好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ   作:グレン×グレン

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 はいどうもー! 感想・推薦・高評価・創作掲示板での紹介を常々欲するグレン×グレンでっす!

 とりあえずあとちょっとでこの章のラストまで書けるといったところです。明日あたりには幕間書いているかな!?


明星双臨編 第四十五話 夜明けの宣言

 

 

 

 

Other Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、少ない時間で邪龍は殲滅されることとなる。

 

 だが短時間とはいえ、いきなり町中にドラゴンが現れ街を襲撃するという事態は、少なくない犠牲者を生んでいることは想像に容易い。

 

 故にグレモリー眷属達も動いているが、その一環として、城内に取り残されたヴァレリーをギャスパーが回収しに向かう事となった。

 

 そして同時に、カズヒは懸念の解消として、リーネスや鶴羽を連れて同行していた。

 

 そしてその要因を確認し、カズヒはちらりと振り返る。

 

「鶴羽、どうかしら?」

 

「……あ~、ゴメン無理だわ」

 

 鶴羽の謝罪を受け取りながら、カズヒはため息をつきたいところを抑えつつ、その成れの果てを確認する。

 

 その邪龍は、明らかに歪な姿となって死んでいた。

 

 変貌したマリウス・ツェペシュ。ヴァレリーと同じく転移に巻き込まれてなかったので、拘束術式はかけたとはいえ気になったので地下に降りてきたのだ。

 

 情報を聞き出す為にも鶴羽を連れて聖杯で戻せないかを考慮していたのだが、無理なら仕方がないだろう。

 

「……後先考えずに感情に任せるのはよくないわね。一度判断を誤った身として、二度目は自他問わず認めるわけにはいかないわ。今後も先達として、後進に同じ失敗をさせないようにしないと」

 

「と言っても、この調子だと他の貴族達も似たような処置を施されていたでしょうけどねぇ」

 

 かつて感情に振り回されて失敗したカズヒは自省も込めたため息を吐き、リーネスはマリウスですらこうなっているならどちらにせよ情報を聞き出すのは無理だったという意味でため息をついた。

 

 これでツェペシュのクーデター側は文字通りの全滅と言ってよく、情報を聞き出すことは不可能に近い。

 

 クリフォトと名乗った禍の団の新たなる盟主陣営。その目的は、グレートレッドを殺すことによる異世界侵略。あまりにも問題のあるこの事態に対して、情報を殆ど掴めないのはのは問題だった。

 

 不幸中の幸いは、マリウスの強化がテストと口封じを兼ねたであろう滅茶苦茶なものだったことだ。

 

 マリウスが勝手に死んでくれたことで、同じように転移に取り残されたヴァレリーに被害がなかったのは幸いだった。そこだけは安心できることだといえるだろう。

 

 しかし、これから更に大変になることは想像に容易い。

 

 魔王ルシファーの直系にして、神器を無効化する超越者。そんな存在が、黙示録にするされし魔獣を復活させてグレートレッドを滅ぼす。しかもその理由が異世界に侵略する為ときた。

 

 あらゆる意味で非常事態というほかない。視野がこの世界の内側に留まっているだけ、旧魔王派や英雄派が可愛く思える事態といえるだろう。

 

 今後の対応や戦いは更に厳しいものになると考え、カズヒ達は内心で重いものを感じる。

 

 ミザリだけでも厄介だというのに、ここに来てリゼヴィム。シャルバが滅び曹操が冥府に落ちて安心できたと思ったらこれである。

 

 三人揃ってため息を更につきたくなるが、それより先に動く者がいた。

 

「……あの、嬢ちゃん方? 俺のことは置いてけぼりかよ」

 

「ごめんなさい、勇ちん。事態が色々重すぎてちょっと意識がずれてたわ」

 

 カズヒは素直に勇儀に謝る。

 

 自分から色々と話す為に連れてきておきながら、意識を他のところに向けているのは問題だった。人がいないところで話せると、こんなところまで引っ張ってきたのだから尚更だろう。

 

 ただ同時に、勇儀は凄く怪訝な表情だった。

 

「……マジで日美っちなのか? 性格全然違うし、そもそも完璧に西洋人じゃねえか」

 

 その反応は完膚なきまでに正論だ。

 

 改めて自分の転生という事態に、カズヒ自身も少しすすけた感覚を覚えてしまう。

 

 だが、妙な感慨に浸っているばかりではいられない。

 

「っていうかカズヒ? この人どっかで見たことあるような無いような……誰だっけ?」 

 

 鶴羽が首を傾げるのに、むしろカズヒは少し感心した。

 

「ま、()()()()()()はあんまりこいつと付き合いなかったしね。誠にぃや乙女ねぇはちょこちょこ会ってたけど」

 

 そう苦笑しながら、カズヒは勇儀を二人に紹介する。

 

「紹介するわ。彼は接木勇儀と言って、中学校で何度か、そして高校三年間はずっと私のクラスメイト。道間家とは関係ない、一般人としての道間日美子の友人よ」

 

 そう告げると共に、今度は勇儀の方に振り替える。

 

「そして勇ちんにも紹介するわ。二人は私の前世からの親友、アイネス・ドーマことリーネス・エグリゴリと、道間七緒こと南空鶴羽よ」

 

「本当に状況が分からねえ!? っていうかアイネスって、あのイギリスからホームステイしてたアイネスで、道間七緒ってお前が世話になってたとかいう!?」

 

 明らかに状況が把握できていない勇儀に、カズヒもどうした者かと困り顔になる。

 

「正直、詳しい説明にはかなり専門的な知識とかも言わなきゃならないのよ。どこまで把握しているの?」

 

「日美っちがこの城下町にいて、しかもアイネスとか七緒とか乙女先輩とかと一緒にいて、でもって俺の今回の敵は高確率で誠明先輩だってところだな。なんか知らんけど全員十代後半になってるとも聞いてるがよ」

 

 そこまで聞いてちらりとカズヒはリーネスの方を振り返る。

 

 リーネスもそこまでで大体のことを把握したのだろう。小さく頷いていた。

 

 ……ミザリに関する情報、こと基点となるカズヒ達に連なる情報は、各勢力のトップクラスならば多少は把握している。不意打ちでミザリが明かすことによる混乱を最小限に抑える必要があるからだ。

 

 だが同時に、不用意に人に広めない様、ある程度のかん口令も敷かれている。如何に帝釈天とて、いきなり異形に連れ込んだ人間に教えるほど酔狂ではないだろう。

 

 彼が日美子の友人だとしてもだ。日美子の友人とはいえ、接木勇儀という男は異能にも異業にも縁がない人間だ。態々来歴を調べ上げるほどの要素はないし、かん口令が敷かれていることを無意識に語るとも思えない。

 

 そこからある程度の推測をしつつ、カズヒは静かに勇儀と向き合った。

 

「……流石に老けたわね。ま、三十代後半に差し掛かってるなら当然か」

 

「そういう意味じゃぁずるいよな、お前ら。文字通り十代じゃねえか。反則だろ」

 

 茶化すように言えば、茶化すように言われる。

 

 ……道間日美子にとって、接木勇儀とは一線を引いた友人だ。

 

 だからこそ、アイネスや七緒ほどではない。だからこそ、自分の反転を抑え込めるほどではなかった。

 

 だが、比較的軽いこととだから重くないことは違うのだ。

 

「言うべきことは色々あるけど、まずはお礼を言わせて頂戴」

 

 その想いを、まずは形にしよう。

 

「これから凄くどす黒いことを言うけれど、そんな日美子()の人生は、あなた達のおかげで少しは息抜きができていたの。本当に、ありがとう」

 

 その上で、そんな友情の裏でいくつものどす黒いことをしてきたことを謝りたい。

 

 それを口にする前に、勇儀は軽く苦笑した。

 

「ったく。男と女で喧嘩した時に、勢い任せでセクハラ発言した(やつ)に対して、「私は一日に三連発は誠にぃおかずに〇ナニーしてるけど何かぁ?」とか言って全員ドン引きさせた奴とは思えねえな」

 

「「……うわぁ」」

 

 後ろの親友二人が一歩を引いたのには多少のダメージがあった。

 

 確かにあの時期、自分の性的観念はぶっ飛んでいたから時々漏れてもいただろう。そういえば言った記憶は残っている。その所為か男友達の割合が女子生徒の中では多い方だった気もする。

 

 これも過去の業か。カズヒは心底からそう思った。

 

「……流石、変態の性犯罪を防ぐ為に血判状まで書いてアナ〇〇〇クスを確約するだけことはあるわねぇ」

 

「真面目にその辺、別の形にしなさいよ。和地は性経験が私と同じで捻くれてるから言えないだけで、絶対結構キてるわよ」

 

「お前何やってんの? そこだけ聞くと意味不明だけど何やってんの?」

 

 そして全方位から追加攻撃が叩き込まれた。

 

「っていうか日美子の頃からだったのねぇ。その、もしかして他にも色々やっていたのかしらぁ?」

 

「まぁな。男の性的観念に理解がありすぎて、橋渡し役になってた感はある。っていうか待って? 今の話聞くと彼氏いるのに他の男とヤる予定なのか? スワッピング?」

 

「そうなのよ。そりゃ付き合う前の約束だけど、約束した男どもの方も想定外でびっくりしてるみたいでさぁ」

 

 しかも一気に気安くなっている。

 

 それはそれでいいことなのだが、何かが納得できない。

 

 しかし間違ったことは言われてないので我慢していると、勇儀はこっちにほっとしたような視線を向けていた。

 

「ま、色々あったんだってことは分かるけど、安心したぜ」

 

 その表情は、まるで娘を見る父親のよう。

 

 本当に意味で人生を積み重ねた、自分達のような特例ではないからこその成長を感じさせる瞳だ。

 

「ダチが卒業前にいきなり行方不明でそのままってのはきつかったからな。何も出来なかった俺だけど、今少しは幸せだって知れたのは良い事だな」

 

「……あなた、もしかしてそれが理由で?」

 

 だから、なのだろうか。

 

 今彼が、海外のPMCで星辰奏者になっている。それは、自分のことがきっかけなのか。

 

 何もできないのが嫌だから、力を欲してここまで来たのか。

 

 そんな視線に、勇儀は少し照れ臭そうに視線を逸らした。

 

「別にそれだけってわけじゃねえけどな。お前が俺の恋心を茶化さず、応援どころか支援までしてくれたから結婚して子供も四人作れたんでな? そんな奴がいなくなって何も出来なかったってのは……キツいだろ?」

 

「そうね。お義姉さんと結婚して、子供まで出来てるのよね。……泣きたいぐらい羨ましいけど、正直ちょっとほっとするわ」

 

 本心からそう言える自分に、安堵する。

 

 自分が出来なかったことを、誰かが成し遂げる。

 

 それを羨むだけでなく、心から祝福できる。それができることに……本心で安堵した。

 

「「………」」

 

 鶴羽とリーネスも、そんなカズヒにほっとする。

 

 親友は、反転してもなお、自分達の大好きな親友であった名残はあった。そして、それを取り戻し、来世において誰かと寄り添うことができた。

 

 その事実に思わず涙ぐみ、勇儀はそれに戸惑ってしまう。

 

「お、おいおいなんだこの状態? つーか、あんな華奢な女の子に人ひとり背負わせるのっていいのか? あと人がいないところでしたい話って何なんだよ?」

 

 困惑しながら話を戻したりする勇儀に、カズヒは今度こそ意を決っする。

 

 振り返り二人に視線で確認を問えば、リーネスも鶴羽も頷いた。

 

 ああ、彼ならすべてを話しても大丈夫だ。

 

 嫌われるかもしれないし、友情は終わるかもしれない。しかし真摯に受け止めてくれることだけは確信できる。

 

 何もかも反転した自分の人生だと思っていたが、光る宝はあの時からあったのだ。その宝に、せめて誠実で向き合おうと心から思える。

 

 だからこそ。

 

「そうね。長い話をさせてもらうわ。あとギャスパーはあれで走り込みとかもしてるから大丈夫だし……」

 

 ただ、雰囲気だけは和らげたいので、

 

「……ギャスパーはグレモリー男子だもの。まぁ、学校でもあの格好で通う筋金入りの女装男子だけど」

 

 

 

 

 

 

 

 

「はいぃいいいいいいっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この絶叫に三人の心は一つになった。

 

 

 ですよね~

 

 

 そして

 

 

 ―感覚マヒしてたかも

 

 

 その辺りの意識をちょっと見直す必要すら覚えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

和地Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんだろう。俺は今、すっごく「ですよねぇ」って感覚を覚えたぞ?

 

「和地、私今、すっごく同意の感覚を覚えましたの」

 

「ヒマリ先輩もっすか?」

 

 ヒマリやアニルまで同じ感覚とはどういうことだ?

 

 俺は少し考えて、とりあえず結論を出した。

 

幽世の聖杯(セフィロト・グラール)が乱用された影響とかか? それでなんか妙な感覚共有がされてるとか」

 

「……マジでありそうで怖いっすね。アザゼル先生にちょっと相談しときますか」

 

 アニルは俺の推測にそう答えながら、ベーコンを器用に切り分ける。

 

 そしてヒマリはベーコンを焼き、俺はその間にトマトとレタスを切ったりしている。

 

 単刀直入に言えば、俺達は今炊き出しをしている。

 

 カズヒねぇ達は別件でギャスパーと一緒に地下に言っているが、資材は大量に置いて行ってくれた。更に鶴羽が試作型アントニオンで資材も持ち込んでくれたから、こうして炊き出しの準備も可能になっている。

 

 なので、いくつかに分散して炊き出しの準備をやっているところだ。俺達は手軽に食べれるサンドイッチ主体だ。

 

 他にもシチューを作ったりするメンバーもいる。なのでまぁ、分散しているわけだ。

 

 かなり破壊されているから復興作業も流石に一日や二日では終わらないだろうし、数日はシェルターで過ごすことになるだろう。しかも今日は、いきなりの大破壊に巻き込まれた直後だ。

 

 せめて旨いものを食べて気晴らしぐらいさせてやりたい。嘆きの涙を変える者として、これぐらいはできないとな。

 

「よし、真剣に料理の練習するか。主に炊き出し系統」

 

 少し気合を入れ直そう。

 

 物理で嘆きを生む存在を倒したり、側にいて大切な人の支えになることばかりが涙の意味を変えることではないだろう。

 

 こういう炊き出しとかでもできるだろうし、セラピー的な物は香りや音でもあったはずだ。

 

 うん、いい機会だしセラピーの勉強でもするか。表向きの職業としてセラピストというのも、人間世界に関わるにおいて重要になりそうだしな。

 

 いやまぁ、今はBLTサンドだ。

 

 ストレス溜まっているだろうし、急いで避難下から突かれてもいるだろう。ついでに言うと時間帯も時間帯だから、腹もすいて当然だ。

 

 美味しい物を食べて少しすっきりするだけでも、だいぶ変わるだろう。食べるというのはそれだけでストレスを回復させる。ましてそれが美味いのなら、尚更効果が出るはずだ。

 

 ………だが同時に、俺は強い怒りも覚えていた。

 

 BLTサンドの出来に左右しない様抑えてはいるが、かなり腹に据えかねている。

 

 リゼヴィム・リヴァン・ルシファー。そして、奴が率いる新組織クリフォト。

 

 ミザリと相容れないことは分かっている。嘆きで産まれる涙の意味を変えたいという、この涙換救済()。自他問わず嘆きという美に染まってほしい、悪鬼明星(ミザリ)。相容れる道理がどこにもない。

 

 同じ道間日美子(カズヒ・シチャースチエ)をきっかけとして生まれた二つの信条。共にその為に死んでも構わないと思っているからこそ、相容れることなどありえない。

 

 そしてそれと同じぐらい、決して認められないのがリゼヴィムだ。

 

 聖書に記されるほど前から生きていたのなら、当然だが千年を超える人生だろう。それほど長く生きているということは、100年生きれるかも怪しい人間には分からない感覚だろう。

 

 そんな長い間、夢や野望を持つことがなかった。どこまでも虚無だっただろうその人生に根差した野望。それだけで、奴にとって命を懸けるだけの価値があることは分かる。同時に、どこまでかというのは俺には分からないとも分かる。

 

 そういう意味では哀れだろう。同時に決して譲らないレベルで邁進するだろうことも分かる。

 

 純血の古い上級悪魔、それも魔王血族は大抵人間を馬鹿にしているというか見下していた。リゼヴィム自身もそんな雰囲気を感じる。その上で、その人間を羨ましいというほどの虚無は、だからこそ反転した熱意に変わっている。

 

 いうなれば、ある意味でカズヒねぇと同じだ。溜まりに溜まって膿んだものが反転した結果、驚異的な熱量と質量の塊となって突破を試みている。

 

 だからこそ、奴は絶対倒す。

 

 夢を見させたまま殺してやろう。それがせめてもの哀れみで、怒りだ。

 

 そこまで決意を決めたうえで、俺は怒りを抑え込みながらレタスやトマトを切り分け―

 

「か~ずち!」

 

「おぉうわぁっ!?」

 

 ―いきなりヒマリに抱き着かれた!?

 

 危ない危ない危ないから! いや、絶妙に包丁で手を切らないタイミングを見計らってのことだけど、心理的にキッツいから!

 

 思わず張り倒そうかと思った時、抱きしめられたまま器用に頭を撫でられる。

 

「あとで一緒にカラオケでもして、発散しますわよ?」

 

 ………敵わない。

 

 どうやら直感で悟られていたらしい。そして久しぶりに俺に対して母性爆発と言ったことになったのだろう。

 

 むぅ。何時の間にかベーコンを焼き終わっているから、強引に引きはがしづらい。

 

「流石元親子、こういう時しっくりきますね」

 

「アニル、止めてくれ」

 

 俺はちょっと力なく言うというか、俺だけ全部終わってないから作業に戻りたい。

 

 だけどまぁ、少しは気晴らしになったな。

 

 ……ため込みすぎてもそれはそれであれだ。まずはしっかり発散して、そこから改めて考えるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

祐斗Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 もうすぐ朝日が昇るかもしれない頃、漸くひと段落がつける状態だった。

 

 残りの業務はプルガトリオ機関とアマゴフォースが引き継ぎ、大王派からの増援が来るまで後継私掠船団が周辺警戒に当たっている。

 

 そんな中、アザゼル先生とリーネスがヴァレリーを診察してため息をついた。

 

「……推測するに、三つある聖杯の二つを抜かれたショックによる昏睡ねぇ。一つ目を抜かれてぎりぎりだったところに二つ目も抜かれたから、一気に崩れたといったところでしょう」

 

「幸い最後の一つがあったから命は無事だったが、崩れ落ちた以上一つ入れただけじゃぁどうしようもねえ。リゼヴィム達が持っていった最後の一つを回収するぐらいしないと無理そうだな」

 

 やはりか。

 

 先生やリーネスでもどうしようもないのなら、奪還するしかないのだろう。

 

 この状態に、ギャスパー君は大丈夫なんだろうかと不安になる。

 

 視線を彼に向けると、ギャスパー君は震えて俯きながらも、それでも力を込めていた。

 

「……皆さん。僕は、決めました」

 

 朝日が昇りかけ、周囲が明るくなっていく。

 

 その光がギャスパー君に当たる時、彼は再び口を開いた。

 

「聖杯は必ず取り戻します。ヴァレリーの聖杯を、悪用なんてさせたりしません」

 

 涙を浮かべ、それでも彼の眼には決意がある。

 

 そして朝日が差し込むと同時に、顔を上げ、宣言した。

 

「ヴァレリーは……僕が救います!」

 

 ……ギャスパー君。君は本当に立派になった。

 

 僕達皆が、それこそカズヒですら、その決断といきに笑みすら浮かべて賛同する。

 

「なら一から鍛え直しね。相手が神器無効化能力を持っている以上、貴方の場合は吸血鬼の力を主体にするしかないのだから」

 

「はい! 走り込みからやり直します!」

 

 カズヒの言葉に力強く頷くギャスパー君。

 

 それを見て、カズヒは微笑みを浮かべて頷いていた。

 

「もちろん俺も手を貸すぜ! 後輩の決意を無駄になんてさせないさ!」

 

「同感だな。涙の意味を変える者としては、今度は嬉し涙を流させてやらないと」

 

 イッセー君と九成君も頷きながら視線を合わせている。

 

「なら僕も、魔剣の方を使いこなせるようにならないとね」

 

「無理はしない範囲でね? ……でも、本当に立派になったわね、ギャスパー」

 

 僕もリアス部長も、そして皆も彼の決意を受け止める。

 

 ああ、今回はしてやられ大きな被害を受けた。

 

 だけど、そう簡単には行かせないさ。

 

 そう、グレモリー眷属はこれまで何度も脅威を乗り越えてきた。

 

 だからこそ、今度も……必ず乗り越える。

 

「……ふふっ。年下の子達が頑張っているところを見たら、私達も負けてられませんね?」

 

「私達もさほど年は変わらないですけどね。ですが、トライヘキサまで出てくるのなら、私達も気合を入れ直さなければ」

 

 シャルロットやロスヴァイセさんも、同じように戦意を見せている。

 

 ああ、敵が超越者だろうと関係ない。

 

 ヴァレリー・ツェペシュは、僕達の仲間の大事な人は、必ず助け出す。

 

 その決意を胸に、僕達は新たに一歩を踏み出した。

 




 新たなる脅威は来た。

 恐るべき力を見た。

 屈辱と痛苦を味わった。

 だからこそ、それに立ち向かうことに使用。

 夜明けに掲げる涙の誓い。同時の魂の宣言に、応えぬ道理は一切無し。
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