好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ 作:グレン×グレン
そんなこんなでようやくリアスたちと合流です。
しかしここまで続けられたのも久々ですし、D×D作品全体でもここまで来た作品は僅かでしょう。
ふっふっふ。このままどんどん続けるぜぇ!!
和地Side
ツェペシュ領に到達し、俺達はゴンドラを降りる……と、すぐに吸血鬼が何人か姿を現した。
違法で入ったわけではないとはいえ、早い反応なことで。
クーデターが起きてから日が経ってないだろうに。余程スマートにクーデターに成功したと考えるべきか。
「アザゼル元総督殿とリアス・グレモリー眷属の方々ですね? 我らが王がお待ちしております」
……態々ご招待してくれるってか。
流石に現状なら、すぐに殺すという可能性は低いか?
まぁどちらにせよ、今ここで暴れるのは賢明ではないな。
……俺達は、ついてきていたシトリーの二人がこっそり別動隊として動いている中、馬車に乗ってツェペシュの城へと向かった。
街の様子はいたって普通と言ってよく、クーデターが起こった直後とは思えないほど静かで平穏といってもいい。
市民はクーデターが起こったことすら知らない可能性を示唆されていたが、当たりの様だな。
それほどスマートかつ最小限の手間でクーデターは完遂した。余程入念な準備が起きていたんだろうが、それにしてもツェペシュの王が城を脱出する必要に迫られるほどの事態を起こせるとはな。
禍の団が組んでいるからこそだろうが、それにしたってスマートだ。
これは、相応の戦力がいると考えるべきだろう。
そんなことを考えているうちに馬車は城に到着し、俺達は謁見の間と思われる部屋の前に待機させられる。
「……どう思います?」
たまたま近くにいたロスヴァイセさんにちょっと意見を聞いてみるが、彼女も思うところがあるらしい。
「城の内装も特に直したてといった部分は見られません。本当に最小限の手間でクーデターが完遂したのでしょう。禍の団が関与しているにしても、相当の根回しがあってのことでしょうね」
やっぱりな。
いくら異形パワーの修復がすぐにできるとはいえ、それにしたって被害が見当たらなさすぎる。
どうやら、禍の団かクーデター側かは知らないが、相当の手練れがいるとみて間違いないだろう。
要点をほぼ確実に抑えたうえで、優れた実力者による一点突破。要をどう押させるかが重要になる、現代戦の手本といえるだろう。
カズヒねぇも険しい表情だしな。……インガ姉ちゃん達も大丈夫なのか―
「……イッセー!」
―その声に、俺達はすぐに振り返った。
見れば、メイド達に連れられる形でリアス部長がこちらに歩いてきていた。
後ろには控える形でインガ姉ちゃんと木場もいる。どうやら三人とも、特に怪我を負っているわけではないらしい。
「リアス!」
「インガ姉ちゃん!」
思わるイッセーと一緒に駆け寄るが、その時、インガ姉ちゃんが耐えきれないように駆け出した。
「……っ」
俺に抱き着き、そのまま顔を胸元に埋める。
うん、男冥利に尽きるし不安だったのだろう。それはいい。
だが、これはそれだけじゃない。
俺はそっとインガ姉ちゃんを抱きしめながら、ちらりと視線を木場の方に向ける。
木場も真剣な表情で頷いていた。
それだけで十分だ。アイコンタクトでとりあえずインガ姉ちゃんに重い何かが起こったことだけは分かる。
だから俺は、そっとインガ姉ちゃんを抱きしめる。
「大丈夫だ、インガ姉ちゃん。俺は此処にいるから」
「……ゴメン。あとちょっとだけ……こうさせて……っ」
震える肩を支えながら、俺は体温をインガ姉ちゃんに感じさせるようにして慰める。
事情は分からない。それでも、クーデターに巻き込まれた不安とかそうではないことだけは分かる。
だから……今は受け止めるだけだ。
祐斗Side
……さて、ここからが問題なんだろうね。
リアス部長に危害は加えられなかった。イッセー君達とも合流できた。
だけど、だからこそここからだ。
僕は視線を、インガさんを抱きしめる九成君を見ているカズヒに向ける。
こういうのなんて言うんだろう。後方師匠面?
凄く満足げというか感慨深げというか、何処か戸惑っているようで凄くほっとしている感じに見える。
「どうしたんだい?」
「……いえ、総合的に見て……色々な意味で不安が解消されたのがね」
カズヒは苦笑すると、目を細めながら天井を見上げている。
だけどそれは、天井を見ているのではない。天井の先に何かを投影しているようにして見ているのだけは分かる。
「和地がきちんと私以外も愛せて愛されて、同時にそれを本当に安堵して見ていられる自分に安堵している。……この感覚、分からない人の方が多いでしょうね」
「まぁ確かに。中々覚えられない感覚だとは思うよ?」
カズヒはカズヒで色々複雑だからね。そういうこともあるだろう。
自分を愛する男に、自分以外の女性も心から愛せることを条件として提示する。それがカズヒが九成君に叩き付けた絶対条件。
きっとそれは、
自分の愛する男が自分以外を愛する。自分以外の女が、愛する男と結ばれる。地獄のような半生の中、それを耐えることができなかったからこそ彼女は凶行に走った。
きっと最初はそこからくる自制心の発露。強すぎる自罰と自戒の感情が、妙な形で出てきた結果だ。
だけど、だからこそカズヒはここまで来ることができたのかもしれない。
そこからくる、彼女自身の成長がその感慨なんだろう。
うん、なら感想はこっちの方がいいかな。
「きっと、
ああ、きっと―
「みんなが君を幸せにしてくれる。まぁ、僕達もだけどね?」
―仲間との絆を、今度こそ大事な宝とできるはずだからね。
「……そうね。私も、そうであってほしいと心から願うわ」
カズヒも苦笑しながら頷いて、そこで表情を引き締めた。
「だからこそ、インガの問題をどうにかするべきね。何があったの?」
確かに、そこについても話すべきだろう。
僕が頷いて話そうと―
「お待たせいたしました。ヴァレリー様達の準備が整ったようです」
―した時、吸血鬼の貴族が声をかける。
どうやら、まずはあちらの用事を終わらせてからにした方がいいようだね。
視線を交わしてカズヒと頷き合うと、僕達は扉に向き直る。
そして鎧と剣で武装した警護の兵士達が、ゆっくりと扉に手をかける。
「「それでは、新たな王に謁見を」」
そして扉が開き出す。
さて、ここから漸く謁見か。
鬼が出るか蛇が出るか。そういうことになりそうだね。
イッセーSide
謁見の間には、あんまり人がいなかった。
敬語の兵士達、貴族服らしい人が数人。そして玉座に座る女性が一人。
もっとたくさんいるかと思ったけど、最小限の人数って感じだな。
でもそうか。クーデターが成立するわけだ。
必要な人員は全員聖杯で確保済み。あとはタイミングを見計らって一気にやればどうにかできる。むしろどのタイミングでやるべきか色々考えていただけなのかもな。
禍の団が絡んでいる可能性はほぼ確実だっていうしな。リアス達が来たことで俺達までくると考えて、だったら今すぐにでもって可能性もあるよな。まぁ、タイミングがたまたま被っただけってこともあるだろうけど。
ただ、吸血鬼連中も聖杯で強化されているだけあって、そこそこ強いのもいるようだ。
油断しているとやばいな。全員上級悪魔クラスって考えた方がいいかもしれない。
そして、俺達の視線の先。
「……初めまして、グレモリー眷属の皆さん」
そう語るのは、虚ろな目をした金の髪を持つ女性。
吸血鬼の作り物めいた美しさと、人間が持つ自然な美しさが同居した、俺達よりちょっと上程度の年齢の女の人。
……彼女が、ヴァレリー・ツェペシュ……っ
俺は、思わず拳を握り締めた。
ここにギャスパーがいるって連中は知ってるだろうに。
態々、こんな状態の彼女を見せつけるのかよ……っ
九成Side
……吸血鬼の価値観は受け付けないところがあるが、それにしたって悪趣味だろう。
どう見てもヴァレリー・ツェペシュは異常な精神状態だ。精神面を掌握されているとみていいだろうし、聖杯そのものもかなり乱用されているだろう。おそらくは、聖杯を乱用させる為に精神をどうにかされたとみるべきか。
態々それを見せつけるとか、いくら吸血鬼共だ解いても悪辣すぎる。それに周囲の反応を見る限り、その辺りについても一部の意見が押し切られたとみるべきか。
イッセー達が冷静でいられるとは思えないからこそ、俺は俺で精神面を強く律して周囲を観察する。
視線で気取られないように視界に意識を向けてみる限り、下手人といえる悪辣な様子を見せている男は一人だ。
ヴァレリー・ツェペシュに最も近い、どこかに通った男の吸血鬼。
奴が黒幕側にいるのは間違いないだろう。万が一、この場で荒事になるなら一点収束で叩きのめすべきだ。
最も、その辺りの保険ぐらいは仕掛けているだろうが……な。
と、視界でヴァレリーが急にあらぬ方向を見て話しかける。
誰かいるのか? 俺達には感じられないが……聖杯による超感覚とかありそうだな。もしくは特殊な禁手という可能性も―
「お前達。ヴァレリーが見ている方向に視線を向けるな」
―その時、先生が強めの口調でそう告げる。
「特に信徒は全員気を付けろ。信仰心の強い奴はことさら持っていかれるぞ」
その言葉に、アーシア達が視線を下に向ける。
先生の表情と口調にはかなりの真剣みがあり、かなりマジであれな事態だということが何となく分かった。
「先生、ヴァレリーが見ているのは何なんですか?」
「聖槍に魂が持っていかれるという方向性でもなさそうですが」
イッセーと俺がそう言うと、先生は見るからに渋面を作る。
「俺にも詳しくは分からん。生と死を司る聖杯を持つからこそ見える、生きているものが見てはいけない領域の存在……としかな」
そう返す先生は、かなり険しい表情だ。
どちらにせよ、かなりやばい状態なのが今のヴァレリー・ツェペシュだと尚更分かった。
そして、その下手人があの男か。
ヴァレリーの近くにいる吸血鬼。そいつはヴァレリーのほうを見ながらパンパンと手をたたいた。
「ヴァレリー。彼らと話すのもよいですが、王としてまずは客人にご挨拶を勧めなければいけませんよ?」
「あら、ごめんなさい」
ヴァレリーがそう謝るように言うと、男はこちらを向いて会釈をする。
「初めまして。私は暫定宰相をする羽目になってしまった、ヴァレリーの兄でもあるマリウス・ツェペシュと申します」
する羽目にねぇ。
明らかに面倒くさそうな雰囲気だな。しかも性格の悪さが透けて見える雰囲気すらある。
「お兄様達が手伝ってくれることで、誰も差別されないツェペシュが作れそうなの。もうあなたをいじめる人もいないわよ、ギャスパー」
「それはもう。できればすぐにでも辞めたい宰相業務ですが、妹の目指すツェペシュを見てみたいものでしてね」
……マリウスが嘘っぱちなのも、ヴァレリーが騙されているだけなのもすぐにわかる。
というより、マリウスの奴は隠すつもりもないんだろう。逆にここまであからさまだと分かりやすいという物だな。
俺たちはほぼ全員、敵意と嫌悪すら浮かんでいる。
「マリウス・ツェペシュ。このクーデターはあの野郎の意向に乗っ取った者ってことでいいのか?」
先生がそのものずばりと切り込むが、マリウスは悪意を見せながらも余裕を見せている。
「いえいえ、私が聖杯を好きに研究できる環境が欲しかったので、政治をしてくれる協力者を見つけたうえでやったことです。あの野郎は彼のことを指すのでしょうが、彼はあくまでクーデターには協力者止まりですよ」
……これまたズバリといってくるな。
今迄ろくでもない連中とは何度も敵対してきたが、ここまでの奴もそうはいない。
吸血鬼の貴族連中も動揺したりたしなめたりしているが、それに関しても拘束力はなさそうだ。
ヴァレリーはヴァレリーで微笑んだまま。どうやらかなり精神を支配されているようだな。
そしてこの余裕、余程の馬鹿か余程の根拠があるという考えでよさそうだな。
「……その様子だと、ヴァレリーを解放する気はなさそうね」
「もちろんです」
リアス部長にそう返すマリウスだが、まぁこれは予想範囲内だ。
忌々しいが、今この状況下では迂闊に仕掛けられない。
なにせ一国レベルを敵に回すようなものだしな。聖杯で強化されていることも踏まえれば尚更だ。アウェイというのはそれだけで不利なんだ。
「問答は無用だ、リアス部長」
と思ったらゼノヴィアが臨戦態勢―
「こいつは生かしても害になるだけだろうし、さっさと滅ぼして帰るトーラス……っ!?」
「黙れこの馬鹿」
―をとった瞬間にカズヒねぇが流れるように首を絞め落とした!
泡を吹いて痙攣しながら倒れるゼノヴィアを見下ろして、流れるように絞め落としたカズヒねぇがため息をついた。
「時と場所と状況を考えて発言しなさい、この間抜け。敵地のど真ん中で考えなしに動くな、この唐変木。あと下僕が勝手にそんなことすると流れるように主の監督責任が生じるのよ阿呆」
辛辣な評価だ。一部の趣味人なら感動のあまり失禁すらすることになるだろう。
だがゼノヴィアは既に失神しているので意味がないと思うのですが。
「……お目汚し失礼。この馬鹿はあとで躾け直しますのでご容赦を」
心底嫌そうにカズヒねぇがそう言うと、マリウスは愉快そうにクククと笑う。
いきなりデュランダルを使われそうになったにも関わらず剛毅なことで。
もっとも、この手の輩は余裕の根拠があってのタイプだと思うがな。
「いえいえ、ではこちらも頼れる護衛を紹介しましょう。……我々の余裕の源泉とでも言いましょうか」
そう言いながらマリウスが指を鳴らすと、途端に寒気を感じた。
これは、言いたくないけど強者の気配だ。
俺達全員が緊張感を覚えながら、寒気を感じる方向を向くと、そこには一人の男が壁にもたれていた。
吸血鬼ではない。金と黒の混ざった髪を持つ男。その視線は、何故かイッセーに焦点が合わさっている。
『……気を付けろ。今のお前達でもまずいことになるぞ』
イッセーの左腕から、ドライグの声が響く。
「……どうやら、名のある龍ということですね?」
「ドライグ、できれば私達に紹介してもらえるかしら?」
『伝説に記されし邪龍の中でも最強とされる存在、クロウ・クルワッハだ』
シャルロットとリアス部長に促されて、ドライグから緊張感のある声が響き直された。
クロウ・クルワッハ。確か、滅びた邪龍の一角だと資料で呼んだことがあるな。
まったく。俺達もだいぶ強くなった自信はあるがそれにしたって限度がある。あれは魔王クラスが眷属悪魔を率いて挑んでなお不利な戦いを強いられるレベルだろう。
半端なレベルじゃ神クラスでも返り討ちに合うレベルだ。おそらく天龍・主神・超越者といった頂点級の連中とも真っ向勝負ができるだろう。
そんな用心棒がいるなら、如何に吸血鬼の本部といってもやばいことになるだろうな。
おそらくは、聖杯によって復活された邪龍の一角。禍の団のがグレンデルとやらを連れていたことも踏まえれば、相当の蜜月関係ということか……っ
ゼノヴィアをしっかり止めれてよかった。ここで戦えば俺達全員が全滅することも十分あり得るだろうしな。
俺達が警戒を高めたことに愉快になったのか、マリウスは微笑みすら浮かべながら手を叩く。
「では、こちらも業務があるので本日の謁見はこの辺にしましょうか。城内に部屋を用意したので、当分はゆっくりとなさっていてください」
相当の余裕なようで何よりだ。俺達を強制的に返すこともなく、滞在を許すとはな。
その余裕、油断であることを願ってるからな……っ!
Other Side
「……あれ? 父さん達はどこに行ったのかな?」
『あ、誠にぃ? お義父さんならさっきマリウス達のところに行ったけど?』
「そうなのかい? ついさっきグレモリー眷属が城内に入ったって聞いているけど?」
『別に会ってもいいやって感じかも。ほら、どうせもう革新されてるって前提で話勧めてたじゃん』
「マリウス・ツェペシュも油断しすぎじゃないかなぁ? 父さんは遊び好きだから仕方ないにしてもね」
『まぁ大丈夫でしょ? 護衛もしっかり二人付けてるしさ』
「その護衛も心配だけどね。確か、縁があったりしたんだろう?」
『それもそっか。まっさか妙なところで縁が出るなんてびっくりだよねぇ~』
最近各ペースが速くなったので、本来二話ありましたが統合しました! それでも書き溜めは170kbを越えてるぜぇ!