好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ   作:グレン×グレン

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 さてさて、今回はどちらかというと箸休め回といえるでしょう。


明星双臨編 第三十話 政争バチバチ

和地Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は素早く荷物をまとめると、外の男子メンバーが荷物をまとめるサポートに回っていた。

 

 何分こういった準備の教練も受けているからな。有事に素早く荷物をまとめる教練を受けていれば、必要最小限の荷物はすぐにまとめられる。

 

 非常持ち出し袋と同じで、すぐに持ち出せるよう前もって備えをしておくに越したことはないといった形でもある。それらを前もって用意しておけば、この手の準備はすぐに済む。

 

「さて、荷物はこの辺でいいか」

 

「助かったっす先輩」

 

 アニルの礼を受けてから、今度はイッセーの方だ。

 

 幸いアニルは悪魔祓いの仕事をしているだけあって、長距離行軍に備えた荷物の準備はできるしな。

 

 流石に女性陣は多少時間がかかるだろうが、これに関してはセクハラになるから流石にしない。

 

 というわけで、俺達はイッセーの方をサポートに向かうわけだ。

 

 あいつはこういう緊急の移動における荷物の準備には慣れてないだろうしな。何より―

 

「……どのエロ本持っていくかで迷ってそうだな」

 

「ガツンと言っちゃってください先輩」

 

 付き合いが長いからすぐ予想できる。

 

 そんなこと思いながらイッセーの部屋についたので、ノックをして確認をする。

 

「……おい兵藤、他にも来たみたいだぞ?」

 

「九成か~? 入っていいぞ~」

 

 匙の声まで聞こえたな。あいつも来ていたのか。

 

「イッセー、準備できたか?」

 

「うっす匙先輩」

 

 俺たちが入ってみると、イッセーの準備も大体できる感じだった。

 

 とはいえだ。防寒対策はどれぐらいできているか見ておかないとな。

 

「防寒具とか使い捨てカイロは用意してるか? ヨーロッパは駒王町より数段寒いぞ」

 

「そっすね。この時期だと位置取りから考えて、雪降り積もってますぜ?」

 

「そうらしいな。一応防寒具とかは準備してきたけど……カイロも用意しとくか」

 

 イッセーが俺達の指摘を受け、荷物を確認し直している。

 

 とはいえだ、まだ時間に余裕はあるんだよな。

 

 あ、そういえば。

 

「そういや匙、以前言ってたレーティングゲームの学校がそろそろ始まるんだってな?」

 

 そうなんだよ。

 

 ソーナ会長が目指していた、どんな悪魔でも通うことができるレーティングゲームの学校。その建設が始まり、試験的な運用が始まろうとしているそうだ。

 

 いやぁめでたいめでたい。また大変なことが乱れ撃ちになりそうだから、そういう嬉しい話題は本当にありがたいことだ。

 

 とはいえだ。懸念事項がないでもない。

 

 アニルもその辺は同意見だったのか、ちょっと遠い目だった。

 

「フロンズ・フィーニクス達はどんな感じなんです? 色々面倒なこととか押し付けそうな気がするんですけど?」

 

 そこな。

 

 フロンズ一派は一応味方だけど、同時に政敵だからな。協力はするけど油断はできない連中だ。

 

 とにかく政治的にやり手だから、また何かされたんじゃないかと懸念しているわけだ。本当に油断ができないわけだし。

 

 ただアニルがそう言った瞬間、匙が遠い目をして少し震えていた。

 

「ああ、ぎゃふんと言わされてたよ」

 

「「「……え?」」」

 

 思わぬ展開に、俺達は面食らっていた。

 

 匙はとても遠い目をしていた。ちょっと真剣に恐怖していた。

 

「……最初は、ソーナ会長とフロンズがお互いの利権とか負担とかで色々話し合っていたんだよ。ぶっちゃけると、フロンズが主導権を握っていた感じだった」

 

 まぁそうなるな。

 

 あのフロンズ・フィーニクスを相手にするなら、苦戦は必須だろう。

 

 だが、匙は無意識に自分の体を抱きしめていた。

 

「それでフロンズ有利でも会長にも利があるような感じで決着がつきそうな時……会長がとんでもないことをやりやがった」

 

 俺達は、思わず息をのむ。

 

 それはいったい―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Other Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 フロンズ・フィーニクスは遠い目をして思い出していた。

 

 あの議題において、フロンズは一方的な勝利を目指したつもりはない。

 

 自分達が可能な限り利益を得ながらも、ソーナ・シトリー達にも利益が得るように立ち回った。負担もソーナ側が大きくかかるようにしていたが、自分達も相応に背負う形だ。

 

 あまりに一方的にやっては、余計な怨恨を生みかねない。魔王排出の元七十二柱本家との家柄の差も踏まえて、致命的な事態を避けていた。

 

 何より交渉とか商談は、双方に理があることが最も理想的だ。一方的に搾取する関係など、長期的な視野で見ればリスクどころかダメージの確定ともいえる。

 

 こっちが大きく儲ける形にしつつ、しっかり相手にもリターンを与えることこそが、将来的な視点も含めた理想象だ。

 

 そして想定されていたパターンにおいて、比較的不利益が少ない形に落ち着いたと思った時だった。

 

 フロンズは思い出して、思わず肩を寒気で振るわせる。

 

『……本当に、私は不出来のようです。貴方の方が良くものを考え、先を踏まえて思索を行っている。……私如きの才覚で介入することこそ問題でしょう』

 

 その、自虐すら感じる表情に、フロンズは一度きょとんとしてしまった。

 

 何故この流れでソーナがそんなことを言い出したのか、理解が追い付かず―

 

『私は此処に宣言します。学園の全てはフロンズ・フィーニクスに預けるべきだと』

 

 ―とんでもない爆弾を叩き込んできた。

 

 繰り返すが、フロンズはそもそも利益を独占するつもりはなく、不利益などの負担もある程度は背負うつもりだった。

 

 理由はいくつもある。

 

 先ほどの商談の理念も一つだが、他にもある。

 

 家柄もあり、一方的な勝利を掴むのは余計な怨恨を背負うことになる。シトリー本家が持たなくても、縁ある馬鹿が恨んでくる可能性は大きいだろう。余計な恨みはなるべく避けるに越したことはないのだ。

 

 そして、もう一つ問題点がある。

 

 一言でいうならば、リスクやダメージを分散させたいのだ。

 

 ソーナはもちろんフロンズも、学園設立は自分達が利益を得る為というよりは冥界全体の利益が主体だ。少なくともフロンズにとって、それにより結果的に利益が入ることを求めており、目先の家に入る利益は副産物に過ぎない。

 

 故に、重視するべきはリスクとダメージの分散。かといってすべて押し付けるのも悪手。ある程度のダメージとリスクを背負うことこそ、将来気に過度な恨みを買ったり信用を失ったりしないギリギリの塩梅に繋がるのだ。

 

 フロンズはそれらをソーナに読まれていることを承知のうえで、ギリギリのラインを見極めてきたつもりだった。

 

 ソーナ達は極めて善良な者達だ。今回の件においても自分達以上に冥界の民を想ってのもの。必然的に、余程無茶なリスクの押し付けなどをしなければ最終的には了承すると思っていた。

 

 そして想定範囲内かつ比較的都合がいいパターンだと思っていたら、全リターンを代償に全リスクをぶん投げてきた。

 

 これは利益は独占できるが、失敗のリスクと失敗した時のダメージまで独占してしまう。更にソーナ以外の魔王派側に、余計な恨みすら買ってしまう。将来性を踏まえればどう考えても()()()避けるべきことだ。

 

 結果として、周囲の者達を上手く乗せる形で何とかそれは回避できた。

 

 だが同時に、許容範囲を若干オーバーするレベルでソーナ側に利権を過剰提供することになってしまった。

 

「……正直に告白しよう。私はソーナ殿を舐めていた」

 

「ハッハッハッ! お主が(まつりごと)で後れを取るとはのぅ。若手四王(ルーキーズ・フォー)もやるではないか!」

 

 それらを聞いていた幸香は、思わず腹を抱えて笑いながらソーナ達を評価する。

 

 フロンズ・フィーニクスは幸香にとって同盟相手であり契約相手だ。彼のことを幸香は本心から評価している。

 

 こと政治という分野では若手悪魔の域を遥かに超えていると思っていたが、決して油断できないということか。

 

「妾達のライバルは、将来有望で滾るのぅ? お主としては不満かもしれぬがの」

 

「まぁ、歯応えが全くないのは油断と腐敗を招くしな。ある程度は必要だとも」

 

 二人はそう語り合いながら、紅茶を飲む。

 

 ……ちなみに、冥界かつ後継私掠船団(ディアドコイ・プライベーティア)用の特別区域であることから、お酒が香りつけの域を超えている量は入っている。

 

 フロンズはブランデーを入れ、幸香はラム酒。ちなみに幸香のラム酒は廃糖蜜*1を使ったとにかく安いものだ。

 

「……もう少し高いのも入れられると思うが?」

 

「気休め程度の気遣いだとも。高いのだと文句が出るだろう?」

 

 そう言い合いながら、二人はちらりと資料を見る。

 

 そこに書かれているのは、緊急連絡が成されたツェペシュのクーデター。

 

「妾達は動くのか?」

 

「いや、今回は様子見だ。あまり過剰に戦力を用意すると、余計な刺激が発生しかねないからな」

 

 此度は静観を決め込みながらも、しかし準備は怠らない。

 

 フロンズ・フィーニクスと九条・幸香・ディアドコイ。

 

 契約を交わした二人は、今後を踏まえて備え続ける。

 

*1
黒砂糖から白砂糖を作った際の残り。本来ラム酒はこれの利用法を模索した結果生まれたとのこと




 政治方面で一回フロンズをしてやったりするソーナが求められていたこともあったので、ちょうど政治的に丁々発止されていた学園ネタで一発かましました。

 可能な限りフロンズから譲歩を引き出したうえで、フロンズのドアインザフェイスを逆手にとってフロンズが最も嫌だろう全リスクを押し付ける形に持ち込みました。それだけはなんとしても避けたいフロンズは、結果として想定以上のリターンを相手に与える羽目になった形です。

 ソーナもフロンズも学園設立はそれそのものが目的に近いので、個人的利益の優先度はさほどありません。フロンズはそこでいつも通りリスクを最小限かつ背負うべき量にする形にしつつ追加利益ゲットをもくろんでおり、ぶっちゃけ学園設立のためならそれ以外のリスクは気にしないソーナは、普段のフロンズのやり口とかを逆手にとって、意趣返しを兼ねてフロンズのセーフラインや対応パターンを探った形ですね。

 
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