好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ 作:グレン×グレン
和地Side
素早く俺達は戦闘を開始する。
そしてまず、俺達は数的有利を最大限に生かす方向で戦闘を仕掛けた。
三対一ってのはそれぐらい有利なんだ。一流の武芸者でも、同時に三人がかりで挑めばどうにかすることは困難と言われている。三人がかりで一人を潰すのと、一人で三人を同時に相手できるようになるのと、どっちが簡単かなんて馬鹿でも分かるだろう。
まして俺達は全員手練れ。なら当然、数で推すのが基本戦術なんだ……と思ったらあっさりひっくり返された。
広範囲に展開した黄金の花びら、
一つ一つの花弁は、こっちが全力で攻撃してもびくともしない更ににそれを複数同時に展開して、多角的に対応。フィールドまで展開して防御するうえ、隙あらばシールドバッシュまで仕掛けてくる。
しかも同時に六つも展開している。最初に見せた時は三つだったというし、この調子だともっと増やせるだろう。
不用意に全力を即出ししてそこを知られるのを避けたのか、それとも技術込みで操れるのがそこまでなのか。もしくはこっちが勝手に限界を決め込んで、それによって生まれる隙を物量による圧殺でつぶす気なのか。
とにかく面倒だが、それだけじゃないってのが更に厄介だ。
回転攻撃をかましてきた花弁の一つを避け、俺は即座に反撃を叩き込む。
その攻撃を、割って入った熊型の魔獣が盾になって受け止めた。
……これが第二の問題点。奴さんが星辰奏者だってことだ。
おそらく人形創造能力。何かしらの方法で体となる素材を作り、それを人形として操る類の星辰光だろう。
地味に面倒以外の何物でもない。花弁は神滅具級というだけあって性能が高いし、熊型の魔獣も上級クラスを足止めできるぐらいにはポテンシャルが高いだろう。
数の暴力で圧殺するつもりが、むしろこっちが圧殺されかかってるぞこれは。
はっきり言ってコカビエル並みに強い。下手したらコカビエルより上だろう。
……最も、あの時のコカビエルは神滅具である魔獣創造を、増援であるヴァーリとグレイフィアさんとの足止めに回していたこともある。
ルイ16世の宝具のもう一つを、どいつもこいつも根性でごり押し出来てしまったことを考えると、一概に断言はできないけどな。
少なくとも、俺やカズヒ姉さんが戦うに当たっては九条の方が脅威だった。
「チィ! 攻撃力も地味にあるってのが……厄介だな!」
おかげでこっちの星辰光がコカビエル戦より役に立ってない。
防壁系の星辰光と神滅具。基本的に考えれば、どっちが上何て言うまでもない。
人間を人間社会において兵器クラスの存在にする星辰光と、人間の軍事基地を単独で圧倒すらできるだろう神や魔王すら殺しうるポテンシャルを持つ神滅具。運用技術などを踏まえたのならともかく、単体の性能で比べ物になるわけがない。
必然的に、俺が展開する魔力防壁はことごとく粉砕されている。
一列に多重展開すればある程度は止められるだろうが、縦横無尽に三次元起動ができる時点で意味がない。そのぐらいの駆け引きはできるだろうしな。
なので、俺はこいつの戦いでどうしても嫌がらせ中心になる。
ならばオフェンスはどうなのかというと―
「面倒くさい事ねぇ!」
―まずカズヒ姉さんは苦戦を強いられている。
大量に形成炸薬弾やサーモバリックを射出しつつ、機関銃を両手持ちフルオートでぶっぱなしている。普通ならこれで終わるし、その気になれば軍事中隊すら潰せるだろう。
だけどそれでは届かない。
神滅具級の花弁は、それ単体が頑丈なだけじゃない。防護フィールドも張れるからこそ、人間の兵器程度ではびくともしない。
しかも質が悪いことに、花弁がそれぞれの基点となることで立体的な結界を展開できるらしい。これで完璧にカズヒ姉さんは警戒されている。
カズヒ姉さんの火力では、ガチ警戒された結界系の神滅具を無効化できない。
だからこそ、決め手となるのは―
「ほいさっちょいさっよっこいさっとぉ!」
「動きが早いのぉ。しかも地味に面倒じゃ!」
―ヒマリなわけだ。
リベレイティングキャットはオフェンス型。三次元にかく乱しながら、パンチにキックに射撃込みで、敵をぶちのめす対異形戦闘用前衛型だ。
三次元を自由自在に動いての、オールレンジシールドバッシュ。これを全部交わして、更に魔獣すら掻い潜っては、集中攻撃を喰らわないようにヒット&アウェイを仕掛けていく。
……運がいい。九条の星辰光は、ステータス的に限界がある。
広範囲を魔獣達がカバーしていることから言って、おそらく拡散性と出力が高いんだろう。だが魔獣が創造されるのは比較的近距離であることといい、おそらく干渉性はさほど高くないんだろう。
ただし量といい性能といい、間違いなくあの星辰光は出力が圧倒的に高い。
極が片手が埋まるぐらいつけたうえで珍しいというレベルだが、性能把握における最高値、AAAの領域に到達しているかもしれないな。
次いで高いのはおそらく
とはいえもちろん限度がある。おそらく魔獣型にしているのは、細かい動作の制御に限界があるからだろう。技術を高めるのに限度があるのなら、骨格から強靭でかつ大型化しやすい獣型にするのは一つの選択肢だ。
「さて、受けるか避けるか防ぎきるか? 失敗すればお前の魂は切り裂かれるぞ!」
そして向こうもこっちを把握し始めているのか、ついに迎撃が間に合った。
魂を切り裂くという死神の鎌じみた厄介な獲物が、ヒマリを切り裂かんと襲い掛かる。
だが甘い。ヒマリを相手にするには、その得物では力不足だ。
「そいやっとぉ!」
その瞬間、真っ向から聖剣が受け止める。
その一撃で、九条は本気の驚愕を僅かに見せた。
「……
「え? 違いますわよ?」
あっさり即答するヒマリに、だから嘘ではないと判断して、九条は更に警戒する。
「ならば星辰光か。刀剣強化能力……物体強靭化能力……もしくは分子結合強化能力……それとも別の強化方法かのぉ?」
「え? 私の星辰光はまだ使ってませんわよ?」
これまたあっさり即答。
ただこれで、九条は一瞬本気で考えこみそうになった。
戦闘中に敵の手札を考察するのは、確かに有効な手段だ。
だが同時に、一瞬の判断が生死を分ける戦いにおいてリスクが大きい手段でもある。
だからこそ―
「気になるのは分かるけど―」
「―背中ががら空きだ!」
―俺もカズヒ姉さんも決して逃がさない。
この一瞬のスキを躊躇なく狙い、俺達は遠慮なく後ろから攻撃を行おうとし―
「ぬるい」
―その時、俺達は誘い込まれたとは思わなかった。
確かに魔獣は何体かいたが、数はまばらだ。花弁もきちんと意識を向けていて、警戒は決して緩めてはいない。
そう思ったその瞬間、俺達の周囲で大爆発が起こった。
控えめに言って、手榴弾の二倍ぐらいの爆発だ。直撃でもないし、星辰奏者のカズヒ姉さんも、更に仮面ライダーの俺も致命傷になるわけがない。
問題は、手榴弾一個でも人は盛大に吹き飛ばされるということ。
爆発による運動エネルギーと人間の質量が重なり合い、更に爆発の衝撃で宙に吹き飛ばされる。
同時に花弁がフィールドを展開しながらこっちに狙いを定める。
フィールドは先端部が細くとがっており、こっちを刺し殺す殺意満々の状態だった。
あ、これまずい。
俺はそれを確信した。カズヒ姉さんも、防御の為に大量に物体をばらまいてるが、それでもマズイ。
「伏せ札ぐらいは用意しておるわ。まずは二人ほど―」
ああ、九条も俺達を殺せる確信を持っている。
そして同時に、ヒマリに対する警戒も断ち切ってない。
油断はない。この女は、少なくとも馬鹿じゃない。
勝つ為に策も努力もして、負けるという危険性をきちんと分かった上で挑んでいる。
ああ、まずい―
「グリド、GO!」
―お前もなぁ!
突貫するのは鎧で出来た翼のない龍。
リントドレイクという高位の龍を封印した、本来は全身鎧として具現化する亜種発現した
俺と同じ二重神器保有者であるヒマリが持つ、
最も、今回は加減をする余裕がないこともあって、普通に使っていたから気づかれている。
「……此方が先遣隊の闘いを生かさぬと思うてか!」
その瞬間、黄金の花弁が更に一つ展開する。
やっぱり出せたか。
タイミングのいいカウンター、完璧に予想どうりの反応ってわけか。
ああ、これは無理だな―
「……甘いですの!」
―普通なら!
其の激突は一瞬だった。
そして、双方が双方ともに吹っ飛ばされる。
「っ!」
一瞬で更に追加の体制をとる辺り、間違いなく腕利きだよ、九条・幸香・ディアドコイ。
だが、その一瞬が手遅れだ。
『FREE』
もう既に、懐に飛び込まれてるぞ?
「隙ありですわ!」
「……ぬぅ―」
それは一瞬だ。一瞬の同様で納めたところは褒めてやる。
だがその一瞬が命取りだ。
その一瞬で一気に間合いに踏み込んだヒマリは、僅か一秒で数十を超える連続飛び膝蹴りを叩き込む。
―リベレーティングブラストフィーバー
連続蹴りの連発で隙が生まれ、一気に攻撃の度合いが崩壊する。
その瞬間、既にとどめの準備は終わっている。
「更にダメ押し!」
揺らいだ瞬間、ヒマリの―仮面ライダーラクシュミーの姿が掻き消えるように高速移動が行われる。
そしてその瞬間、全方位を縦横無尽に駆け巡りながらの連続射撃が叩き込まれた。
―リベレーティングブラスト
「……なめるなぁ!」
それでもなお、九条は倒れない。
ああそうだな。そうだろうとも。
だがなぁ―
「カズヒ姉さん!」
「カズヒ!」
俺とヒマリの声が響き、そして既に準備は終わっていた。
「まだ終わってないのよ、幸香!」
「……っ!」
そう、あれだけの連続攻撃と想定外の連続では、避ける注意力にも限度がある。
それゆえに、カズヒ姉さんの準備は完了していた。
「
その瞬間、盛大に九条は打ち上げられる。
九条を囲むように五か所に設置された宝石が煌めき、暴風、熱衝撃、地殻隆起、水流、そして絶大なエーテルの奔流が苦情を天に撃ち上げた。
……魔術回路を利用した魔術は、当人の適性次第で様々なことを行うことが出来る。
神の奇跡に由来することなく、それこそ悪魔の怪我すら治癒することも可能。回復速度は流石に
そしてその一環に、宝石などの物体に自分の魔力を溜め込むというものがある。
それにより魔術において必須の詠唱を短縮化させることが可能。込められた魔力も絶大であることから、入念な事前準備と引き換えに、本来できないような大魔術すら一瞬で行使できるというものだ。
それが、九条に決定的な隙を作り出す。
「……とどめは、任せたわよ!!」
ああ、OKだ姉さん。
『SAVE』
「喰ら……えぇえええええ!」
遠慮なく喰らってけ。
後ちなみに、撃ち上げられた所には大量の宝石による神滅具の足止め術式が完了しているからな?
「……ぬぉおおおおお!」
隙は逃しは……しない!
―サルヴェイティングブラスト
イッセーSide
「……ふはははははは! いいね、最高だ……最高だとも!」
ボロボロになったくせして、なんで嬉しそうなんだよ、マゾかこの野郎は!
ヴァーリをボコボコにすることができた俺は、我慢できない怒りを全力で言葉に乗せる。
「小猫ちゃんはなぁ、自分のおっぱいが小さいことを心から気にしてるんだぞ!? カズヒだってどう考えてももっとおっぱいが大きくなられる体つきなのに、小猫ちゃん以上につるぺったんなんだぞぉ!」
許せない、なんて許せない奴なんだ!
なんでも半分にする―――そう、おっぱいを半分にする技なんて作りやがったんだ、こいつは!
許せない。おっぱいは夢だ、宝だ、希望だ、楽園だ。
それを半分にするだなんて。それも、強い奴と戦いたいなんて理由で編み出したなんて。
父さんと母さんを殺すなんて言ったことも赦せない。テロリストにつながって、ギャスパーを利用する手引きをしたってことも赦せない。
挙句の果てにおっぱいを半分にするだと?
殺してやろうか……この野郎がぁあああああ!
『ドライグさん。イッセーを後で怒ってもいいでしょうか?』
『いいんじゃないか? というか、乗せたアザゼルも問題があるだろう』
何を言うんだ二人とも!
俺にヴァーリの技の真相を教えて生まれた隙で、腕が一本切り落とされてるんだぞ、あの人は。
その恩義には報いなきゃならないだろう!?
『『絶対遊び半分だから自業自得だ/です』』
なんて酷いことを!? しかもシンクロで!!
なんでだ。おっぱいが半分にされるなんて、世界を襲う邪悪だろう?
『いえ、邪悪は邪悪でもギャグマンガの邪悪です』
すっかり現世に染まったね! 読んでいいって言ったけど、いつの間に俺の漫画そんなに読んでるの!?
「……これは、駄目だね。我慢ができない」
そんな声に俺達が我に返ると、ヴァーリは口から血を流しながら、それでも楽しそうに笑っていた。
「悪いが我慢が出来そうにない。……アルビオン、
『……言っても聞かんか。まあ、作戦の打ち合わせ道理ならやりようはあるか』
………え?
いや、ちょっと待て。
覇龍ってあれだろ!? こんなところで使うのかよ!
『……まずいぞ相棒。今の俺達では奴が覇を使えば間違いなく敗ける。一対一で勝てるとするなら、サーゼクス・ルシファー達ぐらいだが―』
ドライグが何を言いたいかがよくわかる。
……まだ20体ぐらいいるよなぁ。ちょっと無理か。
ど、ど、どうする? マジでどうする!?
ドライグ!? ヴァーリの覇龍ってどれぐらいになるんだ!?
『一対一ではサーゼクス・ルシファー以外は、相手が覇龍が使えなくなるまで粘るしかないな』
よし! 俺達じゃ無理だ!
で、でもまだ誰かが助けに来てくれるか分からない。九成達も余裕はないっぽいしどうすんだよ!?
「ふふ。英雄派が結界を調整してくれてね。覇を発動しても負担が少なくなるように設計されているのさ。……最も、それでも俺ぐらいじゃなければ寿命が削れ理性も飛ぶだろうけどね」
……この野郎! 所々でアピールすんなよなぁ!
「イッセー! こうなったら、私も―」
「ダメです部長! ここは俺が何とかしますから!」
リアス部長が助けに来ようとしているけど、そんな余裕はない。
どうしても、俺達でなんと……あ。
待てよ?
結界が特別製? 消耗や負担が減る? それでもヴァーリだからできる?
確かに、一人でやるならそりゃ大変だろう。負担も消耗も減っても、俺じゃ無理だ。
魔力がろくになる俺じゃあ、消耗が減っても寿命は削れる。そしてヴァーリほどの力がないなら、一人じゃ結局暴走する。
それはつまり、裏を返せば……。
あのさ、ドライグにシャルロット。
この
『『………あ』』
だろ?
なら―
Other Side
「さあ、今こそ俺の高みを見せてやろう」
ヴァーリ・ルシファーは、覇を使うことを素直に決める。
僅か数か月前に神器に目覚め、数奇な巡り合わせで神滅具を従え、その亜種禁手により疑似的に亜種禁手になった兵藤一誠。
そんな前人未到を体現した者が、自分の宿命のライバルであるなどという望外の奇跡に、ヴァーリは涙すら浮かべたかった。
ヴァーリ・ルシファー。魔王ルシファーの血と人間に宿る神滅具という、奇跡の融合を果たした、空前絶後だろう奇跡の存在。
現代過去未来において最強と呼ばれるだろう白龍皇。そう称されることに誇りはあり、そして自らそうなろうと思っている。
だからだろう。自分は宿命のライバルになるだろう赤龍帝に、どうしてもそれに食い下がれる程度の箔が欲しかった。
しかし、情報が入ってきた段階では歴代でも最低の箔といってもいい存在だった。
現ルシファーの妹が眷属にしたという意味では、真なルシファーの末裔たる自分と並び立てるかもしれない。だがこの程度では彼自身の力が高まっているとはいいがたい。
だからこそ、シャルロット・コルデーと共に至ったその在り方に敬意すら感じているのだ。
そして今、神滅具の二重奏が自分にここまで食らいついている。
半ば不意打ちとはいえ、本気を見せた瞬間に逆に圧倒すらしてきたことも感動ものだ。
まさか自分の技を「おっぱいが半分になる」などと例えられるとは思わなかったが、それがここまで自分を高ぶらせる結果になったのなら、アザゼルには感謝しよう。その例えを考えて言うことに生じた隙で腕が落ちたのはどうかと思うが。
だからこそ、最大限の経緯を彼に見せたい。
いずれ追いつかねばならない、自分の今の極限を見せてやりたいと切に願う。
幸いにも、今回の作戦において英雄派が面白い趣向を凝らしてくれた。
結界系という方面では神滅具最強と称される、上位神滅具
それにより今回の作戦で使われる結界は特別製だ。情報遮断だけでなく、神器におけるある程度の支援作用も組み込まれている。
その一環として、覇に対する保全機能が組み込まれている。これにより、覇龍による負担や暴走のリスクが数割ほど軽減する。
本来はその程度ではどうしようもないレベルで暴走し寿命が削れるが、ヴァーリは正真正銘規格外なので十分だ。
多少は暴走のリスクを制御する必要がある者の、戦闘能力の向上も踏まえれば十分すぎるポテンシャルだろう。
故に、赤龍帝は間違いなく敗北するだろう。
だが、彼ならきっとその程度では折れないという信頼すら覚え―
「……ヴァーリ。そういえば言ってなかったな」
―それを遮るように、兵藤一誠がヴァーリに告げた。
「俺がシャルロットとの連携で至った亜種禁手は、
それに関して、ヴァーリは特に興味が惹かれない。
何故なら、神滅具に関する情報は少なからず
当然、シャルロットの禁手が「歴代に赤龍帝がかつて至った亜種禁手を、今の宿主に発現させる」である以上、それぐらいの情報収集は行っていた。
「資料に残っていたよ。どうも女に自分の活躍を見せつけたいが為に至ったようだが、結果としてリソースの分割で弱体化して死んだという、ある意味無意味な―」
「―無意味じゃねえよ」
ヴァーリの酷評を、兵藤一誠は切って捨てる。
「俺にとっては無意味じゃねえ。この亜種禁手があったからコカビエルに勝てたし、お前にも勝てる」
「―へぇ。覇龍の発動を阻害するのかい? だがそう簡単にはいかないな」
そう答え、そいて興がそがれることが無いよう、それだけは阻止する体制をとる。
だが、兵藤一誠の行動は想定外だった。
「―部長! 俺に力を貸してください!」
リアス・グレモリーに、自分の主に助力を求める。
この戦いに、今のリアス・グレモリーはついていけない。これは推測ではなく確定だ。
これから鍛えれば、いずれ最上級悪魔クラスは確実に到達する。下手をすれば準魔王クラスに到達するだろうし、そうなれば自分ともある程度は渡り合えるだろう。それだけの素質と向上心を彼女は持っている。
だが、それは今ではない。
今の段階では、リアス・グレモリーがこの戦いに介入できることはあり得ない。それだけの実力差が存在し、それを理解するからこそ彼女自身も割って入らない。
「……でも、今の私じゃ―」
だから、リアス・グレモリーも躊躇し―
「部長の力があれば、俺は必ずコイツを倒せます! 勝って見せます!」
兵藤一誠は、ためらいなくそう告げる。
そして同じように、籠手から声が響き渡る。
『というよりだ。勝算を掴むにはお前が絶対に必要だ。胸を張れリアス・グレモリー。今の状況でこれを成せるのは、お前だけなんだからな』
『はい。貴女は決して弱くない。そんな自分と、そして貴女に支えられたイッセーを信用してください』
ドライグとシャルロットからも後押しを受け、リアス・グレモリーは一瞬うつむき、しかし決意に満ちた顔を見せる。
「……いいわ。私はあなたの主だもの。貴方の決意と願いを裏切ったりなんて……絶対にしない!」
「はい! 勝ちましょう、部長!!」
そしてリアス・グレモリーの手を赤龍帝は取り―
「我、目覚めるは―――」
―リアス・グレモリーは突如として消え去り、そして唄が鳴り響く。
その瞬間、ヴァーリもまた瞬時に詠唱を開始する。
「我、目覚めるは―――」
その唄は、二天龍の破壊を具現化する禁断の言葉。
〈始ま―え?〉〈何が、始まる?〉
赤龍帝からは戸惑いの言葉が響く。
〈消し飛ばす!〉〈消し飛ばせぇっ!〉
白龍皇からは、その戸惑いに警戒を覚えた言葉が響く。
「覇の理を神より奪いし二天龍なり―――」
<これは違う!?><そんな、いつもじゃ……ない!?>
歴代の残留思念を戸惑わせる赤龍帝に―
「覇の理に全てを奪われし、二天龍なり―――」
<今すぐ夢を終わらせろ!><ここに幻を示すのだ!>
歴代の残留思念の恐怖に背中を押される白龍皇。
「無限を嗤い、夢幻を憂う――」
<世界は何を求めて……?><これは、世界を否定するのか……?>
未知により恐怖に駆られて。
「無限を妬み、夢幻を想う――」
<全てを……出し尽くせぇ!!><全てを捧げ……奴を、殺せぇ!>
恐怖に駆られた戦意をばねに。
「我、赤き龍の覇王と成りて――」
「我、白き龍の覇道を極め――」
「「「「「「「「「「汝を紅蓮の煉獄に沈めよう―――」」」」」」」」」」
「「「「「「「「「「汝を無垢の極限へと誘おう――」」」」」」」」」」
『『Juggernaut Drive!!!!!!!!』』
今此処に、歴代で最も異常な二天龍の覇が、この戦いの最後を彩るべく発生した。
次回、ヴァンパイア編最終決戦。
覇龍VS覇龍の大激戦です。
それはそれとしてヴァンパイア編を書き終えたのですが、短編的に300イッセーを利用した一話を書きたいところ。
今まで自分は原作との差別化もかねて「盛大に人間世界を巻き込むこと前提のオリ敵勢力」とかが主体的ですが、本作では方向性を若干変えて「別に巻き込んでもいいけど、敵を増やすのもあれだし積極的に巻き込むのはまず異形勢力を制圧してから」という方向性を試しています。
しかしそれとは別に……というか作品的な理由として「神様転生者の遺産のせいで、表が別の意味で危険が高い」をそれとなく示したいので、短編とかを利用いてその辺を出したい。具体的には、純度100%の人間世界テロリストが異形を手こずらせるとか。
そしてハイスクールD×Dらしさを考慮すると、極まった変態に力を持たせたい。特に星辰光と変態の相性は原作からして抜群だし……。
後最後に、幸香の星辰光について一部情報を明かさせてもらいます
UNKNOWN
基準値:B
発動値:AA
収束性:C
拡散性:AA
操縦性:B
付属性:C
維持性:AA
干渉性:C
九条・幸香・ディアドコイの星辰光。■■■■製人形運用能力。
とある物体を利用して人形を生成し、それを運用して多角的な戦闘を行う能力。
現状では語れることはそう多くない。だがしかし、明言することができるもある。
カズヒ・シチャースチエと九成和地を相手取った伏せ札がこれによるものだということ。彼女は未だ、その本領を見せていないこと。そしてこの星の凶悪性は彼女が本気を出した時に一気に化けるということである。