好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ   作:グレン×グレン

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明星双臨編 第五話 

 

九成Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 学園生活は確かに平和だ。

 

 こと俺達は過酷すぎる戦いを潜り抜けすぎているからな。どう考えても日常生活と戦場生活では過酷さのレベルが違う。両方を経験していればいやでも分かるし、分からない奴はひいき目に見て頭のねじがずれている。

 

 だからこそ、この平穏を守る為には色々と勘が無ければならないだろう。

 

 時として戦場や日常に区別をつけない奴が出てくるが、その理由は「日常生活だって何がきっかけで死んだり死なせたりするか分からない」というものだ。いわゆる死を想え(メメント・モリ)というやつだな。

 

 それはそれで極論とか暴論だとは思うが、しかし何が起こるか分からないというのは事実だ。事実は小説より奇なりというしな。

 

 ……世の中には、シロップの洪水で死傷者百人越え*1とかいう事件もある。信じられるか、これ現実に起きた事件だぜ? あとイギリスではビールの洪水で死傷者が出た*2そうな。

 

 ダーウィン賞とかギムリー・グライダーとか、世界には信じられないことが現実に起きたりするものだ。人間が考えることができることは現実に実現できるとかいう意見が出るのもちょっと納得できそう。

 

 ……イッセーのおっぱい現象もこの類でいいだろうか。乳神とか信じられない現象まで起きるからな。

 

 ……というか、俺は学食で何を考えているんだろうか。

 

 そんなこと思ったのは、珍しく学食で食べている今、テレビでやっている番組を見たからだろうか。

 

 なんでもこの番組でやっているのは「世界のPMC特集」

 

 軍事アレルギーなんてものもままある日本で珍しいと思ったが、やはり昨今の世界情勢があるのだろう。

 

 サウザンドディストラクションによって流出した技術は、世界の軍事バランスを大きく変えうる可能性が生まれているうえ、治安の悪化にも繋がっている。

 

 プログライズキーを使用するレイダーや、星辰体による超人である星辰奏者。この二つはいうなれば、歩兵の戦闘能力を兵器以上に底上げすると言ってもいい。ぶっちゃけどっちも一対一で戦車や攻撃ヘリを潰せるレベルだ。

 

 加えてどっちも携帯性が高い上、ザイアの連中があほをやらかした結果犯罪者の手に現物が渡ることも数多い。結果としてマフィアや半グレが星辰奏者になるという事例も数多く、また優れた星辰奏者を引き当てればテロリストが正規軍の基地を落とすことも可能になっている。

 

 人口最多国の中国やインドが覇権を握れそうだが、両国はそれなりに問題も多く、むしろテロが頻発化しているというらしい。

 

 そしてそんな歩兵の能力向上は、PMC(民間軍事会社)にとって大きな影響を与えている。

 

 PMCは傭兵とは異なる為、兵器関連には所持できる限界点が多い。だがしかし、星辰奏者においてはかなりイージーになっているだろう。

 

 発動体を警棒などの護身用武装として採用し、星辰光を利用した生身の戦闘に特化する。これにより星辰奏者を上手く取り込むことができたPMCは、国家に口出しできるような規模に成長する可能性すら示唆されている。

 

 そして今回の番組で取り上げられているのは、サウザー諸島連合国に住む若い日系人がCEOを務め、近年中国の金持ちが資金援助を行って急成長を遂げている、星辰奏者を主体とする企業だ。

 

『それではサイリンさん。アマゴフォースという名称は、自分の名字からつけられているのですか?』

 

『ええ。世間的には復興の為に尽力した山中鹿之助の方が有名でしょうが、我が先祖の尼子家は元々一国を収める武士の一族です』

 

 インタビュアーに応える若いCEOは、微笑みすら浮かべている。

 

『流石に現代で一国を起こすのは非現実的です。ですがアマゴフォースに所属する星辰奏者は1000人を超えており、これは国連加盟国でも小国では保持し得ない人数です』

 

『中国系の資産家から資金援助を受け、それを経由する形で世界各国から星辰奏者の適性がある人物を迎え入れた結果と伺っております』

 

 インタビュアーの相槌に頷きながら、CEOの女性は微笑みすら浮かべていた。

 

『結果としてアマゴフォースは、米国海兵隊の星辰奏者部隊が演習相手として指名するほどの戦力となりました。もちろん護衛においても数多くの任務を成功させており、そういう意味では現代に適合した形で()()()が復興した……とも言えますね』

 

 そんな風に語るCEOに、インタビュアーがずずいと迫る。

 

『破竹の勢いで発展を遂げていますが、今後の展望などは考えておられるのでしょうか?』

 

 その言葉に、CEOは表情を少し変えた。

 

 それはまるで、強い自負から何かに対する羨望に切り替わったようだ。

 

 自分自身を誇るのではなく、素晴らしい者に仕えているかのような、そんな雰囲気だ。

 

『……しいていうなれば、この蒼天の元、人間が持つ可能性をPMCとして追求したい……といったところですね』

 

『な、なるほど。少々漠然としている気がするのですが、具体的な目標は何かあるのでしょうか?』

 

『そうですね。……星辰奏者(エスペラント)は千差万別を体現しており、個人差で大きく能力や性能が異なる存在。となれば……我が社から英雄を輩出したい、とでも言っておきましょうか?』

 

 そんな風に、一見すると冗談めかした感じに告げるCEO。

 

 ……なんだろう。ちょっとまじな感じがして寒気を覚えたんだが。

 

 いや、ちょっと曹操を思わせる言い草もあって、真剣に嫌な予感すら覚えてしまった。

 

 いやいや。まさかテロリストが堂々とテレビのインタビュー番組に出演したりとかないだろ。豪胆とかそういうレベルじゃないだろ。

 

『それでは時間となります。本日のゲストは国際PMSCであるアマゴフォースのCEO、サイリン・アマゴさんでした!』

 

『アマゴフォースは民間からの御依頼にも対応しております。星辰奏者の護衛が入用でしたら、ぜひ日本語版ホームページからアクセスを』

 

 そんなことを言っているサイリン・アマゴだが、まぁ英雄派ではないだろう。

 

 ……だってアマゴフォース、ついに異形社会にすら進出しているし。

 

 なんでも異形社会が保有している星辰奏者に社員としての名義貸しをさせることで、実戦経験を積ませるビジネスを進めているとか。

 

 流石にこれで正体がテロリストだったりとか、ちょっと豪胆すぎだろうし……なぁ?

 

 俺がそう自分を納得させながらうどんをすすっていると、スマホにメールが届いた。

 

 ……裏取りが完了したとのことだ。まじでアタリかよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

祐斗Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 僕は昼休み時にカズヒと出会い、少し話をしていた。

 

「……で、カズヒはヘキサカリバー計画についてどこまで知っているのかな?」

 

「プルガトリオ機関では採用しない予定よ。まぁ、理由はわかるんじゃないかしら?」

 

 気になっていたことを訊いてみるけど、まぁ想定内の返答だね。

 

 エクスカリバーはいうなれば、教会にとって価値のある武装だ。それを転生悪魔に独占させない為のヘキサカリバー計画なら、暗部であるプルガトリオ機関にはあまり融通したくないものだろう。優先的に配備するのは表側になるはずだ。

 

 とはいえ、流石に気になるからね。

 

「ちなみに、誰に与えられるかって話は聞いているかい?」

 

「助祭枢機卿であるエヴァルド・クリスタリディ猊下はほぼ確定で、選定最有力候補は支配の聖剣(エクスカリバー・ルーラー)破壊の聖剣(エクスカリバー・ディストラクション)擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)はゼノヴィアとイリナでこちらもほぼ確定ね」

 

 ……なるほどね。

 

 ゼノヴィアとイリナさんはかつて使っていたエクスカリバーが確定になる。これに関しては、和平の顔ともいえるグレモリー眷属に配慮し、また天使長であるミカエル様の(エース)にエクスカリバーというのは妥当なところか。

 

 そしてエヴァルド・クリスタリディ。

 

 僕も和平が進んだことで聞いたことはある。

 

「……かつて三本のエクスカリバーを使っていた、数少ない戦士上がりの枢機卿」

 

「ちなみに、全部のエクスカリバーを使いこなせただろうとも言われているわ。ヘキサカリバー計画の意義を考えれば、前線を引いているとはいえあの方が選出されるのは間違いないでしょう」

 

 現代における最強のエクスカリバーの使い手に、最強のエクスカリバーを組み込んだヘキサカリバーが届く。

 

 非常時の戦力として考えるにしろ、信徒達の士気向上を考えるにしろ、これは重要か。

 

 とはいえ、残り四本のエクスカリバーが中核となるヘキサカリバー。それらの使い手がどうなるのかは気になるところだね。

 

 相応の使い手か相応の立ち位置の物になるだろう。……凄く気になる。

 

「……まぁその件だけれど、クロード長官から面白い話を聞いたわ」

 

「というと?」

 

 僕が促すと、カズヒは苦笑すら浮かべて肩をすくめた。

 

「教会でもヘキサカリバーの保有者には、戦力以上にある種の象徴になってほしいみたいなのよ。で、和平の象徴であるこの駒王町在籍メンバーにもう一振りぐらい預けていいんじゃないかって話になっているわ」

 

 ……そうなのか。

 

 教会からすればゼノヴィアにエクスカリバーをすべて預けることに抵抗がある者もいたのだろう。だが同時に、和平を推し進めたい教会上層部からすれば、和平の象徴でもある僕達駒王町メンバーに使い手が複数いるのは都合が良いということか。

 

 ふむ、誰が選ばれるのか興味は沸くね。

 

 可能な限り教会のメンバーから選ばれるだろうから、最有力候補はアニル君だ。ルーシアちゃんは射撃戦主体だからエクスカリバーと相性は微妙だし、ヒツギは聖剣創造があるからかぶるしね。

 

 それにアニル君はペンドラゴン家の分家だ。エクスカリバーには縁もあるだろうし、その点も気になる。

 

 だけどその場合、どのエクスカリバーが選ばれるのかが気になるね。

 

「残っているのは、天閃の聖剣(エクスカリバー・ラピッドリィ)透明の聖剣(エクスカリバー・トランスペアレンシー)夢幻の聖剣(エクスカリバー・ナイトメア)祝福の聖剣(エクスカリバー・ブレッシング)の四本だね」

 

「他の選定者との相性とかもあるでしょうけど、どれを選んだにしても戦術の幅は広がるでしょうね」

 

 うんうんと頷きながら、カズヒもちょっと興味がありそうだった。

 

 ……とその時、僕達のスマートフォンにメールが届く。

 

 気になって見てみると、僕が眉をひそめたタイミングでカズヒも眉をひそめていた。

 

「……部長から吸血鬼との会合で日取りが決まったそうだよ。そっちもかい?」

 

 最近は同時にメールを送る機能もあるからそれかと思ったけど、カズヒはため息をつきながら首を横に振った。

 

「残念ながら別件。……最近裏ルートで妙なものが出回っているっていう、プルガトリオ機関からの連絡よ」

 

 妙な、もの……?

 

「……使うと超人になれる宝石ですって。名前は―」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アザゼルSide

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……オーバーナッツ、ですか?」

 

 俺は神の子を見張る者が掴んだ情報を、たまたま一緒になったロスヴァイセに話していた。

 

 いやほんと、なんだこりゃって感じだな。

 

「ああ。ぶっちゃけるとサイラオーグ・バアルみたいなことができるようになるらしい。しかも使う人間を選ばないってことで、ある意味でレイダーや星辰奏者(エスペラント)よりやばいって言っていいな」

 

 あれはレイドライザーや発動体を携帯する必要があるが、これは使用すれば半永久的に使えるって代物らしい。

 

 既に米国陸軍が接触し、レイダー部隊を投入して苦戦したって話だ。

 

 プルガトリオ機関も接触して戦闘しているらしいし、多分だがカズヒにも伝わっているだろう。

 

 だがこいつらは実にやばい。

 

 具体的に言えば、オーバーナッツを使用した連中は闘気を身に纏って戦闘を行うことができる。

 

 戦闘能力は中級悪魔に喧嘩が売れるレベルとも言われている。しかも裏ルートで流されているそれは、日本円換算で百万円以下だって話だ。

 

 これだけの代物がそんな感じで流通すれば、人間世界は更に荒廃しかねない。

 

 今の人間界が悪い意味で変化するのは、俺としても避けたいんだがな。

 

「……厄介なことになりましたね。禍の団もおかしな動きをしているようですし、これはこちらも警戒が必須では?」

 

「同感だな。今後を考えると相応に備えが必要になるだろうさ」

 

 ロスヴァイセの懸念ももっともだ。

 

 こりゃ、こっちも色々動いた方が良さそうだな。

 

 ま、それならそれで都合がいい。

 

「……一応、神の子を見張る者(ウチ)も備えはしているんだがな」

 

「どんな備えをしているんですか?」

 

 ふっふっふ。その言葉を訊きたかった。

 

「……神の子を見張る者(グリゴリ)がこれまでに会得したザイアから流出した技術をブラッシュアップし、新たなる力を編み出したのさ。そう―」

 

 俺はその内容を簡潔に聞かせ―

 

「―なるほど。それは今後の力になりそうですね」

 

 ―良い感じでロスヴァイセが納得してくれた―

 

「ですがお金がかかりすぎです。お金はもっと大事に使うべきものですよ。第一アザゼル先生は勝手に組織の金を使って妙な研究までやっていると伺っておりますし―」

 

 ―と思ったらシームレスに説教に繋がった。

 

 しまった。百均ヴァルキリーに金のかかる話は禁句だった!?

 

*1
禁酒法直前のアメリカで起きた実話です

*2
産業革命時代に起きたこれまた実話です




 まさかテロリストの幹部が、公共放送のテレビでインタビュー番組に出てくるなんて誰も思うまい。

 サイリン・アマゴ・ドゥルヨーダナ、一躍時の人。こいつ英雄派で一番英雄みたいなことになってないか?




 それはそれとして、これから少しずついろいろ不穏な空気も悪化していきます。

 禍の団編ともいえる第一部だけでなく、アザゼル杯編にもかかわる第二部もあるので、これまた厄介な要素はあえて残していきたいところです。
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