うぞ? おかげでいい手土産ができたからのぅ」

 

 すっごいいい笑顔でそんなことを言うけど、少しして真顔になるとちょっと肩をすくめた。

 

「……まぁ、当面は肩をすぼめる必要はあるがな。命令があるまでは指示された区画から出ることは出来んし、命令には原則したがって危険な戦場で前衛を張ることになるだろうて。報酬も結構な割合を賠償金として各地に送ることになるのがのぅ?」

 

「そこは我慢してくれ。司法取引とはいえ、テロリスト(罪人)にはそれなりの代価を払ってもらう必要があるのでね」

 

 フロンズが涼しい顔でそう言うけど、すぐに侮蔑の表情を浮かべながら、曹操の方を向いた。

 

「……そういうわけだ。悪いが、彼女達は貰って行くぞ」

 

「……全く、これは本当に困ったものだね」

 

 曹操は目元を引くつかせながら、幸香を睨み付ける。

 

「ペルセウスもそうだけど、そんなに俺達と組むのが嫌かい? 彼とは違って、君達はテロに走っても気にしないと思ったんだけどね?」

 

「まぁそうなのだがな? 同時に妾達は目的達成の為なら政府の犬でも構わんのだよ」

 

 幸香はそう返すと、むしろ可哀想なものを見るように曹操を見た。

 

「……長い会話をする暇もないだろうから、単刀直入に言ってやろう。……貴様らはあまりにつまらんのだよ。英雄をはき違えているところもそうだしな」

 

 うわぁ、バッサリ。

 

 っていうか、何故か幸香は俺の方をちらりと見てから、曹操に視線を戻した。

 

「文句があるならこの場をしのいでみよ。英雄の末裔でしかない貴様が、まさに英雄である赤龍帝に勝てるのなら……評価は多少改めてやるわ」

 

「……言ってくれるね。悪魔になった彼が、人間である俺より英雄だって?」

 

 流石に苛立っている曹操だけど、幸香の奴はどこ吹く風だ。

 

 むしろすっごい冷めた表情で、肩まですくめやがった。

 

()()がダメなのだ、貴様は」

 

 ……なんかよく分からんけど、とりあえず幸香は味方ってことでいいのか。

 

 っていうか、ミザリまでいるこの状況で、カズヒは大丈夫なのか!?

 

 俺はちょっと不安な気持ちになるけど、カズヒは複雑だけどしっかりとした強い意志を持った表情で、幸香とミザリを交互に見る。

 

 そして同時に、ミザリも二人を交互に見ながら微笑んでいた。

 

「うんうん。すっごく悲しむ顔が見たくなる。そんなそそる存在になってくれて、お父さんは嬉しいよ。そうだろ母さん?」

 

 あ、やっぱりばらすのか。

 

 っていうかこのながれ、ややこしいことになるって絶対!?

 

「……ん? どういうことだ?」

 

「……めっちゃくちゃ単刀直入に言うわ。私の前世がミザリの前世を逆レイプして生まれたのがあんたなのよ、幸香」

 

 首を傾げる幸香に、カズヒの奴はすっごく単純にまとめて言いやがった。

 

 その説明は色々問題があるだろ。色々重要な過去とか、事情とかが全部ぶっ飛んでる。カズヒが悪者にしかならない例えだろそれ。

 

 カズヒらしいっちゃらしいけど、流石にそれで誤解されるのはちょっとあれな気もするんだけど!?

 

 俺は追加で説明しようとしたけど、幸香は交互の二人を見てから、ちょっとだけ頷いた。

 

「……ふむ。まぁそれは置いておくとしよう」

 

『『『『『『『『『『置いておくの!?』』』』』』』』』』

 

 総ツッコミが飛んだよ。

 

 フロンズさんもちょっと面食らっていたけど、幸香は本当に気にしていない。

 

 ちょっとは気になっているようだけど、ただそれだけ。別に詳しく聞く機会がないなら、別に聞かなくてもいいやって感じだ。

 

 ミザリも驚いているみたいだけど、幸香はため息すらつきそうな感じだった。

 

「別に強姦で産まれた子供など、探せば現代にも四桁は確実にいるだろうて。妾が養子であったことは知っておるが、生まれではなくどう生きるかが重要であろう?」

 

 いや、言っていることは正しいと思う。

 

 そりゃ産まれ方はどうしたって選べないけど、生き方はある程度は選べるもんだ。それだって環境とか周り要素が大きく関わるだろうけど、それでも選ぶ余地は少しぐらいあると思う。

 

 思うけど、いくら何でもさっぱりしすぎじゃねえか……っ

 

 これ、カズヒにとってミザリの本質張りにきついんじゃないか?

 

「……ま、貴女はそういうだろうとも思っていたわ」

 

 カズヒは、すました表情でそう言っていた。

 

 ……だけど、そっと九成の手を握っている。

 

 分かっていてもつらい。そんな感じに見えて、俺は胸が痛くなる。

 

 そして、そんなカズヒの手を、九成はしっかりと握りしめた。

 

「……いろんな感情がまぜこぜになっているから、俺から何も言うつもりはない。だが―」

 

 九成は目を伏せ、そして開いて強い目で幸香を見た。

 

「今は味方でいいんだな?」

 

「うむ。そこは安心すると良い」

 

 幸香は強く頷いた。

 

 ……今は、それでいいんだな。

 

 カズヒは俺の視線に、強い視線で頷いた。

 

 ああ、なら今はそれでいい。

 

 今は、この場を切り抜ける……っ!

 




大王派「ハーデスに報復したいけど直接やると面倒だしなぁ。……せや、内輪もめ誘発したろ!」

 こんな感じで冥府陣営、痛烈な反撃を貰う羽目に。

 まぁあれです。本気で敵対するなら堂々と敵対勢力になるぐらいしないとダメよ♪ といったお話でした。

 そして割と自分の過去を気にしない女、九条・幸香・ディアドコイ。

 話の流れ次第では、親子三人仲良く水入らずの殺し合いという、カズヒだけがメンタルフルボッコな激戦も起こりかねませんでした。

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