好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ   作:グレン×グレン

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 はいどうもー! 感想・高評価・推薦・創作掲示板での紹介を常々求めているグレン×グレンでっす!

 銀愛賛歌編もついにラスト。最後は鶴羽とのデートです。

 だが今回、ちょっとひと悶着が起こったり……?


銀愛賛歌編 七話 Wデートはお互いのデートが楽しめるよう気を遣うべし

 

和地Side

 

 

 

 

 

 

 

 連続デート祭りもついに最後。

 

 俺は今、鶴羽とデートをしている。

 

 南空鶴羽。かつて道間七緒だった少女。

 

 俺やカズヒねぇのことを分かったうえで、それでも俺のことを愛してくれた彼女に対し、俺もできることをしていきたい。

 

 過酷な前世の分だけ幸せになってほしいし、カズヒねぇ達とも仲良くしてほしいと常々思っている。

 

 思って……いるのだが。

 

「よっしゃぁ! 行くわよ!」

 

「オッケーですのよぉ!」

 

 そんな鶴羽がヒマリとハイタッチする光景に、俺は隣のいるイッセーと視線を合わせた。

 

「「どうしてこうなった?」」

 

 デート乱舞最終日。

 

 俺と鶴羽のデートは、イッセーとヒマリのデートと合わせたダブルデートである!

 

 なんでこうなった!?

 

 

 

 

 

 

 

 

Other Side

 

 

 

 

 

 

 

「今頃、和地や鶴羽にヒマリはイッセーを含めてのダブルデート中ね」

 

「あ~。確か遊園地でダブルデートだっけ?」

 

 そんな風に共通の友人や恋人を話のタネにしつつ、カズヒ・シチャースチエはヒツギ・セプテンバーとお茶をしていた。

 

 カズヒが自分の部屋に呼んだうえでだが、その分自由度が高く色々な飲み物でなんとなくだべっている感じだったが、話がそこになると一味違う。

 

「遊園地デートは定番よね。私も今度はそっちにしようかしら?」

 

 そんなことをカズヒが言えば、

 

「でも割とお金がかかるじゃん? 学生的にどうかなぁ?」

 

 そういう風にヒツギが応える。

 

 そんな風にだべりながら、カズヒとヒツギは取り留めのない会話を続ける。

 

 学食や購買の話をしたり、暗部中の暗部や表の筆頭部隊という視点の違いを教会が関与した作戦についての視点で聞いてみたり。

 

 そういう風にだべっていると、カズヒは少し寂しげな表情を浮かべていた。

 

 その内容をあえて告げようとしないカズヒだが、ヒツギはそれをすぐに悟れている。

 

 自分達の関係性を踏まえれば、すぐに分かるというものだ。

 

「……なんか、ごめんね?」

 

 ヒツギのその言葉に、カズヒは少しだけ肩を震わせる。

 

 ヒツギはそのまま少し言いづらそうにするが、しかし意を決して向き直る。

 

「……本当ならさ、やっぱり道間日美子としての決着はつけたいと思ってるかもしれない。だけど私もヒマリも……自分達でいることを選んだわけでさ?」

 

「……謝るのはこちらの方よ」

 

 カズヒもそれを素直に認め、目を伏せて自分の弱さを恥じる。

 

 ヒツギとヒマリの決断は知っている。それに繋げたイッセーの在り方も認めている。

 

 それは決して、道間乙女を知る道間日美子(カズヒ・シチャースチエ)にも道間七緒(南空鶴羽)にもアイネス・ドーマ(リーネス・エグリゴリ)にもできないことだ。道間乙女として見てしまう自分達では、二人を道間乙女としてどうしても見てしまう。

 

 そんな二人が、その事実を知って、それでも別個の二人として自分達を定義した。

 

 そのきっかけとなるイッセーに対して恋焦がれることも含めて、本当なら寿ぐべきことなのだ。

 

 前世とは前世であり、決して今生ではない。記憶と経験と感情全てが連続しているカズヒ達こそが異常だ。限定的とはいえそれが繋がり、それでも自分達を乙女とは別の存在として定義することこそ、褒められるべき行為だろう。

 

「……こうしてヒツギとして話して、知らぬとはいえそう接してきたのに、私はあなたを乙女ねぇとして見ていたくなる。……全然異なるのにね」

 

 それが今回のお茶会の理由だった。そして、それでも引きずられる自分がいる。

 

 そんなカズヒに対して、ヒツギは苦笑しながらそっと彼女の右手をとった。

 

「……ま、それはそれだって思うから安心しなよ」

 

 その言葉に、カズヒは返答に窮する。

 

 むしろ意図が把握できていない。それゆえに、どう答えればいいのか分からない。

 

 そんなカズヒに、ヒツギは静かに苦笑する。

 

「正直言って、道間乙女(そっち)もないがしろにする気はないから。これはヒマリも一緒なんだよね」

 

 それは素直な結論だ。

 

 確かに自分達は別々の親友で、そうであることを選んだ。最も優しい赤龍帝が、その決断へと導いた。

 

 だが、祈りの通りそれだけじゃない。

 

 かつて道間乙女であったこと。その事実をなかったことにしようとは思っていない。むしろそれすら捨て去れというのなら、流石にイッセーと縁を切るぐらいあり得るレベルで決意している。

 

 何故なら―

 

「……私もヒマリも思い出してるからさ。道間日美子(カズヒ)を本気で大事に思う、道間乙女(かつての私)の感情を」

 

 ―それもまた、二人にとってかけがえのない事実だから。

 

 その事実をもって、彼女達は自分の未来を選ぶと決めた。

 

 覚悟をもって、決意をもって。

 

 だからこそ―

 

「大丈夫だよ、カズヒ。……私もヒマリも、貴女の友達だからさ?」

 

 ―その言葉は、本心だ。

 

 その答えに、カズヒもまたぎこちなく微笑みながら頷いた。

 

「そうね。私も……乙女ねぇもヒマリも、もちろんヒツギのことも大事な人だと思ってる」

 

 なら、今はそれでいい。

 

 今ここで急に変える必要はないのだと、二人はそれで納得した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イッセーSide

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやっほぉおおおおお!」

 

「いぇええええええっい!」

 

 ジェットコースターで全力で歓声を上げる二人に、俺とイッセーは複雑な気分だ。

 

 いや、ジェットコースター程度の速度なんて慣れているというわけじゃない。慣れているけど楽しむ楽しまないは別の感じだ。この雰囲気は実戦では味わえないしな。

 

 ただ問題がある。

 

「「なんで自分の彼女が隣じゃないんだ」」

 

 おかしいだろダブルデートとしても!

 

 俺もイッセーも本気で首を傾げたくなっているよ。

 

 ぶっちゃけめちゃくちゃ楽しんでるの、鶴羽とヒマリなんだけど。俺とイッセー、なんていうかさっきから微妙な感じで楽しめ切れてないんだけど!?

 

 おかしい。ダブルデートってこんなんじゃない。

 

 これは彼女たちが遊ぶのに振り回されている男の悲哀だ。断じて、断じていちゃつき×2とかそういうやつじゃない。

 

「「やっふぅうううううっ!」」

 

「「ちくしょぉおおおおっ!」」

 

 全く別々の意味の絶叫が、それぞれ響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

祐斗Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 ひと段落ついて安らぎを得ているけど、それでも僕達は研鑽を欠かすつもりはない。

 

 その一環として、僕達は堕天使が保有している戦闘の記録映像を見たりもしている。

 

 こういった自主的な研鑽に、付き合ってくれる人も数多い。

 

 とはいえ色々な人達がいるので、組み合わせも様々だ。

 

「なるほどねぇ。やっぱり実力者同士の戦闘は、反応速度や判断の速さがかなり早いわねぇ」

 

 今日はリーネスと一緒に映像を見ている。

 

 彼女は基本的に後方支援型だけど、必要と在れば戦闘を行うことも踏まえている。

 

 その一環で開発したのザイアスラッシュライザーに、シャイニングホッパープログライズキー。

 

 その戦闘能力は僕達と肩を並べられるほどだ。行動パターンを大量に作り出して最適解を選んで行動するそれは、間違いなく凄まじい力だろう。研究職の後方支援であるリーネスをそこまで高めるなど、凄まじいというほかない。

 

 だけど、リーネスはそこで満足していないようだね。

 

「今での十分だと思うけど、それでもかい?」

 

「それはそうよぉ。あれはザイアから流出した技術を復元した物。既にそれをベースにしたプログライズキーだっていくつも作られているのに、それ以上を目指さないのは油断でしかないわぁ」

 

 なるほど確かに。

 

 技術とは基本的に、新しくなっていけばいくほど高性能化する傾向がある。

 

 技術の復元や再現だけでは、いずれ追いつかれて敗北すると考えているのか。

 

「……僕達も精進しないといけない。そういうことかな?」

 

「そういうことよぉ。……それに、私は一時的に追いつく程度で我慢しないものぉ」

 

 そう告げるリーネスの表情は、微笑みだけど真剣だった。

 

「……アイネスの後悔をリーネスが繰り返すわけにはいかないわぁ。この先を、私は必ず作り上げないといけないわねぇ」

 

 その強い決意こそが、自らの精進する為に努力や研究を行わせる原動力なんだろう。

 

 とはいえ、少し気になることも多いね。

 

「……そういえば、具体的な方向性とかは決まっているのかい?」

 

「ええ、ちょっとこんな感じのを考えてたりするのよねぇ―」

 

 そう前置きして告げられたコンセプトに、僕は思わず苦笑した。

 

 もしできるなら、きっと凄いことになりそうだね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イッセーSide

 

 

 

 

 

 

 

 ジェットコースターも終わって、俺達は遊園地に併設されているレストランでお昼を食べてる。

 

 食べてるんだけどね? だけどね?

 

「やだこれ美味しい! そっちにしたらよかったかも?」

 

「そっちのも美味しいですわね。別々に頼んで正解ですの!」

 

「「……なんだろう」」

 

 さっきから一緒になっていちゃいちゃしてるの、ヒマリと南空さんじゃん!

 

 俺も九成もは持ってぼやき始めてるよ。そりゃそうだよ。

 

 これダブルデートって言わない! デートに付き合わされてる取り巻き!

 

 連続デートはこれでラストなのに、最後がこれってどうなんだよ!?

 

 俺も九成も昼飯のカレーライスを食べながら、この雰囲気に真剣に困っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アザゼルSide

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺はある研究所で、あるデータを参照していた。

 

 それは神の子を見張る者(グリゴリ)が研究開発を行っている、様々なデータが記されている。

 

 そして俺が見ているのは、そろそろ試験運用の為に少数生産が行われる新型のTF(トライフォース)ユニットと、プログライズキーの運用技術。

 

 こいつらが完成すれば、禍の団との戦いは大きく変わるだろう。

 

 英雄派の主要幹部が軒並み大打撃を受け、禍の団は旧魔王派一強の時代に戻ったといえる。

 

 ルシファーの純血な後継でありながら、同時に人間の強みを受け継いだ転生者。ミザリ・ルシファー。かつての道間誠明。

 

 あいつの行動原理とそこに至る来歴を知れば、必ず禍の団を使ってろくでもないことを起こすと、殆どの上層部が理解している。

 

 だからこそ、俺達は研究を投げ捨てることはない。

 

 だからこそ、リーネス達がそれをどうにかしないわけがない。

 

 その成果を見ながら、俺は同時に内心で嫌な予感を覚えていた。

 

 ミザリ・ルシファーの狂気的嗜好は一種のカリスマ性として機能する。

 

 だが同時に、奴は己の悲嘆すら美しいと喜べる破綻した精神性だ。あそこまでの破綻した精神性では、当然だが組織運営にある程度の歪みが生まれるだろう。

 

 だからこそ、それ以上のカリスマ性とミザリよりは低い破綻性を併せ持つ盟主が生まれなければ、もう一つのオーフィスがいても決定打にはなりえない。

 

 そして、それができる可能性を持つ奴を一人俺は知っている。

 

 奴はまだ生きている。少なくとも、十数年前までは確実に生きている。出なければミザリはヴァーリの叔父を名乗ったりできない。

 

 だが同時に、奴は俺達が知る限り虚無的な男だった。

 

 旧魔王血族と現政権の内乱においても、奴は興味を示さず雲隠れした。その後の歴史においても奴が積極的に動いたなんて話は聞いたことがない。

 

 だがしかし、奴が出てくれば俺達の戦いは大きな変化が起きることも事実だ。

 

「……こういう時は、万が一の備えが肝心だってな」

 

 ま、組織の財政が破綻しない程度に備えておくか。

 

 それぐらいしかできることがない。というか、それ以上のことなんて俺達にはできない。

 

 だからこそ、イッセー達には今ぐらい楽しんでほしいもんだ。

 

「命短し恋せよ乙女。……ま、あいつらは俺達並みに長生きできるんだろうがな」

 

 さて、デートはどんな感じになってるのかねぇ?

 

 

 

 

 

 

 

 

九成Side

 

 

 

 

 

 

 

「えー。本日のダブルデート反省会を始めたいです。イッセー議長、総評を」

 

「これダブルデートじゃない! デートに巻き込まれたアッシー二人!」

 

 大量のお土産を運ぶことになった俺達は、晩飯として入った焼肉屋(チェーン店)で盛大に文句をぶちまけた。

 

 いやホントだよ。二人だけの空気を作るなよ。彼氏に少し配慮しろよ。

 

 男も女に配慮するべきだと思うけど、それは女が男に配慮しなくていいことにはならないんだぞ!?

 

 もっと相互理解を求めます! プリーズ、配慮!

 

「あ~、なんかゴメン」

 

 鶴羽はその辺自覚はあったのか、ちょっと言い難そうにポリポリと頬をかいた。

 

「その、ヒマリと仲良くなりたかったのよ。だからその……男性陣に甘えました、ごめんなさい!」

 

「イッセー達が楽しくなかったのはごめんなさいですの!」

 

 二人して頭を下げるけど、鶴羽の理由はちょっとこう、文句が言い難くなるな。

 

 なんというか、言いたいことは分かる。

 

 乙女ではなく、ヒツギとヒマリでもなく、ヒマリと。

 

 そこに込められた意味を、俺はきっとある程度は理解できているんだと思う。

 

「……道間乙女ではなく、二人を二人として見る為の努力ってことか」

 

「あ、あ~……」

 

 俺がそう言うと、イッセーもすぐに悟ったのかちょっと困り顔になる。

 

 道間乙女。バニシングツインであった結果、ヒマリ・ナインテイルとヒツギ・セプテンバーに分かたれた、鶴羽達の大切な親友。

 

 かつての来歴における被害者であり、カズヒねぇだけでなく鶴羽にとっても負い目もある。その生まれ変わりである二人に対して、リーネス含めて思うところがいっぱいあるのは当然だが分かる。下手人が自分の親父だったわけだしな。

 

 だけど、ヒマリはヒツギと共に、道間乙女であった別々の二人として歩き出した。

 

 それは完全に記憶と感情を繋げていた三人にはできないことだ。リーネスやカズヒねぇ含め、鶴羽達はだからこそ困っているんだろう。

 

 特に鶴羽が一番困っているんだろう。

 

 長い間ヒマリの面倒を俺も含めてみてくれたリーネスは、性格の違いもあって多少は二人を別個とした扱いができると思う。カズヒねぇは不意打ちで知らされたこともあって、比較的そっちになれることが少なかった。

 

 だけど、二人を道間乙女の生まれ変わりと知ったうえで絆を結んできた鶴羽にとって、それは難しいかもしれない。

 

 記憶が戻らなくてもいい。そう思っている可能性はある。だけどもし思い出した時に、どんな感想を抱くか俺は考える。

 

 ……きっと、昔の関係を修復できたらと思うだろう。少なくとも、そう思う時は少なからずあったはずだ。

 

 だからいい機会だと思って、まずヒマリをヒマリと思う為にいちゃついてたのか。

 

 俺はついイッセーの方を見ると、視線が合った。

 

 イッセーもイッセーでかなり困っている感じだな。まぁ、二人がそういう決意をした要因だし、当然か。

 

 う~ん。これはどうしたものか―

 

「……でも、大丈夫ですのよ?」

 

 ―その時、ヒマリはそう告げた。

 

 思わず鶴羽も含めてみんなできょとんとしていると、ヒマリはふふんといった笑みを浮かべながら胸を張る。

 

「私はヒマリ・ナインテイルですが、道間乙女であった事実も変わりませんもの! 立派な大人とはどっちもないがしろにせず済ませる者。どちらの自分も自分として受け入れ両立して見せますわ!

 

 そんな風に元気よく断言するヒマリに、俺達は一瞬ぽかんとしたけどちょっと笑いそうになった。

 

 ……確かに、ヒマリはそういうやつだよな。

 

 何の根拠もないのは困りものだが、そういうやつだからこそできることがあるのはまた事実だ。

 

「そういうわけですので、これから和地は私をママと呼んでもいいですのよ?」

 

「「「それはやめて!」」」

 

 総ツッコミだ。

 

 いやちょっと待ってくれ。それだとイッセーのことをお義父さんと呼ばねばならなくなる。イッセーも同い年の息子とか事実上年上の娘ができるし、鶴羽に至ってはヒマリをお義母さんと言わねばならなくなるだろう。

 

 いろんな意味でアウトだからな、それ!

 

 ただ、天然だけど鶴羽の肩の力は抜けたみたいだ。

 

「……そっか。私達、ヒマリ達に乙女ねぇを見てもいいのか」

 

 本心からほっとしたその表情に、だけど同時に後ろめたさは消えてない。

 

 いうなれば、年下も同然のヒマリに対して甘えているようなものだからな。一番苦しんだ乙女に対して、加害者の娘である道間七緒が甘えることにもなる。どうしてもすべてに納得はできないだろう。

 

 だけど、それも踏まえてこそ絆を結ぶ意味がある。

 

 俺は、きっとそう思う。

 

「……よっしゃ! そういうことなら今からでも、マジでダブルデートを楽しむか!」

 

「あ、お前それは俺のセリフだぞ!?」

 

 おのれイッセー! 格好良いところを取るな!

 

 こ、これがダブルデートの欠点か。良いところを見せたくても、相手に良い男がいると取られるという罠があるのか。

 

 おのれぇ! こうなれば俺の出番だ!

 

「そういうことなら物理は俺が確保するからな!? ここの料金は俺が奢るからな!?」

 

 財布で勝負してやる。大丈夫、いろんな仕事で金はある!!

 

「あ、なら私特上カルビ頼みますの!」

 

「え、マジで!? じゃ俺も!」

 

 あ、しまった。

 

 いくら安めのチェーン店とはいえ、遠慮なく特上頼まれると財布に響く!?

 

 しかも言い出しっぺとして撤回できない。払うことは可能な範囲内だと尚更だ。

 

「……なんかゴメン」

 

 元凶だけど謝らなくていいよ!? 彼氏として頑張りたい!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 まぁ、そのあとは相応にみんなで楽しめたと思う。

 

 ちなみにだが、焼き肉店を出る時に鶴羽が言ったことは、割ときゅんと来た。

 

「食べ過ぎでお腹出るのはあれだったわね。……お腹が出るなら、和地との愛の結晶とかがよかったわ」

 

 その直後顔を真っ赤にした以上、これはうっかり出てきたポンコツな本音だ。

 

 そう、本音だ。

 

「………みぎゃぁあああああっ!?」

 

「………っしゃぁあああああっ!!」

 

 最後の最後でそんなレベルまで考えてくれることが分かるなんて。

 

 これだけでも、いろんなダメージが帳消しになってお釣りがくるぞこれはぁ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Other Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい天帝。要望通りの仕事はしてきたわよ」

 

「HAHAHA! 曹操達を冥府送りにした直後に来て、それを知った瞬間に「傘下に入るから大株主になって」と言われた時には驚いたが、おかげで合法的に戦力を人間界でも動かせるようになったZE! 星辰奏者(エスペラント)はそこそこ用意できたが、禍の団が暴れてくれねえと実戦経験させれなかったからなぁ

!」

 

「ご安心を。民間軍事警備企業アマゴフォースの主な業務は、星辰奏者(エスペラント)による護衛及び、対星辰奏者を前提とする演習の仮想敵(アグレッサー)。星辰奏者を必要とするレベルの荒事や、対星辰奏者を踏まえた軍事部隊との戦闘が基本なので、星辰奏者の実戦経験やそれに類する戦いを経験するにはぴったりです」

 

「俺が個人的に使える金で、十分すぎるぐらい規模も拡張できたしな。須弥山の星辰奏者は出向だから、給料も殆ど須弥山が出してるもんでぼろ儲けだろ?」

 

「安心してください。曹操が帰ってきた後のけじめ用の上納金として、規模拡張に伴う必要経費以外は貯蓄してますから」

 

「抜け目がねえなぁ。……だが、曹操が本当に帰ってくると思うか?

 

「逆に聞きますが、天帝は帰ってこれないと思っているんですか?

 

「………HAHAHA! 俺の負けだ。奴は帰ってくると思ってるぜ? 出なけりゃ他の勢力に情報を隠す意味がねぇ」

 

「そういうことです。私は曹操に救われ、そしてドゥルヨーダナや尼子という光を得た。なら私がするべきことは、曹操が帰ってきた時の居場所を作ること」

 

「ならOKだ。奴は間違いなく帰ってくる。まぁ一年や二年はかかるだろうが、その頃にはアマゴフォースは世界最大のPMCだ。中国製の戦車や攻撃ヘリとか、俺のコネで仕入れてやろうか?」

 

「現行の国際法に引っかかるから結構です。むしろ安全かつ美味しい食材を、兵站用に調達してください」

 

「そうかい。……なら別口として、お前さんがあやかれるスペシャルなものをくれてやろう。こんなもんがあるんだが―」

 

「……なるほど。ドゥルヨーダナとしては中々洒落た力ですね。ありがたく受け取りたいですが、流石に貰いすぎですので追加業務をくださいな」

 

「オーライオーライ。じゃ、ちょっとばかし準備を整えといてくれや」

 

「なんです?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうも根暗な吸血鬼共に、神滅具が宿っちまったらしいんだよ。偵察したいが神滅具相手だとあれだし……な? 分かるだろ?」

 

「なるほど、切り捨てても損がない斥候を用意しろと。……神滅具相手なら私達が出るべきね……行ける?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「―無論でござる。お家復興の大きな足掛かりをくれた天帝殿に対する御恩、奉公によって返すに能う者でござるからな」

 




 鶴羽とのデートは変化球で、イッセー&ヒマリのダブルデーという形で、鶴羽自身が乗り越えようと頑張っているものを見せた形です。

 ヒツギもヒマリもかつての道間乙女という自分をないがしろにする気はありませんが、しかし同時にスタンスとして一個の個人として自分たちを定義する形です。これははたから見ている分には、「道間乙女との区別」を自発的に行っているようにも見えます。

 それに対してかつての道間乙女を知っている者たちは、それに賞賛を送りたいが市場でどうしても割り切れないものを感じているといった感じですね。

 今回はダブルデートの形でそれを明かしました。




 そしてそれはそれとして、次の章から折り返し地点なのでなおさらちょっとシリアスな引きです。

 曹操が帰ってくることを大前提といて、ちゃっかり居場所を残すために動いているサイリン・アマゴ・ドゥルヨーダナ。ちょっとインドラと縁のある上、今のところカバーストーリーとしての身使っているドゥルヨーダナ方面で強化する予定です。

 そして次回からは折り返し地点を超えて対クリフォトが主体となっていきます。

 ……その名も明星双臨編。

 さぁ、楽しみに待っていてくれぃ!
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